プロフィール

相坂一考

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版
14年7月に、難病との戦いを扱った「月の砂漠」を文芸社から出版

このブログは3部構成です。
 1.タイトルへの一言。
 2.独り言コラムで、キーワードから世の動きを捉えようと試みる。
 3.プライベートコーナー
   (2015-06-03に修正) 

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1019 そこまでやるか

 いい意味でのそこまでやるかは大歓迎だが、真面目な愛の誕生をお笑いネタにするのは、如何なものか。

1.独り言コラム
 鳩山新内閣の打つ手はなかなかである。来年度予算をゼロベースで見直すといった官僚政治からの脱却を目指す政治手法には大いに期待すべきものがありそうだ。しかし、亀井郵政金融相の金融政策の融資に対する「返済猶予」に至っては、同氏の如何にも思いつき的な薄っぺらい発想で、反対意見も根深く、これについては、「そこまでやるか」も大きな正念場となりそうだ。
 また国連で演説して名前を挙げた温室効果ガス規制では25%削減という目標値を上げて踏み込んだ鳩山内閣だが、これには産業界からの圧力も相当なもので、今後の具体化案がどうなるかであろう。ここでも「そこまでやるか」の意欲が全面に現れている。
 話は一転するが、テレビ番組では、お笑いやバラエティ番組では、その種のドッキリネタを面白おかしく扱って、「そこまでやるか」といったものは多い。昨夜、たまたま見ていたテレビ朝日の番組で、色男、石田純一とプロゴルファー東尾理子のロマンスを、最初からずっと密着して、映像で捉えてきたスクープ番組を放映していた。これには、さすがに驚いたし、まさに、「そこまでやるか」の典型的な事例だった。
 圧巻はギリシャのエーゲ海のミコノス島で、石田純一が理子さんに結婚を申し込むシーンだったが、石田純一と番組の進行役であるロンブー敦が仕組んだプログラムを、スリリングに進行させてゆくくだりがなかなかだ。しかし、気掛かりは、相手の東尾理子さんは全く知らされていない状況下での隠し撮りである。
 筆者は、人生の大事な節目での記録は、自分史という面から、貴重なものとして評価する考え方なのだが、婚約、結婚と云う極めて真面目なステップを、お笑いネタとして、相手の了解なく隠し撮りでの記録には、いささか複雑なものを感じる。本当に「そこまでやっていいのだろうか」である。
 その番組の中で、理子さんのお父さん、つまり東尾修監督に「娘さんを下さい」とお願いに上がる場面を想定して、二人で智恵を出し合って練習するくだりがあったが、一見、真面目な取り組みに見える一方で、ふざけた対応だと思いたくなる気もする。特に、おやじさん本人が、これを見た時にどんな感じを受けるだろうか、ふざけたマネはよせと怒るのか、或いは、そこまでやってくれているのかと評価してくれるのか、大変気になるところである。
 いずれにしても、真面目な愛を、このような手の込んだ形で、このようなお笑いネタで捉えるやり方は、筆者は、本来的には良しとせず、「ふざけるな!」の気持ちであるが、番組としては、大成功の大スクープだったことも確かである。
 ところで、このロンブー敦という男の話術はなかなかのもので、明石家さんまや島田紳助とはまた違ったタイプで、なかなか味のあるタレントだ。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、60.8Kg。今朝も雨である。
 昨日の雅子だが、栄養剤の投与が開始された。1回200ccの量をトロミで粘調にした形で、胃ろうからの投与である。朝と夕方の二度に渡って投与されたが、筆者が帰宅する夕方5時半までには、それに連動したと思われる通じは見られていない。様子見であるが、今朝が勝負と見ている。下痢がなければ、大成功であるのだが、…。
 一方、この日も体温が終始37度台で38度近くまで上昇していた。この高体温の原因が全く掴めておらず、不安である。
 なお、この日も、昼前に長男の太郎が見舞ってくれた。

3.連載、難病との闘い(984)第三部 戦いはまだまだ続く(278)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(73)
 2.敵は本能寺(52)
  (3)いざ勝負 (その11)
 先生に挨拶を終えて、少し、落ち着きが戻った一考は、改めて「問題の人工呼吸器は何時頃外して頂いたのでしょうか?」と改めて当事者に伺った。それに対し先生は「10時過ぎに、自己呼吸が通常状態に戻って来ていることが確認できたので、その時点で外して、暫く様子を確認した上で、11時頃にこの部屋に戻した」という説明だった。そして「今のところは各機能とも順調だ」と付け加えられた。一考は、改めて、三井先生に丁重な感謝の意を表した。
 実兄の祐一さんや実姉の霧子さん、それに二人の息子達に、この結果を伝えようと部屋を出ると、婦長を始め、それまでお世話になった多くの看護婦さん達から、「戻って来られて良かったですね」と労いの声を掛けられた。その度ごとに、一考は、嬉しさを覚えると共に、その胸中に込み上げてくる熱いもの感じていた。
 結果を聞いた裕一さん、霧子さんは共にほっとされた様子が受話器から伝わってきた。恐らく、昨夜は相当な心配だったに違いない。裕一さんは、直ぐにこちらに顔を出すという。開業していて多忙な方だが、妹のことにこれだけ時間を割いてくださることに、一考は一目も、二目も置くのだった。大変な妹思いの兄である。若し、立場を変えて、自分の妹の場合だったら、一考はそんなにも丁寧なお見舞いをするだろうかと不安に思うのだった。一方、長男は直ぐには電話には出なかったが、折り返しの電話があった。次男には自宅の嫁に伝えた。恐らく、ホットラインで伝えてくれるのだろう。二人とも、一考の報告にほっとしていた。
 裕一さんは、3時頃に顔を出された。ちょうど先生が顔を出されていたので、二人で話し合っておられた。「挿管がうまくいったのが幸いだった」とか「未だに唾液が誤飲されている」とか「肺炎は治っている」といったような先生の言葉が聞こえたが、暫くは、医者同士の二人での会話だった。裕一さんは、雅子の手を握って声を掛けられ、30分ほどして帰途に着かれた。
 一期一会という多くの人が好きな言葉があるが、一考は飛行機に乗るのが好きではなく、利用する度に、これがこの世の最後になるかも知れないと覚悟して乗り込むのだが、今回の手術も、決して大袈裟でなく、若しかしたら、妻との永遠の別れになるのではといった不安がなくはなかった。三井先生の執拗過ぎる正直なリスクのご説明に、そんな強い不安を抱いたのだった。しかし、こうして雅子の寝顔を見ていると、ちょうど飛行機が無事に着陸し、安全ベルトを外した時のほっとした感覚を思い出すのだった。そして、生きていてよかったとの幸せ感を味わっていた。(以下、明日に続く)
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1018 天命

 天の声にも時々変な声もあると言った福田赳夫総理の言葉が思い出されるが、天命を待っているのも、なかなか味なものである。

1.独り言コラム
 2016年のオリンピックの開催地を決めるコペンハーゲンでのIOC総会まであと4日となった。いよいよ秒読みである。26日に現地入りしている石原慎太郎都知事は成田を発つ際に「人事を尽くしたので天命を待つのみだ」とコメントしていた。人事を尽くすという意味では、先の国連総会で世界に名を挙げた鳩山総理も現地に乗り込むことになり、全てを出し尽くすことになる。アメリカもオバマ大統領が乗り込んえ来るということで、その行方は余談を許さない。
 そのIOC会議のタイミングに合わせてコペンハーゲンに向かって走っている寛平さんも、今日、若しくは明日には現地に到着する。何らかのPRに繋がれば嬉しいのだが、どうなのだろうか。100人ぐらいのIOC委員達の投票を待つのだが、それは、まさに、天命を待つ心境である。
 自民党総裁選挙では谷垣禎一元財務相が圧勝し、第24代自民党総裁に選ばれた。筆者が期待していた河野太郎氏だったが、天命は降りなかった。頼みの地方票だったが、それも2/3が谷垣氏に流れたことで、善戦したに止まった。本人の性格が、少し灰汁が強過ぎたきらいがある。次を期してもらいたい。
 大阪府の堺市で政令都市になって初めての市長選挙で、市民の下した天命は、相乗り候補の現職じゃなく、橋下大阪府知事が支持した竹山修身候補の勝利だった。橋本人気は未だ健在である。
 大相撲の千秋楽で、双方が14勝1敗となった両横綱による優勝決定戦は、朝青龍の頑張りで白鵬の逆転優勝を許さなかった。天命は誕生日だった朝青龍に見方したようだ。なお、この日、大関魁皇が強敵琴光喜を破って定番の8勝7敗で勝ち越した。幕内での勝ち星が千代の富士に次いで単独2位となり、幕内在位場所数も来場所は新記録の58となる。魁皇ファンの声が天命となって琴光喜を動かしたのかも知れず、その辺りの阿吽の呼吸が魁皇を守ったのかもしれない。
 ところで、誕生日の勝利と云えば、最近では、野村監督の74歳の誕生日(6月29日)にエース岩熊久志投手の好投と20安打を放った打線の活躍で楽天が大勝利を収めて話題になった。
 一方、昨日誕生日を迎たクルム伊達が昨日の東レパンパシフィックの大会に出場し大健闘したが、惜しくも体力が尽きて、誕生日を勝利を飾ることは出来なかった。前日に韓国オープンで13年ぶりのツアー優勝していただけに、その勢いで誕生日を祝って欲しかったのだが、…。確かに、天命にも時には変な声もありそうだ。

2.プライベートコーナー
 4時半起床。体重60.3Kg。外は小雨が降っている。
 昨日の雅子だが、やはり熱が高く、痰に悩まされていた。トロミで粘調にした白湯を2回に分けて投与をしている。その結果だが、便は少し下痢気味である。とりあえず、今日から栄養剤の投与が行なわれる段取りになっている。
 長男の太郎が夕方顔を出した。雅子も頑張って顔を見ていた。

3.連載、難病との闘い(983)第三部 戦いはまだまだ続く(277)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(72)
 2.敵は本能寺(51)
  (3)いざ勝負 (その11)
 久し振りに充足感に満ちた気持ちで6階に着くと、ナースステーションに居た婦長の出野さんが、「戻って来ておられてますよ」と明るく伝えてくれて、一考を雅子の居るリカバリールームの606号室に誘った。
 その部屋は、ナースステーションに直結した隣の部屋だった。4つのベッドが置かれていて、雅子のベッドは部屋に入った右側の廊下サイドのスペースに置かれていて、雅子が静かに横たわっているのが見えた。
 部屋に入るや、一考は直ぐに雅子のベッドに近寄った。雅子の様子は、手術前の状態よりも顔色もよく見え、落ち着いているように思われた。「よかったね!」と声を掛けると無表情の中に、肌つや、呼吸の仕方などから、しっかりと生きているという証が認められ、一考は、本当に良かったと心から戻って来られた喜びを噛み締めるのだった。そして「よく頑張ったぞ」と労いの言葉を掛けてやった。正直言えば、昨夜は、幾たびか、若しかしたら、その手術が彼女をあちらの世界に送り込んでしまうことになるのではとの不安が、一考の頭の中でうごめき、苦しめるのだった。
 ベッド脇には、雅子の生の基礎データが表示されている電光掲示板があった。それによると、血圧が95(Max)57(Min)、酸素指数が100、脈拍が78、呼吸が24と出ている。大部屋ではこのような生のデータは採られていないが、このリカバリールームではそれが常時表示されているのだ。雅子も薄目を開けて一考の顔を見ているようだった。その表情は充分に落ち着いていた。
 ふと気がつくと、筋向いのベッドの傍に、手術を担当された三井先生がおられて、じっとこちらの方に視線を送っておられたのである。一考は、直ちに先生の方に向き直って、繰り返し、心から感謝の気持ちを伝えた。先生は、極めて正直な方で、昨日の手術を終った段階では、「まだこれからだ」と厳しい顔での応対だったが、さすがにこの段階では、その厳しさは消えていて、穏やかな顔で、余計な言葉を挟まずに黙って頷いておられた。
 その時、突然に一考の頭の中に、昔のヒット曲である大津美子の「ここに幸あり」の歌詞とリズムが浮んで来ていた。思わず口ずさみながら、一考は、今の小さな幸せを実感するのだった。(以下、明日に続く)

1017 退場

 スポーツに於けるルール違反などによる強制退場は、明確な約束事であって、誰にでも公平に適用される。それとは別に、時機を得た自らの舞台からの自主的な退場行為は、人間の美学の基本である。新しい時代にそぐわない過去の人は、潔く退場すべきである。

1.独り言コラム
 マリナーズのイチロー選手が、日米の19年間のプロ生活を通じて、初めての退場宣告を受けた。日本時間の昨日のブルージェイズとの試合の5回の第三打席で、見逃しに終わった際に、その判定に不服を示したため退場処分となった。「ボールがここを通った」とベースの外れたところを示したのが、審判への侮辱行為と判定されたものである。
 同氏は、今年は懸案の目標を既に達成していて、少し余裕があったのだろう。イチローも暦とした人間である。ご愛嬌もあっていい。
 野球での退場劇は、時として選手を鼓舞する手段として、監督が意識的に審判につっかる行為を演じることがある。広島カープのブラウン監督がその一人で、ベースを引き抜いてグランドに投げつけるパーフォーマンスは、今や観客を喜ばせる一つの定番の演技でもある。
 サッカーやバレーでは危険なプレーにレッドカードが出されて即退場となる。この場合は代わりが出せないので、チームとしては大きなハンディ戦となるのが辛い。
 上場会社が倒産したり、不祥事を起した場合にも退場、つまり上場廃止が適用される。最近では、あのホリエモンのライブドアの事例が記憶に生々しい。
 政治の世界では、今では年齢的な自主規制があるが、過去には随分高齢の代議士や議員がいた。有名な事件としては、当時の小泉純一郎総理が、中曽根康弘御大に引退を勧告したのは有名だ。怒り心頭に来た中曽根御大は「政治テロ」だと激怒したのが思い出される。
 今の政治家の中にも、もういい加減に退場したらと思うような人材が散見される。今日行なわれる自民党の総裁選挙に立候補している河野太郎氏は、「悪しき体質を引きずって来た人を、今更ベンチに入れるのは良くない」と強く主張している。その通りであって、むべなるかな、である。
 自民党ばかりではない、新しい鳩山内閣の中にも、藤井裕久財務相や亀井静香郵政金融相は、もう過去の人のカテゴリーに入っているのではと筆者は思う。誰か、鈴を付ける人はいないのだろうか。
 もう一つ、先日の国連総会で、オバマ大統領が提案した核兵器の削減、撤廃は多くの国から大いに共感を得たが、核兵器の地球上からの退場は、今や人類の悲願以外の何物でもない。

2.プライベートコーナー
 3時半起床、体重、60.4Kg。外は久し振りに小雨がぱらついている。
 昨日の雅子だが、ほぼ一日中体温が37度から37.8度と高温に悩まされていた。体温をコントロールする機能に問題がありそうだ。とにかく、冷やして様子をみている。
 一方、胃ろうに関しては、昨日もトロミで粘調にした白湯の投与が行なわれた。結果として、やはり、下痢状の通じが起きている。この投与は、もう少し継続して様子を見ることになっている。

3.連載、難病との闘い(982)第三部 戦いはまだまだ続く(276)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(71)
 2.敵は本能寺(50)
  (3)いざ勝負 (その10)
 まもなく、そのドアが開いて、すらっとした優しそうで気品を感じさせる看護婦さんが顔を出した。前日の手術に立ち合われた方とは違う看護婦さんだった。
 「相坂雅子さんは、既に6階のリカバリールームに移動されておられます」彼女は何事もなかったような淡々とした口調で、そう教えてくれた。全くの想定外の返答に、一考は、一瞬、きつねに騙されたような変な気分になった。それは、一考にとっては、いみじくも、手の込んだどんでん返し以上の痛快な展開だと言えた。
 昨日の重々しい手術後の今日である。「どうぞ、お入り下さい」と言われて、ICU室に入室するものとばかり考えていた一考だけに、彼女の伝えてくれた内容は、意外の最たるものだった。言葉に表せない歓喜の響きがあって、一考の気持ちを一気に爽快なものに変転させたのである。とにかく、既にこのICU室を出ているという返答は、全く考えてもいなかったことだけに、昨日から一考の頭の中をずっと占有していた重苦しい気持ちが、一気に雲散霧消し、それが歓喜の思いに変わった瞬間だった。
 「それでは、人工呼吸器は無難に外すことが出来たのですね?」胸をときめかせながら、、一考は最も気していたことを確認した。それに対し、彼女は少し微笑んで「そうです」とここでも何事もなかったような返事をくれたのだ。その望外の嬉しい事実に、一考は、小躍りするように弾んだ気持ちになっだった。
 長い人生の中で、ある一言で救われたということを時々耳にするが、彼女が伝えてくれた、簡単なこの「そうです」という言葉は、そのカテゴリーは別としても、一考には安堵を確定させるてくれた究極の一言だった。一考は大ピンチから無事に脱出できたことで、天にも昇ってしまいそうな快感を覚えていた。つい少し前まで、どうなるのかとの大変な心配が杞憂となった瞬間で、難しい試験に合格した時の喜び以上の喜びだった。
 それにしても、三井先生の事前の告知は、少し大袈裟過ぎたのではなかろうか。リスクの大きさを告げる必要はあったとしても、あまりにも執拗過ぎたと思うのだった。それだけ、真面目だったというのが正しい表現かもしれないが、それも、場合によっては有難迷惑なことにもなる。
 「何時頃だったのでしょうか? その人工呼吸器が外されたのは」ゆとりが出てきた一考は、その辺りのことを知っておこうと踏み込んだ。
 「10時半過ぎだったと思いますよ」看護婦さんの返答は、相変わらずの淡々とした口調に終始していた。10時半過ぎといえば、一考が眼科医院での診察を終えて駅に向かっているタイミングで、その途中で、一部が欠けた太陽を見上げていた頃である。一考は、あたかも太陽が自らの身を削って、雅子を守ってくれたのではと思うのだった。
 顔をほころばせながら、看護婦さんに、改めて丁重なお礼を述べた一考は、6階のリカバリールームに向かうべく、近くにあるエレベーターのボタンをゆっくりと押した。(以下、明日に続く)

1016 不気味な存在

 不気味さというのは、存在そのものが発している言外の威圧感と不信感から来る不安感の塊のようなものだ。

1.独り言コラム
 無難な外交デビューを終えた鳩山総理が昨夜遅く帰国した。所期の目的を果たせたという満足感と自信を得ての凱旋だった。
 いよいよ、国内での諸問題に旗振りを行なう。既に動き出している八ツ場ダム、日航再建問題などの対応で大変な国交省、子供手当てで動き出した厚労省、アニメの殿堂などの対応で取り組んでいる文科省、更には金利のモラトリアム導入で法制化を急ぐ郵政金融省など課題は山積で、その手腕が問われることになる。
 さて、この内閣の大きな目玉は、何といっても、菅直人副総理が率いる国家戦略局の創設で、その法制化が急務となって来ている。しかし、ここに来て気になり始めているのが、それを決める臨時国会の開催時期がすっきりしておらず遅れていることである。
 ここで注目しなければならないのが、やはり小沢一郎幹事長の不気味な存在である。内閣人事に関しても、かつての盟友だった藤井財務相に異論を呈し、その説得に苦労、妥協を強いられた鳩山総理だった。その結果、「一部を申し上げて理解を頂いた」という発言があったのが印象深い。
 筆者が驚いたことは、この内閣の目玉である国家戦略局に、小沢幹事長が「いまだに国家戦略局が何をするのか分からん」と水を差すような発言をしていた(日経新聞の9月17日付けの2面の鳩山・一郎政権検証の記事)事実である。つまり、この内閣の目玉である国家戦略局設置に小沢幹事長は同意していないという訳で、今後の法制化を含めた運営は容易でなさそうだ。
 同氏は、鳩山総理や岡田外相が海外に出向いた日よりも、一足早く日本を出て英国に向かった。そして昨日の記事では、その帰国日が予定よりも二日遅れて今日に延期されたという。英国で何をしていたかが気になるところだが、総理より早く日本を出て、遅く帰国する日程にも何か不気味さを覚える。
 とにかく、豪腕であるが故に その不気味さが気になる秋の陣の始まりである。
 さて、話は変わるが、不気味さといえば、大相撲で千秋楽を迎えた横綱朝青龍にとっての横綱白鵬の存在だ。この場所はずっとリードして来ていただけに、1勝差での今日の直接対決は大いに気になるところである。相手が稽古充分だっただけに、逆転優勝をさらわれる可能性も充分あり、不気味さを越えた不安があるのではなかろうか。弱者贔屓の筆者は、朝青龍を応援したい。
 女子ゴルフの賞金王争いも熾烈で、現在トップに立っているのは諸見里しのぶ選手だが、ここ2週間の成績を見る限り、追い上げてきている横峯さくらの存在は極めて不気味である。諸見里選手の来週以降の踏ん張りを期待したい。 
 プロ野球でも、クライマックスシリーズには、絶対大丈夫だと見られていたソフトバンクだが、ここに来て楽天と西武の追い上げに不気味さを覚え始めているかもしれない。秋風が身に沁み始めているかもしれない。
 なお、不気味さの代表は何といっても北朝鮮の存在だが、これは世界にとっても厄介な存在で、二本としてはての打ちようがない。この種の存在が近所にいるのは、大変な迷惑だ。この話は、またいずれ別に取り上げよう。

2、プライベートコーナー
 3時半起床。体重、61.2Kg(少し便秘気味)。天気は良さそう。
 昨日の雅子だが、気の毒にも、この日も体温は終日37.5度前後で熱が下がらず仕舞いだった。時々目を開けてくれるのだが、やはり少し苦しそうだった。
 トロミ剤で少し粘調にした白湯の投与が開始されていて、通じの状況に注目しているのだが、やはり、下痢が少し見られたことから、もう少し、継続して様子を見ている。しかし、それまであった胃ろうからの漏れは全く見られず、その付け根もすっかり綺麗になっている。

3.連載、難病との闘い(981)第三部 戦いはまだまだ続く(275)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(70)
 2.敵は本能寺(49)
  (3)いざ勝負 (その9)
 翌日、一刻も早く雅子の様子を知りたいと気持ちが強い一考だったが、吉田病院のICU室での面会は正午からとなっていたので、仕方なく、午前中は、郵便局や市役所での雑用を済ませ、その後に、近くの眼科病院に行った。ここに来ての視力の低下は著しく、将来のことを考えると大いに心配だったことと、何んとなく目にやにが溜まるようで、見難くなることが多く、一度看てもらう必要があると考えていたからである。
 そこで、二年ほど前に眼鏡をつくった際にお世話になった眼科医を訪ねた。最初に視力の検査をして貰い、その後、目の診断を受けたのだが、先生は、特に問題はないが、少しアレルギー気味なのでということで、それ用の目薬をもらった。加えて、読書用の眼鏡を作るのを勧めてくれた。
この日、日本中で話題になった皆既日食があった日で、病院から駅に向かって歩いていると、雲の割れ目から姿を覗かせている太陽を見上げている何人かを見て、一考も歩きながら、同様に見上げてみた。そして、確かに部分食が起きているのを確認した。報道では、わざわざ、悪石島など皆既食の見られる地域へツアーに出かけた方が多かったようだが、その大半は生憎の悪天候で、空振りをした観光客が多かったようだ。
 さて、一考が満を持して吉田病院に着いたのは12時少し前だった。雅子がどんな状態でいるのかと改めて頭の中で想像をしてみた。多分、昨日見た状態でまだベッドに横たわっているのだろうと考えていた。
 時刻が12時を過ぎたのを確認して、ICUのある2階に駆けつけた、既に二組の方々が先着しておられた。一考は、先の方がボタンを押して中の係りの方を呼び出しているのを横目に見て、暫くはその様子を窺っていた。しかし、その方の場合は、まだ準備ができていないようで、一考に先にどうぞと云うサインを送ってくれた。一考は、会釈しながら、もう一組の方の様子を窺ったが、こちらの方も「どうぞ」といった感じだったので、一考はゆっくりと歩み出て、少し緊張を覚えながら呼び出しボタンを押した。中からは、直ぐに、訪問者の確認をする呼び掛けがあったので、「相坂雅子の連れ合い」だと少し口ごもりながら答えた。「連れ合い」というのに、慣れていないこともあって、口ごもってしまったようだった。それだけ、緊張していたのだろう。(以下、明日に続く)

1015 いい顔してる!

