プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは3部康成です。1部が「コラム」、2部が連載「難病との闘い」、そして3部が、速報、「昨日の雅子」です。

 

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411 グリーンスパン氏の履歴書

 日経の私の履歴書は、今月は、FRB議長を歴任した「アラン・グリーンスパン」氏で、読みごたえのある内容だった。現代史の隠されていた真実の披露、多くの共鳴を呼ぶ格調高い言葉がユーモアのに満ち満ちていて、大袈裟に言えば、毎日が感動だった。
 今日の最終回でも「文明を前進させるイノイベーションを事前に予測することは誰にも出来ない。しかし、常に必ず起きてきた。それは、人間の本性に根ざしているものだと思う」と言い切り、それを促す土壌が資本主義だという。このコンピューター時代の次は何が来るのか、筆者はそんな期待に思いを馳せた。
 同氏は「逆境に耐え、現実に適応して行く能力は人間に備わっている。だからこそ、人類は前に進んできた。この確信は揺らいでいない」と結んでいる。この言葉に、筆者も、大いに勇気付けられた思いだ。
 そんな高邁な思いから現実に戻ると、政界では、前夜につなぎ法案を提出するという、思い切ったスクイズ作戦に出た与党だったが、突如振り出した雨のような両院議長の斡旋で、戦いはサスペンディッドになってしまった。その一方で、中国食品の恐怖が今朝の紙面を覆っている。筆者も、慌てて冷蔵庫の中を点検、残っていた中国製の冷凍食品を廃棄することにした。一方、ハンドボールはなかなかのいい試合で、前夜の女子の完敗を補った形で、ファンを取り戻したようだ。
 相変わらず、何が起きるか分からない世の中である。

2.昨日の雅子(28)
 前夜は、久し振りによく睡眠が取れたようで、この日は体調もよく、落ち着いた一日だった。長く、椅子にすわっていると、お尻が痛くなるようなので、時々座る位置を変えてやった。食欲も堅調である。

3.連載(376) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(2)

  第一章 入居生活の始まり (その2)
(1)新たな門出 (その2)
 自分の生活がどんな具合に取り扱ってもらえるのか、ドリームスペースとの契約が終わった直後には、雅子の頭の中では、漠然とした掴まえ所のない不安が広がっていた。今までは、住みなれた在宅での介護生活で、しかも、その介護者が気心の知れた夫であったことで、病気への不安はともかく、介護については、すっかり頼り切った形で、何とかこの二年間を過ごして来られた。
 それが、第三者の方々のサポートを頂戴しての生活に換わるのだ。最近では、言葉にも障害が出て来ていて、言いたいことがスムーズに伝えられない状況にあるだけにとても心細く、まさに見知らぬ世界に飛び込んで行くようで、何とも言えない不安が募って来ていた。
 しかし、そんな気持ちではいけないと、入居日が決まった頃から、それを断ち切るように、雅子は自ら決意し、意識改革を試みていた。介護に当たってくれる方々の暖かさを信じ、その方たちに身を委ねよう。そうすることで、皆さんからの貴重な愛情を頂戴することになり、新たな穏やかさを得られるのではないか。雅子は自分の心に、そう言い聞かせることで、それまで拡がっていた不安も心の隅に追いやっていたのである。そして、迎えたのが今日のスタートの日であった。
 この日も夫は、いつもの朝の定番メニューである、着替え、朝食、トイレ、洗顔などを、いつもよりは手早いペースで終えてくれた。そして、出発準備の段取りに取り掛かってくれたのは、9時過ぎだった。前夜までに、新居となるドリームスペースに持ち込むべきものを纏め、大小二つの旅行鞄と幾つかの紙袋に入れて、差し当たっての準備は終えてあった。夫は、先ずは、それらを車に運び込んだ。車が小さいので、数度に分けて運ばねばならないかと心配していたが、幸い、すんなりと全部が収まったようで、夫もほっとしているようだった。
 続いて、夫は、私の衣装変えに取り掛かってくれた。昨夜、希望を聞いてくれて準備しておいた衣装に着替えさせてくれるのである。何も、わざわざそんな別な衣装に着替えることをしなくてもという気持ちもあるが、自分の新しい旅立ちでもある。それなりに自分の気持ちを整えておきたいと思いでの着替えなのだ。この着替えも、身体が不自由だから結構手間が掛かる。夫は慣れた手つきでそれを終えると、今度は、外出前のいつもの手順で口紅を薄く塗ってくれた。これで、自分なりに気持ちの切り替えも出来て、旅立のセレモニーを終えた気分になっていた。(以下、明日に続く)

タグ : グリーンスパン つなぎ法案

410 奇手か、妙手か、自爆手か

 与党は遂に「つなぎ法案」の提出に踏み切った。何回も断続的に行なわれた与野党の会談も、互いの主張が全くかみ合わないことで、どうしても合意点が見出せず、これしかないと踏み切ったのは理解できる。この法案、よくもそこまで考えた妙手という見方もあるが、下手すると、自爆手になりかねない。結果がどうなるかは不透明で、世論の反応に双方とも敏感になっている。今日明日の攻防が見ものだと野次馬的に捉えておこう。
 野次馬的といえば、昨日のハンドボールは、野次馬、いや、俄かハンドボールファンを失望させる結果だった。完敗である。せっかく盛り上がったハンドボールへの関心に水をさしたのではないか。
 予算委員会でのやり取りで目立つのは、福田総理が答弁を渋って、担当大臣に任せるケースが目立っているように感じる。野次馬としては、もっと強気で応酬して欲しいとじれったく思っている。
 
2.昨日の雅子(27)
 午前中にお風呂、午後、お兄さん夫婦のお見舞いがあって、雅子も嬉しそうだった。症状そのものには大きな変化が見られないが、最近では、話そうとすると、よだれが出て来る傾向があって、本人も辛そうだ。

3.連載(375) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(1)

  第一章 入居生活の始まり (その1)

 左手の人差し指に違和感を覚えてから七年、一考の本格的な介護が始まって二年近く経過した。在宅での一考の懸命な介護で、何とか乗り切ってきていた生活にも、遂にピリオドを打たねばならなくなったのである。正直言えば、一考は、まだ暫くは頑張る余力は残しているのだが、肉体的な限界が近づいて来ていたことも確かである。また、雅子も、ぎりぎりまで夫にお世話になるのは忍びないとの思いも強く、多少の余裕を持った形で、介護付き老人ホーム、「ドリームスペース」への移動を決めたのである。そこには、必要があって急にその種の老人ホームを探しても、タイミングよく見つけるのが容易でないという現在の社会事情もあって、このチャンスを逃してはいけないとの判断もあった。
 かくして、新しい環境での雅子の戦いが始まる。果たして、二人に、どんな戦いが待ち受けているのか、それは、誰も知る由がない。
 
(1)新たな門出 (その1)
 いよいよ今日からだと云う少し緊張した気分で、雅子は、いつもよりも随分早くから目覚めていた。と云うよりも、あまり熟睡が出来ないまま朝を迎えていた。
 移動日を、今日の12月10日に決めた背景に、大安の日にして欲しいという自分の希望が反映されていた。自分にとって、今までとは全く違った新しい人生が始まる日であるだけに、「大安」なんていう古い「お日柄」に拘ったのだった。それだけに、いつもにない緊張で迎えた朝だった。部屋の空気も少しぴりっとしているようで、雅子は、これからの自分の将来のことを頭に浮かべながら、夫が起きるタイミングをじっと待っていた。
 壁に掛けてある時計が5時を少し過ぎて程なく、夫が思い切って布団を蹴ってベッドから降りるのが分かった。雅子は待ってましたとばかりに、自分から声を掛けた。
 「おはよう」意外にはっきりとした発音で、自分でも少し驚くくらいだった。起きたてはいつもそうだが、今朝はいつも以上に、言葉に力強さが感じられる発音だった。気合が入っているというよりも、それだけ緊張しているのだろうと雅子は思った。老人ホームという、雅子には、今までは、お伽噺に過ぎなかった施設に移るのだ。自分を待っている新しい人生に、掴みどころのない不安を打ち消すように、半ば開き直った気持ちで受け止めようとしていたが、精神的な高揚は隠し様もなかったのだ。
 「おはよう。もう起きていたんだね。今朝の言葉は凄いよ。いつもよりも、格段にはっきりしているよ」そう言って挨拶してくれる夫の声も、いつもよりも張があって、雅子は力強く感じていた。(以下、明日に続く)

