プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは4部構成です。冒頭の枕に続いて、1部が「独り言コラム」、2部が「プライベートコーナー」、3部が連載「難病との闘い」です。(09−03−01修正、その前の修正は、09−02−16)


 

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931 ご乱心

 ガリレオが地球が回っていると言って、気狂い扱いされたことは有名な話だが、正論をぶっても、淀んだ世界ではなかなか理解されず、逆に、「ご乱心」なんて、馬鹿にされることになる。

1.独り言コラム
 筆者は、昨日、先週日曜日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」を録画で見た。珍しく、橋下徹大阪府知事がゲスト出演していて、いろんな裏話が披露されて面白かった。橋下氏は、もともと、この番組のレギュラーだったことから、出演者の皆からベタ褒めで、番組は、橋下知事の激励会ような活気ある楽しい雰囲気だった。
 その中で、知事室は当初は、職員から「殿のご乱心部屋」と呼ばれていたことを本人が告白、職員から冷たく扱われていたことが紹介された。やはり、今までの遣り方を大きく変えようとする知事に対し、職員は殿が「ご乱心」だと馬鹿にしていた様子が汲み取れて、当初の知事のご苦労振りを窺うことが出来た。
 しかし、そんな「一見乱心ぶり」も、前向きの効果が出始めると、職員の態度も変わってくるようで、大変だが、ブレずに力強く頑張ることが大事なようだ。とにかく、長い間淀んでいた川の流れを変えるのだから、一筋縄ではいかない。特に、官僚や職員は自分達の立場を守ろうとするのだから、それを変えるには、大変なエネルギーと強い意志、行動力が不可欠である。言うまでもないことだが、そんな時に力になるのが世論であろう。いずれにしても、橋下知事は良くやっていると思う。
 それに比較すると気の毒なのが、麻生総理である。いまや独りぽっちで、見ていても気の毒な感じである。党人事に躓き、内閣人事もお粗末な補充人事に終り、解散権も党が管理しているような状況に追い込まれてしまっていて、求心力を失った麻生総理には、もう打つ手がなくなっているようだ。ここに来て、ライバルの鳩が傷ついていることが見つかったが、もはや、独りぽっちの麻生総理には、元気回復の手がかりにもならないようだ。

2.プライベートコーナー
 4時半起床。体重、60.2Kg。(このところ、少し重いレベルにある)今日の天気はまずまずのようだ。
 昨日の雅子の症状は、30日に行なわれた胆嚢の膿を抜き出してもらった緊急手術の効果で、体温も平熱に戻り、痰の出方も治まってきていて、順調に回復してきている。そして、次の山場である胆嚢切除の手術については、関係者のご協力を得て、パーキンソン病でお世話になっている吉田病院(仮名)の外科で受け入れてもらうことが決まった。そういうことで、来週半ばに、吉田病院に移ることになる。雅子には新たな戦いが始まることになる。

3.蓮載、難病との闘い(896) 第三部 戦いはまだまだ続く(190)
  第五章 季節は巡る(61)

 2.初夏から梅雨へ(19)
  (3)不安な空模様(その1)
 吉田病院での4月度の定期診断もそうだったが、5月度でも雅子は普段の状態よりも頑張って春日先生の診断に応じていた。不思議なのだが、先生からの問い掛けには、タイミングよく反応するのである。施設に居る時には、一考が問い掛けても、なかなか反応してくれないのに、である。やはり、先生には何か惹かれるものがあるのだろうか。
 しかし、よく考えてみると、そこにはそれなりの理由があるようだった。と云うのも、そもそも。春日先生を探し出したのは雅子自身である。自らが購入したこの病気に関する本の中で紹介されていた専門医のリストの中から、自分がかつてK大学で勤めていたルートを通じて紹介を得たのだった。それだけに、春日先生に対する思いは、一考が考える以上の強い思いがあっても不思議ではない。その上、一考が見る限り、先生の温厚な姿、それに優しげな顔つき、スリムな身体つきは、雅子の好みのタイプだった。
 今ではそうではないが、一考が雅子の通院に付き合うようになった頃は、通院に際して着てゆく服装などは、結構、気を使って自分の好みに合わせていた。多分、いわゆるファンの一人として捉えていたのだろう。そんなこともあって、先生のおっしゃることに対し、一生懸命になって応えようとするのも不思議なことではなく、雅子の気持ち、誠意そのものだと思われる。身体の自由を奪われた今も、その気持ちが健在なことは結構なことだと一考は思うのである。先生に会えることで、気持ちの高ぶりに繋がっているとしたら、それは、他に発散のしようもない雅子の気持ちを元気にさせる素晴らしい機会でもあるのだ。
 この5月度の診断時では、改めて、体重の減少に対する対策についてご相談させてもらった。施設の介護士さんからのリコメンドもあって、目下、栄養剤の補給を行なっていることを話すと、それは結構なことなので、今後も継続するようにとの話だった。
 一通りの診断が終った段階で、数日前に新聞(平成21年5月11日付)に出ていたパーキンソン病に関する話題について、先生のご見解を伺った。この研究は東京大学の研究チームが発表した発症関連遺伝子に関するものだったので、一考は、この病気が、やはり遺伝性のものなのかと聞いてみたのだが、全く、そういうことではないが、やがては、新しい治療法などに繋がる可能性はあるとのことだった。しかし、その実用化のタイミングは、雅子への適用に間に合うというようなレンジではなさそうだということだった。(以下、明日に続く)

930 世界のキーポジション

 アジア人が国際的な重要な地位を占めることが目立って来ている。日本、韓国、中国のアジア三国は、こういったポジション争いでも競い合う状況にある。(なお、今朝はシステムのメンテがあり、配信が遅れました)