 大きな仕事を無難に終えた時は、誰しも、なかなかの素晴らしく輝いた顔を見せてくれるし、見ている方にも勇気を与えてくれる。

1.独り言コラム
 鳩山総理が無難で堅実な外交デビューを飾った。米、ロ、中などの主要国首脳との会談、国連での2度に渡る演説、更に、昨日はピッツバーグでのG20でのスピーチなど逞しくその日程をこなした。英語での演説もなかなかで本人も満足していたようだ。まさに、戦い終えたと言った感じで、その顔は充足感に満ちていて引き締まっていた。
 昨日の羽生名人の顔も大いに輝いていた。日経新聞社が主催する王座戦で山崎隆之七段を3-0のストレートで撃破して、輝かしい18連覇を達成したのである。あの大山大名人でも16連覇が最高記録だっただけに、それを2年連続で更新しているのは素晴らしい記録だ。しかも、この5年間は全て3-0のストレート勝ちで、これも今までにない記録である。一時の七冠時代から見れば、今一つという人もいるかも知れないが、未だにその力は健在である。
 もう一人、フジテレビのニュースJAPANのキャスターの滝川クリステルも昨夜は大いに輝いていた。昨日が彼女の最終の登板だったいうことで、見逃してはいかんということで録画しておいたのを今朝見て楽しんだ。黒のシックなコスチュームも、この番組にはぴったりで、何とも言えない魅力がいっぱいの異色のニュース番組である。ニュースを見るというよりもニュースを楽しませてもらうといった感じである。
 番組のインタビューコーナーの中で、彼女の最後の相手となったのは、話題の長妻昭厚労大臣だった。同氏は、応益負担(サービス量に応じた負担)を応能負担(収入などの能力に応じた負担)にすべきという持論から、今の障害者自立支援法の廃止を打ち出しいる。クリステルは、その代替の新しい法律を何時出せるのかと彼女なりに鋭く(?)迫っていたのが如何にも彼女らしかった。
 そして、彼女のこの問題に対するコメントとして、素晴らしい言葉で締め括っていた。それは、「人間は誰しも老いて、何らかの障害を抱える訳で、そういう意味では、この法律は限られた人を対象にしたものではなく、国民全員を対象にしたものだ」というのである。
 7年間の番組担当を全うしたという充足感が、少し寂し気な顔ではあったが、それでも、やはり綺麗に美しく輝いていた。ご苦労様でした。
 なお、いい顔は、まだ結果が出ていなくても力いっぱい戦っている人には漲っているものだ。前原国交大臣、岡田外相、原口総務大臣、川端文科大臣などの新内閣の面々も精悍で輝いているし、スポーツの世界では、全勝を続けている横綱朝青龍の顔も、昨日現在はその類である。但し、亀井郵政金融大臣の顔は、少し歪んでいるよに見えた。

2.プライベートコーナー
 4時起床。体重、60.8Kg。天気は今日も良さそう。
 昨日の雅子は一日中37.0~37.8度の高熱で悩まされていた。そのため、予定されていて久し振りのお風呂も取り止めとなった。
 胃ろうを使ってのテストが始まった。指し当たっては白湯の投与から始められた。今のところは懸念している下痢は起きていない。
 なお、栄養剤の投与に関し、読者から半固体化すればとの親切なアドバイスを頂いているが、同じものを指しているかは不明だが、トロミ剤による粘調化は既に承知していて、昨日からの白湯の投与も、その手法で行なっている。ご親切に厚く感謝である。

3.連載、難病との闘い(980)第三部 戦いはまだまだ続く(274)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(69)
 2.敵は本能寺(48)
  (3)いざ勝負 (その8)
 説明を終えた三井先生は、その肉片を持って、エレベーターの左隣にある病理研究室に入って行かれた。恐らくその中身についての分析が行なわれるのだろうと、一考は考えていた。
 それから40分ぐらい経過した。今度はその胆嚢のスライスした断面写真を持って戻って来られた。三井先生は、二人にそれを見せながら、そこに映っている粒々の異物を指差し、この石の原因はコレステロールだという説明をして下さった。改めて、その写真を見ると、そこには夥しい粒々が存在していた。健康に気を使っていた雅子が、そんなにコレステロールを含んだ食事をしているはずはないと思うだけに、どうして、そんな石が出来てしまったのか不思議に思うのだった。
 説明を聞き終えた一考が、とにかく手術がうまく行ったことに対し、丁調なお礼を申し上げたのだが、それに対し三井先生は、少し語気粗く「まだ安心できる状態ではない。問題はこれからなんだよ」と厳しい言葉を頂いたのである。つまり、明日以降に人工呼吸器がうまく外せるかどうかが大事であって、まだ楽観ができる状況ではないと釘を刺されたのだった。予期していた以上の厳しい言い方に、一考は霧子さんと顔を見合わせて、「そうだったんだ」と改めて深刻な顔に戻るのだった。
 先生が去ると、霧子さんは、急いで電話でそれらの内容を兄貴に報告していた。兄貴の「そうか、よかった」という返事が聞こえて来るようで、霧子さんの顔は、それまでよりも和んで見えた。
 手術を終えた雅子が眠っているICUの部屋に、二人が案内されたのは、14時40分頃だった。ベッドの上で雅子が静かに眠っていたが、チューブに繋がっている大きな機械を見て、一考はたまげるのだった。その大きな機械こそが人工呼吸器だったのだ。縦横が2メートル、高さも一考の背丈よりも高い大きな機械である。一考は、こんな大きなものだとは思ってもいなかっただけに、驚きは規格外のものであった。
 とにかく、これが外せなかったら一大事だと改めて身を引き締めたのである。そういう意味では、明日以降のこの呼吸器を外すというステップは、とてつもない大事なステップだと改めて一考は構えるのだった。「雅子! 頑張れ!」と一考は思わず心の中で叫んでいた。
 この日、ICU室を後にすると、二人はそれぞれ、そのまま帰途に着いた。一考は、人工呼吸器のことが心配だったが、肉体的にも、精神的にも大変な疲れを覚えていたので、その夜はぐっすりと眠ったのである。(以下、明日に続く)

1014 敗者復活制度

 もう一度チャンスをもらえるというのは、戦っているものには有難い制度である。プロ野球のクライマックスシリーズ、ワイルドカードなどはその代表例だが、中には、天下りのような困った復活制度もあって、その良否は一概には言えない。

1.独り言コラム
 今朝の新聞では、国連の安保理で「核なき世界」を決議したという画期的な記事が一面のトップを飾っている。鳩山総理も唯一の被爆国として果たすべき道義的責任を訴えたという。同氏は、国連の一般討論でも演説し「友愛を世界の架け橋になるべく全力を尽くす」と訴えた。なかなかの華々しい鳩山総理の外交デビューである。
 その一方で、国内でも各大臣の積極的で意欲的な活動が始まっている。特に、前原国交相は、八ツ場ダム建設中止宣言及び日航再建対策での対応といった難しい課題に取り組んでいて、見ていても緊張感を覚える展開が続いている。まさに、同氏の手腕が見物であるが、それにしても、同氏はかつて代表の時に、永田メール問題で大きく躓いた苦い経験があり、ある意味では、貧乏くじを引かされた感がないでもない。
 長妻厚労相も奮闘中だ。追及する立場から攻守一転して、今度は実行する立場になっただけに、なかなか一筋縄ではいかない。さし当たっての「子供手当て」については、所得制限はしないという方針を打ち出した。恐らく、余計な手間が掛かるのを避けたいということなのだろうが、これはまずいのではなかろうか、「急がば回れ」だ。
 亀井郵政金融相は、相変わらず、事の運びが粗い。業績が悪化した中小企業や個人の住宅ローンを対象に「一律、3年程度」のモラトリアム導入を打ち出している。この提案には、銀行協会から強い反発もあって、一筋縄では行かないようだ。
 鳩山内閣の場合は、敗者復活という範疇には入らないが、政権交代による攻守交替で、政治も大いに活性化し、毎日を面白くしてくれているのは、大きな前進だ。
 本当の意味での敗者復活制度という事例では、プロ野球のクライマックスシリーズの導入は大成功ではなかろうか。ペナントレース終盤での盛り上がりが凄い。今年もセ・パ12球団のうち、優勝、準優勝の4チームを除いて、今でも、楽天、西武、阪神、ヤクルト、広島5つの球団の3位争いは熾烈だ。未だに夢に繋がっているということが大事であって、それが気合の入った真剣勝負を創り出しているのだ。米国の大リーグでは、ワイルドカードといった同様な救済策がある。いずれにしても、今までなら、差し詰め消化試合に過ぎなかったのが、必死の戦いに変わった訳で、その経済効果もバカにならない。何事においても、マンネリ化や沈滞化が見られたら、制度を見直してみるのは、活性化を図る一つの方法だ。
 そういう意味では、官僚たちの戦いも、事務次官争奪戦に敗れた官僚に対し、単に天下りで対応するのではなく、何か他の敗者復活的なシステムを作り出すことを考えてみる必要がありそうだ。
 しかしながら、中には頂けない敗者復活制度がある。それは今の選挙制度だ。小選挙区で敗けた候補者が、比例区で復活するような敗者復活制度はごめん蒙りたい。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重60.5Kg。天気は予報では良さそう。
 昨日の雅子だが、終日、37度以上の高熱が続いていた。それでも、久し振りに洗髪してもらって気分を良くしていた。
 K先生の報告では、炎症を示す数値はほぼ平常に戻っている。今、続いている熱は、体温をコントロールする機能に齟齬があるのではとの見方で、検討してみるという。また、栄養剤の投与を今日から再開して様子をみることになる。
 午後には、実兄夫妻のお見舞いがあった。

3.連載、難病との闘い(979)第三部 戦いはまだまだ続く(273)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(68)
 2.敵は本能寺(47)
  (3)いざ勝負 (その7)
 そうこうしているうちに、時刻は12時を過ぎていた。霧子さんが、何かお弁当でも買って来てあげようかと声を掛けてくれたので、緊張していた一考は、あまり食欲はなかったが、何も食べないのは良くないということで、パンと牛乳を頼んだ。買い物に一旦外に出た彼女は、間もなく戻って来たが、その途中で、偶然、昔の友人に会ったという。そういえば、一考も、先日、デパートの前で、中学時代の同窓生にばったり顔を合わせたことがあったが、世の中は随分と狭いものなのだ改めて思うのだった。
 あまり空腹感を覚えなかった一考だったが、それでも、そのパンと牛乳を何とか食べ切った。その結果として、一考は少し尿意を覚えた。別に願を賭けていたわけでもなかったが、雅子の手術が終るまでは行かないと決めていたので、じっと我慢してその時を待つことにした。自分も雅子と一緒になって闘っているという気持ちがそうさせていた。しかし、そのこと自体は大した我慢でもなかった。
 そして、遂に、その時が来た。先に「麻酔が掛かった」と報告に来てくれた先ほどの二人の看護婦さんが再び姿を現した。携帯を取り出して時刻を確認すると13時22分であった。先ほどと同様に、少し大柄の方の看護婦さんが、相変わらずの軟らかい口調で「手術は順調に終った」という報告をしてくれたのである。一考と霧子には、じっと待っていた期待の荷物がやっと安全に届けられたと時と同様な、ほっとした安堵感を噛み締めていた。
 看護婦さんは、詳しくは後で担当医から直接説明があると言って、笑みを浮かべながら静かに去って行った。美しい二人の天使が、ずっと待ち望んでいた喜びを運んで来てくれたようで、一考は、込み上げて来る嬉しい安堵感にじっと浸っていた。
 二人が去ると、一考は霧子さんと顔を見合わせて「よかったね」と笑みを浮かべて頷くのだった。長い緊張から解かれた一考は、大きく深呼吸して身体をリラックスさせてから、ゆっくりとトイレに向かった。少し堪えていただけに、一考はいつもよりも痛快な開放感と爽快感を覚えていた。かくして、胆嚢切除というステップも成功裏に終ったのである。
 それから待つこと30分で、三井先生が出て来られて、切除した胆嚢を見せながら、手術が順調に終った旨を話して下さった。切除された胆嚢は、赤いレバー状の8~10センチの肉の塊で、その中に確かに細かい石と思われるものが沢山存在していた。先生の話では、この石が身体中に広がれば、腹膜炎の危険があたっという。(以下、明日に続く)

1013 卒業

 卒業と云う言葉には優秀な成績で卒業するといったお目出度い意味の他に、降板、引退などの意味にも使われることが多く、悲喜こもごもの人生の節目を表す言葉である。

1.独り言コラム
 日本時間の昨夜、鳩山総理が米国オバマ大統領と初の首脳会談を行なった。会談時間が僅か25分という短いもので、相互の個人的な信頼関係を深めたいとしていた鳩山総理だったが、如何にも短過ぎたのではなかろうか。
 従って、インド洋上での給油問題や在日米軍普天間基地移転問題などの厄介と思われる課題には触れず、基本的な認識の確認に終ったようだ。従来の日本の米国への従属外交から卒業して、対等の関係を築きたいとしていた鳩山総理だったが、その辺りはどうだったのだろうか。
 巨人軍が3連覇を果たした。今年は、坂本勇人、亀井義行、脇谷亮太、山口哲也といった新しい顔ぶれが数多く活躍し、今までにない大幅な若返りに成功しての堂々の優勝だった。これで、今年の長いペナントレースから優秀な成績で目出度く卒業することが出来た訳で、暫くは巨人時代が続きそうだ。原監督も一流の監督に育ちつつある。
 もう一つ野球の話題だが、昨日は感動的な卒業シーンを見せてもらって胸が熱くなった。それは、阪神一筋に15年間頑張った秀太選手(田中秀太)の引退試合だった。熊本工業高校から1994年に阪神にドラフト3位で入団したが、それほど派手な活躍はなかったものの、地味ながらも、隙間を埋めるような地道な活躍で長年貢献、中でも俊足を生かしての代走などの起用が目立った。
 昨日の引退試合は、ウエスタンリーグでの試合だったが、秀太選手が、試合後にベースを一周し、その俊足振りを披露し、集まった多くの秀太ファンを喜ばせた。特に、最後にホームベースにダイビングで滑り込んだのがとても感動的だった。引退後は新しい仕事に就くようだが、頑張って欲しい。とにかく、派手ではなかったが、立派な感動の卒業セレモニーだった。
 フジテレビの夜のニュース番組、ニュースJAPANを担当している滝川クリステルが、明日で番組を卒業する。なかなかの美人アナウンサーで、ニュースを見るというよりは、彼女を見て楽しむといったファンも多かったのではなかろうか。筆者も何回かチャンネルを合わせたことがある。昨夜は見るつもりだったが、うっかり寝てしまったので、今夜はどうしても最後をこの目で見ておきたいと思っている。同時間帯の東京放送の膳場貴子、テレビ東京の小谷真生子と美人アナウンサー競演から一人が消えるのは寂しい?
 テニスの杉山愛選手も今月末の東レパンパシフィック大会を最後に卒業する。1992年のプロ入りというから17年頑張ったことになる。特にダブルスで世界4大大会のうち、全豪を除く、全米、全仏、全英で優勝を果たたのは素晴らしい実績だ。伊達公子選手の引退後を一手に引き受けて頑張ってきた。ご苦労様と申し上げておこう。
 大相撲では、魁皇、千代大海の二人が卒業候補である。千代大海は今場所も負け越したことで、どうやらその時機が近づいているのではと感じさせる。一方の魁皇は、積み重ねた白星が965に達し、通算勝ち星で千代の富士の1045に次ぐ歴代2位となった。同氏の場合は、卒業はもう少し先に延ばして欲しい。
 それよりも、安倍晋三さん、福田康夫さん、それに麻生太郎さん、大変ご苦労様でした。もうご卒業なさっていいのではと思っておりますが、如何なんでしょうか。

2.プライベートコーナー
 3時起床。体重、60.6Kg。お天気は予報ではまずまずのようですが?
 昨日の雅子は、37.5度前後の発熱が続き、ずっと苦しんでいるようだった。熱と痰による苦痛は入院後相変わらずで、先が見えない。シルバーウイークも終ったことで、今日からは先生も出て来られるので、何らかの新しい動き、対応に期待したい。

3.連載、難病との闘い(978)第三部 戦いはまだまだ続く(272)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(67)
 2.敵は本能寺(46)
  (3)いざ勝負 (その6)
 当然な事と言えばそれまでだが、この手術の重要な鍵を握っている人工呼吸器というものについて、一考は全くと言っていいほど何の知識をも持ち合わせていなかった。例えば、それが、どんな形をした機器なのか、どのぐらいの大きさのものなのか、どんな具合に雅子の身体に繋がっているかなどと言った具体的な内容については、全く何の知見もなく、想像する手掛かりになるような知見さえも、一考の頭の中には存在していなかった。従って、三井先生が幾度も示唆しておられた仮説で、若し、それが外せなくなった場合に、雅子がどんな具合になるのかといったことは、想像の域を遥かに超えていたのである。
 一考と霧子が、それぞれの思いの中でじっと待機している中で、時間は静かに着実に経過していった。時間の進み方が遅々としていると感じる一方で、ふと気が付くと、もうそんな時間になっているといった具合に、その進行にはムラがあるようにも感じていた。一考は、そんな中で、手術室での作業がどんな具合に行なわれているのだろうかと想像を逞しくさせてみるのだが、テレビ映画などで見る一般的な手術のシーンしか浮んで来なかった。
 とにかく、全身麻酔で行なわれていることから、雅子が痛さで苦しんでいることがないはずだというのが、一考にはせめてもの気休めだった。しかし、やがて手術が終り、麻酔が切れてくれば、そのつけが戻って来ることになる。しかし、その戻って来た痛さで、雅子は、手術の成功を知るであろうし、改めて生きていることを実感するはずだ。そんなことをあれこれとランダムに考えながら、一考は、時計代わりに使っている携帯電話を取り出して、時間の確認を繰り返すことで、一考には次第に落ち着きが戻って来ていた。心のゆとりも戻って来たようで、持って来ていた本を取り出して、それに目を通し始めた。自分がその小説の世界の中に入ってしまえば、待機と云う辛さからは免れることが出来るのだ。
 そういえば、最近の一考には、病院や施設での見舞いや付き添いの合間が貴重な読書時間になっている。残り少なくなった人生だけに、時間の使い方には結構けちになっていて、在宅時に椅子に座って読書することは滅多にない。そういう時間は、なるべく、物を書いたりして、少しでもクリエイティブな事に使いたいと心掛けているのだが、実際には、つまらないテレビなどを見て空費しまっていることが多い。(以下、明日に続く)

