プロフィール

相坂一考

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版
14年7月に、難病との戦いを扱った「月の砂漠」を文芸社から出版

このブログは3部構成です。
 1.タイトルへの一言。
 2.独り言コラムで、キーワードから世の動きを捉えようと試みる。
 3.プライベートコーナー
   (2015-06-03に修正) 

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319 密談の中身

 福田総理と小沢代表の党首討論を前に、突如、設定された党首会談が昨日午前中に行なわれた。今まで、その種の会談には応じないとして来た小沢代表に何があったのか、興味津々だ。二人だけの話し合いが一時間以上に及んだことで、かなり突っ込んだ話しもあったのではと思われる。
 通常、この種の会談では、一方の思惑がすんなり通るということは考えられない。相互にプラス、つまり、Win-Winの結果が前提だと考えるのが常識的であろう。
 しかし、筆者は敢えて、別の見方を披露してみたい。それは、小沢一郎という政治家の物の考え方から類推するのだが、そこには、必ずしも、自らが総理になろうという強い欲望が読み取れず、あくまでも、自らが歴史の演出者としての存在したいと思われるのだ。それは、まさしくいわゆる、歴史に残る政治フィクサーとしての存在である。
 かつて、自らが総理になるチャンスは何度かあったが、まだ若いからとのことで、宮沢喜一総理を指名したり、更には八派連合で細川護煕総理を誕生させた手腕、更には、当時の盟友だった羽田孜総理も作った実績などは、同氏にとっては自らの夢を実現させた誇りとすべき歴史的な事例であったのではないか。
 今や、民主党が政権をとるチャンスが巡ってきていることは事実だが、ここでも、自らが総理になろうとは考えていないのではないか。健康上の理由があるにせよ、あくまでも、自らがフィクサーとして歴史を創ることに同氏の面目躍如たる目的があるように思う。
 そんな考え方からすると、今回の会談で、単に解散を前提とした条件闘争と云うよりも、大連立といった既成概念を吹っ飛ばすような話があったのではとも考えてみたくなる。小沢代表の腹の中には、菅代表代行鳩山幹事長を総理にしたいとは、心底では思っていないのではないか。
 いずれにしても、ねじれ国会で膠着している現状に何らかの突破口が出てくることを期待したい。国益を優先するために、二人の会談は、これからも必要になると見ている。

連載(284) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (26)

(13)喉が渇いた訳ではない
 最近になって、雅子の話す言葉が極端に不明朗になって来ている。雅子の話では「唾液が口にたまって、うまく発音できないのだ」という。一考は、それに加えて「運動に関する機能の衰えが、口の動きそのものをぎこちなくしているのだろう」と解釈している。
 振り返ってみると、口の動きに関しては、2007年の2月頃から、口に入れたものを取り出すのが、極めて難しくなった。魚の骨なんかが誤って入ると一騒動だ。なかなか取り出せない。口の中に指を入れて取り出そうとすると、その指が噛まれそうになってしまう。それでも、チッシュなどを口に突っ込んで、溜まっている物を、少し強引だが力づくで取り出すようにして来た。
 また、4月頃になると、お薬が飲みにくくなって来た。これも、口の動がスムーズに行かず、思うように動かないという厄介さが増して来ているからなのであろう。
 最近では、食後の歯磨きや口の洗浄が大変厄介な作業になって来ている。口をゆすぐ際に、どうしても水を飲んでしまうのだ。衛生上好ましくなく、時間も掛かることから、本人のストレスも大変なように思われる。
 最初の頃は、ゆすぎの水を飲み込む度に「そんなに喉が渇いているのかい?」と、軽いジョークのつもりで、そんな声を掛けていたのだが、今では、そんな悠長なことを言ってられなくなった。雅子も真剣になって、何とか水を吐き出そうとして四苦八苦しているのが分かるからだ。
 いろいろとその対策を考えたが名案がない。しかし、お風呂に入った際の歯磨きで、シャワーを使って洗い流し出してやると、うまくいくことが分かった。さすがに、シャワーのように勢いよく水をかけると、飲み込みも出来なくなるからだ.、その方法を応用して、通常の歯磨きでも、ポリ容器の洗浄瓶を使って水を吹き付けて洗う方法を試みている。シャワーのようにうまくは行かないが、それなりの効果も出始めている。同時に「直ぐに吐き出すんだよ」と言いくるめて、今まで通りコップで水を入れてやって、ゆすぐやり方も併用している。それでも、時々飲み込んでしまう。まあ、そのことが悪影響を及ぼすとは思わないが、結果的に水分を取りすぎになるのは良くないと思っている。
 なお、シャワー代わりの水を噴きつけるポリ瓶を探すのに苦労した。一時は、シャンプーなどの液体を噴霧させるような容器にも関心を持ったがうまく行かず、また化粧品を振りかけるような高級な容器も試したが、いずれも失敗で無駄遣いに終わった。結果的には、皮肉なことだが、DIYで見つけたポリ容器が、安くてもっとも効果的であり、今はそれを使っている。(以下、明日に続く)
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タグ : 大連立 細川護煕 宮沢喜一 羽田孜 菅代表代行 鳩山幹事長 党首討論 小沢一郎 福田総理

318 夢の新薬、t-PA

 昨日は話題が豊富で、吹っ切れた人、そうでない人が交錯した。松坂大輔、岡島秀樹、守屋武昌 丸山茂樹 安藤美姫などがメディアの話題を飾った。筆者の見る限り、松坂大輔を除いた方々は、それぞれの事情で、吹っ切れなかったのではないか、加えて証人喚問の視聴者である国民は、もっと吹っ切れなかったのではないかと思う。
 ところで、昨夜のNHKのクローズアップ現代で紹介された夢の新薬「t-PA」は、脳梗塞に劇的に効くという。紹介された事例を見ていて、吹っ切れる何かを感じた。但し、発症後3時間以内の投与が必要で、いつでも、誰にでも投与できる環境下にはないという。設備が整った病院での、事前の確認テストが不可欠で、そのような検査、治療が出来る病院は、ごく限られていると言う。そういう意味では、まだ完全に吹っ切れる状況にはいたっていないようで、そのための対策は急務である。
 筆者も不整脈で、いつ何時脳梗塞になるか判らない身体の持ち主だけに、環境の整備が行なわれることを切望する一人である。

連載(283) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (25)

(12)姉弟喧嘩
 価値観の相違から姉の久子とは幾たびも口喧嘩をする。二人の間には、母親思い、姉妹思いという共通の温かい気持ちがあるのだが、かっと来ると、互いに厳しい言葉のぶっつけ合いとなるのだ。特に、雅子の症状が悪化して行くに連れて、一考に精神的なゆとりがなくなってきていることも影響していた。
 先日は、ささいなことのやり取りから、「長男の資格がない」と決め付けられた。これには、一考もさすがにかっと来た。
 今までの久子の言動を総合すると、その発言の根拠は次のような事項によるものと思われる。
 1、老朽化して行く家の手直し、改築などをしようともしなかった。何処の家でも、長男が責任を持ってやっているという。
 2、両親をほおって置いて、遠隔地に勝手に就職した
 3.何事も、長男としての役割から逃げようとしている。
 4.本当の意味での親孝行をしていない。親孝行は、例えば、何回、背中を流してあげたか、さすって上げたかのような血の通ったものでなければならないという。
 これらの指摘、非難は、大筋その通りで、やはり、長男の資格がないということになる。しかし、弁解ではないが、家の改築について言えば、未だに、土地建物は母親のもので、自分の住んでいるところも、母親の土地を借りて上屋を建てただけで、自らが手を出せない状況にある。以前から、姉妹達が、合鍵を持って勝手に出入りしているのを、一考が「挨拶ぐらいはしたら」と指摘すると、ここは母親の家で、娘が出入りすることにとやかく言われることは無いと反論する。その上、久子は、母親の身の回りの面倒を見ている関係で、家についても、自分が思いついたことには、パッチワーク的に勝手に手直ししてきていた。廊下を直したり、床を張り替えたり、サッシを付け替えたり、畳を入れ替えるなど、逐次手を加えているから、全体の改築なんていい出せない状況になっている。
 一考の帰郷後も、縁側のガラス戸が古くて、そこから隙間風が入って冬は寒いから、ガラス戸全部を新品に取り替えるという。とりあえずは、コーキング材で隙間を埋ておけばいいじゃないかと言うと、硬化の際のにおいが大変だからと、一時的な問題にすり替える。
 全体の改築をするなら、きちんとしたグランドデザインを作ってやるべきなのだが、こんなつぎはぎのやり方を繰り返されると、とても、ついて行けない。
 また、常に逃げているというのは、東京に、就職したことを指しているようだが、これには、価値観、思想が違っていて、反論する気にもならない。
 先日も、長くお世話になっている住職を変えたらどうかと言い出した。また、母屋にある仏壇も、妹の旦那がお寺さんということで、そこに預けたらと言い出す。そこまで口出しされると如何なものかと思う。今や、長男の役割は、しっかりと久子くれているのだ。
 そんなことで、さすがの相坂一考も、介護の多忙もあって、これ以上新作に挑戦する意欲がなくなってしまうのが悲しく感じる今日この頃だ。(以下、明日に続く)

タグ : 松坂大輔 岡島秀樹 守屋武昌 丸山茂樹 安藤美姫 脳梗塞 t-PA

317 直接対決

 今日は注目の証人喚問が行なわれる日だ。前防衛事務次官の守屋武昌氏が政治家と直接対決し質問を受ける。幸い、映像も静止画ではなく、通常の放映が行なわれるようだ。、かくなる上は、包み隠さず堂々と事実をオープンにしてもらいたい。しかし、そうは、いかないのが証人喚問だ。また、あの「記憶にありません」といった類の言葉が繰り返されるのではないかとの不安は残る。
 どんな分野、世界でもそうだが、直接対決ほど盛り上がるものはない。文字通り、そのドラマのクライマックスの最たるものである。それだけに、正々堂々の戦いでなければ期待を裏切ることになる。
 最近の事例では、昨日のワールドシリーズでの松坂、松井の初の直接対決は、実に爽やかだった。第一球を見事にはじき返した松井の先制勝利だった。その前の試合は、松井は岡島の力投で三振に切って取られている。いずれも、胸のすく、清い戦いで見ているものの感動を呼んだ。しかし、あの亀田大毅選手と内藤大助選手のボクシングの直接対決では、亀田側の反則の連発で、後味の悪い結果を残した。あくまでも、直接対決は、ファエアーな戦いでなければならない。
 これからも、いろんな世界で興味深い直接対決が目白押だ。今週末の女子ゴルフのミズノクラッシックでは、あの宮里藍選手も加わって、上田桃子、横峯さくら、それに韓国の金美貞との三選手による直接対決があり、今年度の賞金王争いのクライマックスを迎える。将棋界でも、目下、竜王戦で、渡辺竜王が4連覇をかけて挑戦者の佐藤康光二冠と対戦中だ。名人戦でも、来年度の挑戦者争いの戦いが半ばを迎えていて、今のところトップを走る4連勝同士の郷田真隆九段と木村一基基八段が、来月に直接対決する。楽しみな一局になりそうで、郷田ファンの筆者は今からときめいている。
 しかし、中には直接対決を避ける場合も出て来る。来月行なわれる東京マラソンには、残念ながら、あの高橋尚子さんは出場しないと言う。北京オリンピック出場権を賭けての戦いで、野口みずき選手がエントリーされているだけに肩透かしを食らった気もする。
 一方、政治の世界でも、昨日、与謝野前官房長官と小沢代表が「囲碁」で直接対決して、教え子だった小沢代表が15目勝ちしたようだ。それよりも見ものは、明後日に予定されている福田総理と小沢代表との直接対決、初めての党首討論だ。肩透かしなどすることなく、正論をぶっつけ合って欲しい。これは見逃せない直接対決だ。

連載(282) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (24)

(11)チョンボは続く
 先のトイレ放置、爆睡事件は別格としても、それまでにも、或いは、その後も、それなりに気を遣っていても、うっかりしたことで雅子を危険の入口まで案内したことが幾度かある。
 その一つがお風呂場での事故である。手順に従って、専用の椅子に座らせて頭、顔、身体を洗った後、いつものように湯船の中に抱え入れてやる。かつては、掛け声を掛けると、自分で右足を上げて湯船に入れられたので、後は、左足を持ち上げてやって、身体全体を湯船に入れていたのだが、今はそれが出来なくなり、椅子に座ったまま回転させて、両足を持ち上げて湯船に入れて、後は、身体を抱き上げて、身体全体を湯船に入れる方式をとっている。思わぬ事故はその湯船の中で起きた。
 湯船の中に雅子の身体を浮かせておいて、頭を湯船の縁に乗せた状態で仮固定しておいて、一旦湯船を離れた。雅子を湯船から引き上げた後の準備をするためである。急いで必要な準備を終えて湯船に戻ると、雅子がバランスを崩し、顔が半分お湯に浸かった状態になってアップアップしていたのである。一考は、驚いて直ぐに必要な対応を施した。健康な時には水泳が得意だった雅子も、身体が言うことが聞かず、声も出ない状況になっていて、あと少し、見つけるのが遅れていたら、溺れて大変なことになっていたかもしれない。それほど雅子の症状が進行していた訳で、その辺りの配慮が欠けていた自分に反省しきりだった。
 二つ目が、ベッド上でのうっかりだった。07年8月8日のことで、あの悲惨な爆睡事件の5日後のことだった。この日はマッサージを受ける日で、いつものように、午後の2時15分から30分間、マッサージを受けていた。いつもは、終われば、マッサージの方が、雅子をベッドに座らせてお帰りになるので、一考は、時間を見計らって雅子のところに戻るのだが、この日はうっかりして、20分程度居眠りをしてしまったのだ。目が覚めて、急いで寝室に戻ると、雅子が仰向けに倒れていて、頭がベッドの反対側に垂れ下がった状態になって苦しんでいた。生憎、音声モニターも寝室には取り付けていないので、二階の一考の部屋には、その種の異常を伝える音声は届いていなかたt。直ぐに起こしてやってマッサージなどを試みたが、大変な苦痛だったようだ。もう少し目が覚めるのが遅れていたら徒思うと、空恐ろしい。これも、症状の悪化の進行で、ベッドにきちんと座っていることが難しくなったために起きた事故だった。
 この事故の後、マッサージの後は、ベッドに寝かせて置いてもらうことにした。辛いことだが、症状の悪化は留まることを知らない。(以下、明日に続く)

タグ : 守屋武昌 亀田大毅 内藤大助 高橋尚子 野口みずき 郷田真隆 木村一基 宮里藍

316 石破茂

 明日、注目の守屋武昌氏への証人喚問が行なわれる。聞くところでは静止映像での放映だそうだ。国民から見れば「何たるちあ」である。今からでも遅くない、きちんとした映像での放映にしてもらいたい。
 ところで、筆者は、今の防衛大臣の石破茂氏のファンである。鳥取県出身の二世議員だ。
 筆者が惹かれるのは、同氏の理路整然とした明解な論理で、ディベートに強いところである。少し回りくどい面もない訳ではないが、今の政治家の中では数少ない正統派だ。
 小泉内閣の時に、自衛隊イラク派遣を巡って混乱した際、当時の中谷元防衛庁長官では野党の攻めに抗しきれず、急遽、代わりに起用され、見事に国会を乗り切った手腕は印象的だった。今回も守屋前防衛事務次官の問題で矢面に立っているが、しっかりと職責を全うして欲しい。今日も、朝からテレビ討論番組の梯子だ。その応接振りをじっくりと楽しみたい。筆者は、将来の総理候補として、密かに期待している一人である。