1.独り言コラム
 核の番人であるIAEAの事務局長にアジア人では初めて、日本から、ウイーン国際機関代表部大使の天野之弥さんが、南アのミンティ氏を破って選ばれた。現職のエルバラダイ事務局長(エジプト人)が11月末に3期目の任期を終えて退任するのを引き継ぐことになる。核拡散防止機運が高まっている中で、世界で唯一の被爆国である日本の代表が、このポジションを務める意義は大きい。特に、北朝鮮での核問題が複雑化して来ているだけに、その対応への手腕が期待される。
 さて、最近だが、この種の世界のキーポジションをアジア人が占めることが多くなっている。国連の事務総長を韓国の藩基文(バン・ギムン)が、世界保健機構(WHO)の事務局長を中国のマーガレット・チャン(香港)が占めていて、世界を動かすハンドルを握っている。そういう意味では、今回の天野之弥さんのIAEA事務局長就任の意義は大きい。
 ところで、今までにこの種の世界的な地位に着いた日本人だが、残念ながら、それほど多くはいない。具体的には、国連の事務局次長だった明石康さんの名前が思い出される。かつて、その著名度から、自民党が都知事候補に引っ張り出したのが思い出される。また、ご夫人では、国連難民高等弁務官の緒形貞子さんも立派なお仕事をされたお一人で、小泉純一郎総理時代には、彼女を外務大臣に起用することを考えたようだが、ご本人が辞退されたようだ。この他にも、今でも、小和田恒さんが国際司法裁判所の所長、田中伸男氏が国際エネルギー機関(IEA)の事務局長など、何人かの方が頑張っておられるが、相対的には日本人は少ない。それだけ、まだ日本人の地位が低いといえそうだ。
 いずれにしても、日本人が世界の平和に貢献するような地位で活躍して頂くのは、名誉であり、心強いことであり、大いに誇りに感じる。そういう意味では、今度の天野之弥さんのIAEA事務局長就任には、期待が大きい。大いに頑張って頂きたい。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、59.9Kg。お天気は回復模様である。
 さて、昨日の雅子だが、一昨夕の手術で、それまで異常値を示していた各種のデータは、いずれも、前日よりも更に改善されて正常値に戻っていた。順調に快方に向かっているようなのだが、痰が出る状態が続き、それに胆汁の色は依然として黒く、また体温も時々37度以上を示すこともあって、今一つである。先生の説明では、周辺での炎症がまだ残っているためだろうとの見方だった。
 次の山となる胆嚢の切除手術に関し、この病院ではICU設備がないことから、パーキンソン病でお世話になっている吉田病院(仮名)で行なってもらうのがよいのではというK先生のアドバイスがあり、急遽、吉田病院の主治医の春日先生(仮名)に、外科医の紹介をお願いした。今日のお昼に、紹介頂いた先生にお会いする予定である。手術を受けていただければ有難いのだが、…。

3.蓮載、難病との闘い(895) 第三部 戦いはまだまだ続く(189)
  第五章 季節は巡る(60)

 2.初夏から梅雨へ(18)
  (2)いろいろあるね(その7)
 次男の二郎が母の日のプレゼントを送って来てくれた。毎年のことで、送る方も何にするかで苦労しているだろう。特に、今の雅子のように何も出来ない状態だけに、何をしていいのか、それを探し出すのも容易でない。
 それでも、今年送って来てくれたのは、我々には目新しい写真立ての電子機器だった。この種のものは使えるようにセットするのに説明書を読まねばならず、受け取った時点では、直感的にちょっと厄介だなあと云う気持ちだった。
 それでも、とりあえず、電話でお礼を伝えたが、つい口が滑って「年を取ってくると、説明書を読んでいろいろと操作するのは苦手でね」と、つまらない愚痴を言ってしまった。折角、苦労して選んで送れたはずだから、二郎は不満だったに違いない。
 とにかく、翌日、雅子の部屋に持ち込んで組み立ててみた。思っていたような複雑なものでなく、簡単にセットできた。同封されていたスマートメディアをセットすると、孫の写真が次々と一定の間隔で画面に登場して来る仕組みになっている。
 雅子にその写真を見せてやった。知らない間に、孫は随分と大きくなっていて、頼もしく嬉しかったが、何しろ、一年ほど前に会ったきりで、その成長の早さに実感が伴わないず、正直言って、他人の写真を見ているようで、なかなか親しみが出て来ないのが、少し寂しかった。いずれにしても、スイッチを入れておけば、連続的に写真が順番に出て来るなかなか便利な代物で、今の雅子には最適の 贈り物であることは確かである。この場を借りて、改めてお礼を言っておきたい。
 ただ、スマートメディアに取り込んである写真が、縦型と横型のものが入り混じっているので、正しく見ようとすると、その都度その写真立てを縦横に動かして見なければならないのが、雅子が手を使えないだけに少し厄介だ。スマートメディアに写真を取り込む際に、縦型の写真と横型の写真を区別して、別のスマートメディアにしてもらっておけば、随分と見易くなる。
 とりあえず、その日はそれを雅子の座っている椅子の前にある棚に置いて、スイッチを入れたまま帰宅した。次郎には、改めてのお礼のメールを送った。
 いずれにしても、雅子がその気になれば、繰り返し孫の顔を見ることが出来るのである。気分転換と孫を常に意識できることで、有難い贈り物である。(以下、明日に続く)

929 断念

 総合的に成算の見込みがない場合の止むを得ない選択で、当人にとっては、無念で残念な選択である。

1.独り言コラム
 前日には、大きく振り上げたように見えた麻生総理の内閣人事などの人事宣言だったが、終ってみれば、兼務していた二人の閣僚の補充という目立たない小幅な動きに止まった。噂されていた東国原氏の起用、党役員人事は断念したようだ。党内の反対派の力に屈して自分の人事が出来なかったというのが本当のところだという。党内にあつれきと混乱を残したつむじ風のようだった。
 何事も、思うようにならないのが世の常で、情勢を見極め、自分の力のほどを知った上での妥協と云うべき断念は、残念だが、致し方がない選択の一つである。
 筆者が関心を持った最近の断念の事例では、あの高橋尚子選手がマラソンの現役選手から引退した「断念」は印象深い。育ててくれた小出義雄監督から離れて、チームQを結成して頑張ったが、体力、気力、実力の限界を悟ったのだろう。昨年の10月のあの引退を発表した記者会見を思い出すが、賢明な断念だったと思う。
 気になっていたのが、美人ゴルファーの東尾理子さんである。2004年から米国ツアーに挑んでいたが、昨年での成績は全く振るわず、いつも最下位近くの成績で、予選落ちが続いていて、気になっていたのだが、今年は遂に米国ツアーは断念し、日本のツアーに、時々顔を出しているのを見て、ほっとした一人である。地道でも身の丈にあった戦いで実績を高めてゆくのが、結局は早道ではないだろうか。
 米国に乗り込んだプロ野球選手の中でも、怪我や不振で今年は苦労している人が多い。100億円移籍で騒がれた松坂大輔投手も調子が今一つ、また今朝のニュースでは、上原浩治投手も怪我で暫くは故障者リスト入りだ。米国での戦いを断念ということにならないことを祈っている。
 ごく最近の話では、鳩山邦夫氏の長男の太郎氏が、都議選で文京区から立候補する話が進んでいたようだったが断念したという。同区から立候補する保守候補の足を引っ張ることになるからだと言う。
 それにしても、ここに来て民主党の鳩山由紀夫代表にも、政治資金収支報告書に虚偽記載が発覚し、民主党にも揺れていて、大きな痛手である。「鳩山、お前もか」で、上に立つと直ぐにスキャンダルが飛び出してくるメディアの仕組みは凄い。それでも、鳩山当人は、もちろん代表は「断念」しないと強気である。

2.プライベートコーナー
 4時10分起床。体重、60.2Kg(少し重い)、外は小雨が降っている(4時半現在)
 昨夕に緊急手術を終えて一夜明けた雅子だったが、お陰で体温も平熱に戻り、また、血液検査でも、検出された幾つかの異常値もすっかり元に戻っていた。一安心である。実姉の霧子さんがお見舞いに顔を出してくれたし、施設のアクティバ琵琶の日吉ユニットの介護士さんからは、お見舞いの寄せ書きを頂戴した。雅子も、少しほっとした様子に戻っていた。とりあえずの危機を一つ脱し、今週は体調の安定を取り戻し、来週の適当な日に、胆嚢の切除の外科手術を受ける。その手術が次の山場になる。