1012 デビュー

 何かを期待させる響きがある好きな言葉だ。これをうまく飾ることで、勢いと自信がついて、明日に繋がって来る。しかし、身の丈以上の無理をすると、…。

1.独り言コラム
 鳩山総理が国連サミットで演説を行ない、環境問題では、温室効果ガスの25%削減を明言し、積極的な鳩山イニシアティブを示したという。一方の米国のオバマ大統領や中国の胡錦濤首席もそれなりに積極的な取り組み姿勢を示したものの、具体的な数値目標は示さず、日本の姿勢が突出したものとなり、今後の具体策が注目されることになる。
 いずれにしても、今までの日本の総理では見られなかった、珍しく踏み込んだ演説内容で、堂々の世界デビューを果たした。英語の発音も、なかなかのものであったようだ。
 とにかく、鳩山内閣は国内でも改革が緒についたばかりであって、それまでの多様なばら撒き政策、拡げた風呂敷が大きく、その中身の一つずつを実行に結び付けて行くのは容易ではない、財源を含めた実行力が問われることになる。
 なお、この環境問題については、今年末のコペンハーゲンの会議で、具体的な討議が行われることになっているようで、その時点での世界各国の具体的な対応が注目される。
 ところで、コペンハーゲンといえば、来週にはIOC総会が行なわれ、2016年の夏季オリンピック開催都市が決定されることになっている。4都市に絞られた中で、果たして東京のチャンスや如何に、である。若し、栄冠を得るとなれば、いわば、東京がオリンピックに再デビューという歴史的な喜びの日となる。一縷の望みに期待をかけている。
 そのIOC会議を控えて、東京決定をサポートすべく行なわれているアースマラソンだが、一時脚を痛めて心配された間寛平さんも、その後の頑張りで、フランス上陸後、既に1180Kmを走破(日本時間の今朝現在)していて、コペンハーゲンを射程距離内に捉えているようだ。
 因みに、このアースマラソンのブログで知ったのだが、デンマークは多くの島で構成されている国で、主要な島と島の間は橋で結ばれているそうだが、その橋は車でしか走れないという。そこで、走ってコペンハーゲンに入るには、海を渡らねばならず、三たび、ヨットの使用となるようだ。具体的にはドイツのロストックから対岸のファルスター島(デンマーク)までを往復するという。なかなか一筋縄ではいかないのですね。頑張って欲しいと思います。
 頑張ったといえば、女性の野球選手ということで、関西独立リーグの神戸ナインクルーズに今年入団した吉田えり投手が、昨日初めて先発投手としてデビューした。その内容は、3回までパーヘクト、5回を投げて3点に抑えるという好投だった。本当に何処まで通じるのだろうか。興味は尽きないが…。今後の一層の頑張りを期待したい。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、61.2Kg。天気はあまり良くなさそう。
 昨日の雅子は、相変わらずの症状の中でも、珍しく顔に表情が戻って来ていて、一考の話に目を開いて聞いてくれていた。そういう意味ではほっとした気分だった。連休中で、先生方もお休みで、新たな指示がまだ出て来ていないようで、栄養剤投与の再開は連休明けとなりそうだ。

3.連載、難病との闘い(977)第三部 戦いはまだまだ続く(271)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(66)
 2.敵は本能寺(45)
  (3)いざ勝負 (その5)
 再びソファーに座った一考の頭の中では、映画の続きを見るように、目下手術室で行なわれているだろう手術の模様が浮かび上がって来るのだった。手始めの開腹手術に次いで、いよいよ、今回の手術のターゲットである本能寺、つまり、胆嚢の切除が開始される。入院当初は、肺炎ということで、抗生剤の点滴でその対応が続けられて来たのだが、どうも症状が捗捗しくないということで心配していたところ、新たな角度からの検討で、意外にも、胆嚢結石であることが判明し、そのための切除手術が必要となった。しかし、幸か不幸か、琵琶湖大橋病院にはICU設備がなく、K先生の判断で、安全を期して、ここ吉田病医院への転院となり、今日の手術を迎えたのである。そういう意味で、一考は、雅子の本当の敵、本能寺は肺炎ではなく胆嚢障害だったのだと認識したのである。そして、その本能寺での決戦が、今まさに始まろうとしていたのである。
 ところで、それまでの先生の話を総合すれば、一般的には、この胆嚢切除の手術は、特に高度な医療技術を必要としないようだ。今回、雅子のケースが難しいとされたのは、パーキンソン病下での全身麻酔にあった訳で、この切除手術そのものは、恐らく何ら問題もなく行なわれるはずだ。一考は、今回の手術の流れをそんな風に捉えていた。
 従って、雅子の戦いの次なる戦いの山は、まさしく三井先生が言っておられた手術後に人工呼吸器のチューブを外すステップである。それがうまく外せるかどうかが、大きな運命の分かれ道となるのだ。今の看護婦さんの話では、それは今日は行なわれずに、明日以降の対応になるという。安全を期しての慎重な対応なのだろうと一考は考えていた。
 そういうことで、今日の段階では、とにかく大きな問題なく事が運びそうだと、一考は一息つくのだった。いずれにしても、明日が重要な日になると、自らに言い聞かせたのである。そして、一考は間合いを計るようにタイミングを捉えて霧子さんに話しかけた。
 「とにかく、幸いにも今日はうまくいってくれたのは有り難かったが、勝負は明日ということですね。雅子の頑張りが大事なポイントですね」
 「あの子は元々は健康で、体力は充分に持ち合わせているので、頑張ってくれると思いますよ」一考の言葉に、霧子さんもそう言って、軽く頷いて見せた。(以下、明日に続く)

1011 挑戦にはリスクが

 総理を拝命したその日に、未知との遭遇と鳩山総理自らが語っていたが、新しい歴史への挑戦には、リスクはつき物で、内容によっては、その成否は紙一重であることが多い。

1.独り言コラム
 漫画には全く興味のない筆者だが、荒船山の絶壁から転落死した「クレヨンしんちゃん」の作者、臼井儀人さんのデジタルカメラに収められていた最後の写真の中味には大いに興味を持った。今朝の報道で、それが、絶壁の上から下を覗き込んで撮った写真だったという。恐らく、目も眩みそうな崖下の様子を、なんとかカメラに収めたかったのだろう。その眼下の得も言われない景観の撮影という果敢な挑戦に、身に迫っているリスクをうっかりしてしまったのだろう。挑戦にはリスクがつき物だが、それにしても、気の毒な死亡だった。
 昨日の米国女子ゴルフツアーで、宮里藍選手が2勝目を目前にして逆転負けを喫した。1打リードして迎えた最終のロングホールで、果敢に2オンを狙ったショットが池に捕まったのも、まさに紙一重の結果で、挑戦につき物のリスクの典型的な事例となった。「自信があったので狙ったので、結果に悔いはない」と強気に言ってのける宮里藍の可愛げなさが、筆者をアンチファンにしているのだが、…。
 鳩山内閣が果敢に動き出していて、毎日の各大臣たちの動きに関心が高い。昨日は、総理自らが米国に飛び立った。初めての外交への試練の旅立ちだ。「自然体で臨む」と云うことだが、政権交代があったということで、今までになく世界が注目している。特に、直前の論文や、選挙戦での米国と対等の関係を強調していただけに、どんな姿勢で日米会談に臨むのか、またロシアのメドべージェフ首相や中国の胡錦濤首席らとの会談も大いに興味深い。挑戦とリスクのバランスや如何にである。
 内政でも、国交相の前原誠司大臣が強気の応接を見せている。話題の八ツ場ダム中止の方針を変えないという姿勢で現地に乗り込むというのだが、さすがに現地はその話し合いには応じないという。さあ、どうなるのか。期待の前原大臣の腕の見せ所なのだが、ここでもリスクとは紙一重である。
 また、ここに来て高速道路の無料化にも国民は必ずしも賛成していないという声も大きいことが分かってきている。先日(1007をご参照)もこの欄で取り上げたが、マニフェストには多くの内容が一緒に記載されており、投票時には、選挙民はその内容全部に賛成した訳ではないことを、改めて指摘して置きたい。単に、政権交代を望んだ国民が多く、個別の課題別に賛否を選べない今のシステムでは止むを得ないのだ。従って、実行に当たっては、各項目別に国民の意向を確認して取り組んでもらう必要がある。そうしないと、思わぬリスクに見舞われかねない。

2.プライベートコーナー
 4時起床。体重、61.1Kg。曇り空
 昨日の雅子も相変わらずだった。熱の上がり下がり、それに痰も頻繁で、頑張って生きているといった感じである。好きな小田和正のテープを繰り返し聞かせているが、反応も今一つ。また姪からの激励の葉書や孫の通っている幼稚園から届いた敬老の日の手紙を紹介したが、これにも反応は乏しかった。ここに来て、雅子とのコミニケーションは、極めて乏しいのが気掛かりである。

3.連載、難病との闘い(976)第三部 戦いはまだまだ続く(270)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(65)
 2.敵は本能寺(44)
  (3)いざ勝負 (その4)
 それから、間もなくだった。手術に加わっている三人の看護婦さんのうちの女性二人が姿を見せた。その姿に気づいた一考と霧子の二人は、反射的に立ち上がって二人を迎えたが、その顔はとても緊張していた。
 二人の看護婦さんは、ゆったりとした落ち着いた物腰で、如何にもその威圧感を与えないように配慮し、下からの優しい目線で、二人を少し見上げるような中腰の姿勢を取った。そして、少し大柄の方の看護婦さんが、ゆっくりとした口調で話し始めたのである。時刻は11時15分頃だった。、
 「つい先ほど、麻酔が掛かって、人工呼吸器のチューブが無事に口からは挿入されました」と報告してくれたのである。凄く上品で丁寧な言い方だった。そして、今から胆嚢切除の手術に入るのだが、切除手術には、今からおよそ2時間ぐらい掛かるということだった。
 恰も、不安や苦しみを優しく包んでくれるような、言って見れば、天使のような雰囲気が二人から、溢れ出ているように思われた。そして、彼女は、更に言葉を続けて、次のように付け加えた。
 「手術が終った後も、人工呼吸機のチューブは直ぐには外さずに、明日以降の様子を確認しながら行なうことになっています」余計な心配を与えないという配慮がいっぱいの極めて丁寧で優しい口調での説明だった。
 一考は、この報告内容に、ともかくも胸を撫で下ろすのだった。何しろ、人工呼吸器のチューブが口から入ったことにほっとしたのである。それまでが、なかなか口を開けにくい症状になっていただっただけに、これがうまくいかないと、気管支切開の不安があったからである。先ずは最初の一難が去ったと言えた。
 二人の看護婦さんが戻って行くと一考は霧子は顔を見合わせて、互いに良かったねといった思いを込めて無言で頷き、そのまま再びソファーにどっかりと腰を下ろした。それまで突っ張っていた何かが、すっと気が抜けたように楽になるのを感じていた。霧子さんは、直ぐに携帯を取り出して、再び長男宅に今聞いた結果を伝えていた。義兄も雅子の手術には心配してくれているんだと一考は改めて思った。
 改めて、ソファーに身体をリラックスさせた一考の頭の中は、既に始められているだろう開腹手術に続く胆嚢切除手術に、思いを馳せながらその成功を祈るのだった。(以下、明日に続く)

1010 豪腕には気をつけろ

 腹心であっても、諫言はぎりぎりのせめぎあいの世界である。親分の気にそぐわないとなれば、一刀両断で切られてしまう。豪腕には気をつけろ。

1、独り言コラム
 関東地区を除く全国ネットで放映されている日曜日の午後の人気番組「たかじんのそこまで言って委員会」が、昨日は「日本を駄目にした政治家ベスト10」を放送した。そのベスト10人は、次の通りである。
 1位、村山富一、2位、河野洋平、3位、田中角栄、以下、森喜朗、土井たか子、麻生太郎、安倍晋三、竹中平蔵、小沢一郎、そして10位が小泉純一郎。
 筆者から見て、村山さんはちょっと気の毒な気がする。周りから持ち上げられて座らされたのだ。自分の身の丈を考えずに、それを断らなかったというのは、やはり、総理の座にはそれだけの魅力があったのだろう。中国を始めとするアジア諸国に発した悪評の「村山談話」だが、それでも、その後の歴代総理がそれを踏襲している訳だから、そんなに叩かなくてもと思ってしまう。
 田中角栄氏は、就任時点では「今太閤」と奉られ、永久保存版の週刊誌の特別号が出たぐらい大喝采で迎えられた。その当時に支持率調査があったなら、小泉さんをも上回っていたのではなかろうか。ロッキード事件がその政治生命を奪うことになるが、何かをやったと言う政治家でも、ベスト3に入る政治家と言えそうだ。
 筆者は、小泉純一郎、竹中平蔵のファンだった。打たれ強く、叩かれ強かった竹中氏の印象は強く、机上の理論を大胆にも実践に使ったと言う点でなかなかの手腕を発揮したと評価している。そこには、小泉純一郎総理の揺るがぬサポートがあった訳だ。小泉総理が果たした「北朝鮮から人質奪還」という世紀の成果は、今後も長く語り継がれるであろう。
 ところで、ここにも小沢一郎氏が堂々と登場している。同氏は、今回の民主党内閣の影の実力者として舞台裏で如何なくその力を発揮したようだ。かつての腹心だった藤井裕久氏の財務相起用に、西松建設事件で自分を批判したということで、その就任に難色を示すなど、一旦気に入らないことがあれば、決して許さないという豪腕は、今回も健在だったようだ。今では輿石参議院議員会長が小沢幹事長の腹心として動いていて、鳩山総理に働きかけているようだ。
 そんな背景の中で、鳩山総理が再折衝して藤井財務相を了解させた頑張りは多とすべきだろう。サラリーマンの世界でも良くあるケースで、近寄り難い怖い上司に、一旦否定された案を通すのは大変な勇気がいる。そのために幾つかの妥協をせざるを得なかったとしても、とにかく藤井財務相を了解させたのだから、その点では、よく頑張ったといえる。
 今朝の毎日新聞では、その辺りの裏の動きを一面の特集記事で取り上げている。その中で、人事の初期の段階で岡田克也氏の幹事長続投を押した野田佳彦、枝野幸男などが閣僚人事から外されたと報じている。
 何処まで、鳩山総理が小沢幹事長の意向を聞いてゆけるのか、妥協にも限界がある。いずれ二人の 間には、早晩破綻が訪れることになろう。それは意外に早い日の可能性もある。政界は一寸先は闇である。
 一寸先は闇ということでは、今進行中のアメリカ女子ゴルフツアーサムソン世界選手権の最終日の終盤で、宮里藍が追い上げていて、15番を終わって首位と1打差である。逆転優勝も充分にある展開で目が離せない。アンチファンとしてはいらいらである。

2.プライベートコーナー
 3時40分起床。体重、61.0kg。天気は良さそう。
 昨日も雅子には大きな変化は見られなかった。熱も少々あり、痰もいつも通りあって、このところの定常状態と言えた。前日に次男が持って来てくれた小田和正のテープを聞かせてあげたが、特に大きな反応は見られなかったが、熱心に聞いているようだった。
 今日から、点滴の内容を更にカロリーの高いものに変えることになっているが、まだ明るい明日は見えて来ない。我慢の毎日が続いている。

3.連載、難病との闘い(975)第三部 戦いはまだまだ続く(269)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(64)
 2.敵は本能寺(43)
  (3)いざ勝負 (その3)
 二人は言葉少なく、椅子に腰を下ろした。緊張した気持ちが落ち着いたという訳ではなかったが、とにかく先生たちに雅子を任せたということで、後は、全てが順調にゆくことを願うしかなかった。
 霧子さんは携帯を取り出し、お兄さん宅に電話をして、いま手術が始まったと伝えていた。かくして、雅子の命を懸けた厳しい戦いが始まったという意識が一考の頭の中で大きく成長し、不安を含めたいろんな思いがうごめき始めていた。その中で、一考は、この雅子の戦いを、面白おかしく勝ち負けで、ギャンブル的に捉えるような思考そのものを禁じるようにしていた。
 それにしても、三井先生の今回の手術に対する言い方は、かつてない厳しいものだったが、少なくとも、常識的に考えて、先生たちが見込みのない手術に取り組むとは思えない。万が一の不測の事態の発生に、保険を掛けておこうとする今の病院側の姿勢が、あんな風な言い方になったのだろうと一考は考えることにしていた。
 しかし、そうは思いながらも、一考から不安が消えた訳ではなく、恰も、泳ぎがあまり得意でない者が、急流に飛び込んだような状況に似ていて、何が起きるか分からない不安があり、何が何でも助けて欲しいという気持ちでいっぱいだった。それにしても、三井先生の物の言い方には、もう少し工夫があってもいいのではと一考は思うのだった。
 一考は、椅子に腰を下ろしても、いつものように本を読む気にはならなかった。頭の中で、先生たちによって進められている手術の展開をあれや、これやと思い浮かべながら、自分も一緒になって苦しんでいるような気持ちを味わっていた。ともかく、一考は、何とかうまく手術が無事に終ってくれることを強く願っていた。腕組みしながら、じっと構えている一考の姿には、その難しい顔つきから、恰も、哲学者が頭の中で難しい思考を深耕しているようで、うかつには近寄れないオーラーを発しているようにも見えた。
 ふと気が付くと11時を過ぎていた。手術が始まって早くも30分が経過していたが、まだ何の連絡も来ていない。ひたすら堪えて待つという我慢の時間が過ぎてゆく。それは退屈という類のものでなく、心の中でのいろんな思い、不安との葛藤が次々と展開していて、心の余裕といったものは、全く存在していなかった。頭の中での「ああでもない、こうでもない」といった思考の試行が退屈させない働きをしていた。いわば、一考は、思考のスパイラルの中にいたと言えよう。待機場所が、エレベーターの前だけに、人の行き来は結構頻繁であったが、一考には、そんなことが気分転換にプラスすることもなかった。とにかく、何事もなく無事に手術が進んでくれることを願い、祈ることに、心身の全てを集中させていた。(以下、明日に続く)

1009 いよいよ、面白くなって来た。

 新しい歴史が動き始めているといった実感がある。政治に活気が見られるのは素晴らしいことだ。いよいよ面白くなって来たと言えそうだ。

1.独り言コラム
 新内閣発足以降は、各大臣の毎日の動き、発言に注目が集まっていて、今までになかった政治に活気と面白さが出て来ている。何かが変わるという期待が、国民の関心を高めているのである。いよいよ、面白くなって来た。
 今朝の新聞でも、長妻厚労相が自立支援法を廃止するという。また前原国交相が、八ツ場ダム建設中止に関し、それまで拠出した負担金については、治水費も含めて返還を検討しているという。また、新しく設置された国家戦略室、行政刷新会議も動き始めているが、その権限を巡ってのやり取りもなかなか面白い。この辺りは、鳩山総理が仕切らなくてはならないところだろう。
 異色は、亀井郵政、金融相の動きで、相変わらずの独走(?を)しているようにも見える。同氏と藤井財務相や原口総務相との間でぎくしゃくしたやり取りが行なわれていて、国民から見ていても、なかなか面白い出だしである。
 また、脱官僚を目指して、副大臣や政務官の人事が発表された。今までは、こんな人事には目も向けていなかったが、政治主導とうたっているだけに、彼らの活躍も注目される訳で、それらのメンバーにも関心を持って目を通させてもらった。渡辺周、福山哲郎、野田佳彦、馬渕澄夫、山井和則、三日月大造など多士済々のメンバーの名前が並んでいる。その中で、一つ気が着いたことだが、その中で、それまで活躍していた蓮舫、小宮山洋子、枝野幸男や海江田万里などの名前が見当たらない。しっかりした論客だけにどうしてなのだろうと思ってしまう。干されてしまったのだろうか。
 それはさて置き、今度の内閣は、一口で言えば、何かをやってくれそうだという期待に満ちているといえる。心配は財源で、本当に大丈夫なのだろうか。種や仕掛けのない手品を見るようで、それだけに、毎日の動きに関心が高くなっているのである。
 面白くなって来ていると言えば、スポーツにも多くの話題がある。プロ野球ではクライマックスシリーズを巡る争いは、まさに佳境に入っていて、セ・リーグでは阪神、ヤクルト、広島の三つ巴の争い、パ・リーグでは楽天、西武の一騎打ちが見ものである。また、ゴルフでは、今週は久し振りにベテラン不動祐理が優勝争いに顔を出している。今年の初優勝、通算47勝目はなるのか、ファンとしては目が離せない。一方、海外では、宮里藍が安定していて、今週も優勝争いの一角を占めて頑張っている。三日目を終えた今朝の段階では、首位と3打差の3位で、若しかしたら2勝目があるかもしれない。アンチファンとしては、暫くは、黙って見ていることにしよう。
 他にもオリンピックの開催都市を決めるIOC総会が迫って来ていて、いよいよ面白くなって来ている。果たして東京開催はあるのか、10月2日が楽しみである。
 面白いって言ってられないのが、昨日の岐阜県高山で起きたアクシデントだ。観光地に熊さんが出現し、登山者の馬乗りになったという。大相撲秋場所が盛り上がっているが、この熊さんの観光客への襲撃は笑っている場合ではない。

2、プライベートコーナー
 3時半起床。体重、61.1Kg。朝風呂。秋晴れ。
 昨日は、一考が先日診断を受けた結膜炎のその後の確認診察を受ける日だったので、1番乗りをするため、朝、6時半に病院に着いていた。結果は、ウイルスによるものではなく、もう、ほぼ完治しているということだった。ほっとである。
 この日の雅子の症状は、相変わらずだったが、熱の出方は比較的少なく、総じて安定していた。
 次男の二郎が神戸で行なわれる友人の結婚式に、家族揃って出席するので、その途中に病院に寄って母親を見舞ってくれるというので、朝から楽しみにして待機していた。横浜から車で来るという。シルバーウイークで高速道路の費用が安いこともあって、渋滞が予想され大変だろうと思っていたが、やはりその通りで、病院に着いたのは夕方の6時前でだった。雅子は、4時頃にはしっかりと目を明けて迎える準備していたが、到着したのが6時だったので、さすがに疲れたのか、その時には、目を開けるのがやっとのことだった。
 慌しいお見舞いだったが、嫁や孫とは1年3ヶ月ぶりの顔合わせで、雅子も嬉しかったに違いない。なお、帰り際に二郎がお土産と言って、雅子が聞きたいと言っていた小田和正のテープを2本手渡してくれた。これは、何よりもの嬉しいお土産で、雅子には、今日からの楽しみが出来たことになる。