タグ : つなぎ法案

409 つなぎ法案

 ガソリン国会が、文字通り燃えている。ブリッジ法案(つなぎ法案)が主役だ。「窮すれば通ず」ではないが、いろいろと悪知恵を出す人がいるものだ。このつなぎ法案は、「とりあえず、現行法律を2ヶ月ほど延長しておいて、本格的な審議を続けよう」というもので、野球に喩えれば「とりあえず、スクイズで同点にしておいて、それから勝負に賭ける」という場面に似ているように思う。
 法律に抵触すなければ、何をしてもかまわないという訳ではないが、国民生活を混乱させないための手段だと与党はその大義名分を説明する。これは、云わば、偽装正論とでも言えそうだ。民主党も、政局に持ち込むことを考えての手段にせず、堂々と議論し、話し合うことが必要ではないか。
 スクイズは決まれば鮮やかで、堅実な手段となるが、失敗すると見るも無残な結果が待っていることが多い。さあ、どうなるか。見ごたえ(?)のあるやり取りが展開されそうだ。待ったなしの戦いが始まっている。

2.昨日の雅子(26)
 二日連続で通じもあって、体調は順調のようだった。取り立てて報告するようなこともない平穏な一日だった。平穏が、今の雅子には、一番の幸せなのだ。

3.連載(374) 難病との闘い

閑話休題(その2)
 時々「毎日更新されるのは大変ですね」と挨拶を受けることがあるのだが、連載の「難病との闘い」については、最初の頃は、いくらかの在庫を持っていた。それは、雅子が難病に巻き込まれたと知ったとき、全てを雅子に丸投げして、単身赴任をしたことが、その遠因じゃないかと考え、妻へのつぐないの気持ちで、私小説としての「つぐない」を書いていた。この連載の初期は、それが下書きとなっていたから、比較的ゆとりを持って取り組んで来られた。
 しかし、その在庫は、雅子の症状がごく初期の段階までのことで、この連載の100回分ぐらいまでをカバーしたに過ぎず、その後は、その都度、懸命の書き足しを続け、在庫確保に努めてて来ていた。しかし、今ではそれも底をついてきている。近い将来は、その日暮らしの生中継の形にになってゆくのではないかと不安である。 
 ところで、今後、連載を続けることで、一考が悩んでいる問題がある。それは、その介護を務めてくれる老人ホームの介護チームの人たちの扱いである。、今までは、筆者が介護を担当していたので介護の内容、介護者の気持ち、問題点などは遠慮なく、そのまま書いて問題はなかった。しかし、これからは、多くの人たちのチームワークによって、介護という作業が遂行される。つまり、いろんなキャラクターの人たちの共同作業で、介護と云う「作品」が生み出されることになる。従って、その「作品」を作り上げてくれているチームメンバーの個々の行為、心情に触れずして、「作品」の大事なものを伝えられない。その一方で、そのメンバーの方々のプライバシーを守り、迷惑を掛けないような配慮は不可欠だ。従って、そのあたりをどのように扱い、取り上げていくかで、目下、悩み、逡巡し、模索しているのである。要は、雅子を取り巻く人間を書かずに描ける題材ではない。筆者の能力が試されているといえるだろう。とにかく全力を上げて取り組んでみるつもりである。
 いずれにしても、これから、何時まで、この連載を継続して行くかは未定である。雅子が、どんな人生を送るかは筆者にも分らない。そういう意味では、筆者も読者の一人として、雅子の人生をある程度までは見届けるべく連載して行きたいと考えている。引き続き、お読みになって頂ければ幸いです。(明日からは、第2部 第一章 入居生活の始まり を連載します)

タグ : ブrフィッジ法案 つなぎ法案 ガソリン国会

408 勝負の前に勝負あり

 昨日は話題満載の日曜日となった。先ず、昼過ぎから行なわれた大阪国際女子マラソンでは、ワコールの福士加代子選手の四度の転倒に堪えての感動のゴールがあった。しかし、これは、マラソンへの準備不足を露呈したもので、福士選手のマラソンを甘く見た戦う前の読み不足の完全な敗北だった。
 夕方の大相撲では、がっぷり四つの熱戦で、真面目な白鵬が腕白坊主の朝青龍を破って見事な勝利を収めた。勝負そのものは、感動を与えてくれた素晴らしい一番だった。しかし、その裏には、朝青龍の稽古不足があったことは否めず、神がその辺りを厳しく査定したのだろう。
 大阪知事選では、橋下徹氏が圧勝で、新しい風となった。これも、熊谷貞俊氏の知名度不足が大きく、また、小沢代表の手痛いエラーもあって、戦う前に勝負をつけていたといえそうだ。当確後は、メディアアに出っ放しで、今も画面で大写しになっている。メディアの活用も大きな手段になるだろう。
 いずれの勝負も、これからが本番で、一層の頭を使った頑張りが欠かせないだろう。しっかりと頑張って欲しい。

2.昨日の雅子(25)
 前日の夕食後に通じもあって精神的には落ち着いていた。今までかわいがってもらっていたヘルパーさんが、2月から2Fに移られるのだが、その方の担当日だったことで、名残惜しそうに、その優しい介護に甘えているような姿が目に付いた。
 また、一ヵ月毎の体重測定の日で、前月に比べて1.1Kg増加していた。先ずは順調な体調維持と思われる。

3.連載(373) 難病との闘い

閑話休題(その1)

 早いもので、ブログを始めて400日過ぎた。思いつきで始めたブログで、気ままに、気の向いた時に配信すればいいといった気軽に構えてのブログだった。それから一月ほど経過(36日目)した時点から、妻の病気のことを纏める意味で、「難病との戦い」の連載を開始した。それが、何と370回を越えた。これだけ長く連載が続けられるとは思ってもいなかったことで、中身の評価は別として、驚きとある種に満足感を覚えている。
 お陰で、と云うべきか、その結果、自分の実生活においては、このブログを配信することが、欠かせない日課の一つになっている。これを書くことで、その日が始まるといったその日のスタートラインの役割を果たしてくれている。ここに取り上げた内容は、まさしく自分達夫婦の闘いの記録である。それを積み重ね、纏めることが、今では自分の生きがいの一つになって来ている。何しろ、この作業以外に、クリエイティブなものがない毎日の連続だけに、このブログが、ささやかではあるが貴重な達成感になっているのである。
 ここで、笑い話ではないが、弁解とお詫びを兼ねて一つの裏話を紹介しておきたい。コンピューターの故障に関する話である。メカに弱い筆者は、一旦故障が起きると、ヘルプデスクにせっついて必死になってその回復に努めるのだが、場合によっては、暫くは原因が分からず、対策が取れないことがある。最も困るのが、作業中にコンピューターがダウンする事故で、特に、ほとんど書き終えて配信間際に起きると、それまでの努力が一瞬でパーになり、その落胆は言葉にしがたいぐらい大きい。対策が取れていない場合は大変で、いつダウンするか分からないから必死で、そのリスクを避けるため、ラフに書き上げた生煮えの原稿を、とりあえず一旦配信してセーブする手法を何回か取らせてもらった。そのため推敲されていない生煮えの原稿に目を通してもらうという失礼なことが幾度もあった。多くの皆様に、大変失礼を申し上げていたのである。この場を借りてお詫びしておきたいと思います。
 さて、本論に戻るが、いよいよ、連載の中身は、介護付き有料老人ホームでの生活を紹介する段階に達した。今までの在宅介護から、雅子の生活スタイルが大きく変わるのである。そういう意味で、筆者は此処までを第一部とし、これ以降を第2部と位置づけることにした。そこで、今までの第1部は、「大きな不幸に見舞われて」で、サブタイトルを「気が付けば重症の難病患者」とし、それを受けて、第2部は、「小さな幸せを求めて」、「介護付き老人ホームでの日々」とタイトル付けたいと考えている。これからの内容は、分かり易くいえば「大きな不幸の中に巻き込まれはしたが、ただひたむきにその苦しさ、厳しさと闘いながら、ささやかな小さな幸せを求めてゆく日々を書いてみたいのである。(以下、明日に続く)