3.蓮載、難病との闘い(894) 第三部 戦いはまだまだ続く(188)
  第五章 季節は巡る(59)

 2.初夏から梅雨へ(17)
  (2)いろいろあるね(その6)
 高島屋からのカタログだけではない。時には大丸からも送ってくるし、カタログ以外にも同窓会からの案内、或いはそれまでに入会していたいろんなところから、引き続き定期的に郵便の類が送られてくる。それらを見ながら、かつて、雅子が将来のことを考えての手配や思惑が窺われ、健康であったなら、それらを楽しみにしたいと考えていた構図が見えて来て、何とも言えない可哀そうな気持ちに苛まれるのである。
 話は飛躍するが、一考の趣味の将棋の世界では、先に指した手を生かすような手を差し進めるのが、勝利に結びつける大事な考え方とされている。昔、坂田三吉が指した手で「銀が泣いている」と嘆いた指し手は有名だ。これは、1913年に阪田三吉が関根銀次郎(後の第十三世名人)八段との対局でのエピソードで、先を読んで差して置いた端の銀が、結果的には、そっぽに向いた形で遊び駒となって、何の役にも立たずに残ってしまったのを嘆いたのである。
 雅子の今の状況を思うに、それと同じような状況になっていることが実に多くある。定期的に送られてくる郵便物からも、雅子が将来を考えて加入していた会員だったが、今では、ほとんど役に立つこともなくなっていることを思う時、この「銀が泣いている」の言葉を思い出すのだった。
 難病だと気づいた後に、少しでも雅子のことを思って取ったいろんな対応を振り返って見ても、今述べた「銀が泣いている」的なアクションや対応は多い。例えば、リフォームの際に、二階への階段に雅子の安全を期して二本目の手摺をつけた。しかし、それ以降2階へ上ることも出来なくなってしまっていた。また、マイナスイオン効果を期待してのドクタートロンと称される高価な電子機器装置を購入したが、はっきりした効果も得られないまま、無用の長物として部屋の隅に残されている。ウオッシュレット付きトイレもそうである。いずれも、結果的には後追い的に取ったり、購入したりした対応形になってしまったのである。もちろん、その中で、トイレなど幾つかは、今でも使用することは可能だが、一考の生活の仕方では使っていないものがほとんどだ。それらを思うと、まさに、「銀が泣いている」の悔しい気持ちを身を持って味わうことになり、寂しく、無念でもある。
 いずれにしても、人間は、こうして結果的には回りくねった非合理的な足跡を残して一生を終えることになるのだろうと、一考は敢えて恬淡に割り切って考えるようにしている。(以下、明日に続く)

928 野に置け蓮華草

 起死回生の一手になるか否かは、全て国民の応接で決まる。永田町に蓮華は必要なのだろうか。

1.独り言コラム
 今朝の報道では、ブレにブレている麻生総理だが、明日にも、遂に党役員人事と閣僚人事に手をつけるという。兼務している大臣も多くいることから、担当を分権するといった補充が行なわれるという。 そんな中で、何と、目玉があの東国原宮崎県知事の入閣だというから驚きである。加えて、選挙では、東京の比例代表で第一位にランクするという。筆者はこの件に関しては、先日、6月25日に「冗談は止せ、野に置け蓮華草」と書いた。(922回をご参照)
 まさに、溺れる者は藁をも掴むである。東国原知事を藁に喩えるのは失礼な話かも知れないが、起死回生を期して、麻生総理は本気で考えているようだ。人気回復を狙う博打的な一手である。それだけに、本当にそこまでやるとは思わなかった。要は、国民がどう判断するかである。筆者の感覚としては、橋下徹大阪府知事ならまだしも、東国原英夫知事の起用には、今一つ馴染めないものがある。やはり、弁護士とお笑いの違いは小さくない。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、59.6Kg。外は雨が上がっているが、湿っぽい。6月度での筆者の動きだが、施設のアクティバに40回、入院した琵琶湖大橋病院には、入院後の12日間で30回も通った。結果的に、この一ヶ月の運転距離は、今までにない1326Kmの記録更新だった。
 さて、入院して12日目を迎えた雅子だったが、夕方になって、突然、思いも寄らない手術を受けるという激震の大変心配な一日となった。
 この日の雅子の症状は、朝から相変わらず変わり映えなく、依然として熱もあって不安な状態が続いていたが、この日から新たに生体抗生剤が使われるということで、何らかの好転を期待していた。
 しかし、そんな甘い思いは、予期せぬ暗転となった。何が起きたのか一瞬混乱し、命の心配をするほどの掴まえ所のない不安が拡がった。夕方4時前のことだったが、突然、胆嚢結石で胆嚢が膿でいっぱいになっていて、今直ぐそれを抜き取る手術が必要だと告げられたのである。それまでの院長先生ではなく、その道の専門医のK先生からの話だった。
 幸いだったのは、そのK先生の名前は入院直後から、大変有能な先生だと聞いていたので、その直ちに手術というお話に、どきりとしながらも、内心ではほっとするものを覚えたのも事実である。とにかく、K先生に全てをお任せするしかなかった。手術は、1時間半に渡って、内視鏡を使って行なわれ、膿が飛び散るといったトラブルもなく、無事成功裏に終えて頂いた。突然の地獄に安心できる仏様に出会ったような安堵を覚え、大変な感謝とともに言葉に表せない感激だった。
 これから暫くは、この術後の安定化を待つことになり、その後は、胆嚢の切除手術が行なわれることになるという。
 従って、暫くは、厳しい入院生活が続くことになる。今までの11日間はなんだったのだろうかとの思いがある。人間万事、一寸先は闇である。

3.蓮載、難病との闘い(893) 第三部 戦いはまだまだ続く(187)
  第五章 季節は巡る(58)

