今朝は、拙書「
執念」の話である。
一昨日の夕方、近所のAさん宅に所用で伺った際に、厚かましいことだと思ったが、自分が出版した本のことを話した。有難いことに、Aさんは好意的に受け取って頂き、直ぐに町内会の会長さんに「町内回覧の可能性を検討してもらおう」との望外のご提案を頂戴した。そして、昨日、Aさんが訪ねて来られ、会長さんの了解が出て、直ぐに回覧でPR頂けるというのである。
即断、即決、即行動という、今の世の中では、とても考えられないスピーディな展開で、私には、このところあまりお目にかかっていない幸せを独り占めしたような嬉しい一日となりました。
最初に話を聞いて頂いたAさんの発想、アクション、それを受けての会長さんのジャッジが直線的に結ばれて、この上ない朗報となったのです。同じ町内であるにせよ、身に余る温かいご配慮に預かり、感謝でいっぱいです。
何しろ、三年前に帰郷するまで、大学を出て以来、この町内で生活したのは、大阪勤務時代の5年間だけで、ご近所の皆様とは疎遠であっただけに、改めてふるさとの暖かさを実感させていただきました。感謝、感謝であります。
会長さんは、随分、進んでおられる方で、もう1年数ヶ月前からブログを開設しておられます。(http://blog.goo.ne.jp/steelpony_2005) 早速、そのブログに「
執念」のことも書いて頂きました。有難いお話で、大変嬉しい一日でした。Aさんと会長さんには、改めて、厚く御礼を申し上げます。町内の皆様には、少しでも多くの方に関心を持って頂けたら、この上ない幸せです。宜しく、お願いいたします。
連載(35)難病との闘い 第二章 病名との出会い(26)
昼過ぎに、雅子は東京にいる一考に電話して、MRIの検査結果の第一報を伝えた。
「とにかく、脳梗塞ではなかったんだね。それはよかった」そう言う一考の声には、ほっとしたものが感じられた。何しろ、脳梗塞と云う恐ろしい病気ではないと分かったからだった。
「でも、
パーキンソン病かパーキンソン症候群の可能性があるのよ」雅子の声は冴えない。
「それなんだがね。この間、インターネットで調べた限りでは、結構、厄介な病気のようだけど、個人差があるようだから、神様も、君にはそんなに厳しく苛めたりはしないんじゃない。先生も言っている通り、何でもない可能性もあるんだから」
「私も、そうあって欲しいと願っているの」訴えるような雅子の声に、一考も込み上げる切なさを感じる。
「今のところは、左手の人差し指が使い難いだけなんだろう。まあ、そのお薬を飲んで、心臓検査(RI検査)の結果を待とうよ。ばたばたしても始まらないからね」一考は、内心とは別に明るく繕って雅子の気持ちを気楽にさせようと気遣っての発言だった。あの、モハメッドアリの手の震えの話は、自分の頭の中に仕舞いこんでいた。なるだけ、余計な心配をさせないためだ。
「そうね。何だか、このところ、判決を待っている被告のような気持ちで毎日を過ごしているのよ。精神的に辛いわ」話しているうちに、雅子も弱気になって来ているようだった。
「被告の気持ちって大げさじゃない? 気楽に行こうよ。仮に、有罪の判決が出たって、そのお薬がマッチして、病気の進行が止まってくれたらいいんだから」あくまでも、楽観的に装って、雅子を落ち着かせようと努めた。
「そうあって欲しいわ。いずれにしても、大変気が重いの。あなたと違って、私は張本人ですから。あなたにも、余計な迷惑を掛けるのも嫌だし」当事者の気持ちは、痛いほど分かるだけに、一考も辛い。
「そんなことを、今から心配しても始まらない。なるようになるだけだから、運を天に任せて待つことにしよう」あくまでも、気を紛らわせようと一考も一生懸命だった。
「簡単に言うけど、そんな気持ちになれないの」病院から帰って来た直後だけに、雅子の気持ちには不安定さが目立つ。
「今からそれじゃ持たないよ。そうなったら、そうなったで、僕が何とかするから、心配はいらない」一考は力強くそう言って、電話を切った。雅子のことを慮って、言葉を選んで話したせいか、一考も少し疲れたようで、重い気持ちになっていた。(以下、明日に続く)
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