3.連載、難病との闘い(974)第三部 戦いはまだまだ続く(268)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(63)
 2.敵は本能寺(42)
  (3)いざ勝負 (その2)
 手術の開始予定は10時半であり、時計を見ると既に9時近くになっていた。一考はどうすべきか迷っていた。自分の判断で、雅子が取り返しのつかない姿になるかもしれないとの不安が頭の中に拡がった。そういう意味では、ここで、ストップを掛けられるのは自分しかいない。冷静なジャッジが不可欠だ。一考は自分にそう言い聞かせた。とにかく、今一度、義兄と話してみようと思った。先日、長姉の霧子さんの3人が集まっての親族会議で出した結論に沿った決断だったが、念のため、もう一度話してみたくなったのだ。一考は、自分の考えが揺らいで来ているのを押さえ込むようにして、廊下の片隅に場所を移して電話をした。
 少しあたふたした一考の話に対し、義兄は、「医者はそのような言い方をするんだよね。まあ、前の打ち合わせの通り進めるしかないよね。手術を取り止めれば、肺炎の再発などもっと悪化が懸念されるから」と落ち着いた口調での話だった。この言葉で、一考の揺らぎは、ともかくもぐっと抑えられたのである。不安のない決断はないが、踏み込むことで不安を押さえ込むことは可能なのだ。一考は、改めて義兄に礼を言って電話を切った。
 間もなく、三井先生が確認に来た。そこで、一考は予定通り手術をやって頂くことをお願いした。時間は9時半を過ぎていた。間もなく、霧子姉さんさんが到着したので改めて義兄と話したことを報告した。霧子さんも「仕方ないね」と言いながら頷いていた。
 10時20分に看護婦長と本日の担当看護婦の大田奈都子さんらを含めた4人の看護婦さんが、手術室に移動するために移動用のストレッチャーを用意して入って来た。そして手馴れた手順で雅子をそれに移し、手術室のある2階への移動を開始した。一考と霧子の二人も一緒に2階に移動した。
 そして定刻5分前にその手術室の前に到着、そこで手術を担当する看護婦さん3人との間で看護婦さん同士の引継ぎが行なわれた。二人はその3人の看護婦さんの自己紹介を受けた。その内の二人は、とても落着きのある美人看護婦さんで、今一人は細身の男性看護婦さんだった。
 一考と霧子の二人は、雅子が手術室に搬入されて行くのを見送ると三人の看護婦さんに「宜しくお願いします」と声を掛けて、その引継ぎ場所を後にした。家族などの待機場所は、そこから少し離れたエレベーター前で、そこに置いてある長椅子に座って手術の終るのを待つのである。看護婦さんからは、この手術の所用時間は、およそ3時間ぐらいだと知らされていた。(以下、明日に続く)

1008 幻滅

 期待が裏切られた時などにその対象に抱いた幻滅は、よほどのことがない限り払拭するのは容易でない。

1.独り言コラム
 それにしても、筆者が驚いたのは、昨日は、朝から午後に至るニュース、ワイドショーは、鳩山新内閣の話題を差し置いて、酒井法子保釈関連の話題で溢れていたことだった。テレビの画面は、被告の酒井法子が東京湾岸警察署から保釈されて出て来る場面から、涙のお詫び会見までの模様の繰り返しのオンパレードで、さすがにいい加減にしろと言いたいくらい食傷気味だった。
 しかし、会見で彼女が見せた態度やお詫び内容は、なかなかのものだったいう評価である。
 そのお詫び会見で、彼女がファンやサポート頂いた方に、大変な「幻滅」を与えてしまったことを悔いていると反省していたが、なかなかの美人タレントであっただけに、想定外の覚せい剤との結びつきには、大変な「幻滅」を味わった方は多かったに違いない。
 筆者が驚いたもう一つは、画面で見た彼女には、まだまだ充分な商品価値が残っていると思えたことだった。もっとやつれているのではという思いが裏切られたようで、一昨日の全体的な演出は、恐らく、復活もあり得ると読んだ連中の綿密な戦略が反映されたものだったとも言えよう。言って見れば、起死回生を狙った大胆な「酒井法子ショー」だったとも言える。例えば、会見時間一つを取り上げてみても、夕食時のタイミングに設定していて、NHKを除く全局が生中継で取り上げており、仕組んだ連中の思惑は大成功であり、密かにほくそ笑んでいたのではなかろうか。
 しかし、一旦与えた「幻滅」を打ち消すのは容易ではない。次にどんな仕掛けを用意して来るか興味深いが、逆に、そのような黒い思惑が、更なる「幻滅」に繋がるリスクもある訳で、その時に生じる「幻滅」は、引退、破滅に直結するだろう。
 一般的に、幻滅と言えば、有名人が思いも寄らない犯罪、奇行、失敗などを仕出かした場合に抱くことが多い。近い例では、経済評論家の植草一秀教授のエスカレーターでの手鏡事件やSMAPの草剛のお酒を飲んでの奇行などがある。草薙氏は既に復活を果たしているが、筆者の頭の片隅には、今でもその時の幻滅が健在で、彼を見るたびにそれを思い出してしまう。
 ところで、そんな些細な幻滅は別として、最近の最も大きな幻滅は、何と言っても、だらしない自民党政治に対する国民の気持ちだ。結果的に政権交代が実現したが、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎の三人の総理への幻滅が特に酷かったと思う。大勝した民主党も、同じ轍を踏まないように頑張ってもらいたい。
 なお、昨日自民党の総裁選挙が告示され、三人が立候補した。西村康稔と河野太郎の勇気ある若者二人と2回目の立候補となる谷垣禎一である。ここには、幻滅といった感じはないが、何か物足りなさを覚えるのも事実である。筆者は、今度の政権交代での民主党のお手並み拝見のケースと同様に、自民党も若手の河野太郎さんにやらせてみてはと思うのだが、どうだろう。

2、プライベートコーナー
 3時40分起床。体重、61.15Kg。肌寒い。外は真っ暗。
 昨日の雅子も前日並みで、先行きがはっきりしていない。K先生の話では、一旦平常に戻っていた炎症関連のデータが再び増加したりしていて再確認中。明日出るデータを見た上で、今後の方針の再確認する。今のところ、来週から栄養剤の併用を始めるとのことである。

3.連載、難病との闘い(973)第三部 戦いはまだまだ続く(267)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(62)
 2.敵は本能寺(41)
(3)いざ勝負 (その1)
 雅子の手術が行なわれる日がやってきた。この日は、一考は早めに家を出た。雲が低く垂れ込めていて、今にも雨がこぼれて来そうな朝だった。
 家を出て直ぐに気付いたことがあった。それは、昨夜、姉の久子がくれたお守りをうっかりそのまま置いて出て来てしまっていた。しかし、わざわざ取りに帰るのが面倒だったので、そのまま駅に向かった。
 病院に着いたのは8時前だった。雅子の部屋に向かう際に、となりの部屋を覗くと、もう既にそのベッドはマットなしの状態なっていた。改めて亡くなられたことを知って、お気の毒だと思いながら、今日の手術の成功を願うのだった。
 雅子のいる部屋に入ると、そのベッドの頭の処に「絶飲食」と書かれたカードが掛けてあった。いよいよだなあ、という思いが込み上げてくる。
 この日の担当看護婦さんは、背の高い美人の大田奈都紀さんである。手術に直接関わる訳ではないが、一考は、誰かれなく「宜しく頼む」と声を掛けたい心境だった。
 8時半頃になって、雅子が目を開けて口をもごもごさせていた。何かを訴えているようだったが、申し訳ないことに何を言っているか全く分からない。恐らく、何となく不安を感じていたのではなかろうか。
 暫くして、三井先生がやって来られて、書類にサインをして欲しいという。この時に、先生は、親切心からか、改めて、場合によっては、人工呼吸器が外せなくなる可能性があると説明してくれた。しかし、この段階のこの一言で、一考は大きな動揺を覚えたのである。反射的に「その場合には、雅子がどんな具合になるのですか」と訊ねたが、その答えは今一つ要領を得なかった。そこで、改めて、「この手術でのその種の危険度はどの程度なんでしょうか。どの程度の確率なんでしょうか」と迫ったが、「分からない」という。同じような条件で行なった事例がほとんどなからだというのである。そこで、「とにかく、自分を納得させたいので、大体の感じでいいから教えて欲しい」と繰り返したが「自分は嘘は言えない」とこれまた真面目な答えが返ってきた。
 「さあ、行ぞう!」と自分の気持ちを高めていたこの段階でのこのやり取りで、一考の頭の中は混乱して来るのだった。人工呼吸器なるものがどんな形をしているものか、それが、取り外せないとなると、どんな形での日常の生活スタイルになるのかが、全くイメージできず不安だけが先行した。恰も、今にも飛び出そうとしていた小鳥が、羽をばたばたさせるのだが、それ後の行動をどうしていいのか戸惑っているような気もちだった。
 そんな迷っている一考の様子を見た三井先生からは、「手術をしない選択もありますよ」と更なる追い討ちを掛けられて、一考の気持ちは一層厳しく苛まれるのだった。仕方なく、一考は、一旦、三井先生との会話を中断して時間をもらい、気持ちを落ち着けることにした。(以下、明日に続く)

1007 高支持率

 鳩山新内閣は、予期通りの高支持率での始動である。一方、覚せい剤違反容疑者の酒井法子にも、意外なことだが、未だに高人気が残存しているようだ。

1.独り言コラム
 今朝の各紙の報道では、新内閣の支持率が71~77%という、小泉内閣の87%に次ぐ高い支持を受けての鳩山新内閣の本格的な始動である。そんな中で、NHKの夜の9時のニュースウオッチのトップは、何と、酒井法子釈放会見のニュースだったし、今朝のニュースやワイドショーも同様である。昨夕6時半に始まった彼女の謝罪会見は、NHK以外の全局が生中継で放映していた。筆者は、その扱いの大きさに改めて驚いている。
 謝罪会見での彼女は、時々涙を見せはしていたが、堂々とした優等生の謝罪だった。用意された原稿に時々目を落としながらの淡々とした謝罪で、会見を終えた彼女の表情には、何かゆとりさえ感じられた。既に契約を打ち切ったはずの元の会社(ビクター)や所属事務所(サンミュージック)の役員が同席して謝罪挨拶するのも異例だろう。
 画面を通して見る限り、それほどやつれてもおらず、未だにその魅力は衰えていないようで、その辺りにニュース価値があるのだろうか、たとえ、容疑者になっても、美人は得(?)である。ニュースの大きさは、どんな具合にランク付けされるのかに改めて関心を持った。要するに、もう賞味期限切れと見ていた彼女の関連ニュースだけに、筆者には、その意外性に驚きを禁じ得ない。
 さて、鳩山新内閣の話題に戻るが、注目の各大臣は既に然るべきメーッセージを発信している。前原国交大臣の八ツ場ダム建設中止を含む全ダムの見直し、長妻昭厚労大臣も全ての垢を出しての見直し発言、赤松農水相大臣の歴史的和解発言などが印象的だ。
 ここで、マニフェストの扱いについて、一言記しておきたい。鳩山内閣はマニフェストに掲げた内容は、国民と約束したものだから、それらの実行に全力を挙げる言うのだが、そういう解釈は誤っているということを指摘したいのである。
 言うまでもないことだが、多くの国民は政権交代を期待して民主党に投票した。これは紛れもない事実だが、マニフェストにある全部の内容に賛成した訳ではない。もちろん、その幾つかには賛成はしているが、反対のものもあったのだが、投票システムは単純で、項目別に賛否を表現できない。従って、止むを得ず、総合的に民主党に投じただけであると言うことをしっかりと理解して置くべきだろう。八ツ場ダムの扱いなどは、その辺りのことをよく理解した上で、最終決断をして欲しい。筆者は前原誠司国交大臣のファンだけに、同氏の賢明な決断に期待しているのだが、どうだろうか。

2.プライベートコーナー
 4時10分起床。体重、61.1Kg。天気は良さそう。目の結膜炎は相当に良くなっている感じ。
 昨日の雅子は前日と殆ど変わらない様子で、相変わらず熱が上がったり、下がったりで、ずっと眠っている時間が殆どだった。先が見えない。

3.連載、難病との闘い(972)第三部 戦いはまだまだ続く(266)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(61)
 2.敵は本能寺(40)
 (3)関が原(その21)
 その二日後は海の日で、三連休の最後の日だった。長男の太郎が見舞いに帰って来た。翌日に問題の手術を控えた日てある。
 太郎が病院に着いたのは、12時半過ぎだった。二郎に比べれば、こちらに来る必要があって、比較的頻繁に見舞っている。照れ臭そうな太郎の呼びかけに、雅子は二郎の場合と同様に、やはり、少し目を明けて迎えていた。
 暫く、雅子の様子を見守っていたが、太郎がまだ食事をしていないというので、二人は一旦食事に出た。二郎の場合と同様に地下街で適当なところを探した。この時間帯は結構込んでいて、空いているところを探すのが厄介である。仕方なく、少し並んで待って中華料理屋に入った。二郎場合と違って、太郎はアルコールはほとんど口にしないので、一考だけがビールを注文した。食事をしながら、二郎の場合と同様に、見舞いに呼んだ背景、雅子の翌日の手術の難しさなどについて話して聞かせた。
 太郎のコメントを求めると、二郎の場合もそうだったが、この辺りの判断は、自分達は離れていて詳しい事情も分からないから、おやじに任せるということだった。つまり、それは、手術をしない選択もあるという先生の説明への彼らのコメントなのだ。
 食事を終えて、再び雅子の病室に戻って再度声を掛けて見舞った。この時も、雅子は少し目を開けてこれに応じていた、その後、太郎は、一旦、本屋に行くということで出掛けていった。1時間ぐらいで戻って来た後、改めて母親に声を掛けて千葉に戻って行った。これまた、慌しいお見舞いだった。
 この日、午前中に、三井先生に顔を合わせた際に、雅子の症状が、比較的容態が安定していたこと、加えて痰も珍しく止まっていたので、明日の手術には有難い傾向だと一考が前向きに言ったのに対し、先生は、痰の件については、あくまでもたまたまのことだろうと言う。それと云うのも、それに対する治療をした訳で無いからだと極めて明解な反応で、感情に捉われないそっけない応接で、そんなところにも三井先生の真面目過ぎる一面を見たようだった。
 この日は、一考には気になるもう一つの出来事があった。それは、隣りの病室での出来事だった。前日からもそうだったが、この日も今までにない多くの見舞い客が廊下に集まって来ていた。どうやら、その病室の方が危篤のようだった。多分、その瞬間に居てあげたいとする仲間の方たちが待機しておられるようだった。この日の夕方に、一考が引き上げる頃に、何人かのか女性の方がすすり泣きをしておられたのが目に付いた。一考が、何気なくその部屋を覗くと、ベッドの横たわっている方の顔に白い布が掛けられていた。翌日に雅子の大きな手術を控えていただけに、一考の心中は複雑だった。(以下、明日に続く)

1006 歴史的大実験

 何かが変わるのではないかという期待感を覚えたのは確かだった。新しい歴史の歯車が動き出したが、それが国民の期待に応えるものになるのだろうか。暫くは、その行方をじっくりと見守りたい。

1.独り言コラム
 「首班指名を受けた瞬間、日本の歴史が変わるという身震いするような感激と更に一方では、大変重い責任を負ったという強い責任も合わせて感じたところであります」「国民の皆さんの期待に応えるべく強い使命感を持って仕事に当たりたい」
 これは、史上60人目、第93代内閣総理大臣に選ばれた鳩山由紀夫総理が、最初の記者会見で行なった挨拶の冒頭部分である。やや緊張気味の挨拶だったが、そこには確かに何かをやってやろうという強いメーッセージが感じられた。
 事前に発表された閣僚名簿を見ても、それなりの人選もされているが、何よりも、今までになかった国家戦略局、行政刷新会議という新しい機関の設置にその新鮮さを覚える。選挙前から強く訴えていた「脱官僚」から「政治主導」への運営の切り替えが、本当に実行できるのか、期待は小さくない。
 要するに、国民の安全、安心を反映した新しい歴史を果敢に創ってもらいたい。多くの国民が、この歴史的な政権交代を選んだ訳で、それを具体的なアウトプットで答えて欲しい。昨日の船出を見る限り、最初の内閣支持率は70%台を超えるであろう。ここ何人かの内閣のように、その期待を裏切らないで欲しい。
 とはいえ、いろんな不安はある。例えば、今回の閣僚人事でも、藤井裕久財務相起用の紆余曲折で見られたが、後ろで控えている小沢一郎幹事長の影響力だ。何しろ、豪腕だけに不気味である。また、ばら撒きと言われる政策に対する財源が不透明、外交路線での党内不一致、更には、西松建設など、お金に纏わるスキャンダルなど不安材料は少なくない。
 更に、幾つかの違和感がある。あの鳩山御殿で育った御曹司が、本当の意味で国民目線に立てるのか、更には、今の奥さんを娶った際の経緯から見て、掲げている「友愛」は本物なのか、といった矛盾も存在する。
 まあ、何事においても挑戦には不安はつき物だ。細かいことを気にすることなく、力強く果敢に挑戦してもらいたい。どんな結果を導き出してくれるのか、その成り行きに注目することにしよう。
 言って見れば、壮大な歴史的な実験が始まったともいえよう。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重60.7Kg。朝風呂。天気は良さそう。
 昨日発覚した筆者の目の結膜炎だが、お薬のお陰で明らかに良くなって来ていて、今朝も調子がいい。19日の朝に再検診を受けて解放宣言を受ける予定である。
 昨日の雅子も熱が一時的に上がる症状もあって、相変わらずだった。この日も栄養価の高い点滴が続けられていた。なお、筆者の結膜炎がうつらないようにとの配慮で、この日から朝、夕2回の短い見舞いに止めた。 

3.連載、難病との闘い(971)第三部 戦いはまだまだ続く(265)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(60)
 2.敵は本能寺(39)
 (3)関が原(その20)
 この朝、雅子の大部屋のこの日の担当看護婦さんに顔を合わせた際に、雅子の前夜からの状態について確認する会話を交わしたが、面会カードを着けていないことに関しては、彼女からはなんらの指摘もなかった。
 ところがである。昼前になって、今までに面識のなかったご年配の看護婦さんが入って来られて、目ざとくそれを見つけると、「いけませんね」といった具合のストレートな注意を受けたのである。咄嗟に「朝、看護婦さん達がミーティングをしておられたので、お邪魔をしてはいけないと思いまして、…」と弁解したが、叶わず、改めてカードをもらいに行くことになった。心の中では、他の面会者はノーカードの方がほとんどですよと言ってやりたかったが、今は余計なことは言うまいと口をつぐんだ。
 少し不愉快な気分だったが、一旦、帰宅して昼食を終えて病院に戻って来たのは2時過ぎなっていた。雅子は、ちょうど、胸とお腹のレントゲン撮影中だった。
 次男が到着したのは、それが終って暫くしたタイミングだった。二郎とは、前年の6月末に孫を連れて家族でアクティバに見舞いに来てくれて以来のおよそ一年ぶりの顔合わせだった。早速、二郎が母親を見舞ったのだが、そこでびっくりするようなことが起きた。二郎が雅子のベッドの傍に来て声を掛けると、雅子が自分でしっかりと目を開いてじっと見つめていたのである。ここのところ、自分でそんなに目を大きく開けることはなかっただけに、一考の驚きも大きかった。やはり、血の繋がった息子ということで、何らかの神通力が作用したのかも知れないと一考は思うのだった。
 ところで、嫁の配慮なのだろう、二郎が手土産を持って来てくれたのだが、一考は、自分達はいらないからということで、思いつきで三井先生に差し上げようとした。しかし、先生はそれは自分では受け取れないと固辞されたので、結果的に、看護婦さん達に差し上げることになった。
 その後、二郎とは久し振りだったので、二人は駅の地下街で軽くビールでも飲むことにした。そこで、雅子の状態、今度の手術の持つ危険度などを、一考は詳しく話して聞かせた。途中で、二郎は一人で病室に戻り、もう一度母親に対面し、持ってきた娘の写真などを見せたようだが、果たして、雅子はそれをしっかりと捉えられたかははっきりしない。
 再度レストランに戻って来た二郎ともう少し飲んで語ってから、横浜に戻る時間になったので、今一度二人で雅子の病室に戻って、しっかりと見舞った上で、二郎は京都駅へ向かった。忙(せわ)しないお見舞いだったが、雅子には嬉しい顔合わせだったに違いない。(以下、明日に続く)

1005 戦力外

 戦力外通告ほど、受けた者に冷たく響く言葉はない。最近ではサラリーマンにも多く使われている言葉で、自分の存在が否定される訳で、がっくりと堪える言葉である。

1.独り言コラム
 今日誕生する鳩山内閣の陣容が順次明らかになって来ている。派閥とも言うべき各グループから、万遍なく取り込んでいる辺りは、安全運転を目指した配慮が窺える。個別的には、菅直人、岡田克也の大物はともかく、若手の前原誠司、原口一博、長妻昭、仙石由人らを取り込んだのは大いに評価できる。その中で、滋賀1区の我が東レ出身の川端達夫氏もノミネートされているのは、少し複雑な心境だ。それと言うのも、同氏がかつて幹事長を務めたことがあったが、全く力量不足だったことが思い出されるからである。
 最も意に食わないのが亀井静香氏の郵政・金融相への起用である。何をしでかすか分からない不良少年に武器を手渡すようなもので、筆者は大いに不満である。
 ところで、あの田中真紀子の名前が出て来ていないが、もはや戦力外と判断されたのだろうか。前回の小泉内閣での外務大臣で不適格さをしっかりと露呈しており、当然な判断と思うが、果たしてどうか?
 ともかく、新政権の今日の船出を注目したいし、何かをやってくれることに期待したいと思っている。
 さて、戦力外通告と言えば、プロ野球の世界で多用される言葉である。横浜ベイスターズは、今まで頑張っていた工藤公康投手と仁志敏久内野手に来期の戦力外通告を行なった。工藤投手は224勝を上げた球界最年長の選手である。一方の仁志選手も巨人時代から渋いプレイで大いに活躍してきていた。しかし、この通告で、彼らの今までの数多い素晴らしい記録も一瞬打ち消されてしまいそうな響きがあって気の毒な気がする。やはり、名を成して来た選手は、潔い引退が花道としてはかっこいい。だけれども、工藤投手は、来年もトライアウトしてまでも現役続行を目指すと言うから、これまた立派な覚悟だと申し上げたい。
 もう戦力外通告を受けたはずの酒井法子だが、彼女の話題は今も健在なようで、ニュース、ワイドショーの目玉に取り上げられている。目下保釈を巡っての話題でマスコミが騒いでいる。気になるのは、保釈金の500万円のうち半分の250万円は払い込まれたが、残りが未だだという。お金がないという訳ではないだろうから、これは何を意味しているのだろうか。野次馬的には、どんな顔でみんなの前に現れるのかといったところだろうが、筆者は、今更、彼女の顔を見たいとも思わない。
 一方、もう戦力外通告を受けてもいいのではと見られていた阪神の矢野輝弘選手が、昨日、伝統の巨人戦で決勝の2ランを放って勝負を決めた。まだまだ通告は不必要だと自らがのろしを上げたような決勝弾だった。
 今朝の報道で、JALが6800人の従業員に戦力外通告を出すという。サラリーマンも生き残るに大変な今の世の中である。
 最後に自民党の話で締め括るが、総理を務めた安倍晋三さん、福田康夫さん、麻生太郎さん。みなさんご苦労様でした。期待していた晴れの登板でしたが、いずれも、意外な滅多打ちで惨めな途中降板となりました。筆者が言うまでもなく、皆さんは、もう立派な戦力外でありますよ。