 2.初夏から梅雨へ(16)
  (2)いろいろあるね(その5)
 雅子が元気な頃から、高島屋のハイランドクラブの会員になっていて、毎月カタログが送付されてくる。衣料が中心だが、料理、バッグ、靴などの雑貨、家具などのリビング関連の物なども含まれていてかなり分厚い資料である。
 このカタログが役立ったのは、雅子の病気が急激に悪化し始めた頃で、まだ自宅での生活だったが、衣装や靴などは、それまで持っていた物では不都合になって、買い換えなければならなくなって来ていたからである。衣装の中でも、特にパンツはウエストがゴムタイプのものでないと不便となったので、全てを買い換えたのだが、それらは、このカタログを使っての注文だった。また、靴についても同様で、それまでのスマートなものでは、使えず、ゴム靴やサンダルのようなものにしなければならなかった。
 どちらかといえば、雅子はブランドに拘る方だっただけに、このような変化に、屈辱的なものを覚えていたと思う。
 当初は分からなかったのだが、二年に一度会費を支払わねばならず、結構な会費だったが、便利なこともあって、そのまま会員として継続手続きを取って来ていた。
 その後、施設に入居して暫くも、このカタログを持ち込み、実姉の霧子さんが来てくれて際には、二人で一緒に見てもらい、その中から必要なものを注文していた。しかし、それらの購入も一段落してくると、毎月送付されて来る物をチェックする必要もなくなって来ていた。
 連休明けに5月号を受け取った一考は、その中味をパラパラと何気なくページを繰っていたが、健康な雅子だったら、その一ページ一ページを目を輝かせて、楽しんで見ているであろうと思うと、何故か、込み上げる悲しさを覚えるのだった。自分がこんなにも何も出来ない人間になるなんて考えたことはなかっただろう。それだけに、「何故だ」といった思いで、その胸中はさぞかし悔しく、複雑な歪んだ心境になるだろうと思うのだった。
 かくして、今では、このカタログ自体の必要性もなくなって来ていて、その役割は既に終えたといえそうだ。もうこれ以上の会員契約の更新の必要性もないだろうと、一考は思うのだった。
 一つずつ、自分の身の回りの事柄をダウンサイズしたり、取り止めてゆくことが増えてきていて、人生のターミナルに向かっている事実に、改めて、何とも言えない寂しさを覚えるのである。(以下、明日に続く)

927 裏舞台

 世界によっては、表舞台より裏舞台の方が面白いという。政界はその代表的な世界であろう。麻生降ろしでのうごめきが活発だ。

1.独り言コラム
 反麻生グループの会合が、昨夜は二つのグループで行なわれた。一つは、中川秀直元幹事長を軸とした者の集まりで、小泉純一郎元総理、武部勤元幹事長、佐藤ゆかりなどが集まったようだ。先の横須賀市長選挙で、小泉氏が押した現職候補が敗れ、あの小泉さんの神通力にも陰りが出てきたという中で、御大自らも加わっての会合で、「野党になることもあってもいい」との発言もあって、報道陣の注目を集めていた。
 また、塩崎元幹事長を軸とする平将明などの若手グループも、時系列的には、上記の小泉氏らの会合の後に集まったようだ。マニフェストを協議するとの表向きの目的だそうだが、麻生降ろしに関わるもう一つの動きである。
 一方、民主党の西岡徳馬参議院議員運営委員長が官邸に麻生総理を訪ねて、臓器移植法案の取り扱いについて意見を交わしたという。話し合い解散を探る動きではとの憶測を生んでいる。重要法案だけに廃案を避けて欲しいと望む国民も少なくないはずだ。
 いずれも、大詰めの解散時期を巡る永田町の動きは活発で目まぐるしい。
 ところで、試合後の「ぼやき」で人気がある野村克也楽天イーグルスの監督だが、昨日が74歳に誕生日だったようだ。報道陣からの盛大な祝いに、お迎えが近いのではと語っていたが、お迎えがごく近いのは、麻生内閣の方であり、笑っても、泣いても、あと最大72日の命である。
 ところで、プロ野球では、早くもオールスターのファン投票のメンバーが発表された。しかし、阪神からはファン投票では誰も選ばれなかった。8年ぶりのことだそうである。「振るわなければ選ばれない」というのは、民意が正直にそのまま現れたものでスッキリである。冗談だが、内閣もファン投票で選べば、もう少しましな内閣が出来るのではという見方もある。

2.プライベートコーナー
 3時40分起床。体重、59.7Kg。(昼間取る水分の多さ?) 外は今のところ雨は上がっている。
 入院11日目の雅子だが、依然として肺炎が治癒に向かう気配はなく、体温は37.5―37.9度で推移している。顔も少し赤みがあって心配だ。先生からは、新たに生体抗生剤の使用の話があり、その使用に直ちにOKのサインをした。早く、雅子を苦しさから解放してやりたいが、まだ、まだ先になりそうだ。病院、施設、自宅を行き来する多忙な毎日が続いている。
 そんな中で、お中元を贈りに西武デパートに行ったのだが、時間が開店の少し前だったので、ドアの前で並んでいたのだが、何気なく、隣にいたご夫人に「今何時ですか?」とお聞きしたところ、その方が「相坂さんでしょう?」と突然名前を呼ばれてびっくり。何と、中学生の同じクラスの方だった。時間を聞かなければ、全くのすれ違いに終ったはずだったが、不思議な再会だった。忙中閑で、暫し、立ち話で昔を偲んで会話を楽しんだ。

3.蓮載、難病との闘い(892) 第三部 戦いはまだまだ続く(186)
  第五章 季節は巡る(57)

 2.初夏から梅雨へ(15)
  (2)いろいろあるね(その4)
 この連休を挟んで、多くの音楽家が相次いで亡くなられた。
 連休前の4月20日には、歌手の清水由貴子さんが、介護疲れから49歳の若さでの自殺である。お気の毒な死であった。生前の清水さんに、一考は殆ど関心を持っていなかったが、介護疲れの自殺と聞いて胸を痛くしたのである。(ブログ、859回目ご参照)
 連休の真っ只中の5月2日には、ロック歌手の忌野清志郎さんが、癌性リンパ管症で58歳の若さで死去された。一考は、もともとロックという音楽そのものを知らなかったし、そんなロック歌手には興味も無かった。しかも、同氏の名前の読み方が難しく、近寄り難い存在だった。しかし、アースマラソンで頑張っている間寛平さんの応援歌を作っていたこと、加えて、その訃報を知った寛平さんが、号泣しながら走っている姿をブログで見て、改めて同氏への関心とロック音楽への関心を抱くに至った。間寛平さんのコメントによれば、自分みたいな芸人にも優しく接してくれた同氏への感謝は、言葉に表せないものがあるという。人間は、名前、外見で判断してはいけないことを改めて悟ったのである。青山葬儀場で行なわれたロック葬には、43000人のファンが参列したという。同氏の死を痛むファンの多さに、改めて驚いた次第である。
 その二日後には、シャンソン歌手の高英男さんが肺炎で他界された。享年90歳というから、同氏の場合は、天寿を全うされたと言えよう。独特のムードを醸し出す方で、俳優としても活躍されたが、筆者には初期の紅白歌合戦で幾度か楽しませてもらったことが思い出される。
 そして、連休が明けた11日には、作曲家の三木たかしさんが64歳の若さで亡くなった。石川さゆりが歌った「津軽海峡・冬景色」は歌謡史に残るヒット曲だ。他にも多くの優れた曲を残しておられる。
 こうした方々の死の報道に接し、一考は、改めて運命と云うものの微妙さを思うのである。人生は見た目では必ずしも公平ではない。長寿に恵まれる人もあれば、もったいないくらいの短命で人生を終えられる方もいる。
 自らが68歳、雅子が65歳という年齢で、今も難病と闘っている自分達の現状を思うとき、やはり、苦しくても生きている幸せに感謝しなければならないと、一考は自分に言い聞かせている。(以下、明日に続く)