連載(281) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (23)

(10)大チョンボ (その4)
 何かの拍子で、一考は我に帰った。しかし、一考の頭の中は朦朧としていて、前後の経緯が全く飲み込めていなかった。辺りを見回すと、いつも、雅子がいるリビングだった。そして、自分は、雅子がいつも座っているマッサージチェアで眠っていたことに気づいた。ふと、その正面の壁にかけてある時計に目をやった。なんと、4時前を示していた。一瞬、我を疑った一考は、慌てて、もう一度周りを見回した。雅子がいない。寝室で寝ているのかと思って、よろけながら寝室に向かい、ドアを開けたが、ベッドはもぬけのからだった。慌てて、トイレに戻ってドアを開けた。一考は、そこに雅子の苦しそうな姿を見て暫し立ち尽くした。雅子が、身体を二つに折り曲げたような姿で、辛うじて便座に座っていたが、頭は、便器の下まで垂れ下がっていた。
「申し訳ない」一考はそう声をかけながら、雅子を抱きかかるようにして、頭を持ち上げながら、姿勢を戻そうとした。しかし、長い間、そんな不自然な姿勢でいたため、直ぐには戻らない。その時、自分が、雅子をトイレに運んで来て便座に座らせてやったことまでが思い出されたが、そのあとのことは全く記憶から欠落していた。
 二日酔いでふらふらする頭に自らに「活」を入れながら、車椅子を使ってベッドまで運んだのだが、雅子の様子は声も出せなくなるくらい体力を消耗し、一見、事故に会った重症の被害者のようだった。
 暫く、身体をマッサージしながら、その回復に努めた。その頃になると、自分が犯した大変な過失の全体像が把握できるようになっていた。とにかく、雅子のことを忘れて、爆睡してしまっていたのだ。それも、しっかり4時間もの長時間である。雅子にしてみれば、一考が外出している間の7時間に加えて、4時間も、不自然な姿勢でほって置かれたのだ。健康な人間でも大変なのに、自ら、身体を動かせない身で、11時間も放置されたのでは堪ったものではない。
 一考は命に別状がなくてよかったと思いながら、反省の小野井の中で、改めて眠りについた。もう外は明るくなり始めていた。(以下、明日に続く) 

タグ : 石破茂 中谷元 守屋武昌

315 松井、秀樹に三振

 今年のMLBのワールドシリーズには日本選手が3人も出場していて面白しろそうだ。昨日は、日本人同士の対決が実現、ロッキーズの松井稼頭夫選手が、救援したレッドソックス岡島秀樹投手の力投にフルカウントから空振り三振を喫した。この日の岡島投手は、今期最高の出来ではと思われる好調さで、ロッキーズの反撃を完封した。監督からの信頼も厚く、今後ももっと活躍しそうだ。
 その反面、あれほどワールドシリーズに出場することを夢見て米国に渡った松井秀喜選手が、もう5年を過ぎたが、未だにその夢を果たしていない。皮肉なことに、別の松井と秀樹が堂々と出場して頑張っている。松井秀喜はどんな思いで二人の活躍を見ているのだろうか。彼のことだから、来年こそはと闘志を燃やしていることだろう。 心配なのは、松井秀喜を重用してくれたあのトーリー監督はもういない。厳しい現実が待っていることに変わりはない。
 なお、明日登板予定の松坂大輔投手だが、100億ドルの買い物だっただけに、明日こそは、その片鱗を見せて、今季最高のぴりっとした投球を見せて欲しい。

連載(280) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (22)

(10)大チョンボ (その3)
 一考に不覚の事態が起きたのは、その直後だった。雅子をトイレに送り込んでほっとし、いつも、雅子が座っているマッサージチェアに腰を下ろしたのがいけなかった。アロンアルファが瞬間的に接着効果を発揮するように、一考は瞬間的に眠りに落ちてしまったのだった。このところ飲んでいなかったお酒を、しこたま飲んだのが効いていたのだ。そのまま爆睡に落ち込んだのである。
 雅子は、トイレの便座に座って間もなく一考の鼾(いびき)を耳にして不安になった。どうやら、眠ってしまったようだ。しかも、それは、本格的な眠りで鼾も大きい。これでは、なかなか起きてくれないのではないか。どうしたものかと考えている間に、いつも、手を置いている握り棒の台から、その手が滑り落ちた。今の症状では、自分で手を元に戻せない。その手を、そこに置くことで、身体のバランスを保っていただけに、次第にバランスを失い姿勢が崩れ始めた。ぐっと、力を入れて頑張ってみるが、体力を消耗し疲れが増して来るだけだ。また、座っているお尻も痛くなり、我慢の限界に近づいていた。走行するうちに、眠さも加わって、雅子は、パニック状態に追い込まれつつあった。それでも、一生懸命に声を張り上げて、繰り返し一考を呼んでみるが、一考の深い眠り様からは、ちょっとやそっとでは目を覚ましそうに無い。
 雅子は途方にくれてしまった。必死に助けを求める声もかすれ気味になって、なかなか大きな声が出ない。これでは手の打ちようがない。正真正銘の八方塞で手も足も出ない。何とか、一考に目を覚ましてもらわねばと頭を巡らすが、適当な知恵が出て来ない。そうこうしている内に、疲れも酷くなり、睡魔が襲ってきていて、雅子の頭の中は朦朧とした状態になっていた。
 どのくらい時間が経過したのあろうか。身体が折れ曲がって、頭が便器のところまで垂れ下がってきていて、呼吸するのも苦しくなっていた。このままでは、死んでしまうかもしれないという不安が朦朧とした頭の中を過ぎる。眠気、疲れが重なって、半分意識が朧になっていた。もうだめかなといった思いが頭を過ぎった。とにかく、身体が痛かった。頭が垂れ下がって、身体が二つに折れているような姿勢になって、半分無意識の状態で助けを待っていた。
 どれだけ時間が経過したかは定かではなかったが、突然、トイレのドアがけたたましく開けられた。(以下、明日に続く)

タグ : 松井稼頭央 岡島秀樹 松井秀喜 松坂大輔 ロッキーズ レッドソックス トーリー監督

314 民放の見識を疑う

 昨日の夕方、5時54分から始まった民放のニュースを見ていて愕然とした。その時はテレビ朝日を見ていたのだが、冒頭から、協栄ジム金平桂一郎会長の記者会見を延々と生中継していた。先の亀田大毅の反則ボクシングに対し、その処分に関する内容だった。意味のない内容が延々と続くので嫌になって、他の局に切り替えたが、驚いたことに、NHKを除く全ての民放が同じ画面を放映していた。
 この時間帯は、民放にとっては、NHKの7時のニュースと同格のニュース盤組のはずである。しかるに、この種のゴシップ的な会見を延々とたれ流し、結果として、他の重要なニュースはそっちのけであった。
 各局がこの会見を何処まで流すのかに興味を持ったので、チャンネルを切り替えながらフォローすると、最初に、一般のニュースに戻したのがTBS,次が日本テレビ、フジと朝日は、コマーシャルをはさんで、その時間帯の殆どをこの会見をたれ流しだった。なお、TBSが最初にこの会見から一般のニュースに切り替えたのは、元々、亀田一家に力を入れすぎて批判を受けていた背景があったのだろう。
 いずれにしても、この会見は、それほど意味があるとは思われず、民放各局の見識を疑わざるを得なかった。ちなみに、NHKの7時のニュースでは、この会見のニュースは全く扱っていなかった。その程度のニュースと云うよりも、単なるワイドショーのゴシップに過ぎないと筆者は思うのだが。

連載(279) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (21)

(10)大チョンボ (その2)
 ご機嫌で帰って来たことは確かだが、かなりの酩酊で思考が乱れていたようだ。雅子は何とか、7時間の苦痛を耐え切ったようだったのを見て、一考はほっとしていた。
「ごめん、ごめん。つい、遅くなっちゃた。申し訳ない」予定よりも倍近く待たせたことを一考は謝った。しかし、一考の呂律はうまく回っていない。この辺りの記憶も曖昧で、不鮮明である。
「話が弾むのは分かるけど、正直言うと、じっとして待っているだけなのだから、身体がしびれてきて大変なの」雅子は、抑え気味に不満を漏らした。
「悪かった。つい、気がきくなってしまったのがいけなかった。とにかく、今夜はもう遅いので、お薬を飲んで休もう。悪かった。疲れただろう」そう言って、一考は、いつもの通り、就寝前に服用することになっている錠剤2種と水、それにファイバーをジュースで薄めたものを用意した。この辺りの応接も、若干、手元が不如意であった。
「ごめん、うまく飲めないの! もう少しお水を頂戴」雅子は少し焦り気味に、追加の水を要求した。タイミングが合わないと、うまく、飲み込めないケースが多い。毎食後の場合にもよくあることだ。
「ちょっと待って」早く飲み込もうとする気持ちが焦りを誘って、どうも、錠剤が喉を通らない。食後の服用では、粉末のお薬と一緒にして飲むと、粉末が補助剤となって飲み易くなる。しかし、この就寝前の服用の場合は、それが無い。こんな場合は、砂糖を少量口に含ませて、粉末の役割をさせることにしていた。ところが、何をどう誤ったか、一考は、炊いてあるご飯を少量、口に含ませたのである。やはり、酔っていたからだ。
「ちょっと、違うわよ」と雅子は少し抵抗したが、一考は強引にその上に水を注ぎ込んで、お薬を飲ませようとした。少し、苦しかったようだったが、それでも、何とかお薬は喉を通った。
 ほっとした一考は、車椅子で雅子をトイレに運びこんだ。この日最後の就寝前のトイレである。そして、下着を下ろし、便座に座らせた。ここまでは、いつもの手順通りで、この時点では、まだ、事件にはなっていない。(以下、明日に続く)

タグ : 金平桂一郎 協栄ジム 亀田大毅

313 偽装、隠蔽のてんこ盛り

 コラムニストの勝谷誠諺氏の著書に「偽装国家」があって、今の日本実態を暴いているようだ。(筆者は読んでいない)今朝の新聞を見ても、その種の記事が満載だから、驚きも色あせそうで、馬鹿馬鹿しくさえ感じられる今日この頃だ。
 姉歯設計のマンションの偽装設計から始まり、白い恋人赤福、そしてミートホープの偽装肉、更には比内地鶏などはその典型で、今、大きく扱われている厚生労働省の薬害肝炎問題に至っては、人の一生、命に直接関わる問題で、その怒りは抑えようもない。
 何か、失敗したり、良くない企てをしたりする場合に、偽装、隠蔽の工作が行なわれる訳だが、人の命に関わる場合は、それは「殺人」に匹敵するものであり、断じて許されるものではない。
 一方、あの金大中の拉致事件も長く隠蔽されてきたが、やはり、韓国政府が関与し、KCIAの犯行が明らかにされた。そういう意味では、政治決着と云う名の隠蔽も許しがたい。その上、日本に責任を転嫁されるようだと、これは国際問題に拡大することにもなろう。
 ところで、、滋賀県の栗東市に新幹線新駅設置で長く議論されてきた問題は、設置中止が決定した。これは、嘉田知事の堂々の対応の結果であって、偽装も、隠蔽もなく、民意を反映した鮮やかな「寄り切り」と言えるのではないか。

連載(278) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (20)

(10)大チョンボ (その1)
 雅子に大変な苦しい思いをさせた大チョンボを紹介したい。このチョンボで症状悪化を更に促進させたかもしれないと思うと反省しきりである。
 事件は2007年8月2日に起きた。この日は、かつて、勤務していた会社の関西のOBが集う会が予定されていて、それに顔を出そうと特別の段取りを組んでいた。OB会は、夕方の5時半から、相坂の事情を勘案してJR石山駅近くの料理屋で設定されていた。
 一考の思惑では、4時間ぐらい雅子を待たせておくのは大丈夫と見て、5時ごろに出て、9時ごろに戻ってくれば、問題はないだろうと考えていた。
 それには、昼食、夕食を少し前倒しにして、早めに済ませることだった。つまり、夕食を4時過ぎに済ませれば、幸い、この日は母親の食事の担当ではないので、5時過ぎには家を出られる。幸い、段取りは順調に進み、一考は、5時過ぎの電車で石山に向かった。
 先輩や仲間達とは久し振りの顔を合わせだ。一考の気分ははしゃいでいた。宴会では、仲間からの勧めもあって、このところ全く口にしていなかった日本酒を飲んだ。このことが、後の行動を勢いづかせることになったのは、自然な流れだった。
 楽しく飲んで、気分も盛り上がっていたことから、つい、その気になって、二次会に顔を出したのがいけなかった。お酒で気が大きくなっていたと言えばそれまでだが、長い間の介護で発散していなかったことで、その反動が出たとも言える。名古屋から来られていた先輩らが帰えられた後の二次会で、カラオケも歌い、すっかり、昔の一考に戻っていたようだ。
 皆と別れたのが11時半過ぎ、そこから一旦、家に電話し、留守番電話の音声を利用して「今から帰る」と伝えた。予定よりも、何と、3時間近い遅れだ。雅子は、椅子に座ったまま、7時間もそのままの状態で苦しい闘いだったに違いないと思うと、申し訳ないという気持ちで、少々焦りを覚えていた。しかし、それもお酒の勢いで、須玖にかき消されていたともいえる。
 家にたどり着いたのは、12時過ぎだった。かなり酩酊していたと思われる。細かいことは記憶に残っていない。大チョンボはそんな状況下で起きたのである。(以下、明日に続く)

タグ : 勝谷誠彦 偽装国家 姉歯設計 ミートホープ 白い恋人 赤福 比内地鶏 薬害肝炎 金大中事件 KCIA

312 証人喚問

 守屋前防衛省次官の証人喚問が来週にも行なわれそうだ。証人喚問といえば、その走りが、有名なロッキード事件だった。あの小佐野賢治の「記憶にありません」の連発は、その後流行語になり、証人喚問の常用語となった。又、「ピーナッツ」や「蜂の一刺し」なども、ユニークな表現で記憶に残ったセリフだった。続いて起きたダグラスグラマン事件での海部八郎、更には、あの中曽根康弘氏に「江副何某」と切り棄てられたリクルート事件での江副浩正、佐川急便事件での竹下登小沢一郎も、屈辱的な喚問に引き出されたし、最近では、喚問中に大声で怒鳴って驚かせた偽装設計のヒューザー小嶋進社長などが記憶に生々しい。
 国民にとって痛快なのは、それまでトップに君臨していた大物、実力者が、公の場で追及されるという構図で、そこには普段得られない弱者にとっての快感がある。果たして、今回の守屋元防衛省次官はどんな対応を見せるのか、関心は高い。
 しかし、それはそれとして、給油新法の審議は併行して進めるべきだと思うのだが、民主党の正々堂々の出方に期待したい。
(注、このブログは昨年の12月17日に開設し、今日で312日目になる。今回から通算回数をタイトルに付すことにしました。) 