2.プライベートコーナー
 4時半起床。体重60.6Kg。肌寒い。天気は良さそう。
 昨日の雅子だが、相変わらずの症状。久し振りにK先生からの近況の説明を受けた。目下、大腿部の静脈への点滴で、栄養剤の投与に相当する栄養価の高い点滴を継続中で、今週は、この状態を継続する。来週からは、胃ろうを使っての栄養剤の投与を併行して行い、その様子を見る。若し不具合があれば、胃ろうの位置を変える手術を行なうという。
 ところで、筆者が目に少し異常を感じたので、ついでにこの病院の眼科で看て貰ったところ、流行り目と診断された。雅子への付添いが不適と注意を受け、この日は早く帰った。困ったことになった。

3.連載、難病との闘い(970)第三部 戦いはまだまだ続く(264)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(59)

 2.敵は本能寺(38)
 (3)関が原(その19)
 太郎と二郎の二人に送ったメールの内容は、急な話だがと前置きし、この週末に、母親の見舞いに顔を出すようにという主旨のものだった。その中で、今回の手術の難しさを訴え、若しかしたら、最悪の心配もあるとにおわせた。少し大袈裟過ぎるかもしれないが、君らも随分とお世話になったのだから、何とか時間を作って出て来て欲しい。二郎の場合は、さし当たっては、君一人だけでもいいと付け加えた。そして、出来れば、三人揃って久し振りに飯でも食いたいので、連休最終日に当たる20日の午後に揃って顔を出してくれるといいのだが、とも付記した。このメールの全体のトーンは、まさかのことを念頭に置いており、その意味では、「出て来い」との一考の指示でもあった。
 二人からの返答は早かった。太郎の方は、一考が示唆した連休の最終日でOKだと言って来たが、二郎の方は仕事の都合で、明日の土曜日に顔を出すと言う。今まであまり顔を出さない二郎だったが、今回は、素早いアクションである。二人の返事がそういうことで日がずれたため、残念ながら、親子三人揃っての夕食は成立しないことになった。正直言えば、今年の正月も二郎は都合で帰れず、このところ、三人で飯を食った記憶がない。次の機会を待ちたいが、何時になるかは分からない。
 そして、その翌日の7月18日(土曜日)を迎えた。次男の二郎が急遽見舞いに帰って来る日である。そのことを念頭に入れ、一考は朝9時前に病院に入った。いつものようにナースセンターに立ち寄ろうとしたが、看護師さん達が集まってミーティングをしているようだったので、特別面会のカードをもらわずに、そのまま病室に向かった。それと云うのも、数日前から気付いていたが、雅子の向かい側、つまり、もう一人の廊下側のスペースにおられる患者さんの付き添いの方は、いつもそんなカードはもらわずに来ておられた。大変良く似た親思いの二人の娘さん達で、よく顔を合わすので顔見知りになっていて、挨拶を交わすようになっていた。そんなことで、カードがなくても大丈夫なんだろうと高を括っていたからでもある。しかし、昼前になって、このことを指摘されるのである。カードを付けていなかったのは初めてのことで、たまたまの隙間を鋭く突かれたようで、何か、納得できないも面白くないものを感じていた。(以下、明日に続く)

1004 歴史を塗り替える

 歴史の塗り替えには、先日の世界陸上で、ボルト選手が陸上100メートルの世界記録をつくったように、瞬発力で、あっという間に塗り替えられる記録もあるが、今回のイチロー選手のように、一歩一歩の長い積み重ねで、漸くといった感じで達成されるものもある。

1.独り言コラム
 遂に、イチローが200安打を達成、1901年にウイリー・キーラーが作った8年連続200安打の記録を、108年ぶりに9年連続200安打という新記録に塗り替えた。日本時間、昨日昼過ぎのことである。筆者は生中継でその瞬間をみようと朝早くから待機していたが、雨のいたづらで試合が5時間近くも遅れたために、残念ながら、それは叶わなかった。ともかく「おめでとう&ご苦労様」である。
 試合終了後のインタビューで「漸く、解放されましたね」の言葉が、イチローの気持ちの全てを表していたのではなかろうか。「200安打を打つには199本の積み重ねが必要で、段々と近づいて来るのが楽しみでした」というコメントにも、イチローらしさが感じられて印象深かった。
 イチローは2004年には、それまで、ジョージ・シスラーが持っていた年間257安打の記録を84年ぶりに262安打に塗り替えている。先日のMLBでの最短年数での2000安打もそうだが、歴史的な大記録を次々と塗り替えてゆくイチローは今や世界のヒーローだ。これから、どんな記録を塗り替えてくれるだろうか、夢は広がると同時に、それを形にしてくれることをファンは期待している。
 長い歴史の塗り替えという意味では、鳩山新政権の誕生で、その政権運営の方法が大きく変わる。その代表的な一つが、今まで123年間も続けられてきた事務次官会議が廃止される。昨日、その最後となった事務次官会議が行われたが、出席者のコメントが意外に淡々としていたのが印象的だった。言ってみれば、負け惜しみの裏返しであったのかも知れない。
 いずれにしても、この廃止こそ、あくまでも官僚主導の象徴としての手法を断ち切る思い切った決断であって、その代わりに関係閣僚委員会が行なわれるし、国家戦略局や行政刷新会議などが始動する。どんな形で運営されるのか、お手並み拝見である。
 さあ、いよいよ小沢一郎演出の鳩山劇場「マニフェストは必ずやり遂げます」の開演である。始まり、始まり。 

2.プライベートコーナー
 3時50分起床。体重、61.kg。小雨。
 昨日の雅子だが、前日と変わらない状態だった。相変わらず、体温と血圧の変動が数時間単位で見られた。この原因は何んなのか。今日は先生が出て来られるので、その辺りを確認したい。胃ろうの取り付け部分の肌は随分ときれいに治って来ている。便秘が続いていたので、午後には浣腸が行なわれた。
 次のステップは、何時から栄養剤の投与が開始されるかである。その際に、この胃ろうがうまく対応できるのか、下痢は起きないかがポイントとなる。

3.連載、難病との闘い(969)第三部 戦いはまだまだ続く(263)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(58)

 2.敵は本能寺(37)
 (3)関が原(その18)
 「私はね、とにかく今の雅子を見ていて可哀そうで仕方がないの。それでね、私の言いたいことは一点だけで、それは、苦しませた状態で、単に生かしておくようなことだけは止めてあげて欲しいの。いわゆる植物状態っていうようなのだけは、避けてあげて欲しいの」霧子さんは、少し俯き加減でそう言った。いつもの元気な声ではなかった。
 「それは私も同じです」と一考も同意するように頷いた後、更に、今日の会議を締め括るように、言葉を続けた。
 「じゃあ、我々としては、手術をしない選択、つまり、胃ろうだけを取り付けてもらうといった対応はせず、この先生の技術にかけてみようということで、宜しいですね」
 「そうしないと、今の施設に戻るののも難しいだろう?」祐一さんが確認した。
 「その点ですが、施設のアクティバ琵琶に確認したんですが、雅子を受け入れてくれる条件としては、口が開かないだけに、胃ろうがきちんと使えて、他の厄介な病気がなく安定していなければ困ると言うのです。もちろん、パーキンソン病は承知の上ですが。そういう意味では、このまま手術をしなければ、肺炎の再発は避けられず、病状に不安を残したままになる。そういう事情を勘案すれば、ここでは、手術をお願いする以外にないですよね」
 そんなことで、3人の意見は一致した。とにかく、身内でこんな重要な会議をしたのは初めてだったが、考え方の大きな齟齬がなかったことは幸いだった。
 そのあと、香子さんが取り寄せてくれたお寿司を4人揃って食べた。それぞれが、その思いを頭に浮かべての会話の少ない昼食だった。ここでも、香子さんは、一考に、太郎と二郎の意見を聞いて上げるようにとアドバイスしてくれた。
 親族の重要な会議を終えて、霧子さんと病院に戻ったのは2時過ぎだった。三井先生に、親族の合意で、胃ろうを含めた手術をやって欲しいと改めて申し入れた。先生は造影剤を使って撮った写真を見せながら、胆汁が少し流れているという。つまり、胆石で完全に止まっているということではないらしいという説明をしてくれた。3時過ぎには、麻酔科の看護士さんがやってきて、改めて、体質や過去の経験なっどのチェックがあった。
 この夜、一考は二人の息子達に緊急のメールを送った。(以下、明日に続く)

1003 お待たせしています

 期待感を持って待機しているのは、ある意味で至福の時でもある。

1.独り言コラム
 今朝は特に早く起きた。イチロー選手の世紀の大記録誕生を生で見ようと思ったからである。何しろ、ダブルヘッダーが予定されていたので、必ずやってくれると信じていたからである。恐らくこの快挙のニュースは「お待たせしました」ということで、朝のニュース、ワイドショーがトップで取り上げるはずであった。
 しかし、今のところ(5時現在)、現地のテキサス州ダラスは雨のようで試合開始が遅れている。試合があるのかどうかも分からない。このタイミングで間を取るあたりは、神様も、なかなかやってくれるじゃない、といった感じで待機している。まさに、お待たせしています、である。
 さて、お待たせしています、という意味では、鳩山内閣の正式誕生で、遅くとも、明後日には、その全陣容が発表される。正直な話だが、今までよりもその期待感がずっと大きい。それだけに、国民を裏切らない人事をやってもらわねばならない。亀井静香総務大臣や田中真紀子の大臣起用は止めて欲しい。
 日本のゴルフ界の今年の賞金王だが、男子は石川遼が前週の優勝で、女子は諸見里しのぶが昨日の日本女子プロ選手権での堂々の優勝で、いよいよ本命として有力になって来ている。二人のファンには、お待たせしています、の大きな明るい話題だ。それにしても、この若手の二人は、このところの実力アップは素晴らしくて、頼もしい限りである。
 今年の将棋界で大活躍している一人が木村一基八段だ。6月から7月にかけての棋聖戦5番勝負では、羽生棋聖を2-1とタイトル奪取まであと1勝に追い込んだが、惜しくもその後の2連敗で願いは叶わなかった。現在は王位戦7番勝負で深浦王位に挑戦中で、出だしに一気に3連勝したが、その後3連敗を喫し、いよいよ今月末にその最終局を迎える。木村一基八段ファンには、まさに、お待たせしています、もいいとこである。
 プロ野球でも阪神と楽天がクライマックスシリーズへの出場権の確保を目指して奮闘中だが、ファンにとってはやきもきで、お待たせしています、にも焦燥感がにじみ出ている。早く、決めて欲しいだろうが、土壇場までもつれるだろう。
 2016年の夏季オリンピック開催都市の決定は10月2日にコペンハーゲンのIOC総会で決定される。果たして、東京開催がなるのか、どうか。まさに、お待たせしています、である。それをアシストすべく、間寛平さんが、そのコペンハーゲンを目指して力走中ですが、総会の結論はどうなりますか。不安と期待が交錯しています。駄洒落「東京だ、あいほしい(IOC)、爽快だ」

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、60.7Kg。 寒いが、天気は良さそう。
 昨日の雅子だが、相変わらず、体温の変化が激しく、熱が移動しているような感じである。血圧の変化も結構見られる。この原因がはっきりしない。
 この日、一考の発した2度の冗談に、珍しく、雅子が吹き出して笑ってくれた。コミニケーションが出来たことが嬉しい。(詳しくは、いずれ連載の中で紹介予定)

3.連載、難病との闘い(968)第三部 戦いはまだまだ続く(262)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(57)

 2.敵は本能寺(36)
 (3)関が原(その17)
 この日の三人の話合いは、三井先生が繰り返しおっしゃっている「障害が残るかも知れない、或いは、命そのものにも危険がある難解な手術であるから、手術をしない選択もある」という内容について、三人の考え方を確認しておこうというもので、特に、義兄の専門的な考え方を伺って、その対応を充分に話し合うことだった。一考は特に、三井先生が「手術をしないという選択」もあるとおっしゃっている点が引っかかっていたこともあって、その点で、長姉の霧子さん同席の上で、祐一義兄の考え方を改めて聞いてみたかったのである。
 一考が改めて今までの経緯を説明したのに対し、祐一さんがゆっくりとした口調で話し始めた。
 「今の病院は、必ずそういう言い方で、患者サイドの理解を得て手術に同意したという意思を確認しておきたいんだよ。特に最近は、事後になって、その種の問題が多いだけに、少し過剰な対応になっているきらいがある。ところで、雅子の場合の話だが、僕自身は、医者と言っても専門が違うから、その辺りのリスクの度合いは正確には分からないけれど、切除せずにそのままにしておけば、胆嚢の悪化が更に進むだろうし、更に厄介な病気に派生することもあるだろう。パーキンソン病の性格からいっても、良くなることはないのは確かだろう」
 「その点は三井先生も言っておられて、切除した方がすっきりすることは確かのようですね。問題はその切除手術で全身麻酔が必要で、今のパーキンソン病との関連で、それがどんな影響が出て来るかが分からないんだとしきりにおっしゃるんですよ」と一考が補足した。
 「まあ、そういうことなんだろうね。でもね、一般的に言って、明らかにこれは危険だと言うような手術なら、医者は手術を選択しないんじゃないかなあ。例えば、うまくいかない可能性が半分以上もあったとすればだよ、本人サイドがやってくれと言わない限りはね。まあ、充分にうまくいく可能性はあっても、そういう言い方で患者サイドの了解をしっかりと取っておきたいのだろう」義兄はあくまでも冷静にそう言って二人の顔を見た。
 「そういうことなんでしょうね」一考は、そう言って頷いた。
 その時、それまでじっと黙って聞いていた霧子姉さんが口を開いた。(以下、明日に続く)

1002 生みの苦しみ

 どこの世界でも、誰であっても、大きな目標の達成には、それなりの苦しみはつき物のようだ。

1.独り言コラム
 鳩山内閣誕生に向かって着々と進んでいるように見える一方で、意外な手間取りも垣間見られる。社民、国民新党との連立合意にもかなりの時間を費やしたし、閣僚人事でもそのタイミングを巡って行ったり来たりしていて、結局は首班指名直前の15日まで待つことになりそうだ。今朝の毎日新聞では、その辺りのことに関し「飛べぬ鳩山代表、人事二転三転、重い小沢氏の意向」といった見出しが付いている。これがいわゆる生みの苦しみなのかも知れない。
 一方、自民党も再生に向かっての水面下での動きが模索されている中で、若手の河野太郎氏の名前が浮び上がってきている。今までの派閥の領袖辺りが、これに対してどんな対応を見せるのか、自民党も、再生自民党を巡って、生みの苦しみの真っ只中にあると言えよう。
 イチローもあと4安打に迫りながら、ちょっとした足踏みで、神様も恵みの雨で歓迎しているようだ。MLB入団以来の2000安打をすんなりと達成した後は、その後の3試合で、13打席1安打というイチローにしては珍しい足踏みである。天才にも、大記録を目前にして、生みの苦しみがあるのだろうか。まだ、21試合もある。誰も心配はしていない。むしろ、ドラマが盛り上がってきているのではと思ったりしているが、この段階では、怪我、病気だけが怖い。天才、イチローだけに、若しかしたら、今日、明日にでも1試合で4本を固めて打って達成するのではと思ったりしている。
 ところで、将棋界に現れた凄い若手の二人の棋士に注目している。棋士になって3年目の豊島将之5段(19歳)と棋士になって2年目の稲葉陽4段(21歳)である。このところの活躍は素晴らしく、A級棋士にも堂々と勝ち星を挙げていて、何ら引け劣っていない。
 この世界では10年に一人の天才が現れると言われていて、大名人の大山康晴15世永世名人から始まって、中原誠16世永世名人、谷川浩司17世永世名人、そして羽生善治19世永世名人と森内俊之18世永世名人、更には渡辺明竜王と続いて来ている。筆者は、この二人が、歴代の天才たちに次ぐ注目棋士ではなかろうかと見ている。彼らは、今、その生みの苦しみを楽しんでいるのかもしれない。
 さし当たって筆者が注目しているのは、中原16世永世名人が42年前に作った年間勝率(0.855、42勝8敗)の更新で、目下、豊島将之5段が(0.857、24勝4敗)と迫っているのが面白い。さあ、半世紀ぶりの更新なるかどうか、中原ファンだった筆者の心境は複雑である。

2.プライベートコーナー
 4時半起床。体重、61.0Kg。天気は良さそうだが、少し肌寒い
 昨日の雅子だが、点滴を打つ血管を見つけるのに看護婦さんが苦労、遂に、K先生が自ら乗り出してくれて、部分麻酔を使って、右足の付け根の静脈に取り付けてもらった。これで、暫くは安心(?)
 胃ろうの付け根の部分は綺麗に治癒して来ているが、熱が相変わらず、高くなったり、下がったりして短い時間内で動いている。血圧もかなりの変化が見られる。暫く様子見が続く。

3.連載、難病との闘い(967)第三部 戦いはまだまだ続く(261)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(56)

 2.敵は本能寺(35)
 (3)関が原(その16)
 その翌日、7月17日の金曜日は、一考にとっては重要な日だった。三井先生から、幾度かに渡って今度の手術の難しさを聞かされていたことから、せめて血の繋がった肉親だけででも、その辺りのことについて、一緒に集まって話し合っておきたいと考えて、この日のお昼に実兄の祐一さんの家に集まることにしていたのである。小児科の先生である祐一さんの総合的な示唆が重要だと一考は考えていたのである。
 しかし、さすがにこの朝は、前夜のお酒が残っていて、すんなりとは起きらなかった。それでも、朝の3時には目が覚めて、点けっ放しになっていたテレビが映し出していた全英オープンゴルフ中継に目を遣って、暫くぼおっと眺めていたが、4時になったのを見て、一考は思い切ってベッドを蹴って起きた。
 少し苦しい寝起きでだったが、それでも頑張ってブログなどいつもの段取りで雑用などを済ませ、10時には吉田病院に顔を出した。雅子は少し赤っぽい顔だった。熱を計ってもらうと、やはり、37.3度あった。このところ、上がり下がりはあるが、総じて言えば、微熱がずっと続いている。
 偶々だったが、オムツやパットの在庫を調べてみると、思っていたよりも在庫が少なくなっていた。特に、パットがもうほとんど在庫がなくなって来ていることが分かり、その補充が急務であった。そこで急いで一旦帰宅し、家に在庫してあったパットを鞄に押し込んでから、山科の祐一さんの家に急行した。祐一さんの家は、山科駅から歩いて10数分の距離だったが、二日酔いと久し振りの歩きで、大汗をかいてしまっていた。ここに来て、自分の足がすっかり弱っているのを知ったのである。数年前まで歩きまくって鍛えた健脚はすっかり消失していたのである。
 午前中の診察を終えて、祐一さんが、長姉の霧子さんと一考の二人が待機していた部屋に顔を出したのは、12時を少し過ぎていた。義兄の家でこのように3人が集まったのは多分、初めてだと思う。とにかく、雅子の手術の扱いについて、考え方をすり合わせておきたいとの一考の発案が切っ掛けだった。
 しかし、祐一さんの奥さんの香子さんは、数日前から、息子の太郎や二郎の二人の意見も確認するようにアドバイスしてくれていたが、今日は、自分は遠慮してその部屋には顔を見せず、昼食の準備に専念しておられた。(以下、明日に続く)

1001 自己防衛の形

 このところ、企業の合併、吸収、提携などの話題が多い。自らを守る形はいろいろあるだろうが、伝統、歴史ある名前を守るのも大事なことだ。

1.独り言コラム
 経営が悪化している日航が世界最大のデルタ航空、及びエールフランスKLMとの提携が検討されていることが明らかになった。これにより、両者からの資金援助を受けて、世界企業としてその競争力強化が図られることになった。企業を防衛する手段としての思い切った戦略だが、どんな展開になるのか心配でもある。日航の名前の消滅だけは避けて欲しい。
 一方、今朝の報道で、吉本興業が吸収合併されて新会社誕生へのTOBが発表された。これによって、吉本興業は上場が廃止され非上場会社になる。かつては、企業は上場することが大きな目標であって、それを目指して成長を図って来たものだが、そういう意味では逆の流れである。新聞に踊っている活字からは、創業家からの独立とうたわれていて、番組制作などの強化が狙いとある。また「吉本」の名前は消しませんなんて見出しもあって、筆者には今一つよく分からない展開である。
 また、大日本住友製薬が、米国の製薬会社セプラコアの買収も進んでいるようだ。しかし、その一方で、三井住友が大和証券との間で進められていた合併話が、哲学の違い、思惑違いがあって、解消することになった。
 各企業は、この厳しい環境下の中で、自分達の生き残りを掛けて、その発展を期す一方で、自己防衛にも全力を上げている。軍艦行進曲の「守るも攻めるも黒鉄(くろがね)の 浮かべる城こそ頼みなる」なんて古い歌詞がふと浮かんできたのだが、負けだけは許されない企業の戦いは熾烈だ。
 一方、思いも寄らない大敗を喫してしまった自民党だが、その落城の痛手が大き過ぎて、なかなか立ち上がりの機運が見えて来ていない。とにかく、次の総裁へ手を上げる人が未だに出て来ていないのは、なんとも頂けない気の毒な状況にある。国会での部屋の移動や席替えなどでわめいているようでは、かつての大政党の悲哀のみが浮き彫りになっていて見苦しい。
 大敗した自民党に「出でよ! 勇気ある新しい指導者よ」と呼びかけてみるが、そんな人の顔が浮んで来ないのが気になる。有能な方がいるようでいないのが、今の自民党の人材のようだ。