タグ : 福士加代子 白鵬 朝青龍 橋下徹 熊谷貞俊 小沢代表

407 10人に一人がブログ

 今朝の新聞で、ブログの開設数が1300万件を突破し、2012年には2006年度の5.5倍に達するという。筆者は、本を出版するのを機に、そのPRに役立てればと云うのが開設の動機だった。たまたま、その時に出くわした業者のブログのガイドに従ってトライしたのが切っ掛けだった。その後、毎日更新を続け、407日目になっているのが、不思議な感じがする。
 今朝の記事では、その拡大に目を付けて、販促やマーケティングに生かそうとの動きが活発化してきているという。確かに、最近では、ブログ作成サイドのページに幾つかの広告が登場してきている。いろんなところに商売チャンスを見出そうとする商魂は大したものだと思う。
 なお、目下、サービス業者は大手14社とあるが、今使っているこの業者はその中に入っているのかどうかが分かっていない。なお、時々、いやらしい内容のコメントが入ってくることがあり、それを駆除するのに腐心している。
 いずれにしても、これは、自己満足の世界であって、それを楽しみながら、何かが生み出されてゆく訳で、なかなか面白いツールだと思っている。

2.昨日の雅子(24)
 誕生月に年に一度、身体検査(簡易人間ドック)が、付設のクリニック行なわれる。昨日が雅子の検査日だった。血液検査、心電図、レントゲン撮影、その他の内診が行なわれた。(検便は、便秘で持ち越し) 結構な検査なのだが、そのクリニックは旧棟とは廊下で繋がっているが、この新棟とは離れているので、車椅子で外に出てゆかねばならないのがネックだ。昨日も寒い日で雪が舞っていた。幸い、風邪を引くようなこともなく無事終わったようだが、冬月生まれの該当者には、誕生月に拘ることなく、検査日をずらして貰うのがいいのではなかろうか。 なお、検査結果は別途報告されるという。
 総じて、昨日の雅子は、まずまずのご機嫌の一日だったようだ。

3.連載(372) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(37)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その15)
 長くて多くの曲折があったものの、ドリームスペースとの折衝、交渉、そして契約も、いよいよ、最後のステップである一時金の残金を入金する最終段階を迎えていた。
 この間、そのドリームスペースへの入居を前提に、衣料品など必要な買い物も、タイミングを見計らって買い足したりして、こまめに必要なアクションを取って来ていた。そういう意味では、準備は着々と進めんでいたといえる。必要な全ての手続きを終えて、恰も、駅伝の最終ランナーが第四コーナーを回って、ホームストレッチに差し掛かってゴールを目前に迎えている心境だった。資金の整備、準備段階で、M銀行の社内規定に引っかかってトラブルはあったものの、それも少し遠回りすることで準備は終えていた。ドリームスペースへの振込みという、一つのセレモニーを終えれば全ては終わるのだった。
 そのセレモニーは、月末を控えた11月28日に、事前に集めておいたS銀行の預金から所定の振込先へのに振り込み手続きを行なった。窓口を通じての振込みで、雅子名義の預金が半分程度あったが、M銀行でトラブルになったような支障は全くなく、スムーズに入金を終えることが出来た
 思うに、25年前に、母屋の隣に今の家を建てたこと、退職時に東京のマンションを購入したこと、また一昨年のリフォームに際し、纏まった投資をして来たが、今回の投資が、自分の今までの人生で、最大の投資額であった。そういう意味では、この日は、一考にとってはほろ苦い記念日となった。
 その夜、一考は雅子と入居のタイミングについて話し合った。あまり、遅くなっては、営業の木田さんに迷惑を掛けることになる。切の良い12月1日でもいいのだが、余りにも性急過ぎるし、来る12月6日には、吉田病院への通院が予定されていることを考えて、、それを済ませた12月7日がいいのではと二人は、一旦合意したのだった。
 しかし、その翌日になって、雅子が出来たら入居日は「大安」の日にして欲しいと言い出した。雅子にして見れば、これからの人生の大半を過ごすことになる訳だから、やはり、門出となるべきその日にも拘ったのであろう。そういうことで、大安である12月10日を入居日にしようということになった。木田さんに伝えると、それには異論はないということで了解が得られた。
 こうして、雅子の新しい門出の日が決まったのである。
(本章は、これで終わります。なお、本日までを第1部「大きな不幸に見舞われて」とし、次回からは「第2部 小さな幸せを求めて」として連載します。なお、明日、明後日は、閑話休題を掲載します) 

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406 石川県輪島市で震度5弱の地震

 今朝、4時33分、石川県輪島市で震度5弱が観測される地震があった。距離的に近い大津だったが、全くその影響はなく、揺れすらも感じなかった。たまたま点けっぱなしになっていたNHKの放送を耳にした。
 例によって、役場に入れた電話で、アナウンサーが、細かくその被害状況を確認していたのだが、電話に出ている相手の人が、今、来たばかりで、情報収集に当たっているところだと答えているにも関わらず、被害が起きていないかを、しつこく、繰り返し聞きまくっていたのが聞き苦しかった。アナウンサーもワンパターンではなく、もっと機転を利かせた応接をして欲しい。
 なお。震度5以上で出される緊急地震速報はなかった。発生直後の判定が震度4だったからという。なかなか思惑通りには作動しないようだ。いずれにしても、どうやら、大事には至っていないようで、幸いなことである。

2.昨日の雅子(23)
 昼食後に入浴させてもらって快適そうだった。情緒も安定していてまずまずの一日だったようだ。便秘気味なのが悩み。

3.連載(371) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(36)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その14)
 その翌日、長男太郎は直ぐに動いてくれた。公務員だから、動き難い面もあったろうが、仕事の合間を見つけて、印鑑登録と、印鑑証明書を入手てくれた。母親の症状を、気遣った迅速な行動だった。そして、週末には、送られてきた契約書に必要な対応をして、ドリームスペースに返送してくれた。
 一方、一考は、翌々日の20日に雅子を美容院へ連れて行き、すっきりしたところをデジタルカメラで顔写真を撮影した。病気のせいで、どうしても目が大きく開かない。見方によっては眠っているようにも見える。何回か取り直したがどうしようもなかったので、その内の一枚をドリームスペースの営業部宛に送信した。
 一考にとって幸いだったのは、資金面でのやりくりが、思いのほか順調に進んだことだった。売りに出していた東京のマンションがタイミングよく売却でき、その売却金がこの投資に運用可能となったことだった。資金繰りは絵に書いたように、右から左へとうまく回すことができて、振込みを待つ準備が整ったことで、一考もほっとしていた。
 ところが、である。支払いの直前になって、ドリームスペースから思わぬメールを受けた。まだ、肝心の一考からの申し込みに必要な幾つかの書類が未到着だというのだ。申込書、住民票や印鑑証明、更には、資産調書、身元引受人届、私のノートなどが届いていないというのだ。
 これには、一考も驚いた。中には、「私のノート」のような初めて聞く書類もあった。どうやら、先の打ち合わせ時に、一考の理解に齟齬があったようだった。自分以外のことに気を使い過ぎて、肝心の自分の応接が抜けてしまっていた。もうろくしたと反省しながら、改めて、急いで、必要な書類を取り寄せたり、作成したり、慌てふためいて対応する始末だった。ちょうど、週末に入るタイミングだったことで、幾つかのアクションは週明けにならざるを得なかった、
 結局、これらの必要な書類を整えてドリームスペースに持参したのは、週明けの11月26日の昼前だった。朝早く市役所で書類を作成してもらい、その足で持ち込んだのである。こうして、申し込みに関する書類などの必要な手続き目出度く完了することが出来た。残るは、手付け金を差し引いた残金を払い込むだけとなった。(以下、明日に続く)

タグ : 緊急地震速報 輪島市

405 週末の決着に注目

 大相撲初場所は、期待通り、白鵬朝青龍の二人の横綱決戦に絞られてきている。「白」か「青」か。運動会ではないが、千秋楽の結びの一番で決着がつく。
 北京オリンピックの女子マラソンの最後の出場枠に、中距離の女王であるワコール福士加代子選手が挑戦する。初めてのマラソンで、彼女はどんなレースを見せるか。名古屋マラソンに出場予定の高橋尚子選手を意識してのレースになるだろう。興味深々だ。
 大阪府知事選は、誰が勝つのか。事実上、弁護士の橋下徹氏と元大阪大学教授の熊谷貞俊氏の一騎打ちだ。果たして、大阪府民はどんな選択をするか、これまた大いに注目している。自民党の古賀誠選対委員長は橋下氏を公認しなかっただけに、同氏が勝った場合、どんなコメントをするのかにも関心がある。