連載(277) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (19)

(9)トイレ騒動 (その2)
 2007年、3月23日、一考が帰郷して2年余りが経過した頃の話である。心配だった便秘の問題もファイバーの服用で何とか見通しが出始めていた。しかし、雅子の病状は、依然として悪化が進行していて、自分で立って歩くことはおろか、リモコンのスイッチをプッシュすることも出来なくなって来ていた。従って、何事をするのも一考のサポートがなくては出来ない厳しい状態にあった。
 泣き面に蜂ではないが、この日の夕方、一考が、右往左往しなければならない思わぬトラブルに巻き込まれた。
 夕食前になって、雅子をトイレに連れて行ったのがことの始まりだった。ほっと一息ついて、居間の雅子専用の椅子で、用を足すのを待っていた。いつものように、頃合を見計らって、トイレに戻ったのだが、どうしたことかドワが開かない。鍵が掛かってしまっている。恐らく、雅子をトイレに運んだ時に、何かの拍子にロックのボタンが降りたようだった。中から、そのボタンを回せば開くのだが、如何せん、雅子はそれが出来ない。どうしたものかと一考は思案に沈んだ。外に回って、後ろにある小さな窓から、棒でそのボタンを上げようと遠隔操作したが、幾らやっても無理だった。次第に、夜の帳も下り始め、辺りも薄暗くなり始めていた。
 仕方なく、近所にある水道やガスの工事屋さんがあるのを思い出した。つい、一ヶ月ほど前に母屋の工事をしてもらったばかりで、その際に、自分が出版した本「執念」を紀念に差し上げていた。
 ともかく、藁をも掴む思いで急いで出向いたのだが、その会社の前は、いつも通っているのだが、生憎、その事務所に入ったことがなかった。相当に慌てていたようで、うっかり間違って、その隣の工事屋さん飛び込んでいた。話しているうちに、そこが目的としているところではないことに気づき、慌てて、隣に駆け込むといった不手際を演じてしまった。思わぬトラブルに一考にはうろが来ていたのだ。
 夕食時の多忙な時間だったが、事情を聞いた工事屋さんは、息子さんと二人で駆けつけてくれて、難なくドアを開けて頂いたのだが、その時の操作で、その鍵は、外からも10円玉のような硬貨で、簡単に開けられる仕組みになっていることが分かった。そう言えば、リフォーム時に、工事屋さんからそのことを聞いていたことを思い出した。人間、あたふたすると、正しい判断が出来なくなってしまうことになるものだ。後で反省してみて、右往左往していた自分が恥ずかしかった。
 いずれにしても、雅子をそれほど長く待たせることなく、救出できたことでほっとした一幕だった。笑うに笑えない芳しくない(臭い?)エピソードだった。(以下、明日に続く)

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311 赤と白の不正

 いみじくも「赤と白」の二つの食品を扱う企業で許されない不正事件が起きた。
 一つが老舗和菓子メーカーの「赤福」で、表示の偽装や、「あん」と「もち」を再利用していた。もう一つが、今年の8月に賞味期限の改ざんが発覚した石屋製菓の「白い恋人」だ。後者は、ここに来て、その対策がとれたということで、来月には販売を再開する。消費者がどう反応するかに興味がある。
 いずれも、安心、安全を最優先しなければいけない食品企業での会社ぐるみの不正行為は消費者の信頼を裏切る極めて遺憾な事件だ。幸いだったのは、実害は出ていないことである。
 「もったいない」という考え方は大事だ。滋賀県の嘉田知事の口癖でも有名だ。そういう意味では、再利用する考え方は、一般の工業製品では大事な対応になるのだが、こと、食品となると別問題だ。さりとて、そのまま機械的に廃棄処分にするのも忍びない気もする。地球上には、食べるものがなくて困っている人も多くいる。本当に実害のない安全が確保されるものなら、無駄にならない何らかの対応策がないとは言えないと思うのだが、……。

連載(276) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (18)

(9)トイレ騒動 (その1)
 申し上げるまでもないことだが、人間、食べることと、排泄することのバランスがきちんと取れていることは、生きていく上で欠かせない重要なことである。
 帰郷後、一考が始めた健康管理の一つが、毎朝、体重を測定することだった。ここで、安定した体重の確保することで、その健康の目安にしていたが、2007年に入って、雅子の症状の悪化で測定が出来なくなり、貴重な目安を失った。
 それから間もなくのことだった。2007年2月後半になって、便秘の傾向が出始めたのである。先生のお話では、運動に関する機能の低下で、腸の動きが鈍化してきていることで起き易いという。
 そこで、まず採った対策が、コマーシャルなどで承知していた便秘薬「コーラック」の使用だった。効果は覿面で一息ついたものの、このお薬の長期連続試用は良くないとの判断で、他の方法について検討を始めた。お薬屋さんの話では、「コーラック」は最もきついタイプの便秘薬だと言う。いろいろ話を聞いているうちに、お薬の範疇に属さないファーバーがいいと教えてくれた。これは、分類上は食品に入ると言う。
 早速に試してみると、それなりの効果があることが分かった。試行錯誤を繰り返し、雅子に効く適切な服用量を突き止め、その後は、安定した「通じ」を得ることに成功している。しかし、そのファイバーの効果が安定化するまでは、「通じ」があったかどうかに、神経質な日々が続いた。「どうだった?」と一考がドア越しに聞いた際に「出たわ」との答えが返ってくると、ほっとするのだった。実に馬鹿馬鹿しい話しかもしれないが、そんな会話に腐心していた頃の苦労が思い出される。なお、お医者さんのお話でも、ファイバーなら、幾ら呑んでも問題はないと太鼓判を押してくれた。
 こうして、夏を過ぎる頃までは、安定した日々が続いていたが、9月に入って、そのファイバー効果のも今一つの様相を見せてきている。と云うよりは、大腸の動きが衰えたのかもしれないが、出す作業にかなりの頑張りをが必要となって来ている。気の毒なことだが、雅子の闘いは、これから先も、ずっと続きそうだ。
 余談だが、雅子の体重測定が出来なくなって一年近くにもなる。どんな具合になっているか気にはしているが、雅子を持ち上げる時の重さから、感覚的には、大幅な体重減もなくそこそこを保っているようで、これ点では一安心である。(以下、明日に続く)

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310 どうなる!三つのドラマの結末は

 「さあ、どうなる」と興味を掻きたてる、長編、中篇、短編の三つのドラマが始まっている。
 その一つが、注目のインド洋での給油に関する新法案が、今週から審議に入る予定だ、民主党がどう出るかが鍵で、その行方は極めて不透明だ。タイミング悪く、守屋元防衛省次官の山田洋行との癒着の問題が発覚したことや、20万ファロン、80万ガロンの隠蔽問題もあって、野党はそちらに議論を持ってゆこうとしていて、水面下での駆け引きが大変なようだ。
 結論的には、衆議院での再可決に対して政府は弱腰のようだが、ここは国益を前面に出して、これに果敢に取り組む姿勢を打ち出すべきではないか。世論の動向を見てではなく、世論を誘導するくらいの気合が大事だと思う。さあ、どうなるか、長いドラマの幕開けだ。
 今日、間もなく始まる短編ドラマも面白い。ワールトシリーズ出場を賭けてのレッドソックスとインディアンスの最終戦だ。今シーズン、あれほどの鳴り物入りで入団した松坂大輔投手は、今までにピリッとした結果は出ていない。せめて、この日の登板が巡ってきたチャンスを生かし「さすが」と言わせる結果に結びつけて欲しいと願っている。結果は遅くても昼過ぎには出る。
 もう一つ中篇ドラマもある。女子ゴルフの賞金王争いだ。これはここ数週間で答えが出る。上田桃子さんか横峯さくらさんか、或いは他の人が出てくるか、興味津々だが、横峯さんは、お父さんの事があって。あまり応援したくない気持ちもある。筆者のファンである不動祐里さんは、残り試合に殆ど出ないので残念ながらチャンスはなさそうだ。
 いずれも、じっくりとドラマの展開を楽しみたい。

連載(275) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (17)

(8)犯人の名前
 映画などでもよく「結末だけは、誰にも明かさないで下さい」と注が付いていることがある。サスペンスドラマでは、それが一つの良識でルールとさえされている。
 相坂一考の本、「執念」が一考の元に届いた二日後だった。姉の久子が血相変えて母屋から、雅子のいる部屋に飛び込んで来た。ちょうど、一考と話している時だった。
「何で、犯人の名前に、選りにも選って二郎ちゃんのお嫁さんの名前を使ったの!!」久子がマジに怒っているのだ。余程、面白くなかったらしい。
「そんな名前は何処にでもありふれた名前じゃないか。それに、二郎は私の子供だよ。君にとやかく言われる筋合いは無い」一考が、出鼻を挫くようにその苦情を一蹴した。
「あなたの息子のお嫁さんだから、言っているのよ。気分が悪いじゃない。犯人の名前に使われるなんて」
「そうなの? 私はまだ読んではいないけど、そうだとすれば、お姉さんのおっしゃる通り、息子の嫁の名前を使うって、もってのほかだわ」思いのほか、雅子も真剣に怒って、厳しい顔で口を挟んだ。
「何を言っているんだい。親しみがあるから使わせてもらったんだ、それが悪いのかい?」一考も、苛立ってきているせいか、言葉が粗くなっている。
「名前なんで幾らでもあるじゃない。何も、自分の息子の嫁の名前を使う理由はないんじゃない!」久子もしつこく繰り返す。
「煩いな。ほおっておいてくれよ。私の家族の問題なんだから。それよりも、そんなことをまた姉妹たちにべらべらしゃべっているんじゃないの? 推理小説で、読む前に犯人をばらすようなことは許されない。ルール違反だよ」
「他人の名前を勝手に使うのはルール違反じゃないの?」久子も負けてはいない。ああ言えば、こう言うタイプだから頂けない。
「一般的な名前を使っちゃいけないのかい。君とはもう話してられないよ」一考は、そう言って雅子の顔を見た。
 正直言うと、原稿を書き上げて出版社に送る直前になって、その名前を決めた。原案では、モデルにしていた女性の名前を使っていたのだが、それは不味いだろうということで、急遽その名前を変えることにしたのだが、なかなかいい名前が思い浮かばなかった。その時、頭に浮かんだのが、息子の嫁の名前で、これならいいと決め込んでしまったのだ。改めて嫁には、読後感を聞いておく必要があると、一考は考えていた。(以下、明日に続く)

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309 クライマックスを演出した守護神

 レギュラーシーズン優勝の巨人に見事な3タテを食らわせた中日の快勝には、溜飲が下がる思いだった。このシリーズは3戦とも熱戦の連続で、手に汗握る攻防が続いたが、守護神岩瀬投手の力投が一際っていた。
 全体的に落合監督の采配は冴えていた。圧巻は、守護神岩瀬投手のタイミングを得た起用決断だった。それは、文字通りクライマックスシリーズのクライマックスを演出した。立派だったのは、その監督の期待に応えた岩瀬投手だった。3日間に渡り、しっかりと押さえ切った力投には、込み上げる感動さえ覚えた。
 投手、岩瀬仁紀は、西尾東高校から愛知大学、NTT東海を経て中日に入った経歴の持ち主で、いわゆる名門校の出身ではない。それだけに、自らの実力で今の地位を確保した真の実力者だと言えよう。阪神の今年の藤川投手も見事だったが、やはり優勝してこそ、その実績が光り輝くことになり、岩瀬投手が改めてその魅力を披露したシリーズだった。
 いずれにしても、お陰様で、これ以上見たくなかった原監督の笑顔を完封してくれた中日には大いに感謝している。幸い、日本シリーズでの相手は、昨年と同じ日本ハムだ。その雪辱を期して大いに頑張って欲しい。

連載(274) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (16)

(7)責任は誰が持つ
 帰郷直後、たまには、母親を外食に誘いたいと思ったが、それが思うようにならないのが苛立たしかったことがある。雅子がまだ外出が可能な頃でも、母親を誘い出して食事に出かけることは勝手にはできない状況だった。というのも、雅子の症状の悪化以降は、母親のことは、ほとんど全てを久子が管理していたから、病院通いやお風呂の時間などの関係で、事前に久子の了解を取る必要があったからだ。一緒に生活し、食事を担当しながらも、こと外出に関しては、思うように手が出せなかったのである。
 それでも、帰郷して最初の頃は、お伺いを立てて数回食事に連れ出したことはあったが、その内に、「何かあったら、誰が責任を持つの。結局は、全て自分が面倒をみなければならないのだから」と申し出をはねつけることが多くなった。
 その典型的な事例が、選挙の期日前の投票だった。事前に投票所までのルートを下見して、車椅子で行けると確認して、連れて行こうとしたところ、「そこは、車椅子で行けない」と拒否したのである。そこで、一考が「ちゃんと、下見をして来てある」というと、「そこまでして、こんな年寄りを選挙に行かせることもない」と棄権を主張するのだった。確かに90何歳にもなって行くこともなかろうと、その時はそのまま引き下がった。
 ところがである。先日の自民が大敗したあの参議院選挙に、夕方になって急に連れて行くと言い出したのである。以前のやり取りが強く残っていたことから、頭に来た一考が、「今更、選挙とはおかしいのではないか。前に、そんな年だからということで棄権を主張したではないか」と激怒すると、「いつも、書道教室でお会いする方が、選挙はされないのか、是非来て下さいとおっしゃるので仕方がないのよ」と切り替えして来た。とにかく、自分が連れ出すのは勝手で、今でもコーラス、書道などに連れ出しているのだ。言っていることと、やっていることが違うじゃないかと指摘すると、年寄りだからこそ、出来るだけ外に出してあげなければと、その場しのぎの勝手な理屈を引っ張り出してくる。まあ、何かあったら、自分が責任を持って対応するというのだから、それ以上、一考の方から言うことはないのが口惜しい。
 帰郷直後は、事ある毎に「親孝行をしていない」と言われる一方で、実質的にそれを封じられているのだから、今では達観しているが、かつては鬱憤が溜まる日々が多かった。(以下、明日に続く)

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308 ずぶずぶの関係

 何と、5年で140回のゴルフをしていたと言う。年間28回で、2週間に一度以上、冬場はしないと考えるとほとんど毎週やっていたことになる。倫理規定に違反しているのに偽名まで使っての行為にはびっくりを越えている。
 この問題で、前防衛大臣の小池百合子氏が、妙なところで、再びマスコミに登場し、思わぬ形で得点を稼ぐことになった。それにしても守屋元防衛省次官と山田洋行との癒着は酷すぎる。このほかにもマージャンがかなりの頻度でおこなわれていたのだから、まさに昼夜兼行での接待漬けだったことになる。こんなずぶずぶの関係になると、守屋氏の方から、「今度は何処何処のゴルフ場が良いね」と、自らが注文をつけていたことは容易に想像できるのだ。
 このような違法な癒着は他の省庁でもあるのではないか。天下り先との関係は徹底して洗ってみる必要がありそうだ。随意契約による無駄遣いの見直しは改めて強化する要があろう。しかし、このことで給油新法の審議が人質になるのは遺憾だ。併行して審議すべきと思う。民主党さんの大人ぶりを拝見したい。