926 密約

 密約と聞くと、何んとなく薄汚さを感じさせる。その点、スポーツは、オープンな堂々の戦いが醍醐味だ。

1.独り言コラム
 今朝の毎日新聞は、日米安保条約に関する密約に関するスクープを一面トップで報じている。87年7月から89年8月まで外務事務次官だった村田良平氏が語った内容で、外務省で使用する普通の事務用紙一枚に書かれた文書で、それが歴代の事務次官に引き継がれて、歴代の外相に説明が繰り返されて来ているというのだ。
 それまでのいろんな報道で、そうだろうと思っていた訳で、改めて驚くこともないが、あの名文句「持たす、造らず、持ち込まず」は空念仏だったことがここでも裏付けられた。外交には密約がつき物とは言え、国民の一人としてしっくり来ない。
 かつて、あの毎日新聞の政治記者だった西山太吉氏が女性事務官から情を通じて得たとされる電文漏洩事件にも、改めてその真実が裏付けられた。毎日新聞としては、積年の恨みを晴らしたことで、改めて快哉の気持ちであろう。
 世論を裏切る密約は、それが仮令、一時的なものであったとしても許せないが、それが半世紀に及ぶものだけに、いい加減にしろと言いたい。
 そんな薄汚い話題をフッ飛ばしてくれたのが、昨日から今朝にかけてのプロゴルフの話題だ。堂々の優勝を飾った二人の若者の快挙である。男子の石川遼選手は、とかく人気先行で、ここ数週間は空振り状態が続いていたが、今週は見事なスコアーでツアー3勝目のお見事な優勝を奪った。12番での二つのOBで、それまでの貯金を全て吐き出して窮地に追い込まれたが、これにめげずに立ち直ったのは、さすがに天才ゴルファーと言えそうだ。特に16番でイーグルを奪った際の付きは大きく、若し、ピンに当たらず突き抜けていたら、パーも容易でなく、優勝をパーにしたかも知れなかった。全英、全米オープンでの大活躍を期待したい。
 一方の女子では筆者お気に入りの諸見里しのぶ選手が圧勝して、今年の女子の賞金王争いに加わった。楽しみな後半戦が待っている。もう一人、海外では宮里美香選手が大変頑張っていて、今朝の情報では4位タイに入った。最後のホールがボギーだったが、それがなければ2位タイだった。それでも、このところ、着実に力を着けて来ていて、宮里藍を凌いでいる。これまた、大いに楽しみだ。

2.プライベートコーナー
 4時20分起床。体重、59.6Kg。少し重い。(水分の取りすぎ) 天気は、予報は良くないが、今のところ好天。
 雅子が緊急入院して早くも10日間が過ぎた。しかし、未だに出口が見えて来ない。肺炎の治癒が進んでいないようだ。依然として、37度後半の熱が続いている。菌の種類の特定に手間取っているようで、抗生剤を取り替えての対応中だ。土、日の二日間は主治医が休みで直接お話が出来ていないので、実態が掴めていない。筆者が呼びかけに対する雅子の反応も今一つで、覚束ないことが多い。

3.蓮載、難病との闘い(891) 第三部 戦いはまだまだ続く(185)
  第五章 季節は巡る(56)

 2.初夏から梅雨へ(14)
  (2)いろいろあるね(その3)
 経費節減は、いまの一考には大事な課題である。何しろ、このアクティバ琵琶への支払いは、年金生活者の一考には大変な闘いなのだ。前にも紹介したことがあると思うが、今の実態は、プライマリーバランスが若干マイナスといえる状態で、75歳以上になった場合は、大きなマイナスになる。それだけに、今までの生活のダウンサイジングは欠かせない大きな課題である。
 その一つとして取り上げたのが、ケーブルテレビの解約だった。20年ほど前に、東レが事業の一環として始めたので、社員として協力して契約したのだが、それが、最近になって、東レもそれを売却したことで、そんな縁もなくなった。
 このケーブルテレビでは、今までは、将棋とサンテレビでの阪神戦、それにテレビ大阪でのゴルフ中継を見る程度だったのだが、こんどのデジタル化に際して、サンテレビとテレビ大阪が見られなくなるということで、あとは将棋だけの活用しかないとなると、将棋に多少の未練があっても、それだけでの契約を継続させるのでは、いかにも無駄な費用だということで、思い切って将棋番組を見るのを諦めたのである。加えて、今では、雅子の介護でテレビを見る時間そのものがなくなってきていて、ケーブルテレビまで見る余裕はない。
 そういうことで、早速解約作業に入ったのだが、そこで驚いたのが、この解約に基づく機器の取り外しなどに1万数千円掛かる上に、これをこのまま外すと、今見ているテレビもケーブルの配線に手を加えないと見られなくなるという。驚いて、いつもお世話になっている電気屋さんに確認すると、そうなのだという。今までは、そのケーブルテレビを利用して一般のテレビを見ていたようだ。先に、ケーブルテレビに加入していたので、後で追加したテレビがそれを利用した形でセットされていたのである。
 仕方なく、改めてケーブルの配線をお願いすると、これになんと3万円以上も掛かるというのだ。辞めるにもこんなに経費が掛かるのでは堪ったものではないが、致し方がないということで、やり直してもらったのである。屋根に上がってのアンテナのとりつけからケーブルの配線などと、随分と大掛かりな作業となってのである。
 そこで、改めて思うのだが、最近では、テレビを購入した際には、そのチャネルなどの設定を全て電気屋さんお任せしているので、自分では何も出来なくなってしまっていることだ。この辺りも、少しぐらいは自分でやれるようになっていないと、手直しする毎に、経費が掛かって仕方がないのだ。経費削減にも自助努力は欠かせない、(以下、明日に続く)