2.昨日の雅子(22)
 精神的に落ち着きが戻っていた。友人から届いた手紙を読んで聞かせた。楽しかった頃のことを思い出したようで、明るい表情を見せていた。午前中に専属のお医者さんの巡回診断で、便秘対策として「毎日、少しずつ便秘薬を服用する」ことを勧められた。医師の判断に任せることにした。

3.連載(370) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(35)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その13)
 ドリームスペースとの仮契約に関する作業は、11月18日の昼過ぎから、一考がドリームスペースを訪ねて、楽裕館のカンファレンスルームで始まった。営業の木田係長、アシスタントの森永嬢の二人の同席を得ての折衝だった。
 まず、契約締結に際し、雅子は単なる入居者として扱い、一考が契約者とすることで合意した。その結果、契約者を除いたもう一人の身元引受人の設定が必要となり、一考は、千葉にいる長男の太郎を指名したのだが、木田さんは、姉の伸子の契約時に身元引受人だった雅子の兄に頼まれてはと示唆してくれた。近くにいるので手続きが容易だと言うことだった。しかし、雅子のことは、あくまでも一考自身の家族でカバーするのが常識だと考えていたので、この点に関しては、一考は自分の考えを押し通した。
 その後、契約手順の確認、契約書の中身の確認、更にはドリームスペースに関する重要事項の説明書が手渡された。本来なら、これらを熟読し、充分に理解した上で契約を交わすのが筋なのだが、また出掛けて来なければならないなどの重複する手間を省くため、木田さん達をを信じて、一考は、この場で契約書にサイン、押印を行なった。契約日は、切りの良い12月1日とした。実質的に費用の起算が始まるのは、正式な入居日になるという。
 そして、この契約に必要な書類、住民票、印鑑証明、顔写真などの必要な書類は、別途、至急に木田さんに届けることにした。なお、雅子の顔写真については、近く美容院へ行く予定なので、その後に撮影してインターネットで送信することで了解を得た。
 最後に、手付け金を支払って、大まかな契約手続きは無事終了した。かくして、強く望んでいた「介護付き有料老人ホームへの入居権確保」の具体的に手続きが、漸くほぼ完了の段階に入って、一考は一息つくのだった。
 この日の夜、一考は千葉にいる長男の太郎に電話し、身元引受人の要請、それに必要な印鑑証明書、並びに契約書へのサイン、押印などの必要なアクションを依頼した。太郎はまだ印鑑登録をしていなかったが、この機会にそれをも行なうことで、一考の要請を快諾してくれた。
 多分、太郎は、父からの突然の要請に、改めて、自分の母親の大変さを思ったに違いない。同時に、今日まであまり意識していなかった「長男」としての自覚を、強く意識していたと思われる。阿吽の呼吸で、一考の要請をすんなりと引き受けた太郎に、一考は、自分の息子の成長を心強く感じていた。(以下、明日に続く)

タグ : 白鵬 朝青龍 福士加代子 ワコール 橋下徹 熊谷貞俊 古賀誠 高橋尚子

404 ねじれ国会の意義

 ガソリン国会と呼ばれている今国会で、民主党内でも政府の租特法改正案に賛成する人たちの動きが出始めている。大江康弘氏ら参議院議員が同調者を募る動きを始めた。どんな展開を見せるのか、分裂が起きるのか、興味深い動きである。
 民主党案には代替財源説明に説得性を欠いていて、民主都道府県連にも多くの不満があり、政策協議に応じるべきという声も過半数を超えている。
 世論が、ガソリン価格が下がることを歓迎するのは当然だが、政治を司る人たちの多くには、民主党案には反対者が多い。果たして、世論を何処まで惹き付けるかが、この勝負を分けることになりそうだ。
 結構なことは、ねじれで国会になって、今までに見られなかった動きが目立つようになってきたことだ。日銀の次期総裁の選出も、今や、小沢代表の考えが鍵を握っている。まともな議論が展開されるなら、ねじれ国会の意義が大いに高まることになる。そうあって欲しいというのが多くの国民の考え方ではないか。そこで注目されるのが、民主党の対応である。

2.昨日の雅子(21)
 この日は、雅子が少し落ち込んでいた。今までお世話になったヘルパーさんの一人が担当変えで別のフロアに移ることを聞いたからだ。入居して一ヶ月余りで、漸く、生活のパターンになれてきていたタイミングだけに、雅子へのインパクトは小さくなかったのだろう。「なんだか悲しい」と雅子はこぼしていたが、これは、どこの会社にでもある人事異動で、止むを得ないと一考は思いながら、「今まで通り、皆さんの助けを受けてしっかりと頑張ってゆこう」と勇気付けた。心身ともに全てを預けている立場だから、自分の理解者が変わることに不安を持つのだろう。そんなこともあってか、この日は、言葉もいつもよりも不明瞭で、その解釈に苦労した一日だった。
 なお、お薬をシロップに絡ませて飲む方式は、良好で、そのシロップの硬さが硬めなほど飲みやすいと言うことだった。改めて、その方向でのお願いをする。

3.連載(369) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(34)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その12)
 11月12日、この日、天皇、皇后両陛下が13年ぶりに滋賀県下を訪れていた。「第27回全国豊かな海作り大会、びわこ大会」にご参加のために前日からの来県だった。この話を、雅子を連れて訪れていたドリームスペースで耳にしたのである。両陛下は、この朝は、近くにある特別養護老人ホーム、唐崎ケアタウンを訪れて、障害者達を励まされたという。
 この日のドリームスペース訪問は、予てから一考が要求していた雅子の症状を、介護士さんにチェックしてもらうのが目的だった。一考としては、正式な契約を締結する前に、今の雅子の症状なら問題なく、この老人ホームで介護が可能であるの保障が欲しかった。そのため、少なくとも一泊しての体験入居を希望していたのだが、いろんな関係で都合がつかず、妥協案としての半日滞在で、ヘルパーの専門の方に看てもらうことにしたのだった。
 到着したのは11時半頃で、取り敢えずは昼食を取ることからスタートした。いつものように、一考が少量ずつを口に運んで食べさせた。その後は、お薬の服用、そして、トイレでの実情を披露した。立ち会って頂いたヘルパーの方には、一考が行なう介護方法を、淡々と見て頂いた。特に、これはというようなコメントもなかったことで、雅子の受け入れには支障ないものと一考は解釈し、ほっとするのだった。
 その後、一ヶ月ほど前に入居していた雅子の姉の伸子が雅子に会いに来た。伸子は身障者ではなく、高齢になったことで最近うっかりが多くなって来ていたので、兄夫婦の勧めで、この老人ホームに入ったのである。従って、雅子が対象としている介護つきではなく、自立棟への入居である。最初は慣れなくて、直ぐに家に戻ったりしていたようだが、今では漸く友人も出来たようで、落ち着いてきているらしい。
 二人は、久し振りに顔あわせたが、お互いに感じるところがあって、二人揃って涙していた。人生の終盤を迎えての、老人ホームでの再会に、込み上げる何かがあったのだろう。
 その後、一考は木田さんと会って、一週間後の18日に仮契約を結ぶことを確認して、雅子を連れて帰宅した。介護の可否の確認が目的だっただけに、思いが叶ったという一方で、こんな形で良かったのかなあといった不安が拭いきれない訪問だった。心配性なのかもしれないと一考は自己分析していた。(以下、明日に続く)

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403 どうにも止まらない

 「どうにも止まらない」 時代遅れの喩えだが、山本リンダの歌のタイトルではない。ここ二日間の下げの大きさは、筆者がインターネットで株取引を始めた2004年6月からの最大の含み損となった。その額は、生の数字を出して恐縮だが、200万円を大幅に超えた。これだけ大きく下がると、その驚き、痛みも他人事のようで実感を伴わない。どうにでもなれといった投げやり的な受け取り方になっている。
 米国は緊急の利下げを行なったが、それでも、今朝の米国株は127ドルの大幅の下げとなった。サブプライムとは関係ないといわれていたインド、中国の株も暴落したことで、まさに世界同時株安がスパイラル的に進んでいる。
 何処で、何時、下げ止まるのか。先ずは、今日のの東証の動きに注目したい。若しかしたら、今が、買い時ではないか?