連載(273) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (15)

(6)母親の食事事情(その3)
 通常、夕食担当の日は、朝から、何を作ろうかのメニュー選択から始まり、昼食後には買い物を済ませ、午後2時を過ぎるとその下準備に取り掛かるといった具合だ。何事においても、時間ぎりぎりになってバタバタするのが嫌な一考は、常に時間的に余裕をもった形で用意に取り掛かるようにしていた。そういう意味では、結果的には、午後の大半は夕食作りに翻弄されているとも言える。
 さて、自分が言い出した訳で、その夜からは、料理を出した後も、後片付けをするという名目で、直接この目で、母親の料理の食べ具合をフォローさせてもらうことにした。久子が言っているように、母親は食欲が減退していて、食べ残しを多くしているのかどうかのチェックが主な目的だったが、食事途中の状況も確認してみようと考えた。具体的には、言葉は悪いが、少し覗き見をさせてもらうのだ。幸か不幸か、この夜のメニューは、母親の好む肉料理がメインで、少量の野菜煮、サラダそれにデザートとしてメロンをつけていた。生ゴミの可能性のあるのは、野菜煮だが、果たしてどんな結果が出るか。一考は久子が帰るのを待って料理を運んだ。
 いつもなら、その段階で一考の役割は終わるのだが、この夜は、タイミングを計りながら、隣の部屋から母親の食べ具合を観察した。幸い、今の母親は耳が遠く、傍まで行っても気づかないぐらいの耳の感度である。従って、隣の部屋のふすまを少しずらしておいて、そこから食事の進み具合を観察していても、少しも気づかない。行為そのものは、まさしく覗きで、普通なら失礼きわまらない振る舞いだが、こと、母親の今後のことを考えた食欲チェックだけに、許される範囲だと、一考は勝手に判断していた。
 ところで、変な話だが、相手が母親なのに、ふすまの間から覗く行為に、妙に、胸がときめいていた。自分の作った料理が、いや、ドラマティックに言えば、自分の作品がどんな具合に評価されているのかを、自分の目で確認するのである。それだけに、緊張していたのかも知れないが、どうも、それだけではなさそうだ。幸い、メインの料理が順調に減っていた。また、副食にも手がつけられている。ほっとした気分で、一旦、自分達の部屋に戻った。そして、頃合を見計らってまた、その後の進捗状況を確認した。その結果、久子の伝えた懸念は、取り敢えずは、杞憂であることをこの目で確認できて、ほっとしたのである。
 因みに、フォローは三日間続けたが、結果は、一考には大成功で、久子があまり合わないといった料理も、テストを兼ねて出してみたのだが、全てきれいに食べてもらったのである。サラダ、なすの炒め、エビフライ、ステーキ、うなぎ、おひたし、くだもの、それも、決して無理に食べたと言うような食べ方ではなかった。この結果、それまで胸の中を占めていた不安、心配は一気に解消した。久子の見方が、やはり、少し大げさだったことになる。
 なお、蛇足だが、「覗き」と言うのは結構興奮するものだということを知った。これが、若しも、若い女性が対象だったらどうなるかと思うと、別な不安が頭を掠めたのも事実だった。(以下、明日に続く)

 

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307 信じていました!

 日本ハムロッテを破ってパ・リーグのクライマックスシリーズを制覇し、日本シリーズへの出場権を得た。勝利インタビューに、ヒルマン監督は「信じていました!」と答えた。昨年の「信じられない!」からの力強い大きな前進だ。日本シリーズの相手はまだ決まっていないが、初のV2を期しての好試合を期待している。
 さて、「信じられない!」と言えば、民主党だろう。日本のインド洋上での給油活動の結果が、一部はイラク戦争に使われていたと強く主張しているだけに、自民党の答弁が、米国サイドの「そんな事実はない」という発表を「信じていました!」と呼応していることだ。
 この論争、「水掛け論ならず、油賭け論」だ。一旦補給された油は、他からの補給油と混ざってしまえば、どの分がイラク戦争に使われたか、アフガンのテロ防止活動に使われたかは分からないはずだ。昨夜のTBSの「ニュース23」でその船に乗っていた責任者へのインタビューが放映され、イラクでの活動に使われていたことを告白していた。
 話は変わるが、筆者は昨年後半から妻、雅子が障害者2級ということで、幾つかの社会保障を頂戴している。その中で、病院通いのために車のガソリン分の補助がある。この場合も、その頂戴している補助分が全て病院通いに使われているということではない。タンクの中で混ざってしまえば、区別は出来ない訳で、一般の日常活動にも使用さしていることは間違いない。 
 いずれにしても、この補助自体の有難さは、苦労の続く介護の生活で、心の潤いになっていることは確かで、大いに感謝している。米国もそんな気持ちなのではなかろうか。

連載(272) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (14)

(6)母親の食事事情(その2)
 8月に入って直ぐのことだった。久子が、珍しく一考たちのリビングに顔を出した。何事かと話を聞いてみると、母親の食欲が落ちていて、生ゴミの量も増えているのが気になるという。
「たまたま体調が優れないタイミングなのだろう。あの年になるとそういうことは良くあるのじゃないの?」一考は、咄嗟にそうは言ったものの、内心忸怩たるものを感じていた。自分が苦労して作った料理が母親の口に合っておらず、それが、生ゴミになっていると思うと、辛くて悲しかった。
「今、確かに体調を落としているようなので、そうだとは思うんだけど。最近の傾向は、油物、お魚、最近のレトルト食品などは口に合わないようだわ」久子の口調は、特に言い難そうでもなく、いつものようにづけづけとした言い方だ。
「それじゃ、私の出す料理のほとんどが駄目じゃない! 困っちゃうね」今の一考が用意するメニューはお肉、お魚、中華、それにフライ、天ぷら、カレーなどを4日間のローテーションで出している。その大半から生ゴミになっているのではと思うと、正直言ってかっくりとくる。何せ、母親の食べ終わった後片付けは久子が全てやっていて、その実態は自分では把握していなかった。従って、言いなりになるしかない。
「お肉は結構好きそうで、無難のようよ。一層のこと、毎日、お肉でもいいんじゃない?」久子は、いとも簡単にそう言って、けろっとしている。
「そういう訳にもいかんだろう。栄養のバランスから言っても、それはまずいだろう」一考は正論を言って不満をぶっつける。
「だけど、もうあんな年だし、好きな物を食べてもらった方がいいんじゃない」言い出したら変えないのも久子の悪い癖だ。
「まあ、明日からのメニューについては、改めて考えてみるよ。今夜の分はもう用意したもので間に合わさざるを得ないが。ところで、そういうことなら、自分なりに母親の料理の残し具合を確認してみたいので、今夜からは、後片付けは自分がするよ。お風呂が終わったら、先に帰ってくれたまえ。その方が、旦那さんの村木さんも喜ぶだろう。いつも、最後の後片付けまですることもないよ」一考は開き直って自分の考えを主張した。
「でも、母は、考ちゃんが後片付けをするというと、無理してでも食べようとするから、却ってよくないと思うの。だから、後片付けは、今まで通り私がやるから」この辺りは、久子も簡単にはOKとは言わず、しつこく抵抗する。一考の負担を軽くしてやろうとの配慮よりは、自分のテリトリーには侵入させないといった感覚が強いのだ。
「いいんだよ、私が、この目で確かめて見たいんだから。何でも、君が抱え込んでしまうのはよくない。自分の作品の評価は自分で確認したいんだ」
 少し強引だったが、返事を渋る久子に、一考は、その日から母親の夕食の後片付けをすると通告した。実際に母親の食欲を確認し、本当に、どの程度の生ゴミになっているのかを自分の目で確認することは大事なことだと一考は思うのだった。(以下、明日に続く)

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306 悪夢ふたたび

 今朝、またも、ドーハーの悲劇が起きた。今回もロスタイムでの失点で、当面の敵であるカタールに逆転負けを喫した。これで、オリンピック出場の予選グループで2位に後退し、自力でのトップは叶わず、残る2試合の戦いで、カタール及び日本の結果次第とになり、厳しい状況に追い込まれた。
 ドーハーの悲劇は、今から14年前の1993年10月28日のことで、同じドーハーでイラクを相手に戦ったが、ロスタイムでまさかの失点を許し、引き分けになったことで予選敗退し、ワールドカップへの出場はならなかった。
 今朝、筆者は、たまたま、テレビを消し忘れて寝ていたのだが、ふと目を覚ますと、ちょうど試合は、後半に入っていて、同点に追いつかれる直前だった。その内に同点、いかん、いかんと思いながらうつらうつらしているうちに、更なる悲劇が起きていた。歴史は繰り返すというが、何とか、後の試合を頑張って、この悲劇を喜劇にしてもらいたい。
 さて、話が変わるが、テロ特措法に代わる新法の原案が纏まり、国会に上程される。民主党は審議に応じないと強行だ。さあ、どんな展開になるのか、悪夢の繰り返しを避けて、民意を反映した新たな歴史を作ってもらいたい。

連載(271) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (13)

(6)母親の食事事情(その1)
 人生では全く想定外のことが起きることは結構あるものだ。一考の場合は、雅子の難病はその典型であり、その結果、こんなに年を取ってから、母親や妻に料理を作って提供することになろうとは、想像だにしないことだった。不器用が売り物の一考だけに、それまでの一考を知る人たちには信じられないことだろう。
 やってみて思うことは、結構神経と時間を使うタフな作業であるということだ。自分と妻の二人分だけの料理なら、そうでもないのだが、母親に食べてもらうとなると、いい加減なものは出せない。献立、味、見た目も然るべきものでなければならない。厄介なのは、母親は95歳の昔人間の典型だから、最近の新しい食材を使ったものは、好みには合い難い。加えて、最近の母親は、健康状態とも関連していて、食欲の度合いが日によって違いがあって、その辺りの配慮も欠かせない要素だ。
 母親の食事に関しては、もともと雅子が全面的に担当していたのだが、雅子の通院が定期化した以降は、通院日の木曜日を姉の久子が担当してくれるようになって、雅子は、週6日間を担当していた。従って、帰郷後に雅子の仕事を引き継ぐことになった一考も、週6日をそのまま引き継いだ形でスタートした。
 しかし、その後の雅子の症状の悪化に伴い、それを見かねた久子が、2006年8月になって、一考の担当を、日曜日から水曜日までの週4日に減らしてくれた。近くにいる長女の綾子や五女の良美たちも協力してくれるというのが、取ってつけたその理由だった。しかし、実際には、長姉の綾子や五女の良美の協力はごく限られたもので、その殆どを久子が請け負っている。いかにも久子らしい配慮なのだ。
 更に、一年後の今年の7月には、母親が朝起きるのが時間的に不定期になり、食欲も減退しているので、朝食兼昼食については、その朝の母親の具合を見て、見繕った方がいいということで、、全て久子が担当すると言い出した。母親の身の回りのことは、全て久子にまかせっきりだから、そう言われるとどうしようもない。逆に、自分の作るものが起きたての母親の口に合わないと言われている訳で、致し方なく、久子の言うなりに引き下がった。従って、今年の7月以降は、一考の担当は、週4日間の夕食だけに後退してしまった。
 結果的には、雅子への介護の負担が増えてきていることから、この久子の配慮で、大いに助けられていることは事実だ。特に、最近は、一考も体力の限界に近づいているようで、先行きの不安もないではない。しかし、その一方で、この大津に帰郷直後に、親孝行をしていないとしつこく言われたこともあって、、せめて、この4日間の食事作りだけは、自分の面子のためにも、最後の砦として頑張って死守したいと思っている今日この頃である。(以下、明日に続く)

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305 NHKの放送の優先順位

 将棋界では名人戦につぐ大きなタイトル戦である竜王戦が昨日から始まった。いつもなら、NHKはそれを朝から中継するはずなのだが、昨日は国会中継のため中止になった。今朝は、囲碁名人戦が始まることで、中継時間が囲碁の後の放送で時間も短縮されている。
 もう、3年前の話だが、妻の雅子のパーキンソン病の症状が初期の頃で軽かったことから、ソウルで行なわれた竜王戦ツアーに夫婦揃って参加していたが、その際の中継も国会中継が優先されて、ソールからの中継は大幅に短縮されての放映だった。
 幾つかの中継が重なった場合のNKHの放映の優先順位は、その実績から見る限り、国会中継、大相撲、そして、囲碁、次が将棋の順となっている。将棋ファンとしては、ちょっと寂しい。
 さて、その国会中継で、昨日の午後、民主党の石井一氏の質問で、年金横領問題に関しての舛添大臣の「小人の戯言など」の発言を不適切として謝罪すべきと語気強く迫った場面があった。さあ、舛添大臣がどう対応するかと思って見ていると、いともあっさりと「不適切な言葉だったと思うので撤回する」と答えた。あまりにも簡単に引き下がった同氏の応接に、びっくりしたが、まあ、それでよかったのではないかと思っている。謝るべきはすんなりと謝るのも一つの大事な戦法だ。

連載(270) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (12)

(5)楽しいリズムの活用
 雅子の症状の変化に伴って、その時点で取った対応には、それぞれ、ほほえましい、ユーモラスな思い出がある。それらの幾つかについて紹介してみよう。
 雅子が歩き難くなり始めたのは、左足の捻挫が始まりだが、本格的に難しくなり出したのは、2006年7月以降である。それでも、まだ暫くの間は、手を引いてやったり、腕を組んでやったりすることでゆっくりではあったが、何とか歩行は可能だった。恥ずかしながら、腕を組んで歩いたのは、雅子と出会って以降、その時が初めての経験だった。
 その後、手を引いてやって歩くことが増えていったが、その際には、リズムを伴った掛け声をかけてやることで、歩行がスムーズに運ぶことに気づいた。もちろん、室内での歩行に限られるが、最初の掛け声は「トントントン、トントントン、トントントントン」といった3、3、4拍子が効果的だった。しかし、その後、そのリズムでは早すぎる症状に悪化、リズムは「しゅっしゅしゅ、しゅっしゅしゅ」といった具合に変化した。しかし、それも、今は昔で、懐かしい思い出であり、雅子の足で自らが移動することが出来なくなってしまっているのは悲しいことである。
 一時の入浴の際の掛け声も、忘れられない思い出である。雅子を湯船に入れる際に、「せいの」と声を掛けることで、雅子の右足が上がるのを利用していた。恰も、アリババと四十人の盗賊での「開けゴマ!」に相当する効果があった。右足さえ湯船に入れば、後は、右手で手摺を握らせておいて、左足を持ち上げて湯船に入れていた。そういう意味では、この「せえの」の掛け声は、効果的で有難い掛け声であった。しかし、それも、今では全く叶わず、これらの掛け声も、今や、懐かしい話になってしまった。
 食事の際にサポートにも思い出がある。そのサポートが必要になったのは、左手首の骨折後、およそ4ヵ月後の2006年8月頃からである。
 申すまでもなく、食事の際は、一考がご飯、料理を雅子の口に運んで、口に入れてあげるのだが、一考には、少しでも早く終わりたいとの潜在的な思いがあるものだから、雅子の口に料理を運ぶペースが、段々と速くなってしまう傾向があった。その時に、雅子の方から、少し苦しそうに「まあだだよ」と弱々しく苦情を呈してきた。はっとして「ごめん、ごめん」と言いながら、一考は、そのペースを落として調整した。そして、頃合を見計らって「もういいかい?」と確認し、「もういいよ」との返事をもらって、食事を再開するといった形になった。それは、まさに、遊びの「かくれんぼ」を思い出させるユーモラスなパターンだった。その後は、その種のペース、リズムが身について事もあって、かくれんぼ会話はほとんど使っておらず、今では、懐かしいエピソードの一つとなっている。(以下、明日に続く)