2.プライベートコーナー
 3時半起床。体重、61.4Kg。曇り空。
 昨日の雅子は、午前中は落ち着いていたが、午後になって発熱があり、少しうめき声を上げて苦しそうだった。今までになかった症状だったが、夕方には、いつものような状態に戻っていた。胃ろうの傷口が綺麗に治りつつある。しかし、栄養剤の投与はまだ医師から許可が出ていない。
 この日、アクティバ琵琶の介護士さん達から、寄せ書きを頂戴した。それを見せると、雅子はじっと見つめていた。

3.連載、難病との闘い(966) 第三部 戦いはまだまだ続く(260)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(55)

 2.敵は本能寺(34)
 (3)関が原(その15)
 この日、また、つまらぬうっかりをしでかしてしまった。このところ、うっかりや迂闊な行動が増えている。年を取って来ている上に疲れも溜まり、総じて、耄碌してきているからだろう。この日のうっかりは、乗る電車を間違えて乗ってしまい、慌てたという馬鹿馬鹿しい失敗談で、その顛末は、次の通りである。
 一旦、自宅に戻ろうとして、9時半過ぎに病院を出て京都駅に向かった一考は、改札を通る時に、間もなく発車予定の電車があることを確認したので、エスカレーター階段を、人を掻き分けて急いで下りた。そして、いつも湖西線の出る3番ホームに入っている電車が、発車間際になっていたので、「よしっ」とばかりに、それに飛び乗った。直ぐにドアが閉まり動き出したので、やれやれ間に合ったと思ってほっとしていた。
 山科駅が近づいて来たところで、ちょうど前の席が空いたので、「これはラッキー、今日はついている」と思って座ったのだが、何となく耳に入った車内アナウンスが、この電車は湖西線の電車じゃなくて、琵琶湖線の電車だと分かった。これでは大津京には行かないと、慌てて人を掻き分けながら、ばたばたとして降りたのである。それにしても、京都駅で、琵琶湖線の電車が湖西線のホームに入っていて、それに気がつかなかったのがいけないのだが、何も確かめずに、飛び乗ってしまったのは、急いでいたとはいえ、やはり、「ぼけ」ていたと言われても仕方ない。
 そんなことがあって、何事にも、もっと気を引き締めて掛からねばと自分に言い聞かせたのである。特に、今夜は雄琴で会社の関西のOBの集まりが予定されていて、それに顔を出すことにしており、お酒が入るだけに、飲み過ぎには充分な注意が必要だと、自らを戒めたのである。。
 さて、その日のOB会だが、幸いなことに、雄琴のホテルで行なわれることになっていたので、一考には地の利があった。吉田病院から京都駅に出て、湖西線で直行できる。そういうことで、この日の午後は、吉田病院には2時過ぎに顔を出して、雅子の症状を確認し、特にこれといった大きな問題もなさそうだったので、これ幸いと、5時前に病院を出て雄琴に向かった。
 かくして、この夜は、久しぶりに多くの仲間と会えて、楽しいひと時を過ごした。自らに言い聞かせていたお酒を抑える気持ちも、その場が盛り上がりにつれて何処へやら、大いに発散したのである。帰途に着く頃は、いつものように記憶は曖昧になってしまっていた。翌日には重要な家族会議が予定されていたのだが、そんなことは、すっかり頭の中から消えていた。(以下、明日に続く)

1000 試練

 このブログも今朝で節目の1000回である。イチロー選手のコメントではないが、「だから、どうってこともない。」これからも、今まで通り、楽しんで取り組んで行きたい。

1.独り言コラム
 鳩山内閣の人事が着々と固められている。びっくりしたのは、前原誠司副代表や仙石由人元政調会長らも名前も入閣候補に上げられていることだ。反小沢グループも取り込んでおこうと云う考えらしい。まあ、大人の考え方であって悪くはないだろう。この人事も試練だと言えそうだ。
 試練と言えば、これからの具体的な政策の実行に関しては注目すべきことが目白押しだ。当面の課題だけでも、インド洋沖での自衛隊給油活動の扱い、米軍基地普天間の扱い、高速道路無料化、大型の公共工事の扱い、特に八ツ場ダムの中止、ガソリン税の問題、子供手当てなどなど。とにかく、風呂敷を広げ過ぎただけに、それらにどんな形で具体的に答えてくれるのか、特に、その出だしの対応が注目される。これからは、民主党にとっては、試練の茨の道の連続になるだろう。
 そういえば、海の向こうの米国でも、オバマ大統領は医療保険制度改革の扱いで、最大の難関に差し掛かっているようだ。昨日も異例の大演説で国民に訴えていた。支持率も、ここに来て大幅な下げが見られていて、この試練をどう乗り切るかが、当面の大きな鍵のようだ。
 ところで、今日は9月11日である。あの「9.11事件」から8年目を迎えた。衝撃を超越したウルトラ規模での同時多発の飛行機テロで、ニューヨークの中心部に壊滅的な被害を与えた事件で、米国に建国以来、かつてない試練を与えた。多くの犠牲者を出したが、米国は漸くその試練を乗り越えつつあるようだ。イラク戦争のような回り道もあったが、テロリストという地球の敵には徹底して戦わねばならないだろう。敵が同じ人間であると言うだけに戴けない話だ。
 ところで、今朝未明、種子島宇宙センターから、宇宙輸送機「HTV」を載せた無人補給機H2Bロケットの打ち上げに成功した。日本のロケット技術も世界の宇宙開発に大きな貢献を果たすレベルに達したのは、まさにご同慶の至りである。聞く所では、これからの国際宇宙ステーションへの物資の補給は、このロケットが命綱のようで、大変重要な役割を負うことになる。これは試練と云うよりも、誇るべき日本技術陣の素晴らしい挑戦と言うべきだろう。

2.プライベートコーナー
 4時40分起床。体重、61.3Kg。お天気は良さそうだが、朝は少し肌寒い。
 昨日の雅子だが、胃ろうを取り替えたことで漏れが無くなり、傷口が急速に回復してきていて、雅子の様子も落ち着いて来ていた。3時頃には、実兄の祐一さん夫婦のお見舞いがあって、雅子も顔の表情を作ってそれに応えていた。
 夕方にK先生が来られて、幸い、抗生剤の効果が出て来ていて、菌の数はほぼ正常に戻っているという。胃ろうについては、傷口が完全によくなるのを待って、次の対応を考えるということだった。

3.連載、難病との闘い(965) 第三部 戦いはまだまだ続く(259)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(54)

 2.敵は本能寺(33)
 (3)関が原(その14)
 しかし、付いていたのは、そこまでだった。3時頃になって、三井先生から、雅子の痰に関して、新たな話があった。それによると、その痰の中からぶどう状球菌が検出されたため、新たな抗生剤で対応始めているという。痰は、多分、誤飲によって起きていると思われ、治るかどうかは微妙であるという。
 そして、予定されている手術の話に移って、パーキンソン症候群による悪化、肺炎などの厄介なものの存在下行なうので、その種の事例がほとんどないということで、アンノーンのことが多いという。中でも、胆嚢切除時の全身麻酔が気掛かりで、場合によっては、気管支切開の必要性も出て来るかも知れず、また後遺症が残る可能性もあるというのだ。そういう意味で、手術を取り止めるという選択もあるが、その場合は、胃ろうは別途取り付けるとしても、肺炎の再発、胆汁の処理などの対応をどうするか、更には胆嚢炎の心配もあるという説明の繰り返しがあった。
 先生の不安を煽る説明に、一考の頭の中は混乱を来たして来るのだった。繰り返しておっしゃった「手術をしない選択」が気掛かりだった。一考の悩みはますます深刻化するのだった。一考は、とりあえず、そのような重要な局面であることを、雅子の二人の実兄姉に電話で報告入れた。一考の気持ちは、先生はそうはおっしゃるが、ここまで来た以上は、先生に託して手術を実施してもらうしかないと考えていた。小児科病院を開業している実兄の祐一さんは、さすがにその辺りのことは弁えておられるようで、一考と同じ考え方を示唆してくださった。そして、一度、実姉の霧子さんをも交えて、本件について意見交換したいと申し入れ、二日後のお昼に集まることした。
 その翌日の8月16日は、久し振りに夏の暑い日だった。一考が朝の8時頃に顔を出すと、この日に予定されている尿検査に備えて、看護婦さんがその準備を進めてくれていた。間もなく三井先生が顔を出されて、ブドウ状球菌対策で、鼻から通してあるチューブを、昨日からそれ用に取り替えているという。一方、胆嚢に差し込まれているドレインチューブから出て来る胆汁の量が減ってきていることから、これは本当に胆汁の量が減っているのか、或いは差し込んである位置がずれたのか、別途確認するという。この朝の雅子の様子は、相変わらず微熱はあったが、痰の頻度は少し減って来ているようだった。しかし、この辺りも一進一退で、必ずしく治癒の方向にあるとは言えない。
 ところで、この日の夕方には、一考には、会社のOBの仲間との久し振りの懇親会が雄琴で予定されていたので、そのための準備もあって、9時半過ぎには、一旦病院を出て自宅に戻った。(以下。明日に続く)

999 意外な展開

 通常は、意外さがドラマを盛り上げることになるのだが、身につまされるような深刻な話には意外さは不要だ。

1.独り言コラム
 昨日の国際サッカーのガーナとの親善試合で、日本チームは、最後の僅か5分で3点を奪う意外な展開を見せて4-3と見事な逆転勝ちを収めた。岡田監督もW杯に向けて、好感触を得たのではなかろうか。エースの中村俊輔や長谷部を引っ込めて、それに代わった玉田、稲本が活躍しての終盤の粘りだった。
 将棋の七大タイトル戦の一つである王位戦が大接戦となり3-3で最終局にもつれ込んだ。羽生名人から王位を奪った深浦康市王位に、初のタイトルを狙う木村一基八段が挑戦している7番勝負だが、昨日の第6局で深浦王位が勝って、木村八段の3連勝、3連敗という意外な展開になっている。昨年の竜王戦で羽生名人が渡辺竜王に永世竜王を賭けて挑戦したが、将棋界では初めての3連勝4連敗を喫して渡辺竜王に屈したシリーズが思い出される。果たして、その二の舞になるかどうか、最終局が面白い。
 すんなりと2000本安打を記録したイチロー選手だったが、昨日は5打数0安打という意外な展開に終った。今シリーズのイチロー選手は16試合欠場の試合があるが、それまでの122試合で無安打の試合は僅かに12試合で、比率にして1割未満という凄い記録である。しかし、さすがに、ほっとした訳ではなかたっと思うが、昨日は13試合目の無安打試合だった。とにかくちょっと足踏みをしたが、200安打まであと僅か5本だ。残り試合は24試合で、何ら問題はない。
 民主、社民、国民新党の連立が、やっとのことで合意に至った。民主党がてこずったという印象が強く、意外な展開だった。国民新党の亀井静香代表が総務大臣を希望しているようだが、そうなると、郵政民営化がどうなるか、意外な展開もありそうで、波乱含みで心配である。
 山口県で起きた殺人未遂事件で、注目の裁判員裁判で執行猶予付きの判決が下された。事件は、寝たきりの妻を13年間に渡って介護に努めてきた被告が、その介護に疲れ、妻を絞め殺そうとして未遂に終った事件だ。この裁判では、上記の事例のような意外な展開ではなく、妥当な判決であったと受け取っている。筆者も他人事でない立場にあり、岩崎被告への同情を禁じずにはいられない。執行猶予付きの判決については、然るべきものであると思っている。

2、プライベートコーナー
 5時起床。体重、61.3Kg。今日も天気は良さそう。朝は少し肌寒い。
 昨日の雅子は多少熱があったりしたが、全体的には落ち着いた一日だった。昨日、取り替えてもらった胃ろうの様子は無難で、それまで見られた漏れはない。もう暫く見て、栄養剤の投与が行なわれると思われる。しかし、痰は相変わらずだ。抗生剤の効果が今一つなのだろうか。

3.連載、難病との闘い(964) 第三部 戦いはまだまだ続く(258)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(53)

 2.敵は本能寺(32)
 (3)関が原(その13)
 その思わぬチョンボとは忘れ物である。ついうっかり、読書に夢中になっていての失敗だった。幸いにもその忘れ物はそのまま残っていて、実質的には、時間をロスしただけで済んだ訳で、不幸中の幸いだった。その失敗の馬鹿馬鹿しい顛末は、およそ次のような具合であった。
 一言でいえば、語るに落ちるの単純なうっかりである。つまり、アクティバ琵琶から持ち帰ってきたスリッパ代わりのサンダルを、紙袋に入れたまま大津京駅のホームにある待合室に置いたまま、入って来た電車に乗ってしまったのである。電車が入って来るまでに少し時間があったので、一考は、ホームにある待合室の椅子に座って本を読んでいた。駅のアナウンスに反応して反射的にホームの先の方に目をやると、電車が入って来るのが見えたので、そのままいつもの鞄を持って待合室を出て、電車に乗ってしまったのである。サンダルの入った紙袋のことはすっかり忘れていたので、その待合室に残したままだった。
 忘れ物に気が着いたのが、次の山科駅に着く直前で、「あっ」と思い、咄嗟にどうしようと迷ったが、思い切って山科駅で降りて引き返すことにしたのである。このサンダルは最新の流行のちょっとしたもので、やっとこさ見つけたものだったので、そのまま見捨てるには忍びなかったのだ。
 さすがに、気持ちは少々焦っていたが、幸いにも、反対方向から下りの湖西線が入って来るのが見えたので、急いで地下道を通って向かいのホームに移り、その入って来た電車にタイミングよく間に合って、すんなりと大津京駅に戻れた。恐らく、時間にしておよそ15分以内での大津京駅へのカンバックだったと思われる。
 果たしてその荷物は残っているかどうか。一考は胸をどきどきさせながら、また地下道を通って上りのホームに渡り、つい先ほどまでいた待合室に駆け込んだ。そして、「あった!」と思わず声を出した。サンダルは紙袋に入ったままの姿で元の位置に放置されていた。一考はそのラッキーさにほっとし、大きく一呼吸した。まあ、中味がサンダルだった訳で、そのまま誰も手を着けなかったのだろう。たかが、サンダル一つのことだったが、気持ちは爽やかだった。ふと、耳を澄ますと。間もなく、上り電車が入って来るとのアナウンスである。また、また付いているといった気持ちで電車に乗った。今度は、しっかりと紙袋を手にしていた。病院へは2時過ぎに着いた。(以下、明日に続く)

998 雑草

 農薬をもろともしない雑草の存在が、作物の収穫に大きな影響を与えて来ているという。スーパー雑草と呼ばれていて、作物に害を与える悪性の手ごわい雑草のようだ。

1.独り言コラム
 今朝は、二日酔いで頭が少し痺れている。しかし、悪性の頭痛ではなく、心地よい痺れである。それと云うのも、昨夜は、会社の後輩たちとの一席に顔を出させてもらい、大いに楽しんだからである。
 嬉しかったのは、役員にまで登りつめた優秀な後輩から、「来阪したので、出てきませんか」と声を掛けてもらったことだった。雑草的な存在に過ぎなかった私のような先輩に、今でもこうして気を遣ってくれる後輩がいてくれることは、大変嬉しいことである。久し振りに、華やかな浪速の夜を満喫させてもらった。雑草を大事にしてくれる仲間ってなかなかいいものである。
 この日の幹事役を務めてくれたのが、かつて、筆者が「執念」を出版した際に、社内報に取り上げるように働きかけてくれた美人秘書で、それ以来、筆者は彼女のファンになっているのだが、久し振りに同席してくれていた。昨夜は一段と美しく、筆者は、不覚にも、ちょっとしたときめきを覚えていた。男は幾つになっても魅力ある女性には弱い。
 ところで、スーパー雑草の話だが、一昨日のNHKの「クローズアップ現代」で取り上げていた。一般の農薬では効かない雑草で、作物の栄養分を横取りしてしまうから厄介な存在なのだ。稲作にもその影響が出て来ていて不作の大きな原因となりつつあるという。この問題は、ここ数年で急速に広がって来ていて、世界的な問題になっているという。技術革新が進む科学の時代で、雑草が手に負えないのが意外である。オモダカと呼ばれるのがその代表的なものだそうだが、見た目には部屋に飾って置けるような見映えする雑草で、いわば魔女的なのが皮肉である。
 さて、選挙に大勝した民主党の話だが、当選者の半数近くはいわゆる小沢ガールズやチルドレンと呼ばれる新しい仲間達だ。雑草だという訳ではないが、その多くが、まだまだひ弱なだけに、育て上げるのに、それなりのエネルギーの投入は避けられないだろう。いずれにしても、政治改革を力強く進めて行く上では、この数の力は重要で、たとえ雑草であったとしても、スーパー雑草にならないようにしっかりと育てなければならない。
 それにしても連立政権の話がすんなりと纏まらない。スーパー雑草のような社民党や国民新党にてこずっているのは意外でもある。参議院での過半数が確保されていないので、簡単に雑草を切り捨てるわけにはいかないのだ。
 ところで、党役員や内閣人事が着々と進む民主党だが、前原誠司、枝野幸男、仙石由人の各氏らの名前は出て来ていない。小沢豪腕幹事長からすれば、彼らは、雑草のような存在に過ぎないだろうが、スーパー雑草であるだけに、それなりの留意は必要なはずである。
 最後に「疾風に勁草を知る」は、筆者の好きな言葉の一つである。この言葉を、数少ない好きな政治家の一人である前原誠氏に送りたい。同氏は雑草ではなく勁草であると見ている。

2、プライベートコーナー
 5時起床、体重、60.4Kg。天気は晴れ
 昨日の雅子は、目をしっかり開けるなど緊張していたようだ。胃カメラによる胃ろうの装着状態の確認が予定されていたからだ。3時過ぎから検査が開始され、結局は胃ろうの取替えが行なわれた。吉田病院(仮称)での対応に齟齬が見られたからである。手術後は、それまでよりも落ち着きが感じられた。暫くは様子を見守ることになる。

3.連載、難病との闘い(963) 第三部 戦いはまだまだ続く(257)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(52)

 2.敵は本能寺(31)
(3)関が原(その12)
 この日、朝9時半頃に三井先生と話す機会があった。先生の見解は、痰は唾液を飲み込む際に、一部が気管支へ誤飲されることによるものだろう。手術に関しての心配事の一つは、場合によっては気管支切開が必要なことも生じるかも知れないということ、更には。そのことで術後もパイプが離せなくなることも有り得るというコメントをされたのである。先生のお話を聞くたびにこの手術の大変さが増してきて、不安な思いが強くなるのだった。
 そんな厳しい話の一方で、隣の方のお話では、「夜は大分楽になられたようですよ」とのコメントもあって、そのことではほっとした。
 一考が一旦自宅に戻って雑用を済ませて、病院に戻ったのは2時頃だった。この間にベッドの移動が行なわれていて、雅子のスペースは廊下側の端の部屋に変わっていた。同時に、新しい方が二人入っておられて、あの窓際のスペースも埋まっていた。少し、残念だったが、仕方なかった。
 部屋の位置が変わったことで、ちょっとしたメリット、デメリットがあることが分かった。メリットは、一方の境が壁であるので、安定していて使いやすい面がある。しかし、痰の吸引の際に、吸引パイプがそれまでと逆の位置になり、隣なりのスペースとの共用になっていて使い難い。しかし、そんなのは、看護士さんサイドの問題で、自分達にはどうってことはない話だ。
 その翌日(15日)も変わり映えのない同様な感じの一日だった。いつものように8時過ぎに病院に顔を出した。雅子の顔は少し赤かったが、看護婦さんは、今は熱はないという。しかし、痰の吸引瓶の量がかなり増えていて、前夜はかなり苦しんだのではと気の毒に思うのだった。
 看護婦さんの話では、ずっと寝てばかりでは身体によくないということで、昼間の適当名タイミングを捉えて、雅子を車椅子にのせて、少し気分転換を図ろうとの段取りが考えられていて、そのためにスリッパがあれば言いと云う。そこで、そのスリッパ代わりに使っていたサンダルを取りに、昼前に、一考は病院を出てアクティバ琵琶に向かった。 そこで、思わぬチョンボを犯すことになる。(以下、明日に続く)