2.昨日の雅子
 前夜に服用した便秘薬の効果で、「通じ」があったことや、午前中のお風呂で、雅子は肌つやもよく、穏やかで気分も良好のようであった。前日から始めた、シロップによるお薬の飲み方は、飲みやすいということで、この方法を続けてもらうことになった。午後には、自立棟にいる姉の伸子が顔を出してくれていたが、ほとんど話さない伸子なので、雅子は少し窮屈そうだった。

3.連載(368) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(33)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その11)
 次に、木田さんから連絡があったのは10月30日であった。しかし、その返答内容は決して一考を満足させるものではなかった。希望していた雅子の体験入居は、ドリームスペースサイドの事情で難しいというのである。その代わり、「半日ぐらいの訪問で、ヘルパーの責任者にチェックしてもらう」との代案が示された。一考は、自分が介護している苦労を思うと、その程度の確認で、本当に大丈夫なのだろうか。ちゃんと、適切な介護を受けられるのだろうかと不安になった。
 しかし、相手は介護のプロ集団である。要介護5の方も入居しておられる。雅子ぐらいの症状なら、そんなに深刻に受け取る必要がないのではないか。ドリームスペースには彼らなりの介護のノウハウもあって、それに従って雅子も介護されることになるのだろう。何も、一考が今苦労してやっているやり方が、そのまま引き継がれる訳ではない。従って、現在のやり方を説明したところで、彼らにはそんなに興味がないのいではないか。そう考えた一考は、その代案を受け入れることにした。
 一考の頭の中では、その半日訪問で、キーになる食事、歯磨き、お薬の服用、トイレなどの代表的な介護について、現在の対応方法を見てもらっておくことにしよう。一考は、取り敢えずは、そんな風に考えるのだった。そして、11月に入って、その雅子の半日訪問の日程が11月12日と決まった。
 今まで在宅介護でお世話になっているケアーマネージャーの深田さんが、一考宅を訪ねて来たのは、その日程が決まった直後の11月5日のことだった。ドリームスペースからの要求で、現在の雅子の症状についての情報が欲しいという要請を受けて、その確認のための訪問だった。このことで、ドリームスペースも彼らなりに、雅子の症状について事前調査をしてくれていることが分かり、一考はそれなりにほっとするのだった。深田さんが雅子を細かく見るのは、この年のの連休明けに行われたケアコンファレンス以来のことで、半年ぶりということになる。その間の雅子の症状の変化は、思ったよりも大きかったようで、深田さんも驚いておられたのが印象的だった。
 彼女は、その結果をレポートに纏め、翌日にはドリームスペースの介護責任者に送付してくれた。この資料が、今後の雅子の介護に生かされる貴重な資料になるはずだと、一考はとりあえず一息つくのだった。(以下、明日に続く)

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402 頑張れ! 橋下徹

 昨日の国会で、自民党の伊吹幹事長の代表質問中に、小沢代表がまた議場から退席していたという。先の給油法案議決の際に、大阪府知事選挙応援のため欠席して話題となったばかりである。なお、その伊吹幹事長鳩山幹事長の質問時に席を外していたというから、国会なんてそんなものかもしれない。
 ところで、その大阪府知事選だが、次の日曜日には投開票日だ。率直に言って、筆者は、橋下徹氏は嫌いじゃない。38歳という若さ、そして彼の持っている大胆な考え方、確かな行動力に魅力を感じているからだ。
 このところ、若き指導者では、前原誠司民主党代表、それに安倍晋三総理が、いずれも若さを露呈して失敗している。それだけに、不安視する向きもあろうが、あのケネディ大統領の事例もある。今一度、若さに賭けてみたい。さあ、どうなるか。大阪府民の動向を注目している。

2.昨日の雅子
 入居以来、朝と午後の二回、雅子を訪ねていたが、昨日は別の用事があって午後だけの訪問となった。症状そのものは変わっていないが、お薬が飲み難くなって来ていることから、介護の方の提案で、シロップ上のものにくるんで飲ませることを試すことになった。「飲む」という感覚から「食べる」という感覚に切り替えようというものだ。暫く、様子を見たい。なお、雅子からは、朝にもなるべく顔を出して欲しいということでった。

3.連載(367) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(32)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その10)
 木田さんの予告通り、十月に入って、暫くは何の応答もなかった。先日、一緒に来られた山内さんに電話で確認すると、木田さんは、実のところは目の病気で入院中だという。20日過ぎに出て来るので、待っていて欲しいという。
 入院していたとは初耳だった。どうやら、余計な気遣いをさせないために、便宜的に出張と言っていたようだ。一考も、入院なら致し方なく、段取りを考えると、11月半ばの入居は物理的に難しくなったと思うのだった。体験入居して、契約締結を一気に済ませるには無理があると考えたからである。
 漸く、木田さんが出勤されるということで、ドリームスペースとの打ち合わせをもつことになったのは、10月23日だった。約束の時間の12時に伺うと、山内さんが応接してくれた。木田さんは、休み明けの出勤初日で大変な多忙のようで、取り敢えずは、折衝は同氏に任せたということのようだった。
 この日、一考はある実験を行なった。それは、雅子が手足が使えないことから、呼び出しベルなどが押せず、コミニケーション能力が欠如していることから、自宅で使用している音声モニター機器が、この環境で、うまく作動するか否かを確認することだった。 
 この日の時点で、雅子には二つの部屋が候補として用意されていた。ヘルパーさんの詰め所に近く、ダイニングルームに直結している部屋と、もう少し離れた部屋の二つで、いずれも、山側に向いた部屋だが、ヘルパーから遠い部屋は、ベランダから首を出すと、琵琶湖が少し眺められる。
 実験の結果は、二つの部屋とも音声モニターは聞き取りが可能だと確認できた。実際に、この機器が採用されるかどうかは分からないが、最後の手段が確保できたことで、一考はほっとしたのである。それならば、琵琶湖が少しでも見える部屋が良いのではと、その時は考えていた。
 具体的な部屋の点検を終えた頃になって、木田さんが顔を出してくれたので、改めて今後の段取りを確認した。その際、前に一考が申し入れていた体験入居などの日程が未検討だということで、一考は、改めて、その日程の組み込みをお願いした。正式な契約までに、雅子の症状確認を済ませておきたかったからである。木田さんは、改めて検討するので待って欲しいという。いずれにしても、契約手続きは、その後に行なうことになり、11月下旬になるだろうと、二人は確認し合った。
 別れ際に、木田さんは、参考のために障害者手帳や特定疾患患者手帳を申請した際の医者が作成した診断書のコピーを欲しいという。一考は、翌日に、直接ドリームスペースにそれらのコピーを持参して、木田さんに渡して届けてもらうように受付の方に手渡した。(以下、明日に続く)

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401 大津市長選、与党推薦候補勝つ

 昨日行なわれた大津市長選挙で、自民、公明推薦の目方信候補が二期目の当選を果たした。一期目の実績が評価されたのであろう。嘉田知事のバックアップを得て、民主、社民支持の喜瀬紀美子候補におよそ10パーセント以上の差をつけての勝利だった。地方都市での結果だが、与党側が勝利した意味は小さくない。
 これで来週の大阪府知事選への関心は、ますます高くなっていて、その結果次第で、通常国会への与野党の対応も変わってくるかもしれない。今朝の新聞では、橋下徹氏が民主党らが推薦する熊谷貞俊氏を一歩リードとある。さあ、それがどう変化するか、しないのか。二人にとっては死に物狂いの一週間となるだろう。

2.昨日の雅子
 午前中、水道タンクに故障があって、一時水が止まったが、介護には支障はなく、直ぐに復旧した。午後、筆者の母親(95歳)を連れて初めてのお見舞いを行なった。短い時間だったが、二人とも、それなりにほっとした様子だった。相変わらず、言葉がうまく通じないのがじれったいが、雅子の症状そのものには変わりはない。