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304 空白の一日

 最近目にする「ちょっとした感動を呼ぶコマーシャル」がある。28年ぶりの再会というサブタイトルで、あの江川卓小林繁の両投手が一献を酌み交わしているコマーシャルだ。江川の言葉少なげな演技にリアリティが感じられて面白い。二人の人生を大きく変えたあの「空白の一日」事件は今も筆者の記憶に生々しい。
 あの日、キャンプに向かう直前に、小林投手は唐突に阪神行きを通告された。江川卓選手との交換トレードが成立したのである。これぞ、青天の霹靂の典型だったと思う。羽田空港から連れ戻されるときの何とも言えない悔しそうな小林投手の顔が思い出される。しかし、その年を含めた数年間の小林投手の対巨人戦での素晴らしい力投は、男の意地を絵に描いたようで、痛快そのものだった。
 一方、晴れて巨人入りした江川だったが、そこそこの成績を残したものの、未だに巨人軍から監督やコーチへの就任の声が掛かっていない。そのことが響いているのだろうか。無理を通せば、無理を生む。
 今年の高校生のドラフトでは、殆どの選手がどのチームでもよいと屈託がなかった。大らかな考え方が出て来ていて好ましく思った。空白の一日は、今や御伽噺になっているように思う。

連載(269) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (11)

 (4)慰めになっていない慰めの言葉 (その3)
 病人を上手に慰め、勇気付ける言葉の選択は、それほど易しいものではない。特に、雅子のように進行性で不治の難病の場合は尚更だ。いい加減な慰めは、単なるリップサービスに過ぎず、それは、却って失望を与えるということになりかねない。前にも紹介したと思うが、余計なことを言わずに、「大変だと思いますが、頑張って下さい」という程度が、受け取る方も無難なお見舞いの言葉だと思っている。
 毎日の生活で、他にも、「慰め」じゃないが、気を遣った「思い遣り」の言葉を多く頂戴するのだが、そんな中にも、一考を不愉快にさせる言葉は少なくない。
 一例としては、久子を始めとする相坂家の口癖なのかも知れないが、一考の顔を見るたびに「顔色が良くないね」と言われることだ。また、場合によっては、「近所の方が、そう言って心配されていた」という言い方もあった。
 その言わんとするところは、「身体を大事にしてね」との意味が、気を遣った形で込められているのだろうが、受ける本人は不愉快極まりない。
 確かに、介護が多忙になって来ていることから、疲れが蓄積することもあって、顔色が冴えないことがあるかも知れないが、いつも顔を合わす度に、同じ事を繰り返し言われると、気分が重く、よくなるはずものまでが、落ち込んでしまうことになる。「お疲れで、大変ですね」とでも言われると、またニュアンスも違ってくるのだが、「顔色が良くない」との言い方は、デリカシーを欠いた表現だと言わざるをいない。
 そればかりではない。先日も、久子から、「近所の○○さんが、一考の電話の声のトーンが下がっていて元気が無いようだ」と言っていたという。そんな○○さんと話した記憶もない。一体どうなっているのか。「身体に気をつけて」と言おうとしてくれているのだろうが、いちいち細かいことを言われるのは、余計なおせっかいだと受け取ってしまう。
 母親も、このところ、一考の顔を見るたびに「痩せたね」と心配してくれる。実際にそう見えるのかも知れないが、「痩せた」とばかり言われると、本当に体力が失われて行くようで気分的にも滅入ってしまう。
 余談の余談になるが、一考が面白くないと感じるもう一つの母親の口癖がある。それは、事ある毎に「怖い顔をしている」と口にすることだ。取っ付き難く無愛想な顔を指しているのだが、これが自分のいつもの顔で、今更、ニヤついた愛想のいいような顔つきに切り替える器用な操作が出来ない。ともかく、母親から頂戴した顔であることには間違いないので、我慢して欲しいと思っている。(以下、明日に続く)

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303 あっけないクライマックスシリーズ

 セ・リーグでも、今年から導入されたクライマックスシリーズは、パ。リーグでの実績からみて、大いに期待されていた。しかし、二試合とも、試合開始直後の中日のビッグイニングで、勝負が決まると言うあまりにもあっけない試合展開で、その期待は簡単に裏切られ、盛り上がりに欠けたシリーズだった。
 そういう意味では、これは「クライマックスシリーズ」ではなく、阪神の完全な「位(くらい)負けシリーズ」だった。年間、134試合を闘った結果が、そのまま出たと言えばそれまでだが、超短期シリーズでの意外性もなく、多くの阪神ファンの期待を裏切った。
 阪神の敗因は明らかで、あのJFKに繋ぐ勝ちパターンに持ち込めなかったことに尽きる。あの藤川が登板する機会がなかったことが、その象徴だろう。
 何事もそうだが、チームにはチームが、個人には個人が培った最適のパターン、リズム、ペースがあるはずだ。それが守れず、発揮できず、乱れてしまっては、期待通りの結果は得難く、勝ちに繋げることは難しい。特に、ぎりぎりの戦いをしている場合には尚更だ。筆者も、介護生活との厳しい闘いの中で、そういった生活のペースを大事にして、何とか毎日を切り抜けている。
 話は飛ぶが、政界では、小沢代表の「こわもてペース」と福田総理の「地味ペース」はあまりにも対照的だ。どちらのペースが勝利を掴むのか。新たな二人の対決で、当面の日本の政治は、興味深々である。

連載(268) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (10)

 (4)慰めになっていない慰めの言葉 (その2)
 長女の綾子が背骨を傷めてコルセットで固定したのは、雅子が左手首のギブスを外す直前の頃だった。久子の話では、背骨の痛さを訴えた綾子を病院に運んだのは、久子だったという。「外科医でいい処を知らない」と電話を受けた久子が、例によって親切心を発揮しての素早いアクションを取ったのだ。こういう時には、久子が果敢に前に出て、何かと手助けをする場合が多いのだ。親切だと言えばその通りなのだが、何でも自分がやらねばといった「使命感」を持っているようだ。母親の面倒を診ているのだから、そこまでやることもないと思うのだが。それにしても、綾子の夫や娘は何をしていたのか、必要なら自分達で救急車を呼べばいいのと一考は歯がゆく感じる。何でも久子に頼る姉妹達の気が知れない。こういう実績の積み上げで、相坂家で、久子がますます頼りにされることになり、一考を差し置いて、実質「長男格」の地位を得ていて、この辺りが一考には堪えられない不満なのだ。
 さて、その時の話なのだが、、綾子を送り迎えして病院から帰って来た時に、一考に語った久子のセリフが一考を痛く刺激した。
「先生のお話では、もう少し遅れていたら、どうなっていたか分からなかったくらいの危険な状況だったらしい。ギブスで固めた応急処置をしてもらったのだが、無理な動きをして、背骨が少しでもずれたりすると痛みに繋がり、後の治療が凄く大変なの。完治するのに、少なくとも二三ヶ月はかかりそう。とにかく、雅子さんの病気よりも、お姉ちゃんの病気の方が、もっと大変らしいのよ」例によって、かなりの大げさな表現になっているのだろうが、一考は、久子が何を言おうとしているのか、このセリフの意図するところがなへんにあるのか、直ぐには理解しかねた。特に、取り立てて、二人の病気の大変さを比べることが、一考には気に入らなかった。多分、久子が言いたかったのは「もっと大変な病気を負っている人が身近にいることを伝え、雅子を勇気付けようとした」のかもしれない。
 しかし、綾子の病気の大変さを知ったことで、雅子や一考の負担が変わることはない。特に、雅子の病気は、新厚生で不治の病気で、一考と雅子にとっては、今後、永久に付き合わねばならない難病なのだ。久子の話し通りだとしても、綾子の場合は、今は大変かも知れないが、時間を掛ければ治る病気であり、そこに雅子の場合と根本的な違いがある。いくら、雅子を勇気付ける言葉だとしても、その根本的な大事なポイントには触れず、単に今の状況を比べての表面的な大変さの比較だけの話には説得性がない。それは、いわば、安っぽい的外れのリップサービスに過ぎない。一考は、そんな話を聞くと、直ぐに「カチン」と来る性格なのだ。(以下、明日へ続く)、

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302 民主党に亀裂?

 自分が政権をとれば、「ISAFに参加することを厭わない」と小沢代表が発言した。それに対し、前原副代表は、自分の考え方は小沢代表とは違うと反論した。小沢代表は「党の考えに応じられない者は、党を去ればいい」と強気の姿勢だ。どうやら、いつもの勝手な小沢代表の独断の片鱗が顔を見せ始めたようだ。
 政治家で一番大切なことは、自分の理念、思想を毅然として貫くことだ。打算的なことで妥協するような姿勢は許されない。その意味では、前原副代表の凛とした応接は立派なものでさすがだと思う。
 先の郵政国会で、自民党議員は踏み絵を踏まされた。あの場合は、殆どの人が郵政の民営化には賛成だが、方法論で飲めないといったケースが多く、取り敢えずは、意を曲げて賛成した人も多かったようだ。今回の場合は、それとは根本的に違っている。憲法解釈の基本に関わることであり、民主党の議員には、本当の意味で厳しい踏み絵が試されることになろう。各議員の理念、信念が試される重要な場だ。

連載(267) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (9)

 (4)慰めになっていない慰めの言葉 (その1)
 パーキンソン病の厄介なところは、進行性で治る見込みがないことである。今の治療では、せいぜい、その進行を遅らせるのが精一杯という。従って、現在行なわれている治療は、症状の進行を食い止めるために適合するお薬を求めて、お薬の配合、調整を繰り返す試行錯誤の行為である。
 そんな訳で、見舞って頂く際の元気付け方が難しい。普通の病気ならば「早く良くなればいいですね」とか「直ぐによくなりますよ。頑張ってください」といったような挨拶で申し分ないのだが、この病気の場合は、そうはゆかない。患者も、付き添いも、悪化することはあっても、良くならない病気であることを知っている訳だから、そのような慰め方は、この病気を理解していない「単なる口先だけの慰め」であって、却って、誠意のなさを露呈した挨拶になってしまう。要するに、この病気には、慰めのための適当な言葉がないのだ。敢えて言うとしたら、「大変でしょうが、とにかく頑張って下さい」という程度の言葉しかない。それ以上の何かを言おうとすると、それらは全て患者への「理解の無さ」を露呈して、面白くない気分を与えてしまうことにしかならない。
 しかし、いずれも良かれと思っての思い遣りだと思うのだが、結果的には、一考や雅子の心を不愉快にさせる「慰め方」を頂戴した事例が幾つかある。
 その一つは、この病気が進行性の病気であることを久子に説明した数日後のことだった。母屋の仏壇の前で顔を合わせた際に、その久子から言われた話である。
 「昨日、うちの村木が言ってたんだけど、自分の持病も、毎日毎日進行していていることには変わりない。つまり、このぐらいの年になると、誰もが広い意味で進行性の 病気と闘っているようなものなので、何も雅子さんの病気だけが進行性の病気だと、悲観することもないとね」その口調には、「だから、何もそんな神経質にそのことを心配することもないんじゃないの」と言いたげだった。結婚したての頃は、、村木のことはあまり口にしなったのだが、最近の久子は、信じられないくらい「村木が、村木が」とやけに強調することが多くなって来ていて久子も随分と変わったようだ。
 「村木さんの話は、老化現象の話だろう」一考は憮然として言い返した。いずれにしても、老化現象と進行性の難病とを一緒にされては、話にならない。慰めてくれようとしたのだろうが、このような誤解による慰め方は、却って反発に繋がる。いい加減な慰めは必要ないと、一考は頭の中で反発していた(以下、明日に続く)

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301 再び角福の対決

 昨日行なわれた福田総理と田中真紀子の対決は、あの三十五年以上前の田中角栄福田赳夫氏の闘い、いわゆる角福戦争を思い出させ、客集めには充分ネームバリューのある論争だった。
 中身は拉致問題と穀物問題だったが、拉致問題で、安否情報の扱い、特に、その発表を一時差し控えたが、それは誰の判断でそう決められたのかがを時系列で追いいながらの、田中真紀子の追及だった。福田さんあなたの責任だったのではと言いたかったのであろう。福田氏は、そんんな細かいことは今は記憶が曖昧で、今すぐ二は答えられない。それを聞きたかったなら、何故、質問の事前通告してくれなかったのかと切り替えした。
 はっきり言って、この対決は、期待していたほど面白くはなかった。福田総理の飄々とした対応が目だっていたと思う。
 それにしても、拉致問題に関して言えば、あの金正男を羽田空港で確保した際に、同氏を国外に逃したときの外務大臣は田中真紀子だった。彼女はそのことで、ミス判断をしていて、それについて弁明するのが先ではなかったろうか。

連載(266) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (8)


 (3)過剰な思い遣り、有難迷惑? (その2) 
 「雅子、これは何なのかい?」一考は、何か吹っ切れないものを覚えながら、近くで片付け物をしていた雅子に感情を抑えた低い声で尋ねた。
 「ああ、それね、紗希さんが書いてくれたものなの。私が留守にしていたので、メモにして置いてくれていたの。先日、宮崎の日南に旅行した際に鵜戸神宮で、私の病気のことについても、治るようにとお祈りをしてもらったというのよ」雅子は淡々とした口調で説明した。紗希というのは、一考の一番上の姉の綾子の一人娘である。帰郷前に電話で「遺伝云々」のことでもめた際に、電話の後ろで母をかばっていた娘だった。一考の長男の太郎とほぼ同い年で、双方とも未だに独身なのだ。
「そうか。紗希さんか。わざわざお祈りしてくれたんだね」一考は、そう言いながら、紗希の性格なら、このように、丁寧に書いてくれるのは理解できると思って、ゆっくりと頷いた。もともと、親切な娘なのだ。
 「あの娘なりに、一生懸命書いてくれたんでしょう」雅子も軽く相槌を打った。
 「でも、あれだね。こんなに、あれこれと細かく指示されるような内容は、山本リンダの歌じゃないけれど、少し困っちゃうね」
 「何を言ってるのよ。そんな古い歌を持ち出して」
 「でも、そうだろう。それを守らないと、悪いことが起きるのではと不安にも繋がる」雅子の気持ちがどうなのかを知る意味で、一考はそう言って彼女の反応を見た。
 「それは、そうだけど。気の優しい娘さんだから、自分のお願いだけでなく、ついでに私の分まで気を遣ってくれたのでしょう」感情を抑えているのか、雅子の説明は、淡々としていて紋切り型だ。
 「ご親切は多とするが、ここだけの話しだけど、内政干渉で、余計なお節介だよね。」
 「そんなことを言ってはいけないわ。あの娘なりに、一生懸命やってくれたんだから」
 「いや、いや冗談、冗談。君の言う通りだよ。紗希の好意なのだから、有難く承っておこう」雅子の落ち着きに、逆に一考が諭された気分になって、それまでいらついていた気持ちが落ち着いてくるのだった。。
 「確かに、気持ちはしっくり来ないけど。それなりに気を遣ってもらっているんだから感謝しなくちゃ。ただ、自分の病気が、こうして皆の話題になっていると思うと悲しいわ」
 多くの小姑達との「和」をモットーにしている雅子の気持ちは複雑で、あくまでも自分の気持ちを抑えての返答だった。一考は、そんな気遣いが、この病気の遠因になっているのだろうと思うのだった。(以下、明日に続く)