925 出口

 誰でもそうだと思うが、どうしていいか分からない処に迷い込んでしまった時に、出口が見つかった時ほどほっとする時はない。

1.独り言コラム
 今朝の日経新聞の一面の見出しは「国内景気、改善が悪化 上回る」である。これは、日経が行なった社長1000人アンケートに基づいたものである。漸く、出口が見え始めたような気がするが、需要回復には、まだまだ慎重な見方が多いようだ。
 出口がはっきりしないのが今の麻生内閣の世界だ。総理はここに来て、内閣改造と党役員人事の話を持ち出したようだが、今朝のニュースでは、そんなことは言っていないと打ち消したという。出口を求めての苦悩振りが窺える。
 犯罪の世界では、出口が見えない難事件は多い。中でも、2007年に起きた英国の英会話教師リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害事件で、逃走中の市橋達也容疑者の行方は杳として分からず、事件解決の出口は全く見えていない。警察庁は25日、この事件への情報提供者への懸賞金額を、それまでの100万円から1000万円に増額した。これで、出口が見つかれば幸いなのだが、…。
 スポーツの世界では、相変わらずいろいろと話題が豊富だ。先ずは、イチロー選手だが、このところ、快調なペースが続いていて、9年連続200安打の新記録達成の出口が漸く見え始めて来た。昨日で通算106安打で、あと残りは94本である。今、一番心配なのはデッドボールなどでの怪我が大きな敵である。無難に出口に到達して欲しい。
 男子ゴルフの石川遼選手が久し振りにトップに浮上し、今日最終日を迎える。ここ暫くは名前、人気だけが先行し、結果が芳しくない状態が続いていただけに、出口が急に見つかったような嬉しさを噛み締めているのではなかろうか。このトーナメントの結果次第で、全英オープンへの出場権が得られるだけに、大きな出口になりそうだ。
 ハンマー投げの室伏広治選手が日本選手権で前人未到の15連覇を成し遂げた。大した記録である。出口はしっかり確保しているが、むしろ、入口が遠くかすんで来た状況で、積み重ねた15年間の実績は素晴らしい。
 米国ツアーに賭けた宮里藍、上田桃子、大山志保、宮里美香の4人の若手女子ゴルファーはそれぞれ頑張っているものの、未だに優勝と云う出口が見えて来ない。最近の成績を見ると、特に上田、大山が不振で予選落ちが多い。4年目を戦っている宮里藍は、今にでも優勝しそうな状況も何度かあったが、残念ながら一度も果たせていない。今週のツアーでは若手の宮里美香が上位を狙って頑張っていて、今朝の結果でもトップとは8打差あるが、目下7位タイである。最終日の頑張り次第で、2位の期待は残されている。ここ数週間の結果を見る限り、宮里美香選手がもっとも安定しているように見える。

2.プライベートコーナー
 5時半起床。疲れもあって目覚めが遅かった。体重、59.1Kg。外は晴れ、今日も暑くなりそうだ。
 雅子の症状は依然として迷い道に入った状況で、出口が見えて来ない。午前中の10時頃には熱も平熱に下がり、痰の出るのもかなり収まっていたので、漸く快方に向かうかとほっとしたのも束の間で、午後2時前に顔を出すと、真っ赤な顔で苦しんでいた。熱を計ってもらうと38度。再び氷で冷やしてもらう。一方、通じの方も下痢気味で、栄養剤とのマッチングがしっくり来ていないように思う。
 6時半頃、帰り際に再び熱を計ってもらったが、依然として37.7度で、不安のまま帰途についた。この日は院長も休みなようで話は聞けなかった。

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  第五章 季節は巡る(55)

 2.初夏から梅雨へ(13)
  (2)いろいろあるね(その2)
 二つ目の大磯にある旧吉田邸の火事についても、一考は別の不安を覚えたのである。それは、この火事が漏電によるものという原因が、一考の不安に点火させたからである。この場合の不安は、施設への不安ではなく、自宅に関しての不安だった。
 それというのも、一考の自宅の母屋は、それは今から50年以上も昔に建てた物件だ。その後、増改築して手を加えてはいるが、基本的な部分は昔のままである。従って漏電と聞くと、「大丈夫かい?」という不安が先立つのだ。一考は、この吉田邸の火事を対岸の火事と見ず、一度専門家に総点検してもらうことにした。そのことを母親にいうと、彼女も納得だった。
 早速、近くのいつもお世話になっている家電販売店の方に、どこか専門の会社を紹介してほしいと申し入れたところ、その販売店の方直接お見えになり、切り替えの配電盤さえしっかりと点検しておけば、問題ないはずどということで、自らが改めてチェックしてくれたのである。一考の頭の中では、天井裏の配線部分などを念頭に置いてのことだったが、ケーブルそのものは、そんなことでは問題ないというのだった。
 母屋に繋がっている一考が生活している建物の方は、1982年頃に、一考が大阪に転勤して来た時に建てたもので、その点では、築27年ということになるが、こちらは問題はないと見ている。それというのも、2年前にリフォームした時に、配線などは全てチェックしてもらっているからである。
 いずれにしても、最近は、世の中のちょっとした事件、事故にも、わが身に置き換えて考えてみることが多くなった。年のせいだろう。そんなことで、取り敢えず、点検を終えてほっとしたのである。桜が話題になり始めた穏やかな3月末のことだった。(以下、明日に続く)

924 いよいよ

 終盤国会も大詰め、泣いても笑っても、衆議院議員の任期は、人の噂じゃないが、あと75日である。

1.独り言コラム
 いよいよ、土壇場が迫って来ている。麻生総理が口にする「解散は私が決める」という聞き飽きたセリフも、その響きは虚ろになって来ている。ここに来て、選挙目当ての党人事、内閣人事手直しの話が出て来ているが、今更何をといった感じである。気になっているのが臓器移植法案の行方である。場合によっては廃案の恐れもあって、その行方が気掛かりだ。
 西松建設からの政治資金規正法違反事件も、ここに来て二階派パーティ券分も起訴された。小沢一郎秘書逮捕とのバランスを取ったと解釈できよう。いよいよ、選挙近しで関係者は戦々恐々かもしれない。数日前の新聞では、財務相の与謝野馨氏もダミー献金の疑いがあると大きく報じられていたが、ここまで来ると相互に足の引っ張り合い的な戦いも起きてくる。まさに、制限時間いっぱいが近づいて来ている大相撲の土俵を連想させる。
 いずれにしても、鳩山由紀夫民主党代表が優れているという訳ではないが、政権を交代させて、民主党の力量を見てみようという世論の動きを食い止めることは難しいだろう。この種の流れと云うものは、目には定かに見えねども、その加速度はどうしようもない勢いになっている。いよいよ、政権交代が実現する。
 さて、同じ「いよいよ」といっても、スポーツの世界は楽しい展開が進んでいて、とても気分がいい。MLB新記録を目指すイチロー選手のレギュラーシーズン200安打も、昨日一気に4安打を固め打ちして104本に達した。マラソンレースで言えば、折り返し点を快調に通過し、いよいよ、あと96本と言った具合のカウントダウンが始まっている。このところの安打の量産には快哉の気持ちでいっぱいだ。イチロー選手っていう男は、大した男である。
 アースマラソンの間寛平さんも大変な苦労を重ねながらも、米国上陸後、ほぼ4300Kmを走破し、いよいよ、当面の目標地であるニューヨーク港にあと10日ぐらいの距離(およそ500Km)に接近して来ているようです。本人は、アキレス腱を切らないように気を配っているという。この頑張りも超人的である。
 昨日の日本選手権の女子陸上の福島千里選手が、23秒00の日本新記録で優勝した。速報値では22.97秒と出たようで、世界陸上を目指し、いよいよ、22秒台突入が期待される。
 「いよいよ」夏の高校野球の予選である。今年の滋賀県予選の組み合わせが昨日決まった。それによると。筆者の母校の膳所高校は、初戦で春のセンパツで頑張った永遠のライバル高の彦根東と激突する。難敵だが、何とか撃破して欲しいものだ。
 マイケルジャクソンの死が話題になっているが、筆者は同氏のことは何も知らない。死因がはっきりしていないようだが、この話題についてゆけない筆者は、いよいよ、ポンコツに近づいていると言えそうだ。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、59.5Kg。
 最近、視力が衰えて来ているのが気になる。医者で一度見てもらう必要がありそうだ。天気は今日もよさそう。
 さて、入院中の雅子の状況だが、依然として、37度後半以上の熱があり、肺炎も治癒する方向には行っておらず、むしろ広がっているようだ。菌の特定に手間取っていて、この日も抗生剤の取替えが行われた。3時頃になって、漸く熱が、37,2度と少し引き始めた。この日は、痰の検査も行なわれた模様。看護婦さんの話では、痰の色は薄くなって来ていているという。まだまだ時間が掛かりそうで心配である。
 この日も、病院に早朝(7−9時)と午後(13時半―17時半)、アクティバには洗濯物をお願いに、それぞれ2回往復して多忙だった。

