高知空港で、胴体着陸を余儀なくされた全日空機で、前輪が出なかった原因が、前輪の格納庫の扉のボルトが抜け落ちていたということを、今朝の報道で知った。しかも、ボルトのサイズが合っていないという。何たる事と唖然とした。最近は、世の中全体で、肝心なところのボルトが抜けているような気がしないでもない。
命を預かる仕事では、どんな小さなミスも許されないことを肝に銘じておかねばならない。
これも、今朝の報道だが、新小岩駅の立ち食いそば店で、昨日の朝に販売したカレーそば、うどんなどの「カレー」の中からねずみの死体が見つかったという。18食売れたそうだが、何とも気持ちが悪い話である。これも、ボルトではないが、細かい管理が抜けていたからであろう。幸い、命には関わりがないというが、立ち食い店をよく利用する筆者だけに、この「カレー」話は、どうもいただけない。
東国原知事が外人記者クラブでインタビューを受けていて、宮崎を世界にPRしていた。今のところ八面六臂の活躍だが、多忙過ぎて、肝心な「ボルト」が抜けないように頑張って欲しい。
連載(54) 難病との闘い 第三章 病魔が牙を剥き始めるまで(15)
「たまには、こうして、何もせずに、ぼおっとしてるのもいいのじゃない?」床の間を背にして、部屋の真ん中に置かれたテーブルの前に陣取りながら、一考は雅子に問い掛けた。
「せっかく、熱海まで来て、もったいないみたいだけど、疲れているので、いいんじゃない」一考に向き合って座った雅子も手持ち無沙汰である。
「ところで、新しい先生の治療はどうなんだい?」話題が、病気のことになってしまうのは、自然な流れだ。
「取りあえず、今までのお薬での治療をチャラにして、新たな目で見てもらっているの。若しかしたら、パーキンソン病でないかもとも言っておられるんだけど?」
「しかし、手の具合が良くなったという訳じゃないんだろう?」 一考は確かめるように、雅子の様子を窺った。最近は、左手の人差し指が曲がって来ていて融通が利かなくなって来ている。
「それは、そうだけど。気分的には新鮮で、何かが期待できそうな気がするの」
「まあ、そうあってほしいね。いずれにしても、こうして、のんびりしているのは、身体にいいことは確かだ」
「この間の日光といい、いろいろと気遣ってくれて嬉しいわ」
「もう、仕事のことでは、全ての戦いを終えたんだから、もっと君に気を使わなければと思ってるんだ」
「嬉しいけど、まだ、小説には拘っているんでしょう」
「まあ、最後のもがきかもしれないけどね」ちょうど、将来、出版を決意することになる「執念」のプロットで迷っていたタイミングだった。
「その目処がつけば、帰って来てくれるのでしょう?」
「まあね」
二人は、久し振りに、のんびりとした会話を楽しむのだった。
結局、翌朝、朝食後に熱海の海岸を散歩、お宮の松辺りをぶらぶらして、東京に戻った。
その翌日、雅子は、いつものパターンで、早朝にマンションを出て、千葉にいる長男のところへ出掛けて、掃除、洗濯、料理のサービスに努めた。結果的には、これが、雅子が長男のところを訪ねての最後のサービスとなった。その後も、数回は上京はするが、長男宅を訪ねる機会はなかった。次男のところに孫が出来たり、海外旅行などの日程があって、多忙だったのに加え、心配していた雅子の手の具合の悪化が進行し、年末に急遽、一考が東京を撤退しなければならなくなったからである。(以下、明日に続く)
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