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300 負け方の美学

 昨夜行なわれたボクシングのWBC世界フライ級タイトルマッチはチャンピオンの内藤大助が同級14位の亀田大毅を3-0の圧倒的な大差の判定で破り、初防衛を果たした。今朝の新聞各誌、テレビ各局では、「どんな負け方よりも最低」とか「ボクシングを汚された」といった見出しやコメントがいっぱいだった。
 筆者は、この中継は見ていなかったが、それらの報道を見る限り、亀田氏の戦いは反則連発の酷いものであったようだ。幾ら格闘技であるとはいえ、負け方の美学が全く見られないと言うのは悲しい。
 筆者は将棋が好きで、思わず、あの大山十五世永世名人の言葉を思い出した。「将棋を指していて、一番苦しいのは、自分に負けを言い渡す時で、その後は、きちんとした棋譜を残すために然るべきところまで指して投了する」というものだった。
 世界が違うとはいえ、将棋も知能の格闘技だ。もともと、亀田一家には、あまりよからぬ評価もあってその成り行きに注目していたが、ここで馬脚を出したのだろう。
 人生も同じで、去り際は綺麗いでありたいと思っている。自分の人生を勝ち負けで言えば、「負け」であったことは確かであり、今の介護生活で精一杯闘いながらも、その最後は美学の精神を発揮したいと思っているのだが、………。

連載(265) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (7)


 (3)過剰な思い遣り、有難迷惑? (その1) 
 帰郷して間もない2005年3月初め、春の兆しが見え始めた穏やかな日だった。
 この日はのんびりした一日で、一考は、普段手がけない本箱や箪笥などの整理に当てていた。一通り、目だった所の整理を終えた一考は、やおら、リビングルームに移動した。そこには、ソファーをL字型に並べていて、そのコーナーに物入れになっている木目のボックスがある。普段は、書籍や雑誌、郵便物を一時保管するために使っていたが、雅子の多忙とこのところの手の不自由さが重なって、手入れが出来てなくて、いわばブラックボックスと化していた。
 一考が、それらの雑多な中身の整理を進めてゆくうちに、新聞の折り込み広告紙の裏にマジックペンで書かれた一枚のメモを見つけた。そこには、次のような一文が記されてあった。
「神様に、毎朝、お願いをして手を合わせて下さい。
 月に一度でも、お墓参りをして下さい。行けない時は、おうちで、相坂家のご主人(直接血をひく人)がする方が、ご先祖様も喜ばれます。
 ご婦人の病気も良くなります。
 絶対にあきらめなくてイイですよ。とお話を聞いてきました。
 神様にお祈りする時は、朝六時以降、夜までで、夜中はダメです。
 お墓参りは午後は避けましょう。
 神様は感謝とお願いをきいて下さいます。
 仏様は、ご供養と感謝をしましょう」
 何気なく目を通した一考だったが、明らかに、雅子の病気を対象とした内容と思われ、雅子の行動を細かく指図している内容だった。それだけに、読み終えた一考の気分は面白くなく、何となく後味の悪いものだった。神様や仏様に祈りを捧げたり、お墓参りの時間まで制限していて、その通りするには厄介だった。こんなに細かく他人様から言われるのは、心穏やかでない。晴れていた空が急に曇るが如く、目を通している一考の顔が次第に曇って行った。(以下、明日に続く)

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299 政治家に向かず

 「普通の生活に戻りたい」 幾度か耳にしたセリフだ。およそ30年前にキャンディーズという美人三人の歌手グループが、更には、23年前には、あの都はるみが同趣旨の発言をして、一旦芸能界から姿を隠したことが思い出される。
 今度は、政治家がこの言葉を使った。自民党、愛知県選出の木村隆秀衆議院議員だ。既に4期務めたというから中堅の若手議員だ。27歳で県議員からスタートし四半世紀を経て、自分が政治家に向かないことを宣言した訳で、ある意味では立派な決断だと言いたいが、決断が遅過ぎるとの批判は避けられないだろう。投票をした人たちにとっては、肩透かしを食らった気持ちだと思う。 上記歌手の場合と違って、まさか、将来、再登場されることはないだろうと思うが、……。 
 さて、筆者も今は厳しい介護生活を送っていて、出来ることなら、普通の生活に戻れたらと思うこともある。戻れる人は幸せな人たちだ。

連載(264) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード 76)

(2)病気の原因は遺伝? (その4)
 綾子との電話を終えた後、後味の悪いものを感じながら、一考は、誤解があってはいけないと、改めて、「何の裏付けもない遺伝なんていうことを軽率に言うものではない」との自分が伝えたかった主旨を葉書にメモして送付した。しかし、姉からは何も言ってこなかった。そのことがあってかどうかは定かではないが、次の年の正月には、綾子夫婦は風邪をひいたということで、母親のところにも顔を出さなかった。送られて来ていた娘の年賀状には「ふつつかな母だが、自分にとっては大事な母なので、苛めないで欲しい」と添え書きがあり、一考の気分を再度悪しきものにした。
 一考は、久子や綾子が「遺伝ではないか」と言い出した背景に、改めて思いを馳せながら、そこには、彼女達の願望と云うべき防衛本能の存在を感じ取っていた。つまり、世間で一般的に言われる「小姑の虐め」といった批判を避けたいとする気持ちが、反射的に働いたと言えるもので、それは、ごく自然な思考の流れでもあった。
 換言すれば、雅子の病気が自分達に関係のない原因であって欲しいとの潜在的な彼女らの願望が、さし障りの無い「遺伝」という発想に結びついたのは、ごく自然な流れであったと言えるのだ。それが、姉妹の絆を大事にする彼女達の間に、阿吽の呼吸で、そんな考え方が浸透して行ったのは、容易に理解できた。殺人事件で、容疑者にされかねない立場の人間が、自分達と全く関係のない処から、思いも寄らない容疑者が出て来るのを歓迎するような心境で、「遺伝」という容疑者を仕立て上げたのだろう。逆に言えば、それほどまで、雅子の病気には、自分達は全く関係がないことを強く訴えたかったのだろうと一考は解釈したのだが、一考の頭の中には、そんな重いが全く存在していたなったことから、逆に虚を突かれた気持ちでもあった。
 そんなことがあって、一考は、改めて遺伝との関係について雅子の購入していた三冊の本を取り出してきて、もう一度その辺りの箇所を読み直した。その結果、「遺伝とは関係ない」とする記載は幾度が出てきたが、それを肯定する内容は全く見出せなかった。また、雅子の次の定期診察日に春日先生に、そのことについて確認したが、「遺伝は関係ない、原因は、今のところ分かっていない」ということを淡々とした口調で話してくれた。(以下、明日に続く)

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298 予算委員会

 いよいよ予算委員会が始まった。自民と民主の本格的な論戦が開始されたのである。昨日は、先ずは民主の長妻昭委員が登板、持ち前の年金を中心に攻勢をかけた。受けて立つ舛添大臣も力で振り払おうとするが、中身が伴わない。レガシーシステムでは能力に限界があって、長妻委員の要求するデータが出てこないと逃げる。新しいシステムが動き出せば何とかなると言うのだが、果たしてそうなのか。この辺りは長妻氏が優勢と思われた。
 今日は朝から菅直人代表代行、馬渕澄夫委員、前原誠司副代表、岡田勝也副代表らの民主のエース級が相次いで質問に立つ。面白い白熱の論議が展開されそうで楽しみだ。
 余談だが、この種のテfレビ中継を見ていて思うことだが、速記者が入れ替わり立ち代り出入りしているのが目に付く。今どき、記録媒体は技術的に飛躍的に進歩していて、速記録なんて本当に必要なのかと思うのだが。記録もDVDで充分ではないか。そうすることで、経費節減にも直結するのだが、どうだろう。

連載(263) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (6)

(2)病気の原因は遺伝? (その3)
 一考の「この種の病気は精神的な負担が引き金になっている」という発言は、雅子が買って来ていた本の中で、「癌は、2~3年という比較的直近のストレスが引き金になって発症するケースが多いのに対し、パーキンソン病は、緩やかなストレスが長期的に持続する中で形成される病気で、頑張りやさんが罹り易い病気とも言える」との説明部分を頭に置いたものだった。
 この内容を知って、一考自身が、それなりに自己反省を余儀なくされていた。それと云うのも、仕事優先の考え方から、二十年近い長い単身赴任生活で、雅子を一人ぽっちにした上に、子供のこと、両親のことなどの厄介なこと全てを丸投げにしてきたことによる負担が影響したのではと思ったからである。そこには、自分の勝手な行動による付けが回って来たのだという一考の反省があった。
 「皆でなんか何も言ってないわ。単に、私がそうじゃないかと思っただけだわ」明らかに、綾子は動揺していた。今までになかったような一考の激しい口調で、自分達のの結束が固いと言われたことが、痛く綾子を刺激したようだった。
 「考ちゃんがいう、精神的な負担が引き金っていうことは、私達、小姑達が雅子さんを苛めたからだとでも言うの? そうでなくても、いつも大変な気を遣ってお付き合いしてきているのよ。そんな勝手な理屈は許さないわ」綾子は、泣き出しそうな声で、溜まっていた不満をぶっつけ、最後は開き直ったように食いついてきた。そこには、綾子達は、自分達に非があるのではとの誤解を受けることへの不安が、思いのほか大きいように感じられた。だからこそ一考は、彼女達が、遺伝と云う要因に縋り付こうとしたのではないかとの思いに至るのだった。
 「そうじゃないんだよ。勝手な解釈で勝手なことを言ってもらっては困る。誰も、雅子を苛めたって言っていないじゃないか。長い間、雅子に全てを任せて放って置いた私が悪いと言っているんだよ。皆が、それなりに気を遣ってくれていることには感謝しているが、何しろ、一人で、二人の息子達と夫の両親の面倒を看るということは、一筋縄ではないことは、君らも分かるんじゃないか? 顔で笑っていても、大変な精神的な負担だったことには間違いないんだから」 小姑が苛めたという綾子の言葉に、一考は興奮した口調で、自分の発言した内容の背景を厳しい口調で説明した。その二人の電話の様子が気になったのか、後ろで、綾子の一人娘が、母が苛められているとでも思ったのか「誰なの? あのおじちゃん?」と母に詰め寄っている声が聞こえて来た。娘が親をかばっているとは云え、その娘の声に不快感を覚えて一考の声が一段と大きくなった。(以下、明日に続く)

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297 アークエンジェルスとの攻防

 病歴のある犬の保護施設建設に反対する滋賀県高島市今津町の住民の闘いはお見事だった。6日と7日の深夜、二回に渡って、多数の犬の搬入を敢行しようとした大阪市の動物愛護団体「アークエンジェルス」(林俊彦代表)に敢然として立ち上がり、バリケードを築いてこれとにらみ合い、いずれも、その搬入を阻止したのである。アークエンジェルスは、とりあえず、撤退した。そこには、犬の健康保持に長時間の闘争は持たないと事情があっったようで、この弱点は高島市民にとっては、今後とも貴重なポイントになりそうだ。
 アークエンジェルスの行為が法的に違反しているか否かは定かではないが、市民感情としては充分に理解できるもので、県民の一人として、この反対運動を支持したい。心強かったのは、高島市長の海東英和氏が先頭に立って頑張ったことだ。道路交通法で解散を命じる、いわば、自分達の仲間である高島警察とにらみ合った形は、複雑で微妙なものだった。それでも、高島警察側が、解散を大儀に市民を逮捕するような強行に出なかったことで、ほっとしたものを感じた。。
 動物保護も分からないではないが、その前に、素性の怪しげな犬を持ち込み、その安全が明確にされていない市民の立場を理解すべきである。人間の安全が、犬の保護よりも優先すべきであることを忘れてもらっては困る。
 このニュースは、大阪の朝日放送が夕方の番組「ムーブ」で取材を続けていて、タイミングを見て放映してくれているので、その動きが分かり易い。中でも、市民に最後通牒を宣言するアークエンジェルス林代表の不遜な態度は頂けない。さあ、どうなるか。今後のアークエンジェルスの出方が心配だ。

連載(262) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (5)

2)病気の原因は遺伝? (その2)
 厄介だったのは、久子はおしゃべり好きで、親族間でも放送局と揶揄されているような癖があることだった。「他言しないでね」と付言しているようだが全く意味がない。この件も、多分、姉妹間では既に話題になっているのだろうと一考の怒りは小さくは無かった。
 一考は、タイミングを見計らって雅子に電話で、子宮云々の事実関係を確かめたが、「そんな手術を受けたなら、入院が必要でしょう」と軽く一蹴された。そして、年に一度、会社から送られてくる「子宮癌検診」に出掛けていたのを、母親が誤解したのではと付け加えた。
 いずれにしても、何の根拠もないいい加減な出鱈目が誠しやかに、喋り好きの久子がついつい言いふらしてしまったのだろう。
 それから数日後、別件で長女の綾子と電話で話した時だった。要件を話し終えたところで、何を思ったのか、突然に綾子が雅子の病気のことに触れたのである。
 「私ね。あの病気は、きっと遺伝と関係があると思うの」先日、次女の久子が口走ったのと同じ内容だった。二人の姉が同じことを口走ることに、彼女達が通じ合っていると承知しながらも、一考は心穏やかではなかった。
 「お姉ちゃんは、あの病気のことには詳しいのかい? 何か特別に勉強でもしてくれたの? それとも、誰か、詳しい人じからか聞いたの?」込み上げてくる怒りを抑えながら、一考は穏やかな口調を装って確認した。
 「いや、そういうことじゃなくて、何となくそう思うの」一考が、怒りを抑えて話しているとは知らない綾子は、平然とそう言った
 「何となくじゃ困るじゃないか。そんな大事なことを口にするのだから。この間も、久子から、同じことを言われたんだが、皆が、そんなことを面白おかしく言い合っているのかい? 何しろ、君たちは結束が固いんだから」一考の口調は、それまでの言い方のトーンとは、ぐっと高いトーンに変化していた。
 「じゃあ、お医者さんは何と言ってるの?」綾子が開き直って突っかかってきた。
 「医者は、原因は分からないと言ってるんだよ。専門医がそう言ってるのに、勝手なことを言ってもらっては困る。自分が調べた限りでは、この種の病気は精神的な負担が引き金になっていることが多いんだ」いい加減なことをいう姉達への怒りと自らへの反省を込めて、一考は、更に厳しい口調で綾子に迫った。(以下、明日に続く) 