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  第五章 季節は巡る(54)

 2.初夏から梅雨へ(12)
  (2)いろいろあるね(その1)
 二件続けて気になる火事があった。一件が、3月19日夜10時頃に、群馬県渋川市の介護付き有料老人ホーム、たまゆらで起きたもので、気の毒にも10人の死者を出した。その後の調査で、この老人ホームが無届の施設であることが判明して、事が大きくなった。この事件を切っ掛けに、厚労省が全国の実態について調査した結果、日本全体に、この種の無届の不法施設が579件もあることが判明した。因みに、きちんと届出されている有料老人ホームは、全国で4110施設あるという。
 もう一件は、3月22日に起きた火事で、大磯の旧吉田茂邸が全焼した。歴史ある物件だけに惜しまれる。本件は、原因が漏電であったらしい。
 この二つの火事で一考が心配することが二つあった。一つは、このような老人の施設での火事で、危機管理がどのように行われていたか、ということである。それは、同時に、今、雅子がお世話になっているアクティバ琵琶の場合はどうなのか、という心配に直結する。
 入居して間もなくのことだったが、この危機管理のことで、一考は当時の介護部の責任者だった桜井さんと話したことがある。一考の心配は、この施設では階段にせよ、エレベーターにせよ、普段はロックされていて、自由な行き来が出来ない。これは、入居者が勝手に出歩くのを避けるための配慮だが、それが、緊急時ではマイナスに働くことは容易に考えられる。一考が、桜井係長に確認した段階では、そのような非常時にはロックは自動的に解除されるということだったが、本当のそうなのかどうかの裏を取った訳ではないので、心配ないとは言い切れない。それに、その時の桜井さんのお話では、各フロアーには必ず誰かがいるはずで、そのような場合には必要なアクションが取られるはずだというのである。
 しかし、一考は最近の介護士さんの人事異動の実態を見ていると、その辺りの教育が徹底して行なわれているかどうかには疑問がないとは言えない。いずれにしても、その種のことが起きない手を打っておくのが第一だが、不幸にして起きた場合には、不測の事態が起きることは避けられないだろう。一考の不安はいつも頭の隅に残っているのだ。(以下、明日に続く)

923 大政奉還

 この大不況という世の中だけに、求心力を高める意味で、大政奉還的な大きな変化が歓迎される時代である。

1.独り言コラム
 昨日の夕方、久し振りに思い切って大阪に出た。かつて一緒に仕事をした、ある中堅商社の社長さんにお会いしたかったからである。かつての勤務先だったオフィスに顔を出したのも久し振りだったが、幸いなことに、今の支店長さんのきめ細かいご配慮で、楽しいひと時を持てた。
 この商社は、およそ30年前に、創業者が独立して新たに設立された会社で、たまたまだったが、筆者もその独立前夜のお祝いの場にいたこともあって、いささか興奮していたことを今でもよく覚えている。その後は、会社としても、個人としても、その主旨に賛同して、一緒になって仕事をさせてもらってきた。特に、今の社長さんとは、筆者とは年齢的にも近いということもあって、ざっくばらんなお付き合いをさせてもらってきた。中でも、幾つかの大事な顧客対策では、苦労を共にした仲間の一人だった。
 正直言って、当時は、まさか、彼が、社長になられるとは思っていなかったのだが、6年前に4代目社長に就任されて、しっかりとした経営をしておられるという。改めて、心から社長就任にお祝いを申し上げたのである。実に四半世紀ぶりの顔合わせだったが、時間的な距離感が全くなくて、昔話に大いに盛り上がった一夜だった。介護、見舞いに明け暮れる筆者には、貴重な梅雨の晴れ間だった。
 さて、社長と言えば、日本企業のトップの社長交代があった。トヨタが14年ぶりに創業者一族の社長の豊田章男さんが社長の席に着いた。いわゆる大政奉還である。今の大不況を如何に乗り切るかが、経営者の重い課題だが、求心力を高めるという意味では、一つの戦略だといえる。就任の挨拶を見ていて、今一つの迫力のように見えるが、内に秘められた能力、手腕には大いに期待したい。トヨタが吼えないと日本経済は上向かない。頑張って欲しい。
 一方、政治の世界では、総選挙を目前にして、橋下徹、東国原両知事や中田横浜市長らが新いいグループ結成に向けて動き出しているようだ。彼らの動きは世論を大きく動かす力を持っているだけに、政治の世界にも大政奉還に相当するような大きな変化を期待する国民も多いのではないだろうか。
 こういう時代だからこそ、大政奉還的な時代の大きな変化に興味を持ってしまう。日本人好みの話題なのだろう。そういえば、昨夜の社長さんとの盛り上がった話題の中にも、その種の大所高所からの話題もあって楽しかった。

2.プライベートコーナー
 4時10分起床。体重、59.3Kg。シャワーを浴びて体調を整えるが、軽い二日酔いで、少々辛い。お天気は良さそう。
 昨日で入院一週間目の雅子だったが、体温が37度台後半で下がらず気になっている。点滴、栄養剤の投与などは一定のリズムで行なわれているが、肺炎の回復には至っていない。痰の吸引の回数も減って来ていないし、お尻に出来ている床ずれによると思われる出来物もその治りははかばかしくない。そんなことで、心配は依然として続いている。

3.蓮載、難病との闘い(888) 第三部 戦いはまだまだ続く(182)
  第五章 季節は巡る(53)