997 天才の開花の原点は家庭、両親

 天才の芽の開花は、幼い頃から父親や母親が施す教育が実に大きなウエイトを占めているようだ。

1.独り言コラム
 昨日のアスレティックスとの試合開始早々に、イチロー選手はすんなりと2000安打の大記録を達成した。1402試合目での到達で、かつて1924~1934に掛けてアル・シモンズ選手が1390試合で達成したスピード記録に次ぐ史上2番目の記録である。同氏は、5年前には、シーズン最多安打数262安打で84年ぶりに記録更新している。
 野球の本場である米国で、こうして次々と記録を更新、樹立して行く日本人、イチロー選手は、まさしく努力で開花した天才だ。そして、間もなく、9年連続200安打の史上初の記録が誕生する。
 ゴルフの石川遼選手も、若くして着々とビッグプレーヤーの道を歩んでいる。今年、既に3勝を上げていて、賞金王争いのトップに立っているが、そのまま獲得となると、今までの尾崎将司選手の26歳を大幅に更新する最年少賞金王の誕生となる。そうなれば、来年は世界のメジャーツアーに堂々と実力での出場権を獲得できて、今年の初出場で吹っ切れなかったリベンジのチャンスを得ることになる。とにかく、先行き楽しみな若者だ。幼い頃からの父親のサポートが大きかったと思う。
 女子フィギュアスケートの浅田真央選手も、若くして世界の一線に躍り出た期待のアスリートである。切っ掛けは、姉の舞とスケートリンクに遊びに行ったのだという。来年のバンクーバーオリンピックでは、韓国の宿敵キムヨナ選手との金メダル争いは今から楽しみだ。堂々の金メダルを期待したい。
 これらの天才アスリート達には共通点がある。それは、もちろん彼らに才能があったことが前提だが、その才能を引き出したのが両親の熱意ある努力、サポートであるということだ。幼い頃からのその種サポートなくして、彼らの開花はなかったろう。そういう意味では、筆者の息子達には申し訳なかったと思っている。全くかまうこともなく、ほおっておいただけだからである。
 ところで、昨日の夕刊に、「川遊びの小3、おぼれて死亡」と云う小さな記事が出ている。京都の京田辺市の木津川で川遊びしていた小学3年の男児が行方不明になり、その後、川に沈んでいる遺体が発見されたが、搬送先の病院で死亡が確認されたという。田辺署の調べでは、同級生の3人で遊んでいたが、一人がおぼれたのを目撃したが、以前に川で遊んで叱られたので、誰にも言わずに帰宅したというのだ。全く気の毒な事件だが、ここでは、家庭のしつけが、逆に事件を拡大させてしまったといえる。
 天才の芽を引き出し育ててやる素晴らしい家庭がある一方で、友人の危険をも伝えなかった子供に育ててしまった家庭という対照的な家庭の存在を、この小さな記事は教えてくれた。
 小さな記事だが、いろいろと考えさせてくれた悲しい出来事だった。

2.プライベートコーナー
 3時40分起床。60.9Kg。天気は良さそう。
 一昨日の夜勤の看護婦さんもそうだったが、昨日も昼間の方も、大変よく気がつく優しい方で、洗髪、爪きりといったサービスにも尽くして頂いた。雅子の反応は今一つだったが、すっきりしたのではと思う。感謝、感謝であった。
 いよいよ、今日、漏れで使用を中止している胃ろうの検査が行なわれる。結果次第で取り替えも予定されていて、雅子には大変だが、前進への切っ掛けになるのではとの期待がある。
 なお、点滴の注入口のセッティングで看護婦さんには、大変ご苦労頂いている。適切な場所を見つけるのが難しくなっているのだ。しかし、一昨日の夜勤の方のご努力で、昨日はずっとそれが使用できていた。


3.連載、難病との闘い(962) 第三部 戦いはまだまだ続く(256)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(51)

 2.敵は本能寺(30)
(3)関が原(その11)
 アクティバから持ち帰ったカセットデッキを持って、一考が吉田病院に戻ったのは、2時を少し過ぎていた。一考は、早速、そのカセットデッキを使って、雅子にテープを聞かせてあげた。
 もともと、このカセットデッキは、雅子の友人から送ってもらったものである。まだ、雅子が自宅にいた頃で、一考が介護に当たっていたのだが、とても優しい、雅子の親友からのプレゼントで、石原裕次郎と美空ひばりのテープに加えて、その方自らがカラオケで歌ったテープをつけて頂いていた。そこで、さし当たっては、その友人のカラオケでのテープから聞かせてあげたのである。
 暫くすると、、何かを訴えるように、しきりに口を動かし始めた。しかし、何を訴えているかは把握できなかった。若しかしたら、その友人のことを思い出したのかも知れなかった。その意味では、やはり効果があったとみるべきだった。
 その後も、この病院にいる間は、タイミングをみては、その3本のテープを繰り返し、繰り返し聞かせていた。その内に、雅子がニューミュージックの小田和正のファンであるとを思い出し、同氏のテープを買いたいと探して回ったが、近くにはCDやDVDの販売店は数多くあるのだが、カセットテープを販売しているところが未だに見つかっておらず、望みを叶えてあげるには至っていない。
 いずれにしても、その後も、一考は、その際の雅子の表情に注目していたが、その後は特に大きな変化は見られていない。しかし、少しでも精神的に良い意味での刺激になればと思いながら、この後もタイミングをみて聞かせるようにしている。
 さて、話を戻すが、その翌日(7月14日)は、一考は少し早めの8時半に病院に顔を出した。前日に聞かせたテープの効果かどうかは分からないが、雅子が細めではあるが、目を開けてくれる時間が少し長くなったように思われた。
 9時過ぎに出野看護婦長が、足早に一考のところ出向いて来られた。そして、申し込んでいた窓際のスペースへの移動についての返事を頂戴したのである。結論は、残念ながら、「ノー」であった。その理由としては、車椅子の方を優先したいとか、先におられる患者との関係などの病院側の事情をやんわりと説明された。その代わり「雅子の廊下側の方が退院されるので、そこに移られるのならいいですよ」と云うこと逆提案があった。一考としては、第一志望の窓側が受け入れられなかったの極めて残念だったが、ここでは深追いするのは止めた。今後とも、長くお世話になることを考えての判断だった。そして、少し考えた上で、廊下側の端のスペースへ移ることにした。少しでも、落ち着けるのではと考えたからである。(以下、明日に続く)

996 セットアップステップを乗り越えて

 セットアッパーは、野球では、最終のクローザーに繋げる中後半の押さえの投手を指す。何事も勝ちを物にするには、このセットアップ的なステップをうまく乗り越えなければならない。
 今朝、イチロー選手が、そのセットアップのステップを一気に吹っ飛ばして、夢を果たしたという速報が飛び込んで来た。まずは、おめでとうと申し上げたい。

1.独り言コラム
 鳩山内閣発足が迫って来ている。主要な内閣人事、党人事も決まってきていて、目下、社民、国民新党との連立政権の樹立を目指しての詰めが行なわれているが、意外に難航しているような印象である。言ってみれば、この段階がセットアップのステップで、これを乗り切らないと鳩山内閣の誕生は遅れることになる。
 今朝の報道では、党首協議機関の設置が報じられていて、いまや民主党は、アリに食いつかれてもがいている象のようにも見える。参議院での過半数割れで、止むを得ない我慢の折衝だろうが、僅か数人の規模の党に四苦八苦しているのは、滑稽にさえ見えてくる。もともと、外交や環境問題で意見を異にしている相手だけに、スムーズにはいかないことは予測されてはいたのだが、…。
 ところで、この連立内閣で、社民党から福島みずほ党首、国民新党から亀井静香代表の入閣が取り沙汰されているが、この二人の浮世離れした人材を取り込むことで、内閣の質の低下に繋がるだけでなく、内閣運営に支障を来たすことにならないだろうか。素人ながらに心配である。
 男女のプロゴルフの今年の賞金王争いは、今やホームストレッチの戦いに入って来ている。男子は石川遼選手が、女子は諸見里しのぶ選手が、いずれも昨日の優勝を果たしトップに立っていて、ここ数週間の戦いが、まさに勝負を決める重要なセットアップのステップに相当する。ここをうまく繋いで乗り切れば、共に初の栄冠を奪取できそうだ。
 筆者は、今年はファンの不動祐理選手が振るっていなので、今や、この二人のファンになってしまっている。まだ、あどけなさが残っている諸見里選手だが、然るべき謙虚さもあって、そのしっかりした強さに魅力を感じている。二人の健闘を期待している。
 さて、ここで、大きな嬉しいニュースが飛び込んで来た。イチロー選手が、今朝(日本時間)のアスレティックスとの試合の第一打席で、ライト線に見事な2塁打撃を放って、遂に、大リーグで通算2000本安打を達成した。1402試合目の達成は、史上2番目のスピード記録だそうだ。どこまでもやってくれるイチロー選手は我らの夢の伝道師とも言える。
 しかし、そのイチロー選手も、先々週までは、脚の故障で試合に出場できず、苦しいセットアップのステップだったが、それを一気に突破して、大きな夢に到達したのは、お見事の一語に尽きる。そして、もう一つの夢である念願の9年連続レギュラーシーズン200安打も、早ければ、明後日の試合で達成するだろう。長年の努力の積み重ねだが、前人未到の素晴らしい大記録となる。
 さあ、さし当たっての夢を果たしたイチロー選手だが、それも同氏にとっては、一つの通過点であって、もっと上の新しい目標にチャレンジするはずだ。イチロー選手の夢には終りがないといえそうだ。

2.プライベートコーナー
 3時40分起床、体重、60.7Kg。天気は良さそう。
 昨日の雅子だが、ここに来て、点滴の注入口を捜すのが難しくなって来ている。昨日もうまく入っておらず、周りが腫れ出していたので、そのセッティングを2回もやり直してもらった。両手、両脚をフルに使っているが、適当な場所を見つけるが大変だ。血管が弱いのかも知れない。
 さて、使い出した新しい抗生剤の効き目に注目しているが、どうなのだろうか。週明けの今日からその辺りが明らかになって来るだろうし、明日には胃カメラで漏れのある胃ろうの点検、場合によっては取替え手術が行なわれる予定である。今週は、今回の入院の一つの山場である。

3.連載、難病との闘い(961) 第三部 戦いはまだまだ続く(255)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(50)

 2.敵は本能寺(29)
(3)関が原(その10)
 転院5日目の日曜日。一考は早朝の8時過ぎに病院に顔を出し、雅子の様子を確認した後、前日に持ち帰るのを忘れて置いたままの洗濯物を持って一旦帰宅した。そして、直ぐに洗濯をしたのだが、その際に、最初の日に受け取った病院のしおりの中に、病院のパジャマを使えば、洗濯は、病院でやってくれるというサービスを思い出し、今日から、それにして貰うことに決めた。洗濯そのものは、それほど大した仕事ではないが、やはり自分で洗濯するとなると、今回のように忘れたりして、結構面倒なのだ。
 病院には、午後は2時前に再び顔を出した。早速、パジャマをレンタルすることを申し入れた。この日の看護婦さんは、昼間は田中登紀子副主任だった。落ち着きのある頼りがいのあるご看護士さんである。
 この日は意外な収穫があった。後から入院されて廊下側のスペースに入られた隣の患者さんから「カセットテープを聞かせてあげたら」というアドバイスをもらった。自らがそれを楽しんでおられるだけに説得力があった。そこで、早速、それを借りてテスト的に雅子に聞かせてみた。ベッドで横になっている単調な生活には、ちょっとした気晴らしになるようなので、明日から持って来て上げることにした。
ところで、このところ、雅子がなかなか目を開けてくれないので、仕方なく、手で目を開けてやると、じっと見てくれるのだが、その表情に、きらきらした生気がないのが気になった。それだけ、体力が伴っていないのだろうと考えるのだった。
 週が明けて、月曜日が巡って来た。当初の予定では手術が行なわれる日だった。8時半前に病院に顔を出すと、雅子は口を少し開けた状態で寝ていた。この日の担当の看護婦さんの細川由美さんの話では、前夜は痰で大分苦しんだそうだ。しかし、この朝は熱も平熱に戻っていた。
 間もなく、看護婦長がやって来られた、久し振りの顔を合わせだった。そこで、一考が頼んでいた「空いた窓際のスペースに移らせて欲しい」との希望を、正式に直接申し入れた。婦長は少し考えた上で、考えて置くと言うことだった。
 この日は、直ぐに一旦自宅に戻った。それと云うのも、今朝はブログのソフトが故障していて修理中であったので、今朝の分が配信できていなかったからである。帰宅してソフトが直っていたのを確かめて、直ぐに配信した。従って、この日のブログは久し振りに遅い配信となった。
 その後、一考は、5日振りにアクティバ琵琶に向かった。前日に隣の患者さんからのアドバイスのカセットデッキを取りに行くのが目的だったが、そのついでに、ナースステーションにおられた看護士さんに、手術が延期になったことなど、雅子の今の状況を報告しておいた。(以下、明日に続く)

995 じわじわと○○ペース

 二人のイチローの話である。心配されていた小沢民主党の側面がじわじわと出始めた。鳩山代表は、やはり表の顔、看板に過ぎないのかも知れない。マリナーズのイチローはペースに乗った感じだ。

1.独り言コラム
 民主党の人事構想がじわじわとオープンにされてゆく中で、じわじわと小沢一郎ペースになって来ている。驚いたのは、昨日の鳩山由紀夫代表の発言で、国会運営のことは党人事も含めて幹事長に一任したという。これでは、党務を譲り渡してしまい、総理と代表を分離した二枚看板もいいとこで、実質的に、小沢支配の体制を容認したようなものだ。やっぱりと言えばそれまでだが、あまりにも早いそのペースに、鳩山代表の力不足が露呈し始めている。しかし、これは、鳩山代表の小沢一郎幹事長への徹底した忠心ぶりなのだろう。驚きも一入だ。
 とにかく、この一週間での鳩山代表の発言は大きく揺れた。選挙で大勝した直後は、首班指名も受けていないからということで、それまでは人事などについては触れないというニュアンスだった。その後に、国家戦略局構想に関連して、人事が漏れているという指摘(多分、小沢氏からの指摘だと思うが)があって、それを受けた代表は、改めて16日に指名を受けるまでは、人事のことは口にせず、その後に一気に党、内閣人事を決めるという発言を繰り返した。
 ところが、一昨日の夜になって、突然に小沢一郎幹事長を発表した。その時の談話では、「いずれ、来年の参院議員選挙には、お願いしようと思っていた」との発言があり、急遽、同氏の起用を決めたことを匂わせていた。そしてその後は、官房長官に腹心の平野博文氏を指名、更に、岡田克也氏、菅直人氏の大物二人の処遇を相次いで発表した。16日以降に一気に決めると言っていた発言は、なんなく反故にされたのである。
 そして、昨日である。国会運営と党人事を幹事長一任としたのである。いかにも、これはまずいのではないだろうか。自らの権限を放棄して譲ってしまったのである。と云うよりは、奪われてしまったというべきなのだろうか。いずれにしても、これらの人事を見ていると、女房役の平野官房長官を除いては、全て、小沢一郎氏の意向を反映させた人事だと思われる。早くも、小沢民主党が舞台づくりをリードしていて、同氏のペースで舞台は動き始めていると言える。
 さて、もう一人のイチローだが、レギュラーに復帰後の同氏のペースは凄い。4試合連続ヒットで、じわじわと夢の記録に近づいている。米国MLBでの超スピードでの2000本安打にあと4本、世界記録である9年連続レギュラーシーズン200安打にあと9本で、もう直ぐ手が届く。ご立派の一言だ。

2.プライベートコーナー
 4時起床。体重、60.7Kg。今日も天気は良さそう。
 一週間ぶりに担当のK先生が戻って来られ顔を出して頂いた。血液検査結果では、炎症の原因である菌の状態は、一時減少していたが、また増えているという。ここに来て、菌の種類が判明したので、今日から新たな抗生剤で対応しているという。
 一方、胃ろうから漏れる問題については、来週火曜日に胃カメラで装着状況を確認し、取替えを視野に入れてを検討する、栄養剤の投与を止めているので、雅子に元気がない。ただし、昨日の雅子は熱は出ていない。

3.連載、難病との闘い(960) 第三部 戦いはまだまだ続く(254)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(49)

 2.敵は本能寺(28)
  (3)関が原(その9)
 翌日、7月11日(土)は、雅子が吉田病院に転院して4日目である。一考は10時半少し前に病院に顔を出した。例によって特別面会カードをもらって大部屋に向かった。この日の看護婦さんは馬越(うまごえ)良美さんで、まだお若い、かわいい方だった。雅子が赤い顔で少し熱もあったので、水枕を取り替えてもらった。
 土曜日だったが、三井先生は出て来ておられた。偶々だったが、二人で暫く今度の手術に関する話をした。その中で、先生は、あくまでも21日を目標に手術を考えているが、手術をしなくても胃ろうをつけるのは可能だという。気になったのは、今度の手術は100%安全ではないというのだ。だから、この日には、何かあった時に決断できる家族のキーマンには来てもらっておく必要があると付け加えられた。
 一考は、恐らく、病院としてのリスクを回避するために、この種の言い方をされておられるのだろうと思う一方で、手術をしない選択とか、100%ではないといった表現の前日からの繰り返しに、何か尋常でないものが感じられて、一考は大いに戸惑うのだった。
 先生と話し終わって、ふと気が付くと、この大部屋の奥の窓際におられた方が退院されたようで、そのスペースが空いているのに気が付いた。早速、今日のこの部屋の担当看護婦の馬越さんに、場所の交換を頼んでみたが、これは出野看護婦長の管理下にあるので、自分から頼んでおきますというのだった。同じ大部屋でも窓際は、眺めもよく、スペースも多少広く、更には温調の噴出し口の近くにあることから、過ごしやすいスペースである。しかし、この日は、看護婦長の姿が見えず、その判断は持ち越されることになった。
 この日の午前中、雅子は洗髪のサービスを受けた。雅子は気持ち良さそうだった。それが終るのを待って、一考は一旦自宅に戻って軽い昼食を取った。
 再び、病院に戻ったのは午後の2時過ぎだった。暫くすると、実兄の祐一さん夫妻が見舞いに来て下さった。三井先生から聞いた手術に関する不安な話をすると、祐一さんは、今の病院は、その辺りのことを事前にしっかりとお話して置くのが大事だということらしい。それにしても、素人には厳しい告知だと一考は思うのだった。真面目に受け取れば、判断を迷ってしまう。
 4時頃になって、三井先生の要請を受けてマッサージの専門家の方が来られて、そのサービスを受けた。この先生が、痰については「出そうなら、我慢せずに早く出す方がいいよ」と話してくれたのだが、雅子がそのように対応するのは容易ではない。(以下、明日に続く)

994 こだわりの用兵

 人事は、適材適所の用兵が基本だとされているが、その一方で、多少のリスクも伴うだろうが、こだわりの用兵もあってもいいのではと思う。

1、独り言コラム
 クライマックスシリーズへの出場権を目指して追い上げて来ていた野村楽天が、昨日も負けて3連敗し、急ブレーキが掛かった。リリーフのセットアップ陣に誤算が続いている。中でも、大事なところで起用されている川岸強投手が酷い。1週間前の西武戦では、延長10回に、それまで零封していた岩隈久志投手に代わって登板し、最初の打者に、あっさりとさよならホームランを食らっての負け、一昨日は永井怜投手の好投を受けて、2点リードの7回に登板したが、5連打を浴びて空しく逆転された。そして、昨日は7回の同点の場面で登板したが、大量失点に繋がる不出来さで負け投手となった。
 知将、野村監督がどうしてそんな不調の川岸に拘ったのかが理解できない。他に投手がいなかったのか。或いは、前夜の失敗を取り替えさせて上げようとの温情に拘ったのか。
 拘った用兵と言えば、去年の北京オリンピックで、勇将、星野監督が、中日の川上憲伸投手と岩瀬仁紀投手に拘わり過ぎてメダルを逸したのが思い出される。
 知将、勇将も、信頼があっての用兵であろう。しかし、生身の人間が対象だけに、日によって、好不調もある訳で、それらの正確な把握が欠如していると、惰性的な拘りの用兵になってしまい、失敗に直結して惨めな結果を招くことになる。
 とにかく、いい意味での拘りは人生では大事なこともあるのだが、大事な段階でそれが敗戦に繋がってしまう拘りは避けなければならない。さあ、楽天イーグルスの先行きはどうなるのであろうか。暗雲漂う不安な展開である。
 ところで、鳩山内閣の人事であるが、昨日幹事長に小沢一郎氏を決めたことで、一気に動きが加速された感じだ。官房長官に腹心の平野博文氏を確定させたのに続いて、今朝の新聞には、外相に岡田克也氏、国家戦略相に菅直人氏の起用の可能性が報じられている。ここに来て、鳩山由紀夫のこだわりの人事の始動である。
 最大のこだわりだった小沢一郎氏を幹事長に起用した人事は衝撃的で、一部からは二重権力構造との揶揄もあるが、そのことはさておいても、ここまでの大物の人事は、まずまずの用兵で期待が持てそうな気がする。
 民主党の言う、官僚に任せ切りの政治ではなく、自らの意志で、国民の意思を反映した政治が実行できれば、今回の政権交代が、歴史的に大きな意味を持つことになる。今後の更なる組閣人事に、鳩山由紀夫総理のこだわりのない用兵に、或いはこだわった用兵に大いに関心を持っている。

2、プライベートコーナー
 4時起床。体重、61.2Kg。天気は良さそう。
 熱、痰で苦しむ雅子の症状には大きな変わりはない。栄養剤はストップされているので、下痢はない。抗生剤による治療が続いていて、まだはっきりとした明日が見えない。
 この日、前日に友人から贈って頂いた万華鏡を持って行って、雅子に目を開けさせて覗いてもらった。一生懸命に見ていたようで、顔に少し反応があった。さあ、どんな明日を見たのだろうか。

3.連載、難病との闘い(959) 第三部 戦いはまだまだ続く(253)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(48)

 2.敵は本能寺(27)
  (3)関が原(その8)
 一考はこの日11時前に一旦病院を出て自宅に戻った。暫くやっていなかったお墓参りをしておこうと思ったからである。大体、月に1~2回のペースで訪れているが、夏は花が痛むのが早いので、2回のペースは必須である。
 病院に戻ったのは午後の2時頃で、雅子がちょうどCT撮影に向かうところだった。それを見送って気がつくと、廊下側のスペースに新しい方が入っておられて、この大部屋も定員の6人いっぱいになっていた。結果的に、雅子のスペースは、両隣に患者がいる真ん中のスペースになってしまい、結構、住み心地は窮屈になっていた。特に、荷物の籠を置く場所が、隣のスペースとの境界とのカーテンの自由度のお陰で、少し領域を侵犯する形になっていた。まあ、お互い様ということであまり気にしないことにした。間もなく、雅子が戻って来た。溜まっていた痰を吸引して取ってもらったが、少し熱があるとの事で水枕をしてもらった。
 一考は、少し疲れたので、一階の待合室に降りて暫くうとうとして、夕方近くの4時半頃戻って来ると、タイミングよく麻酔科の先生と看護婦さんがお見えになった。雅子を診察された先生は、肺炎が両脇に少し残っていて、二酸化炭素が溜まっているという。そのため、呼吸器障害の可能性がありそうで、もう少し時間をかけて様子を見る必要があるということだった。その後、ついて来られた看護婦さんから、雅子の体質や今までの手術の経験など、細かい項目について問診的なチェックがあった。これらが、手術を行なう上で配慮されるのだろうと一考は忖度していた。
 その後間もなくだった。三井先生が再びお見えになって、手術の日程の変更が伝えられた。来週初めに予定していた手術を、全身麻酔に不安があるので、1週間ぐらい延ばして、その後の検査結果を見た上で決めたいが、できれば、連休明けの21日にしたいと考えていて、その際に、同時に胃ろうも合わせて行なう予定だという。
 三井先生の説明では、肺炎が両肩辺りに残っているようで、それによって痰が止まらず、このまま手術をすると、呼吸器系の障害を起す不安があるという。今後の症状次第では、手術をしない選択もあるのではと付け加えられたのである。しかし、取り敢えずは、21日に手術の予定は入れておくという。これは思っていたよりもずっと重い告知で、一考は急に重い荷物を背負わされた感じであった。特に、「手術をしない選択云々」の言葉には大きな引っ掛かりを覚えたのである。(以下、明日に続く)