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296 がん生存率

 数日前に、がん5年生存率が公表されていた。全国25施設での結果だが、全体としては、かなりの高率で生存可能と云うことである、がんの種類別では、乳がんは90%と最も高く、最も低いのが肺がんで、50%そこそこだ。胃がんと大腸がんは、乳がんに次いで高く、80%台である。ただし、病院による差が、20~40%あって、やはり、技術や設備の整った病院でお世話になることが、命の長さを決める大きなファクターの一つのようだ。
 いずれにしても、不治の恐ろしい病気といわれた時代からの大幅な脱却が進んでいる。医学の進歩は目覚しく頼もしい。そういう意味では、より早く発見することが、生存を高めることに直結しているといえる。
 そんな頼もしい医学会だが、命には関わりないとは言え、女房の雅子が苦しんでいる「パーキンソン病」に関しては、大きな進歩が見られていない。病気の進行を抑える技術はいろいろと見つかってきているが、これも個人差があって、雅子の場合は未だ病気が進行中で、抑えられる薬の組み合わせは見つかっていない。進行性の病気の悩ましさは、「今日は何処まで行ったやら」ではないが、不安と共に毎日を過ごしている。従って、病気そのものを完治させる医術は、この病気に関する限り、今のところ存在していないようだ。雅子の生存中に、医術の画期的な進展があることを願っている。

連載(261) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (4)

2)病気の原因は遺伝? (その1)
 話は少し遡る。一考が帰郷を決意し、その準備を進めていた2004年12月中頃の話である。二人の姉からほぼ同じタイミングで言われた言葉が、一考を痛く刺激したことがあった。いずれも、一考が東京にいて電話でのやり取りでの話である。
「この病気は遺伝性があるんじゃない?」母屋の縁側のサッシを新しいものに取り替える工事の件で、久子と電話で話をしている時だった。話の弾みで、話題が雅子の病気に関することになり、そのことで、久子が指摘したのだった。
 「遺伝って、どんな根拠があって言っているんだ?」咄嗟に一考は聞き返した。雅子の話では、医者からは、原因については分からないとしか聞いていない。
 「特殊な病気でしょう。何となく、そう思うの。それに、母から聞いたんだけど、雅子さんが子宮の切除手術を受けたらしいということだけど、そんなことも関係してるんじゃないの?」淡々とした口調で畳み掛けてくる久子の話に、一考は思わず受話器を握り直した。遺伝の話もさることながら、子宮切除なんて全く藪から棒の聞き捨てならないとんでもない話だった。
 「何! 子宮切除って何の話だ? 雅子が子宮を切除したということかい? そんな話は寝耳に水だ。冗談は止してくれ!」憤慨した気持ちを懸命になって抑えながら、一考は冗談っぽく切り返した。夫に相談もなく、子宮切除をする妻がいる訳がない。
 「夫だからといって、妻のことは何でも知っていると考えるのは間違いよ。女には夫にも話していないことはいろいろとあるのよ。あなたは知らないだろうけど、雅子さんは、いわば、やりたい放題よ。何をするのも自由だし、何処へ出かけているかは知らないけど、外出は頻繁にしているわよ」久子は、一考の抗議にも平然として、思いも寄らない女の立場を強調した。
 久子が極めて特異な考え方の持ち主であることは一考もよく承知している。しかし、自分の妻のそんな大事な話を臆することなくぬけぬけと言ってのける久子には、一考の驚きを遥かに超えていた。
 「君達夫婦がそうだからといって、勝手なことを言ってもらっては困る。子宮の有無なんて話しは、雅子に確認すれば直ぐに分かるこだ。余計なことを皆に言いふらすのは君の悪い癖だ。外出だって用事があればする訳で、彼女も籠の鳥ではないんだから。君は、そんな勝手な話に責任は持てるのか!」
 「遺伝」だの「子宮切除」だの、いい加減な話に、一考は、込み上げてくる怒りと戦いながら、握っていた受話器を激しく置いた。一考の胸中は怒りで荒れ狂っていた。(以下、明日に続く)

タグ : がん生存率 パーキンソン病

295 ベトさんの死

 あのグエン・ベトさんが26歳で亡くなった。1981年に、ベトナム戦争で撒かれた枯葉剤の影響とみられる結合体双生児の兄として生まれた。1988年には分離手術に成功したが、昨日、ホーチミン市の病院で、その短い人生を終えた。筆者の妻、雅子の難病とは比較にならない、大変な厳しい人生を送られたことに敬意を表したい。ご冥福をお祈りします。
 人は生まれながらにして平等ではない。大きなハンディを背負って生まれてくることが結構ある。神様の平等精神に基づく配慮では、どうしようもない科学の存在があるからなのだろう。人間が研究し開発した技術が、人間を不幸に導くことになるのは、とても悲しいことだ。戦争と云う人間同士の争いの場が、恰も、建築で言うモックアップテストのように、格好の場として、新しい科学技術が試される場に使われていて、悲劇を生む大きな要因となっている。
 戦争にも、最低限守らなければならないルールがあるはずだが、それが守られないことが多い。あの広島、長崎の二の舞は、決して許してはならないが、それが絶対的に守られるという確証は何処にもない。悲しいことである。

連載(260) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (3)

(1)久子にまつわるエピソード (その3)
 久子の大げさな表現の最近の事例を二、三紹介してみよう。先ずはお墓のお話である。
 相坂家のお墓は、数年前までは逢坂山の一角にある高山寺にあった。そこは大変不便なところで、出掛けて行くのが容易でなかった。特に、車で行く場合、その道が細くてきつい坂道に加えて、駐車場も狭くて、運転に苦手なものにとっては行き難い処だったので、久子は、そこへは行ったことがなかった。
 2002年に、そのお墓を今の三井寺霊園に移したのである。これで、お墓参りもし易くなり、今では、姉妹達のお参りも増えている。
 ある日、初めてその新しいお墓に行って帰って来た久子が、うちのお墓だけ、傍で焚き火をしたように汚れていたので、大掃除をして来たというのである。この話に、一考は不快感を覚えた。一ヶ月に一度は行ってちゃんと掃除をしているから、。そんなはずはあり様がない。どうやら久子は、うちの墓石は、前にあった墓石を移動させたもので、色や光具合が、周りの他の墓石と違っていると知らずに、汚れていると錯覚したのだろう。一考は直ぐに管理者にも確認したが、そんな焚き火なんてあり得ないということだった。自分達の管理が行き届いていないと指摘されたようで、一考は大いに不満だった。
 最近では、シロアリの話は、大げさでユーモラスな話だ。久子が母屋の裏の倉庫を掃除していたら、シロアリが飛び出して来たという。その時に、蟻が高さが2~3メートルほど、噴出すように飛び出して来たと大きなジェスチャー交じりで表現した。その大げさな仕草がユーモラスで、思い出すと、今でも噴出しそうになるのだ。もちろん、シロアリらしきものは、直ぐに近所の処理屋さんに頼んで床下掃除をして貰った。
 また、一考が「執念」を出版した際には、久子が知り合いにこまめにPRしてくれたのだが、その際、母親の妹が応援してくれるという話を伝える際に、彼女には友人が100人ぐらいいるので期待できるというのだった。もう80歳を過ぎた婦人に、そんな多くの友人がいるって考えられない話なのだが、いとも簡単に「100人」という辺りにも、中国人に比べれば二桁は小さいが、久子の大げさな表現が大いに発揮された一例だ。なお、案の定、そんな数の販売が出来たというような情報は聞いていない。(以下、明日に続く)

タグ : グエン・ベト ベトナム戦争 枯葉剤 結合体双生児 執念

294 頂けない事

 来る11月1日に期限が切れる「テロ特措法」の対応が今国会の最大の課題だが、今までの議論を聞く限り、かつては、そこで給油された油がイラク戦争に使われていたことは事実のようだ。自民党も事実は事実とし認めた上での対応策を堂々と議論してもらいたい。 
 油がイラク戦争に使われていたことについては、当初は、何処にでもあるどんぶり勘定的なこともあったろうし、米国のイラク戦争を支持していた事実などから、止むを得なかったという見方も出来ないことはない。従って、今後はどうするかを明確にして、国益を失わないような対応を選択すべきであろう。頭から、憲法違反であるからと言って、話し合いもしないという小沢代表の考え方は頂けない。
 頂けないといえば、社保庁の年金横領問題だが、ここに来て、舛添大臣と地方自治体のトップとのやり取りは、本質を離れた展開になって来ている。「小人の戯言」というのは、やはり言い過ぎで、舛添大臣も一歩下がって適切な対応をした方がいいのではないだろうか。国民は冷静に見ていますよ。
 大相撲の世界では、時津風親方が解雇されるに至ったが、各部屋での稽古のあり方にも頂けないことが多いようだ。とにかく、今の世の中には頂けないものが氾濫していると言える。

連載(259) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (2)

(1)久子にまつわるエピソード (その2)
 久子には、物事を大げさに表現する癖がある。このことで、何回か驚かされたことが思い出される。
 将棋の竜王戦ツアーで雅子と二人で韓国旅行に行った時の話である。結果的には、二人の海外旅行はこれが最後になったのだが、その時点では、雅子の症状もそれほど目立ってはおらず、食事をするのが少し難儀な程度で、それを手助けしてやることで、旅行は可能だった。2004年10月のことで、その間は、久子が母親の面倒を見てくれていた。その時に相当に風の強い台風が近畿地方を襲っていた。帰国した二人に電話で伝えて来たことは、その台風で、車の車庫の屋根が壊れ、その音で一晩中寝られなかったし、破片が隣家に飛んだことで、迷惑を掛けたので、お詫びに行っておいたという。
 車庫の屋根は樹脂製なので、何かが飛んで来て当たって割れたのだろうと一考は思った。ともかく、謝るような内容ではなかったが、そのことで夜も寝られなかったというから、「大変だったね」と慰労したが、台風なら仕方がないじゃないかと思っていた。
 そんなこともあって、急いで帰宅したが、現場を見てみると、ほんの数十センチ角ほどの樹脂が吹き飛んでいるだけで、それほど大した被害ではなかった。念のため隣にお詫びを申し上げたが「大したことはなかったですよ」とのことで安心した。
 要するに、久子の言い方は、一晩中「がたがた、びしびしと音がしていて、寝られなかった」とか、「車庫が壊れた」とか、表現が大げさなのが厄介なのだ。
 こういったトラブルは、不思議と雅子が東京に来ている時によく起きていた。普段なら、雅子が対応していて何ともないことが、いない時には、久子には分からないことが出て来て、思わぬ問題になってしまうからなのだろう。
 ある時は、雅子が数日の休暇をもらって一考のマンションに来た時だった。着いた日の夕方に、久子から緊急の電話があって、「近所のYさんかのメモが入っていて、訴えられているので、直ぐに帰ってきて欲しい」という連絡を受けた。「訴えられるって」一考にも、雅子にも全く思い当たることはなかったので、何事だと思って、急遽、予定を変更して帰ってのである。しかし、結果は、久子の早とちりで、市から、境界線を今一度確認したいので、Yさんと一緒に立ち会って欲しいという内容のメモだった。早とちりも甚だしいと、不快感をもったこともあった。(以下、明日に続く)

タグ : テロ特措法 イラク戦争 舛添大臣 時津風親方

293 ポストシリーズ

 米国大リーグでは、昨日からポストシリーズが始まっている。ワールドシリーズへの出場権を争っての短期決戦だ。日本でも、今までのパ・リーグに習って、今年から、セ・リーグでもクライマックスシリーズと称して日本シリーズ出場権を争う短期決戦が行なわれることになった。
 日本の場合は、レギュラーシレーズで優勝出来なくても、そのリベンジを果たすいい機会になる。一方で、逆に、優勝チームでも、これに負けると全てを失ったような扱いになり、それまでのレギュラーシリーズでの苦労が水泡に帰すことになりかねないだけに、何だか奇妙なシリーズなのだ。そういう意味では、見たくない巨人軍の原監督の笑顔が消えるチャンスでもあるだけに、興味を持って見守りたい。
 ところで、サラリーマンでも、会社勤めを終えてからも、更に頑張っている方々も多い。いわゆるポストシリーズの過ごし方は人それぞれだ。筆者は、レギュラーシーズンでの成績が今一つだったことで、自分なりにポストシリーズに挑戦し、3年間闘った。しかし、妻の難病という想定外の課題を負うほろ苦い結果となった。それでも、決して、負け惜しみではなく、そのことで、大変だけど、毎日の介護生活に、何か生き生きしたものを味わえている。
 とはいえ、一般の社会人のポストシーズンの過ごし方は、無理をせずのんびり過ごすのが最もいい過ごし方であること言うまでもない。

連載(258) 難病との闘い
      第十章 笑うに笑えないエピソード (1)

 左手の人差し指に違和感を覚えて6年半、病名を告げられて4年、急激な悪化が進んで1年半が経過した。その間、いろいろと対応に追われたが、特に、この1年半は、介護に明け暮れた毎日だった。周りの人たち、友人などからの温かい配慮を頂戴しての難病との闘いだが、その中では、思いも寄らないハプニング、笑うに笑えないエピソードも数多く生まれた。そこには、うっかり、早とちり、行過ぎた思いやり、配慮、誤解、価値観の相違など、諸々の要因が絡まったものが多く、身内の間においてさえ、時には激しい怒りを伴うものもあった。その辺りの幾つかの話題について取り上げてみたい。