3.連載(366) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(31)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その9)
 「前にも、申し上げましたが、自分の体力が続く限り、なるべく、自分が面倒を見てやりたいという気持ちには変わりありません。体力の限界で、急にそれが出来なくなった時に、事前に入居できる権利を確保して置きたいと言う自分の考えが叶えられた訳ですから、安心して雅子の介護に注力できる環境が整ったということになります。ですから、正直言えば、雅子の入居のタイミングは、急ぐ必要はないのです。しかし、それではまずいと思われますから、当面は行ったり来たりの形を頭に描いています。そんな具合で如何でしょうか」一考は、自分の言いたいことを遠慮なく申し述べた。
 「そうですね。それは構いませんが、あまり長く、空室のままでおくのは避けて頂ければと思います」木田さんは少し遠慮気味にそう言葉を濁した。
 「分かりました。それなら、例えば、11月15日、或いは12月1日といった区切りのいいところで入居するということで考えてみようと思いますが、如何でしょうか? もちろん、暫くは、行ったり来たりで、こちらでも面倒見ながら、お世話になることにしようかと思いますが」一考は、自分の体力、そして木田さんの立場などを考慮した妥協案を申し述べた。
 「そうですね。そのあたりで、決めて頂ければ結構だと思います。まあ、行ったり来たりは、それはそれで結構だと思いますが」木田さんは一考の思いを理解した上で、そう答えた。
 「有難う御座います。もちろん、軸足は、そちらに置かせて頂きますが。ところで、気になっていることが一つあります。今までは、営業サイドの面から、入居の許可を頂くことに執着して一途にお願いを申し上げてきました。それが、今日、こうして、目出度くOKのご返事を頂戴し一安心しています。しかし、私が気にしているのは、肝心の雅子の症状が、受け入れて頂くに際し、問題ないか、どうかなのです。つまり、介護というテクニカルな観点から雅子をチェックして頂く機会を作って頂けると有難いのですが」一考は、予てから気にしていたことを口にした。
 「おっしゃる通りですね。一度、こちらサイドで検討してみます」
 「出来れば、一日、体験入居などが出来れば有難いのですが」一考は、耳にしていた情報を口にした。、
 「分かりました。十月に入って、暫く出張しますので、ご返事はその後になります。宜しくお願いします」木田さんは、相変わらず多忙のようで、そのスケジュール調整が大変なようだと一考は受け取った。
 「ご出張ですか。お忙しいのですね。とにかく、ご返事をお待ちします」一考は、そう言って、ボールを相手に預けて、その出方を待つことにした。(以下、明日に続く)

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400 駄々っ子一郎に幹部も困惑?

 相変わらず、民主党代表の小沢一郎氏の言動には、独特の勝手さが目立つ。自分を変えると言ったが、やはりそれは無理なのだろう。
 あの給油法案の採決で退席し、大阪知事選の応援に駆けつけたことに対し「あんな法案は大事なものではない」とか、それを受けてお詫びした鳩山幹事長の発言にコメントを求められ「そんなのは幹事長に聞いてくれ」とか党首とは思えない発言が相次ぐ。取り巻き連中も手がつけられない駄々っ子のようで、果たして、これで、国民の支持が得られるのだろうか。
 政治の流れが政局につながりかねない情勢だけに、民主党員も困惑しているだろう。いよいよ、「誰か」が出ないといけない状況に近づいているのではとも思えるが、その「誰か」がいないのかも知れない。

2.昨日の雅子
 通院日だった。いつもの京都駅前にある吉田病院ではなく、醍醐にある吉田病院で、筋肉をやわらかくする注射を受けた。手首と首筋に打たれるのだが、見ていても大変痛そう。しかし、本人は頑張って堪えていた。3ヶ月おきの治療で、次回は4月の予定である。11時半に老人ホームを出発し、2時半頃に戻ったが、その往復の移動で結構疲れた一日だった。雅子自身の症状そのものには、大きな変化は見られていない。

3.連載(365) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(30)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その8)
 一考が気にしていたドリームスペースへの入居の可否については、その後も暫くは返事がなかった。入居条件で雅子の年齢のことや自分への与信のことが検討段階で長引いた議論になっているのではと、一考は不安な日々を過ごしていた。
 ところがである。9月末の28日になって、前触れもなく、木田さんと部下の山内さんが、揃って一考の家を訪ねて来られたのである。
 「近くに用事があったので、立ち寄ったのですよ」木田さんは、そう言って明るく挨拶してくれた。そして、入口の門扉のところでの立ち話となったが、何気ない世間話を交わした後、本論に話が移った。
 「雅子さんの件は、まず大丈夫だと思います」木田さんは、いきなり、懸案のことについて、明るい表情でそう切り出した。
 「そうですか。それは、有難う御座います。いろんな厄介な問題については、ご了解が頂けたのですね」一考は、ほっとして笑顔で礼を言った。長く、曖昧であっただけに、一気に溜飲が下りる思いだった。
 「それで、相坂さん、何時頃からの入居を考えておられます?」木田さんは早速、その段取りの話に踏み込んで来た。
 「そうですね。早い方がいいのでしょう?」一考が、木田さんの意向を確認するようにボール」を返してみた。
 「そうですね。あまり長く空けておくのもどうかと思いますが」木田さんの話は、早い方がいいというニュアンスだった。もたもたして、折角の決定を取り消されたら大変だとの思いが一考の頭の中にあった。しかし、今までは、入居自体の許可云々を話して来ていただけに、その急な状況の変化に、一考は戸惑っていた。
 「なるほど。折角、ご許可を頂いたのですから、なるべく早く入居する方向で検討します。それで、正式な契約手続きや支払いなどを行なう必要がありますね」一考がその辺りの事務的な手続きについて確認した。そう言えば、まだ、正式な申し込みもしていなかったことに気づいていた。
 「それは、入居のタイミングに合わせて、併行してやらせて頂きたいと思っています」木田さんは、そんなことはご心配なく、自分に任せて下さいと自信満々だった。
 「なるほど。それじゃ、全ては、何時入居するかで始まるんですね」一考は投げられたボールの扱いに少し躊躇していた。状況の大きな変化について行けないからだった。入居が許可されるかどうかで、長い間、不安な気持ちで待ち続けていたのが、一転、その不安が氷解し、急にボールが自分に投げられたからだった。
 木田さんにしてみれば、一刻も早く、この朗報を伝えようと、多忙な中を時間を割いて、自宅に立ち寄ってまで伝えてくれたのだ。その誠意に一考は答えなければならないというプレッシャーを感じていたが、「さあ、何時から」と迫られるとと、その答えに躊躇するのだった。(以下、明日に続く)

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399 聖子、ゆかりを押し出す

 第169通常国会が始まった。ガソリン国会と言われているが、そんなつまらない(?)ことでの対決はよして欲しい。ガソリン税率の話は、話し合いで済ませ、もっと大事なことでに時間を割いて欲しいと思う。
 その裏側では解散総選挙を睨んだ動きは活発だ。小泉チルドレンの扱いが注目されている中で、その代表的な野田聖子佐藤ゆかりの岐阜の陣には結論だ出たようだ。大相撲ではないが、野田氏がゆかり氏を押し出して岐阜一区の公認を奪回した。これは、野田市に近い古賀誠氏が選挙対策の責任者に就任した時点で、予測されていたことで、佐藤氏の扱いをどうするかにあったと思われる。佐藤氏は候補者のいない東京5区への転出の公算が大きいという。見映えがよく、実力もそこそこだけに、彼女への人気、期待は少なくないだろう。頑張って欲しい。