 2.初夏から梅雨へ(11)
  (1)そんなの関係ない(その11)
 そんな辛い時に、ほっとさせてくれるのが、思わず発してくれる彼女の笑いである。一考の話しに反応してくれるのである。そこで、最近は、一考は意識して面白い話をするようにし始めた。思いつきのギャクを発することもあるし、用意して来た笑い話を披露してみせることもある。噴出すように笑ってくれるのが、今では一考の数少ない気分をほぐしてくれる雅子の反応である。
 最近の一考は、雅子の部屋を訪ねると、その前日にあったこと、その日の予定など、つまらないことでも、なるべく詳しく話して聞かせるようにしている。自分たちが過ごしてきた家庭の今の様子を話してあげることで、自分も依然として家族の一員として存在しているということを実感させて挙げようとの配慮である。同時に、それは、雅子の聞く耳を確かなものとして確保して置くためのトレーニングにもなると考えているからだ。
 そういう意味では、この施設に入居直後には、小説を読んであげたりしたこともあったが、雅子があまり好まないこともあって、今までは、その日の朝に配信したブログを読んであげることぐらいだった。雅子の反応に陰りが見えてきたことで、一考が思いついた対応策である。今では、それが欠かせない日課の一つになっている。
 雅子が喜んでくれた最近の笑い話を紹介してみよう。それは、後ろ髪に関する小話である。
 このところの雅子の様子だが、一考が帰ろうとすると、何とも言えない辛そうな顔を見せることが多い。時には悲しそうな声を出すことがある。そこで「見てごらん、私のこの辺りの髪の毛が薄くなって来ているでしょう。あなたのその辛そうな様子で、後ろ髪を引かれることが多くなっているんだよ」と言って後頭部を軽く叩いて見せてあげる。そうしたら、雅子がそれまでになかった大きな声で噴出してくれて、心が和んだのだった。
 これに味をしめて、「どうだい。二枚目だろう!」と言って、顔を近づけてやると、堪らないように噴出してくれる。しかし、このギャクは、演じる一考も、慣れているとは言え、複雑な心境だ。(以下、明日に続く)

922 がっくり

 人間は感情の動物で、落胆は健康上宜しくない。しかし、がっくりすることが、この世の中には多過ぎる。

1.独り言コラム
 期待していた将棋名人戦での郷田真隆新名人誕生だったが、3勝3敗の後を受けて行なわれた最終局は、それまでの好局とは打って変わって、郷田九段のそれまでにない不出来な完敗だった。この日は、筆者は、少し早めの5時過ぎに、病院から帰宅して戦況を見守った。その時点での局面では、郷田九段にも楽しみな手が残っていて、逆転の可能性もあるような解説だったので、若しかしたらと、ちょっとしたときめきさえ覚えていたのだが、夕食休憩後に局面は急転、一気に差が拡大し、闘志を失った郷田が潔く投了した。
 筆者は、気分的に「がっくり」して、病院通いで疲れていたこともあって、いつもより相当に早く寝入ってしまった。4月からの積み重ねてきた楽しみが、一気に消滅した虚しさに、何故か筆者が呆然としていたのである。単なるファンも、ここまでくると異常なのかもしれない。
 ところで、自民党が揺れている。このままでは総選挙で下野することは必至であるだけに、何かしなければという思いが強いのだろう。一昨日は、東国原宮崎県知事に声を掛けたという。それに対し、同氏が総裁候補ならという条件をつけたという。冗談はお止しよと申し上げたい。宮崎県民は「がっくり」したのではないか。人気があっても、東国腹知事に関しては、そんな器ではない。野に置け蓮華草だ。
 今朝のニュースで法務省が時効の扱いで検討を開始したという。これは、被害者家族からの要望が高いのを受けての検討開始のようだが、日弁連は、この動きに対し強く反対する旨の意見書を出すという。「何故だ!」と云うのが、被害者家族達の気持ちで、「かっくり」気分になっているのではなかろうか。
 こう着状態、或いは、もうそんな問題は終っているというような扱いになってしまっていて、手の打ちようがなくなっているのが、北朝鮮の拉致被害者奪回の問題だ。最近では、もう話題もほとんど出て来ない。横田夫妻を始め被害者家族達の多くが、高齢になって来ているだけに、時間がなくなって来ている。被害者家族達の「がっくり」している心境を思うと、今一度、小泉純一郎―田中均のようなパイプが必要な気がしている。
 株がまた下がり始めている。これまた、「がっくり」である。

2.プライベートコーナー
 3時過ぎに起床。体重、59.3Kg。郷田九段が完敗でがっくりして早寝したので、早く目が覚めた。朝風呂。外は曇り空。
 雅子は昨日で入院6日目。昨日の朝でも熱は下がっておらず、その後も一日中、体温は37.2〜37.8度で推移、少し心配である。一方、肺炎の菌の特定がまだ出来ておらず、抗生剤を前日から取り替えて様子を見ている。とにかく、先ずは肺炎を治すことなのだが、この状況では、初期の見通しの「1週間で退院」は無理のようで、まだまだ長引きそうだ。

3.蓮載、難病との闘い(887) 第三部 戦いはまだまだ続く(181)
  第五章 季節は巡る(52)

 2.初夏から梅雨へ(10)
  (1)そんなの関係ない(その10)
 雅子の症状の悪化は終っていない、徐々にではあるが、あらゆる面での悪化がひょっこりと顔を出してくる。それに気づくと、お前もかといった気持ちになって、がっかりしてしまう。
 今、一考が恐れている悪化は幾つかのステップがあるが、ここでは全部を書くのを控えておく。しかし、そんな兆候に少しでも出くわすと、やっぱりといった気持ちで心が凄く痛むし、不安、がっかり、寂しさ、悲しさといった複雑な思いが交錯するのである。
 実は、言いたくはないのだが、最近になって、一考は、あることが気になり始めていたのである。その兆候は3月の初め頃から見え隠れしていたのだが、4月の末から5月に入って、遂にその顔が何となくしっかりとしたイメージで見え始めたのである。
 それは,、呼びかけに対する応答が曖昧になって来ていることである。二人の気持ちを結びつけて来ている唯一の絆とも言うべきコミニケーションパイプで、これが作動しなくなると、どのようにして意思疎通を図るのか、その手段に窮することになる。
 段々と細くなっていたパイプだったが。それでも、一考が質問を繰り返す呼びかけに、イエス、ノーの応接でそのコミケーションを図ってきていたが、それが次第に曖昧になり、今では、イエス、ノーの区別がほとんど出来なくなって来ているのである。幾たびも呼びかけるのが切なく、それに対する反応だが、雅子は頑張って声を発するのだが、それがか細く凄く小さくて、イエスなのか、ノーなのかの区別がつかないのである。
 そんな状態の中で、一考が注目し初めているのが顔の表情である。穏やかな顔の様子、それに比べて何となく苦しそうなしかめた顔の様子が見られるのだが、どちらかといえば、穏やかな顔を見るのが稀になって来ているのが寂しい。気になるのが、しかめ面と云うか、何となく苦しそうな表情の時で、何を要求しているのかを確認しようとするのだが、それが全く掴めないのである。これが、大変辛いことで、何とか分かってあげようと質問を繰り返し、その何がしかを知ろうと努める。しかし、ほとんどの場合において、何なのかが分からないのだ。そんな時は大変辛い思いのする時間である。
 その一方で、何かをしてあげようかと問い掛けた際に、その嫌な顔をした場合は、それは否定の意味であることが分かった。従って、最近では、嫌だろうと思うことを言って見て、嫌な顔をすれば、その逆を望んでいるということになり、今では、貴重な確認の手段として使っている。(以下、明日に続く)

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