(1)久子にまつわるエピソード (その1)
 母親は現在95歳である。よちよち歩きは可能で、年の割りには元気だ。時々、転んだりして怪我をしたり、ちょっとした風を引いたりするので、病院へ連れて行くのが大変である。そんな母親の面倒を一手に見ていてくれるのが姉の久子である。
 異常なほどの両親思いの姉久子は、一考の三つ年上だ。年が近い上に、価値観が大きく違うことから、相互に張り合う関係になっているのは止むを得ない。特に、親孝行に対する考え方は180度違っているから、それが二人の間の摩擦の原因になることが多かった。
 一考が今までに聞かされた久子の言葉には、理解し難い幾つかの名言(迷言)がある。「自分は、両親の面倒を見るために生まれて来た」「親孝行は、親の背中を何回さすってあげたかである」「長男は、東京なんかの遠隔地に就職すべきではない。親の傍にいられる職業に就くべきだ」
 これらは、一考のそれまでの人生を全面的に否定する考え方である。40年近いサラリーマン生活の殆どを東京近辺で過ごしてきた一考には、なかなか納得できない考え方だ。
 しかし、今では、母親の面倒に徹してくれている久子には、大いに感謝している毎日だ。帰郷した直後は、母親の面倒は自分達でやろうと考えていたのだが、雅子の思わぬ病気でそれが出来なくなったことで、久子の面倒見は不可欠になったからである。
 それでも、せめて食事作りぐらいは、ある程度自分でやりたいと頑張って、当初は、雅子が担当していた週の6日間を担当することにした。(なお、食事は、以前は、雅子が毎日担当していたが、通院することになって、その通院曜日を久子が代わってくれるようになっていた。)それが、一年ほど前に、一考の雅子への介護の大変さを配慮した久子から、「近くにいる姉妹もかわるがわる担当することになったから」という取って付けた申し出があって、週4日間の担当に減った。更に、2ヶ月前からは、母親の朝の食欲が今一つだから、その様子を見て出す要があるということで、朝食兼昼食は全て、久子が面倒を見てくれるようになり、一考の担当は、今では、週4日間の夕食だけに後退してしまった。正直言って、それに対抗して頑張る意欲がなくなって来ているのも事実だ。
 ここまで、両親を思っている子供っているのだろうか。まさに、超親孝行の典型で、一考の理解を遥かに超えている。まさに、24時間の内、その殆どを母親に捧げているのだ。
 ある時、早朝の5時頃に、またある時は、夜の遅く11時頃にそっと家に入って来た処に出くわした。泥棒かとびっくりして、怒鳴りつけたことがある。「ちょっと心配事があってので」と弁解しながら「今までにも何回か来ていた」というので「そんなことは、電話してくれれば済むこと」と叱りつけた。こちらにしてみると、そんな時間帯に、知らぬ間にそっと出入りされると、気味が悪い。とにかく、とてもついて行けない姉のウルトラ親思いだ。(以下、明日に続く)

タグ : ポストシリーズ クライマックスシリーズ 原監督

292 代表質問

 漸く、国会での論戦が始まった。満を持して(?)質問に立った民主党の鳩山幹事長長妻政調会長代理の質問内容に注目していた。鳩山氏の内容は、今までの代表質問のパターンと同様のものだったが、長妻氏のものは、微に入り細に入ったもので、何と70数項目について迫ったものだった。今までなら、この種の細かい内容は、予算委員会や各種の委員会で行なわれるようなものなのだが、この代表質問の場に持ってきたのは新しいパターンだ。質問だけ聞いているのには、迫力もあって違和感がないが、答弁が一対一での答弁でないので、少し間が抜けたような形になってしまうのが物足りない。いずれにしても、新しい攻め方だったことは確かである。
 それに対して、相変わらず、というのが六カ国協議だが、共同文書を発表するということで、形の上では進展があったように見えるが、北朝鮮ペースであることでは変わっておらず、肝心の声明の中身でも不透明なことが多い。一方、7年ぶりの南北会談に顔を出した金正日は、最近になって、アルツハイマーではないかとの噂が流れていたが、映像で見る限り、そんな感じは見受けられていない。ここでも、北朝鮮ペースで進んだ。本当に掴まえ所のない正体であることでは、以前と全く変わっていない。
 不気味な北朝鮮であるが、今後どんな展開を示すのか、だらだらとした長編ドラマを見るようだが、飽きずに忍耐強く見守りたい。

連載(257) 難病との闘い
      第九章 介護生活の実態1 平成19年春から夏 (35)

(7) 2007年6月19日 曇り (実姉の見舞い その5)
 「久し振りに雅子に会われて、どんなご感想?」一考は、話題を転じた。
 「そうね。あんまり変わってはいないと思うんだけど」少し、躊躇した口ぶりで、言葉を選ぶように霧子は答えた。そこには、多分に雅子に余計な落胆させなよう姉としての配慮が窺えた。
 「そうならいいんですけど。傍に居ると、底の無い沼のようなもので、もう、この辺りで落ち着くのかと思ったことが何回もあったのですが、その都度、それが裏切られているんですよ。最近では、手摺に捉まって自分で立つ力も衰えてきていますね」一考は、この辺り、気落ちさせない配慮を弁えながらも、あまり小手先のことには拘っていない。
 「自分一人では、全く動けないんでしょう」霧子も、気の毒そうに、そう言って雅子を見た。
 「そうです。ですから、室内の移動も、全て車椅子を使っています。結構、厄介なんですよ。しかし、移動といっても、トイレ、洗面、お風呂、寝室といったところだけで、、動きの範囲もごく限られています」自分で動けないから、そうならざるを得ないところが気の毒であると、一考は同情しながら説明した。
 「致し方ないわね。ところで、その後、便秘の方はどうなの?」
 「2月半ばから暫くは大変だったのですが、ここに来て、ファーバー製品を服用することで、何とか落ち着いています。それよりも、言葉が不明瞭になって来ていて、苦労するのですよ。何を話しているかを聞き分けるのが大変なんです」最近の苦労に話が進んでいた。
 「そのようね。口の動きが少し不自由になって来ているようね」霧子も気の毒そうにそう言った。
 「運動機能が低下してくるのは、この病気の特徴だそうです」一考は頷いた。
 そんな話が一段落すると、雅子はお姉さんに、お願いがあると言い出した。少し甘え気味になったのも致し方がない。一考がこまめに出来ていない爪きりや耳掃除などを霧子に頼んだのである。
 その後、姉妹二人は、デパートから送られてきている商品カタログのチェックを始めた。最近、この通販をよく利用している。毎月、送られてくるカタログなので、一考のサービスも不足勝ちになるのだ。しなし、二人は、カタログを見ながら楽しんでいた。
 一考が霧子を車で西大津駅に送るために家を出たのは5時を過ぎていた。その車の中で  「介護付き老人ホームには、大変なお金が掛かりますが、母親の遺産を少しは持っているはずですから、それを用立てて下さい」と話してくれた。
 「まあ、お金のことは何とかします。ご心配なく」と一考は言ってみたものの、実際にどの位掛かるのかが気になっていた。毎月の管理費が馬鹿にならない金額が予想されるからである。
 翌日、雅子がお礼の電話したいのでというので、繋いでやると、思わず涙が込み上げてきたようで言葉にならなかった。一考が感じているよりも、雅子はお姉さんの来訪が嬉しかったようだった。(この章はこれで終り、明日からは第十章 笑うに笑えないエピソード をお送りします) 

タグ : 鳩山幹事長 長妻政調会長代理 六カ国会議 金正日 南北会談 アルツハイマー

291 見たくない喜びの顔

 5年ぶりの優勝だそうだ。阪神がゴール前でずっこけたことであっけないセ・リーグペナントレースの幕切れだった。人にはそれぞれ好き嫌いがある。筆者はアンチ巨人ファンだ。原監督の喜ぶ顔だけは見たくなかったが、各局のテレビ局からは、そのニュースが垂れ流しのように放映されている。心地よいものではない。
 ところで、今の筆者には、三つの見たくない喜ぶ顔がある。二番目が民主党の小沢一郎氏の顔だ。政権交代を狙う同氏は、福田総理の話し合いの呼びかけを拒絶する方向を強めている。果たして、それで、同氏が喜ぶ顔を獲得できるのか、これからが見物の国会論戦である。
 三つ目の見たくない喜ぶ顔は、ファンからは怒りの叱責を買うだろうが、あの宮里藍氏の顔だ。幸か不幸か、今年も残り僅かで、米国ツアーでの初優勝の喜びの顔は難しそうだ。特に、このところ、絶不調で予選落ちが続いていて気の毒な気持ちもあって、逆に「頑張って」という気持ちになる。人間って不思議な心を持っている動物だ。

連載(256) 難病との闘い
      第九章 介護生活の実態1 平成19年春から夏 (34)

(7) 2007年6月19日 曇り (実姉の見舞い その4)
 「最近の伸子ですが、年を取るにつれて身体の弱わりが顕著で、物忘れも激しく、山科の家で一人で住ませておくのが心配になって来ていたのです。兄夫婦とも相談し、設備の整った老人ホームに入ることにしたのです。それで、適当なところを探していたのですが、たまたま、雄琴にあるドリームスペースの広告を目にする機会があって、そこがいいのではと云うことになり、その資料の入手を行い、施設の見学も行なって、伸子を説得してきました。当初は急なことだということで、本人は躊躇していましたが、幸い、納得してくれて、目下、その契約手続きに入っています」霧子は、そこまで言って一息つき、隣の雅子の顔にゆっくりと視線を遣った。この話は、一考も雅子から聞いて承知していた。
 「お姉さんからお聞きしていましたので、先日、そのドリームスペースには、散歩がてらに行って来ました。アポイント無しに行ったのですが、営業の主任の木田さんから、伸子さんの話も聞きましたし、雅子の事情も或る程度知っておられたので、新しく出来るケア棟についても詳しいお話を伺いました。私の印象としては、琵琶湖の傍にあって眺望もよく、環境には恵まれていて、いい処ですね」
 「それに、場所的にも、京都からもそんなに遠くないし、自分達の希望の条件は揃っていて、いい処だと思っています」そういう霧子は如何にも満足そうである。
 「建設中の新しい介護つきのケア棟については、完成次第資料を送ってもらうことにしました。経済的な面では未検討で不安はありますが、資料が着き次第、改めて考えてみたいと思います。何しろ、政府が管轄する、いわゆる特別養護老人ホームは、入居希望の待機者が多くて、直ぐの入居が難しいそうですから」一考は、自分の考え方を披露した。
 「そうして頂くと、雅子ちゃんも喜ぶと思います。というのも、若し、そこに入居できれば、伸子と二人になれる訳で、いろんな便宜が図れることも多いのではと話していたのです」霧子は、タイミングを計るように、そうすることで得られるメリットを付け加えた。どうやら、二人だけの話は、そんなところにポイントがあったようだ。
 「なるほど。おっしゃる通りですね」一考は、そう答えながら、自分の考え方を今一度、頭の中でレビューするのだった。
 あくまでも、一考の考え方は、出来るだけ自分が直接に介護をしてやりたいが、やがて体力の限界が来るだろう。その時にはそんな施設にお世話になるのは止むを得ないのだが、問題は、お世話になると決めた時点で、施設をさがしても、タイミングよくその対象が見つかる可能性は少ないことだ。その意味では、早い目に適切な施設への権利を確保しておいて、お世話になるタイミングを見計らえばいいのではとの考えになって来ていた。
 「いずれはお世話になければならないと考えていますので、改めて真剣に検討を急ぎます」やはり、雅子も、私の負担のことを考えて、自分から言い出すことに躊躇していたんだなあと、少し感傷的になるのだった。(以下、明日に続く)

タグ : 原監督 小沢一郎 宮里藍 特別養護老人ホーム

290 隠蔽は言語道断

 太平洋戦争末期の沖縄で、旧日本軍が住民に集団自決を「強制した」との記述が、検定で削除された問題で、政府が一転して記述修正に向けて対応を探る方針を示したという。沖縄の声に配慮した動きだ。
 歴史が風化を装って、真実がごまかされる形になって行くのは、はなはだ遺憾である。聞くところでは、教科書検定の審議委員で現代史に関わる委員は4人程度で、根拠の薄弱な資料を強引に採用して、削除に踏み切ったようで、その見直しを命じた福田内閣の対応は、然るべく評価されるものではないか。時代が移ろうとも、歴史を改ざんしたり、隠蔽するようなことは、まさに言語道断だ。
 時津風親方が相撲界から追放の処分を受けそうだ。序の口の時太山が急死した問題で、リンチ的な暴力行為があったとすることに対する処分だ。スポーツ界ではよくある問題とは言いながら、限度を弁えない非情な行為は許されない。6月に起きていた事件で、そこにも言語道断な隠蔽工作もあったという。下手すれば、この問題は、明るみの出ず葬り去れていたかもしれない。何しろ、人一人が亡くなっているのだ、厳しい処分は当然だろう。

連載(255) 難病との闘い
      第九章 介護生活の実態1 平成19年春から夏 (33)

(7) 2007年6月19日 曇り (実姉の見舞い その3)
 「雅子の希望は、出来るだけ早いタイミングで、介護付き老人ホームにでも入れてもらえば有難いというのです。そうすれば、一考さんの負担も大幅に軽減できますから。何しろ、今、一考さんに何かがあれば、それこそ、どうしようもなくなってしまいますから、それが心配で堪らないというのです」持って回った言い方ではなく、言葉を飾る訳ではなく、霧子さんはストレートに雅子からの相談内容を披露した。すっきりした分かり易い内容だった。
 「なるほど、介護付き老人ホームですか? その話なら、雅子から、以前に直接に聞いた事があります。しかし、その時点では、時期早尚ということで、聞き流していました」一考は、大分前に雅子がそんなことを言っているのを耳にしていことを思い出した。しかし、症状の悪化が、どんどん進んできているだけに、雅子の思いも強くなって来ているのだろう。
 このことについては、正直、一考の気持ちも複雑だった。いずれは、そんなところにお世話にならなければならないとは考えていたが、自分の体力が許す限り、直接、雅子を自分で看てやりたいとの強い気持ちを持っていたからである。
 「はっきり言って、自分の体力との相談になりますが、可能な限りは、自分で看てやりたいのです。何しろ、長い間に渡って、彼女には全てを丸投げしてきましたから、その償いの意味でも、そうしたいのです」一考は常々考えていることを口にした。
 「そのお気持ちは、姉としても嬉しいですわ。でも、無理をなさっては、取り返しがつかなくなります。そういう意味で、もっと積極的にこのことを考えて欲しいというのが雅子の希望のようです」霧子さんの言い方に屈託がない。それが、彼女の持ち味なのかもしれない。
 「よく分かりました。改めて、真剣に考えてみたいと思います」一考はそう言って雅子の顔を見た。雅子はほっとした表情で一考の顔を見返した。
 「世間では、とかく、身内のものが直接介護に当たってあげるのが、心のこもった介護だとする見方が強く、高く評価されがちです。しかし、今は、そういった施設なども充実してきており、そのような専門施設で、その道のプロにお世話になるのも、違った意味で心ある介護だとの見方が出て来ています」霧子は、世間の一般的な介護に対する見方を紹介ながら、世の中が変わってきていることを強調した。
 「全く、その通りなのですが、昔の人間の考え方とは、今でもかなりの乖離があるように思います。自分で遣らずに、手放したとということで冷たく受け取られがちです。まあ、他人が何と言おうと関係のないことですが」一考は、自分の母親や久子が、そのことを聞いたらどんな反応を示すのかを頭に描きながら、そう答えた。帰郷して直後に久子から聞いた話だが、かつて、雅子が、義父が悪くなった際に「病院に入れたあげたら」との考えを提案したのに対し、愛情のない対応だと受け取り、不満を吐露した久子の言葉を思い出していた。
 「もう、お聞きだと思いますが、実は、妹の伸子についても、老人ホームでお世話になろうとの話が出て来ているのです」霧子が改めて口を開いた。伸子は、雅子の直ぐ上の姉である。(以下、明日に続く)

タグ : 集団自決 時津風親方 教科書検定 時太山 介護付き老人ホーム

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