2.昨日の雅子
 寒い一日だったが、幸いお風呂の日で、それなりに温まって心地よさそうだった。平穏な一日と書いておこう。

3.連載(364) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(29)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その7)
 思ったよりも、一ヶ月の経費は高額だった。当初は20万円程度だとの認識だったのだが、下手すると30万円かかる事も覚悟しておかなければならない額だった。年金生活者にとっては、それは、生易しい金額ではない。
 従って、琵琶湖が見える部屋ということでの月2万円の差額は、無視できない金額のウエイトだった。ともかくも、年金生活者の自分に、こんな高額の経費を支払っていけるのか、ずっしりとした不安が頭の中で育ち始めていた。それまでは、年金の額には、殆ど気を遣うこともなく、のいんびりと過ごしていけると構えていただけに、このずっしりと重い経費に、改めて自分の年金について、もう少しきちんと確認してみる必要を思うのだった。特に、75歳以降は年金が減るといったことを耳にしていたからである。
 翌日、一考は社会保険庁と企業年金を扱っている窓口に電話で、75歳以降を含めた年金の将来について確認した。そしてその返答に、思わず頭を抱えたのだった。
 案の定と言うよりは、思いのほか大幅な年金の減り方だった。それは、企業年金の場合だけだが、75歳以降は、それまでの額に対して、30%しかもらえないと言うのである。何と、70%カットなのだ。これは生死に関わる問題で、それ以降の人生は、それまでの蓄えの食いつぶしになる。一気に不安は拡大した。しかし、その一方で、自分達が、幾つまで生きられるのだろうかとも考えてみるのだった。
 そして、子供たちには悪いが、何も彼らに残してやることも無いだろう。又、彼らも、親達の事情は充分に承知しており、これ以上親に期待はしていないだろう、もう、これ以上蓄えは要らないと思うと、気持ちはすうっと軽くなるのだった。それまでの蓄えを食い潰してゆけば、三十年、四十年は大丈夫だという自信になっていた。そして、次の瞬間、一考は思わず声を出して笑った。「そうなんだ。そんなに長く生きられないだろう。もし、長生きしたならば、それはそれで儲けもので、今から、そこまで考えるのは愚の骨頂だ」との思いが込み上げてきたのだった。不安は一気の笑いに変わったのである。
 翌朝、雅子にその辺りのことを話すと、「琵琶湖も毎日、ずっと見ていると飽きてしまうでしょう。たまに見るから感動するのじゃないかしら」との明るく笑って見せた。一考の思いを汲み取っての雅子の返事だった。一考は直ぐに木田さんに電話を入れた。前日の見学のお礼を言った後、次のように返事した。
 「お部屋の件ですが、琵琶湖が見えない部屋に決めたいと思います。やはり、2万円も安くはありませんので。琵琶湖を見たい時は、屋上にでも出て、ゆっくりと眺めることにします。琵琶湖は逃げずにそこにいてくれるはずですから」そう返事する一考の声は、負け惜しみながらも意外にも弾んでいた。(以下、明日に続く)

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398 インサイダー取引

 NHKの職員が、放送される直前のニュースに不正にアクセスし、それを知って株の売買を行い、売却益を得ていたと言う。以前に日経新聞の関係者が、掲載予定の広告内容を事前にしって、同様な行為をしていたことがあった。
 かつて、筆者が現役の頃、自社株の買い増しをしようとした際、証券会社のかたから、「インサイダーではないですね」と釘を刺されたことがあった。残念ながら、筆者には、そんな立場に着くことはなかった。
 いずれにしても、自分の立場を悪用した金儲けは許されない。

2.昨日の雅子
 午後、雪の降る中を遠路から、大学時代友人Tさんが訪ねて来てくれた。久し振りの顔合わせに雅子も嬉しくて、言葉が通じないながらも、涙、涙の楽しいひと時を過ごしていた。言葉は通じなくても、心は充分に通じていた。

3.連載(363) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(28)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その6)
 その時、木田さんのアシスタントの森永さんが急ぎ足で上がって来て、少し前に香子さんと霧子さんが到着したと伝えてくれた。三人ではなくて上の二人だけだと言う。そこで、雅子ら一行は、改めて、2階に戻って、そこで皆と落ち合った。
 「伸子が時間を間違えて来れなくなったの。そんなことでゴタゴタしたので、時間にも遅れちゃって、ごめんなさい」香子さんが、いつもの明るい口調で弁解した。霧子さんも黙ったまま頷いていた。二人の姉達に一緒に会うのは、3月に山科の伸子の家で会って以来のほぼ半年振りということになる。香子さんは、伸子の此処への入居のことで、しばしば訪ねて来ているようで、木田さんらとは大変な懇意になっているのが見ていて分かった。雅子はそんな二人の関係を見て、心強さを感じていた。
 その後は、二人も加わって、3階と4階の部屋を足早に見て回った。部屋の大きさやレイアウトは殆ど変わらないが、窓から見える景色が違う。仰角が違うからで、言うまでもなく、2階よりも3階が、3階よりも4階の方が眺望に優れている。大別すると、琵琶湖が見える部屋とそうでない山側の部屋に分けられる。また、琵琶湖が見える部屋にも二つのタイプがあって、対岸が正面に見える部屋と浜大津方向の琵琶湖が見える部屋がある。やはり琵琶湖が見える部屋の方が素敵であることは申すまでもない。しかし、これらの部屋は、琵琶湖が見えない部屋に比べて毎月の管理費が2万円高いという。
 「どちらのタイプにされますか?」木田さんは一考に訊ねてきた。簡単な質問だが、答えるには厄介な質問だ。一考は、雅子の反応を窺ったが、任せるといった顔で微笑んで見せた。
 「毎月の管理費が、総額でどの程度になるか、雅子の症状を勘案して概算を頂いた上で判断したいと思います。要介護4に該当する事例があれば教えて欲しいのですが」一考はそう言って木田さんの顔を見た。晴れていた空が、にわかに黒い雲で覆われ始めていた。一考は、何故か、この話題が、天候までも曇らせてしまったのではと思うのだった。
 その後、見学を終えて、姉さん達とも別れて帰宅すると、夕方になっていた。雅子をいつもの椅子に座らせて一息つくと、一考は、帰り際にもらった管理費を試算した明細内容を纏めた総括表に目を落としながら、じっと考え込んでいた。(以下、明日に続く)

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397 続落と偽装

 13年前、時刻的には、今、このブログを書いている少し前に、あの神戸大震災が起きた。今朝のテレビ、新聞は、そのことをしっかりと伝えている。6434人の尊い犠牲者に改めて哀悼の誠を捧げたい。
 さて、株価の下げが止まらない。ニューヨク株は今朝も昨日の大幅な下げを受けて、更に続落した。誰にも先が読めないだけに、不安は募るばかりだ。今日の東証は、何とか、この辺りで続落を食い止めて欲しい。続落と言えば、福田内閣支持率もそんな悪いリズムに入っている。明日から通常国会が始まる。起死回生の思い切った手腕を期待したいが、……。
 一方、新たに、日本製紙グループが再生紙の6割で偽装があったと伝えている。偽装も、食べ物から始まり遂に環境偽装にまで拡大している。次は、何が飛び出すかといった余計な不安が頭を掠める。

2.昨日の雅子
 この老人ホームに入って、初めて、館内の美容院でヘアーカットをしてもらった。一階にある美容室に担当者が出向いてきてやってくれる。今までのように、美容院まで出掛けなくて済むので大いに助かる。およそ2ヶ月ぶりの手入れで、雅子も気分的にすっきりしたようだった。その一方で、言葉の不明瞭さが進んでいて、先行きが心配である。リハビリに時間を割きたいと思っている。

3.連載(362) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(27)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その5)
 いずれの部屋も、1DKで25平方メートルの広さだそうだ。シャワー室とトイレが入り口近くにあって、その向かいに洗面台、冷蔵庫置き場、更には電子レンジなどをおく台が設けられている。その奥が、日常生活のスペースで、ベッドが壁際に、その反対側にテレビなを置くカウンターがある。そのカウンターの下には、幾つかの引き出しがあって、衣装や、下着、靴下、手ぬぐい、ハンカチ、あるいは、ちょっとした小物などを分類して入れるに適している。それとは別に、クローゼットがあって、着替えなどの衣装などを掛けてしまうゆったりとしたスペースがあり、更には、布団、毛布などを入れる棚もあって便利に作られている。
 部屋の奥にはバルコニーだ。そこからはゆったりとした風景が楽しめる。琵琶湖に面した部屋は、特にその景観をエンジョイできるが、反対側の部屋は、山を背景にした田園、住宅などの風景だ。
 雅子は車椅子で移動しながら、ゆっくりとその雰囲気に浸っていた。第一印象としては、きれいでゆったりしていて、便利にレイアウトされているというものだった。そして、ここが、自分の終の棲家となるのだと思うと、何か、熱い物が込み上げてくるのだった。何も、好んで入りたいと言う訳ではないが、それなりに平穏に過ごせそうな環境は提供してくれていることは確かである。 しかし、そんなことよりも、そうすることで、一考の負担が少しでも楽になるはずで、それが最大の救いであるという思いだった。かなりの経済的な負担が掛かることになるのが心苦しいが、それ以外の有効な選択がないのだから、致し方ないと自分に言い聞かせるのだった。
 その後、4階の屋外に出て周りの風景を楽しむことになった。雲が出ていたが風が穏やかで気持ちのいい天候だった。雄大な琵琶湖の眺めは格別で、浜大津港から琵琶湖大橋に至るパノラマの眺めが素晴らしく、じっと眺めていると気分が和んで来た。雅子は、久し振りに穏やかな気分を楽しんでいた。(以下、明日に続く)

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396 底なし株価

 東証株価が、遂に14000円を割った。福田内閣になって2500円も下がった。サブプライムの影響は更に深刻さを見せている。しかも、今朝も米国ダウは270ドル以上も下げていて、今日の東証は更に大きく下がりそうで、何処まで行くのかが気に掛かる。しかし、その一方で、気分はどうにでもなれである。
 思えば、小泉内閣スタート時に、14000円台だったのが、あれよあれよで、2003年4月には7600円台まで下がったことがあった。それを思えば、まだまだと言えないこともないが、今回は、日本だけが一人負けで下げており、不安が大きい。何しろ、一年前の2月には18000円台まで戻していただけに、このところの下げは絵に画いたような急落さだ。とにかく、じっくりと春が来るのを待つしかない。

2.昨日の雅子
 朝、早めに施設を訪ねた。雅子の便秘が心配だったからである。幸い、昨夜、便秘薬を服用したことで、その効果もあって、今朝通じがあったという。取り敢えずはほっと一息だった。幸い、ちょうど、お風呂の日であったので、気分はまずまずだったと思う。言葉がはっきりしないので、発音のリハビリに努力するよう薦めた。

3.連載(361) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(26)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その4)
 間もなく、旧棟の方から、二人の女性が小走りでこちらに向かってくるのが見えた。年配の方が営業主任の木田さんだろうと、夫から聞いていた名前を頭に浮かべていた。いかにも、よく働くご婦人といった雰囲気がその小走りの姿に滲み出ていた。しかし、まだ、三人の姉妹達の姿が見えない。何か手間取ることがあって、時間に遅れたのだろう。
 「よくいらして下さいました」笑顔を繕いながら木田さが明るく声を掛けてくれた。長く営業を担当しておられるせいか、その一つ一つの仕草、言葉遣いに細やかな配慮が垣間見える。木田さんに寄り添うようにしているアシスタントの方が「森永です」と二人に丁寧に頭を下げて挨拶してくれた。夫からは、大学を卒業して入社間もない方だと聞いていたが、その通りで、その初々しさがひときわ目立っていた。
 「お世話になります。これが私の妻の雅子です。宜しくお願いします」車椅子の私を紹介しながら、夫が挨拶を返した。私も、座ったままだったが、頭を下げて挨拶した。
 その後「三人の姉妹が来るのだが、少し遅れているようだ」との夫の説明したのに対し、木田さんは、「お姉さん達は、既にここの施設をよくご存知だから、とりあえずは、私達だけで先に見学を始めましょう」ということになり、木田さん、森永さんにヘルパーの方が一人加わったメンバーで、新館のツアーを開始した。
 先ずは、一階の共用フロアーからのスタートである。カフェコーナー、多目的ホール、美容室の他は、幾つかの浴室である。ここには、大浴場、家族風呂の他に、雅子がお世話になるであろう機械で入浴できる浴室もあった。そこでは、車椅子のままとか、寝たままの入浴が可能だという説明だった。そのため車椅子やベッドを吊り下げる機械が備え付けられていて、少々物々しさが感じられた。自分の場合は、多分、車椅子のままでの入浴を受けるのではないかと雅子は思いながら、その場合の自分の姿をイメージするのだった。何となく大掛かりな入浴になりそうだと、それまで押さえていた不安が頭をもたげるのだった。それらを、一巡した一行は、エレベーターで2階に移った。
 一般の介護つきの有料個室は、全て2階から4階のフロアーに、およそ80室あるという。いずれのフロアーもほぼ同じレイアウトだということで、見学は、その代表事例ということで、2階の部屋を見て回ることになった。雅子は、自分の入居が承認されれば、当然、その中のどれかの部屋が与えられることになるはずで、じっくりとみておこうと気分を引き締めるのだった。 (以下、明日に続く)

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395 高速バス運転手、意識失う

 大事故にならずによかったというのが、このニュースを聞いたときの筆者の気持ちだった。14日午前に起きた事故で、庄内交通の特急バスが、山形県鶴岡市の国道112号の月山第2トンネル内を走行中に、そのバスの男性運転手(52)が意識を失った。異常に気付いた乗客の男性がとっさにハンドルを操作し、タイヤを道路左側の縁石にこすらせてバスを停車させた。乗客26人にけがはなかった。運転手は、風邪気味だったので、風邪薬を服用していたという。ハンドル操作をして事故を未然に防いだ、勇気ある男性に大拍手を送りたい。
 実は、かくいう筆者も、昨年、妻を乗せて琵琶湖一周のドライブ中に、同様な危険な経験をした。(連載中の「難病との闘い」(294)を参照願いたい) 筆者の場合は、疲れで、瞬間的に睡魔が襲ったのだったが、いずれにしても、一つ誤れば大惨事になっていた訳で、それを思うとぞっとする。とにかく、大事に至らなくてよかったと申し上げておきたい。

2.昨日の雅子
 取り立てて言うことはなかったが、便秘気味で、何とかしようと頑張っていたが、通じには至らなかった。10日以降、新しいお薬が増えたのが気になっている。

3.連載(360) 難病との闘い
      第十三章 介護付き有料老人ホームへの誘い(25)

(3)ドリームスペース(仮称)との契約(その3)
 開き直りというのは、苦境に追い込まれた時に選択する強手である。勝負事ではよく見られる手法で、思い切った選択、決断で、思わぬ力が得られることもある。見通しがはっきりしない難病だけに、あれこれ考えて見ても始まらず、思い切って流れに身を任せることが、今では最善の選択だと、雅子は自分に言い聞かせるのだった。、
 これからは、巡ってくる場面、場面で、自分をそのまま出せばいいのだ。そう考えれば、気分も落ち着き、不安も小さくなってゆくのが不思議なくらいだった。そんなことに思いを巡らせているうちに、車はスムーズに走り、やがて正面に、「ドリームスペース」と表示された看板が目に入った。一考が、スピードを落としながら、前方の信号を確認してハンドルを右に切った。施設は、すぐその前に大きな姿を現した。。
 夫は、既に、何回か此処を訪れていて、この辺りの事情に通じているようで、十階建ての大きな建物群と道を挟んで反対側にある、四階建ての新しい建物の玄関口に向かって進んだ。雅子は、これが竣工したばかりの新ケア棟で、自分のこれからの生活基地になる建物だと察知した。建物の手前に「楽裕館」と書いた案内看板があった。夫は、その玄関口を通り抜けたところにある駐車場で車を止め、いつものテクニックで私を車椅子に移してくれた。そして、ゆっくりと待ち合わせ場所である新ケア棟のロビーに向かった。この日の見学に立ち会ってくれることになっている雅子の三人の姉の香子、霧子、それに伸子達の姿は、その辺りには見当たらなかった。まだ、着いていないのだろう。なお、直ぐ上の姉の伸子は、このドリームスペースの自立塔に近々入居する予定である。
 ともかく、夫が車椅子を押してくれて、玄関の入口の自動ドアを通ったが、そこからロビーに入る内側のドアはロックされていて開かない。奥に見える受付にも、誰の姿も見えなまたt。そこで、夫が連絡用の電話の受話器を取り上げようとした時に、ちょうど通りかかった事務の方が、二人に気づいてロックを解除してくれた。一考は、事情を話し、車椅子のタイヤを拭う雑巾を持って来て貰うように頼んだ。間もなく、その方が雑巾を持って来てくれて、一考はゆっくりと車椅子のタイヤを拭って、ロビーの中に入った。ロビー内は空調がよく聞いていて気持ちがいい。時間はまだ約束の時間より10分ぐらい早かった。 
 その事務の方は、直ぐに営業の木田さんに連絡を取ってくれたので、二人にそのゆったりとしたロビーで暫く待つことになった。静かなロビーの中で、二人は、恰も、新しい舞台の幕が上がるのを待っているような気分だった。(以下、明日に続く)

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394 強い横綱

 大相撲初場所が始まった。人気は上々だそうだ。三場所ぶりに強い横綱、朝青流が復帰したからだ。やはり、人は強いものに憧れるものだ。今朝のワイドショーで、一般の人たちの反応を伝えていたが、朝青龍が優勝するだろうという人が最も多かったのに対し、朝青龍には優勝して欲しくないというのも多かったという。
 憎まれるぐらい強くなるのも、強さの勲章だといえるのではないか。か