993 表舞台

 変化は新たな舞台を作り出す。民主、自民、公明の各党では、目下その表舞台が改装中である。役者不足が囁かれているのが、自民、公明の敗者陣営だ。

1.独り言コラム
 裏舞台で陰険な支配をするのではと見られていた豪腕、小沢一郎代表代行が幹事長に就任する。表舞台で堂々と党の運営を行なおうというのである。隠然とした影の支配に比べれば、この方がすっきりしていていいのではと筆者は受け取っているが、鳩山総裁が同氏の処遇に如何に腐心しているかがよく分かる。今朝の新聞では岡田外しだと見る向きも多いようだ。
 社民、国民新党による連立政権への動きでは、政策協議で難航しているようだ。小さなアリに食いつかれた象がてこずっているといった感じだ。しかし、小沢幹事長の登場で、この問題にもすんなり決着が着きそうだ。
 公明党も大田昭宏党首、北側一雄幹事長が共に先の戦場に散ったことで、その後任人事が進められているが、相変わらず闇に中の動きだ。今朝の報道では、山口那津男政調会長が就任するという。あまり名前を聞いたことのない人材で、新鮮味があるのか、人材不足なのかが分からない。
 一方の自民党だが、ここでも次の表舞台には誰が出て来るか分からない状況だ。本命の一人と見られていた舛添要一氏は、早くも逃げの一手で次の次に狙いを定めたようだ。町村信孝、石原伸晃、石破茂などの各氏の名前が取り沙汰されているが、総理の座が巡ってくる確率がほとんどない総裁だけに、手を上げるのにも躊躇するのも止むを得ないと思う。 
なお、筆者は、石原伸晃氏には期待していない。国交大臣時での道路公団の藤井総裁との対応での石原氏の力量不足、政治感覚の欠如が、あまりにも印象が悪かったのが拭い去れていないからである。
 さて、表舞台といえば、イチロー選手が漸く試合に出場を果たし、2試合連続で堂々と2安打ずつを放って、着実に夢の実現に向かっている。あと12本(残り28試合)で、前人未到の記録達成になる。とにかく試合にさえ出られれば、後は時間の問題だ。怪我をしないようにして頑張って欲しい。
 アースマラソンの寛平さんも、このところの二日間は、1日50キロを走っていて、通常のペースに戻っている。コペンハーゲンの大舞台はもう直ぐだ。

2.プライベートコーナー
 4時起床。体重、60.8Kg。外は、曇り空(?)
 昨日の雅子は、朝方になって体温が急上昇し、今までの最高熱の39.4度まで上がった。直ちに、氷枕や座薬の使用で降熱の対応が執られた一方で、酸素吸入も開始された。一考が9時過ぎに訪ねた時点でも、体温は38.6度あって、雅子は苦しげな顔をしていた。
 夕方になって平熱に戻ったが、先生の話では、炎症が残っていたのだろうという見解だった。しかし、血液検査で見る限り、尿路感染は快方に向かっているという。だが、一考の不安は依然として去らない。

3.連載、難病との闘い(958) 第三部 戦いはまだまだ続く(252)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(47)

 2.敵は本能寺(26)
  (3)関が原(その7)
翌日は週末の金曜日だった。この日の朝、病院に向かおうとして、大津京駅でふと思いついたのが、定期券を買うことだった。前日までは回数券を使っていたが、雅子の入院期間が少なくとも1ヶ月は掛かると読んだのと、そうすることで、1日に複数回往復するようなことになった場合、経費面で有利と考えたからである。
 ということで、この日からは、昼頃に一旦家に戻って雑用を済ませて、再び病院に行く生活スタイルを採ることにした。こうすることで、少しは効率的に一日を過ごせるのではとの思うのだった。なお、前日に購入した回数券は、不用になっても、その期限切れの前に払い戻しが利くので問題はない。
 さて、通院も3日目になると、この病院のやり方についても、多少のことが分かってくる。その一つが看護婦さんのアテンドの仕方である。出野婦長さんのグループには20;数人の看護婦さんがおられるようだが、毎朝、毎夕、各部屋ごとに担当の看護婦さんがアテンドされる。その場合、昼間の担当については、各部屋の入口のドアのところに、その名札が貼られるので、この日は誰が担当かが直ぐに分かる仕組みである。この日の昼間は、大田奈都記さんという方だった。スラッとした長身の一考の好みのタイプのなかなかの美人看護婦である。
 この日の朝は、10時前に病院に着いた。ナースステーションで特別面会カードをもらって大部屋に顔を出した。そっと雅子の様子を窺うと、やはり熱があるようで水枕をしてもらっていた。
 一考の病院での過ごし方だが、到着して暫くは、雅子のベッドの傍で、小さな丸椅子に座って雅子の様子を見て、時々いろんなことを話し掛けているのだが、そのスペースがあまりにも狭いので、長く居るのに堪えられず、疲れてくると、廊下に出て、壁に凭れたりして、本を読んで時間を潰していることが多い。
 この日も廊下で一息ついていると、出野婦長がつかつかと寄って来られて、前日の春日先生による診察結果はどんな具合だったとの質問して来た。そこで、いつもの通りで、特に変わったことはなかったと伝えると、分かった言って戻って行かれた。婦長ともなると各患者のポイントだけは押さえておこうと云う姿勢が窺える。間もなく、三井先生が見えて、検査用の採血があり、午後にはCTの撮影を予定しているとの話であった。いよいよ、3日後の手術実施への最終確認のための各種検査が進められていて、言ってみれば、手術実施へのカウントダウンが、既に始まっているのだと一考は捉えていた。(以下、明日に続く)

992 308議席からの連想

 数字の「3」と「8」は筆者にも少なからず縁がある数字だ。今朝はこれらの数字からの連想を楽しんでみたい。

1、独り言コラム
 今回の総選挙で民主党の奪った議席数の308で、一党が獲得した議席数としては史上最高記録だった。筆者は、この「308」という数字を見た瞬間にある親しみを覚えたのである。過去にも、重要な意味を持ったこの数字に接していたという微かな記憶があったからだった。しかし、それが何んであったが、どうしても思い出せないでいたのである。
 いろんな思考が頭の中で交錯した。イチローの打率(彼の生涯打率はもっと高率、)、民法、刑法の308条、更には、国道308号線(大阪市と奈良市を結ぶ一般国道)といったものまで、巾広く浮んだが、いずれも一考の拘っていた親しみのある数字ではなかった。
 この数日間、筆者は、このことが喉に刺さった魚の骨のようで、吹っ切れないままじりじりしていたのだが、今朝の明け方になって、ベッドの上で半ばうつらうつらしていた状態の中で、それを思い出したのである。人間って妙な時に記憶が甦るものだ、
 それは、為替レートの308円だった。戦後ずっと1ドル360円時代が続いていたが、今から奇しくも38年前の1971年12月にスミソニアン合意で、1ドルが308円となった歴史的な数字だった。これを思い出して、筆者は快哉の気持ちになって、直ぐに起き上がってこのブログに取り掛かったのである。
 こじつけた考え方かもしれないが、長く続いた自民党時代から、新たな民主党時代を迎えた大きな変化の節目という展開に見事に合致しているではないか。しかも、偶然とは言え、数字の符合があまりにもよく出来過ぎている。つまり、38年前の308円と308議席奪取での新政権誕生は、共に歴史の大きな節目を生み出したという意味で、この「308」の持つ歴史的な意味の重みがある。言って見れば、「308」はチェンジの象徴であると言えるのではないか。おまけに敗れた自民党の獲得した議席数が、「119」と云うのも救いを求める電話番号と一致しているのが、如何にも皮肉である。
 とにかく、今朝は、やっとのことで記憶が甦り、そんな数字合わせを楽しめていることで、気分は極めて良好である。
 参考にこの「3」と「8」に纏わる幾つかの面白い事例を列記しておこう。
 地球と月の距離が38万キロ、日本の面積が38万平方キロ、それに先月末に厚労省が発表した新型インフルエンザで国民の2割が発症すると、入院数がおよそ38万人に達すると試算している。また、税金の基礎控除や扶養控除は、通常は38万円であること、更には都道府県別の世帯数を見ると、これもあっと驚くのだが、38位タイに和歌山県と香川県が共に38万世帯で並んでいる。
 ところで、来る9月16日には鳩山代表は、第93代目の総理大臣に就任する。因みに、第38代総理大臣は、近衛文麿総理だったし、38人目の総理は、第58代から3代務めた池田勇人総理である。
 最後に、個人的なことだが、筆者は、大学卒業年度、会社に入社した年度が共に昭和38年で、会社では38組(さんぱちぐみ)と呼ばれていた。因みに膳所高校の卒業年度の3年生では8組に属していて、ここでも38組だった。
 
2.プライベートコーナー
 2時半、一旦起床。体重、60.9Kg。天気はよくなさそう
 昨日の雅子だが、今週は点滴だけの対応だけに元気がなかった。下痢は止まっているが、熱は時々37度台に上がるし、痰もタイミングを見ての吸引は欠かせない。
 午前中に長男の太郎が見舞いに顔を出した。雅子の反応が乏しかったが、意識して「二郎が来たよ」と声を掛けると。噴出しそうな表情になってくれたことで、ほっとした。やはり、反応があると声の掛け甲斐がある。

3.連載、難病との闘い(957) 第三部 戦いはまだまだ続く(251)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(46)

 2.敵は本能寺(25)
  (3)関が原(その6)
 正直言えば、先月半ばに雅子が入院するまでは、一考は携帯電話を利用することはほとんどなかった。唯一、使っていたのは、友人などと待ち合わせなどの場合のみで、それ以外はスイッチをオフにしていたのである。しかし、雅子がこういう状況になったことで、緊急の連絡も必要なことが増えてきていたので、最近では、常時スイッチはオンにして持つようにいた。それでも、病院での取り扱いを配慮して、マナーモードに設定していたのだった。
 その時は、適度な疲れがあって、1階の待合室の椅子でうとうとしていた一考だっただけに、不意打ちのようなタイミングでの受信だった。ズボンのポケットに入れて置いた携帯が振動して知らせてくれたのだが、居眠りしていたのと携帯への不慣れが手伝って、それが掛かってきた電話だと気付くのに少し時間がかかったようだった。頭の中はぼんやりしていたが、それと気づいた一考は、慌てて携帯を取り出して受話器を耳に当てた。聞き覚えのない方の声だったが、担当医師の三井先生だと直ぐに分かった。今後のことついて、相談したいので、ナースステーションに来て欲しいというのであった。
 一考は「それ来た」という気持ちで、それまでの眠気も吹っ飛んだ感じで6階のナースステーションに急いだ。お話の主な内容は、手術の段取りのことだった。先生としては順調に雅子の体調が推移すれば、なるべく早くやりたいという考え方で、出来れば、翌週の月曜日の8月13日を考えているということだった。つまり、4日後と云うのである。
 少し慌しい日程だと思ったが、その辺りの具体的なことについては、先生にお任せするというのが一考の考え方だったので、出された必要な承認書などにそのままサインを行なった。後で、麻酔科から確認の話があるので、待っていて欲しいということだった。
 話を終えて大部屋に戻ると、雅子は少し赤い顔をしていた。体温を測ってもらうと、37.3度あり、直ぐに水枕で冷やしてもらうことになった。間もなく、今回の受け入れを了承頂いた住友外科部長がお見えになった。一考は「この度はいろいろとご配慮頂いて有難う御座いました。宜しくお願いします」と言って丁重に頭を下げた。先生も軽く会釈されたが、特に何かをおっしゃることもなく、じっと雅子の様子を暫く観察しておられたが、そのまま部屋を出て行かれた。
 一考は、雅子のこのタイミングでの発熱で、果たして、来週初めの手術は、大丈夫なのだろうかと少し不安に思うのだった。(以下、明日に続く)

991 勝負あった!

 人生は、戦いのオンパレードだ。そこには勝ちもあれば、負けもある。「勝負あった!」という場面で、勝ち負けに関わらず、多少なりとも満足感があれば、それは「幸せ」以外の何物でもない。

1.独り言コラム
 早いもので、昨日から9月に入っている。昨日は久し振りの鮮やかなコバルトブルーの快晴だった。しかし、今年の8月は、梅雨明け宣言も曖昧で、いわゆる、熱い夏、燃えるような夏といったぎらぎらしたものが乏しかった夏であった。
 しかし、最終の日曜日に行なわれた選挙の結果、国民がドカンと落した厳しい審判が、列島に大激震を与えて政権交代という政変を生むことになり、暑くなかった夏を熱くしたのは皮肉だった。まさに「勝負あった!」の凄い結果だった。
 かくして、来る16日には次期総理に指名される民主党の鳩山代表は、既に動き出している。後ろで控えている小沢一郎の存在が何とも不気味だが、政権交代の準備は着実に進み出しているようだ。
 さて、この8月を振り返って見て、頭に浮ぶ代表的な言葉は、何といってもこの「勝負あった!」である。自民、民主の勝負だけでなく、スポーツの世界でも幾つかの事例が散見された。
 先ずは、甲子園での夏の高校野球は、今までになく北日本、裏日本の弱いとされていたチームが健闘して勝ち上がったのが印象にある。しかし、決勝戦では、日本のほぼど真ん中の愛知の中京大中京が47年ぶりの7回目の優勝で幕を閉じたが、惜しくも準優勝になった新潟県の日本文理は、9回表の2死走者なしからの猛攻で1点差に迫る反撃を見せて、ここでは「勝負あった!」を覆すような凄さを見せてくれたのは、長く球史に残るだろう圧巻だった。
 また、ベルリンで行なわれた世界陸上は、電気屋の宣伝ではないが、世界新記録と云うおまけ付きで、100ボルト、200ボルトが新聞紙面のトップを大きな活字が舞っていた。この大会では、日本人でも、マラソンの尾崎好美が銀メダル、やり投げの村上幸史選手が日本で初めての銅メダルで日本の士気を高めてくれた。
 一方、今年プロ野球のペナントレースでも、セ、パ共に、「勝負あった!」で巨人と日本ハムにいわゆるマジックが点灯した。何とか3位に入ってクライマックスシリーズに顔を出したい野村楽天は、ここに来て追い上げ急である。今日も勝てば、クライマックスシリーズへのマジックがでるそうだ。早く「勝負あった!」に持ち込みたい心境だろう。
 高樹のぶ子さんの日経新聞朝刊の連載小説「甘苦上海」も、ここ1年近くに渡ってずいぶんと楽しませてもらっていたが、どうやら、その終りが近づいて来ているようだ。セックス好きのなかなかのやり手の女性起業家の紅子さんも、本命の男に去られてしまうことで、小説の筋書きとしては、どうやら「勝負あった!」という感じである。筆者は、仕事が出来てセックスがお好きな女性に強い関心を持っていることは前にも書いた。因みに、少し前に紹介した村山由佳さんのそのタイプの女子を主人公に扱った「ダブルファンタジー」が、先日、今年の第4回中央公論文芸賞を受賞した。お見事な受賞で、これまた「勝負あった!」である。
 日経新聞といえば、「私の履歴書」は人気コーナーだが、8月は、ファッションデザイナーの芦田淳さんで、なかなか読ませてくれた履歴書だった。苦労して登りつめてゆくサクセスストーリーには、なかなか惹かれる人生の歴史がある。中でも、世界的なファッションデザイナーとなったラクロア氏が、まだ無名の頃に芦田氏の助手だったという。圧巻は、同氏が名声を得た後も、以前と変わらない態度で接してくれる人間性のくだりで、ここでは、「勝負あった!」ではなく、永遠のよきライバルとして尊敬している点に強く惹かれる。また、マンスフィールド駐日大使には「心の父」として長いお付き合いがあったくだりは、胸がちょっと熱くなる感動的な内容だった。
 「勝負あった!」には、悲喜こもごもを伴うが、次なる勝負への新たなスタートラインになることが多い。

2、プライベートコーナー
 5時起床。体重、60,5Kg。晴天
 昨日の雅子は比較的安定していた。栄養剤の投与を止めているため、「口を開けて舌を出して」と頼むと、対応してくれたのには驚いた。汚れていた舌を拭ってやったが、今までは、いくら頼んでもやってくれなかったので驚いた。頑張ってくれたのだろう.。但し、点滴だけでの対応なので、カロリー面で不足が気掛かりだ。

3.連載、難病との闘い(956) 第三部 戦いはまだまだ続く(250)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(45)

 2.敵は本能寺(24)
  (3)関が原(その5)
 春日先生のそんな嬉しい言葉にほっとしながら、一考は、琵琶湖大橋病院に担ぎ込まれた救急車での入院騒ぎ以降の雅子の症状についてかいつまんで報告した。患者本人の雅子がいない状態で、このように二人で向かい合って雅子の症状について話をするのは、何となく実感が伴わず、妙なぎこちなさはあったが、このところの転院などのお願いで、幾たびか相談させてもらったこともあって、肩に力が入ることもなくスムーズに話をさせてもらった。
 診察室で先生と話しながら、一考は、この吉田病院に転院することができて、もっともほっとしているのが雅子本人だろうと思うのだった。それと云うのも、厄介な病気であることを告知されて以降、一流の専門医からベストの医療を受けたいと、自らが専門書を買って、そこから探し求めて見つけ出したのが春日先生であり、そして辿り着いたのがこの病院だったからである。
 とにかく、結婚相手の選択には誤りがあったが、それ以外では、雅子は何事においても一流を好むタイプだったようだ。食べ物でもグルメに凝って友人と食べ歩きを好んでいたし、ブランドにもそれなりに楽しんでいようだ。そんなことから医療に関しても、そんな考えが反映されていて、この病院は、雅子が気に入った病院だったに違いない。つまり、言ってみれば、この病院は、雅子にとっては、今や、心情的には恋人、いや恋人以上の存在になっていると言えそうだった。そんな気に入っている病院で、大事な手術を受けられることになった訳で、それはまさに雅子が本望たと、一考は見ていた。
 さて、この日の春日先生との面談では、今まで頂いているお薬の継続をどんな具合にやって頂けるのかを確認することだった。
 看護婦さんからの説明で、院内患者であることから、その対応は今までとは違って、直接に入院中の雅子を担当してくれている看護婦サイドで取り出せるシステムになっているという。従って、今までのように、一考が時間を掛けて薬局でお薬をもらうことは必要なく、時間の無駄も省けて有難いことだった。
 そんなことで、話は手っ取り早く終わったことで、一考は2時過ぎに雅子の部屋に戻った。この時点では、雅子の症状では血圧が少し低かったが、熱も平熱でまずまずの様子だった。一考は、さし当たっては、これといってやることもなく、少し眠かったので、一階の待合室でうとうとと居眠っていたのだが、ズボンのポケットに入れておいた携帯の振動で目が覚めた。(以下、明日に続く)

990 始動

 何かが始まりそうだという雰囲気は、悪くはない。要は、大株主に遠慮なく、鳩山由紀夫総理が自分の考えを貫き通せるかであろう。

1.独り言コラム
 フランク永井さんの昔のヒット曲の公園の手品師という歌に「鳩が飛び立つ公園の 銀杏は手品師、老いたピエロ」(宮川哲夫作詞)という歌詞が、何気なく筆者の頭の中に浮かんできた。さあ、いよいよ鳩が飛び立とうとしている。友愛の精神は多としても、厳しい環境下の公園には手品師はいない。
 大きな国民の負託を受けた民主党が動き出した。今朝の新聞の見出しは、「概算要求、白紙撤回」と大きく踊っているし「予算編成権、われにあり」「民主色を出す」などの表現も目に付く。社民党や国民新党との連立協議が今日から始まるようだし、霞が関もその出方に身構えているようだ。
 これらの動きを見ていると、ちょうど2年前に、橋下徹大阪府知事が誕生した直後に、同氏が執った姿勢、雰囲気に似たものが感じられ、多くの国民も、何かをやってくれそうだとの期待感を覚えていることも事実であろう。大事なのは、この期待感で、これが生きている3ヶ月以内で、何をやったかが問われることになる。
 先ずは、党、内閣の人事であろう。大株主の小沢一郎をどんなポジションで起用するかに注目である。また、原口、安住、山井、長妻、海江田、馬渕、蓮舫などなど、小粒だがやる気のある中堅の議員も結構いる訳で、組閣において本当の適材適所の人事を発揮できるか、にも興味がある。今朝は、そんな期待感を持って「お手並み拝見」と書いておきたい。
 なお、今日から、国民生活を守る上で重要な機能を持つ新省庁、消費者庁が、皮肉なことに麻生内閣の下で発足する。初代長官に内田俊一元内閣府事務次官が就任することのなっているが、鳩山内閣発足で、この人事がどうなるのかも興味がある。そういう意味では、あのJPの西川社長の人事もしかりである。
 ところで、始動というよりは再始動だが、イチロー選手の出場が待たれている。後残り31試合で、16本の安打という目標は、今までのイチロー選手から見たら、屁のようなものだが、そこは、大記録が掛かっている状況にあるだけに、イチローといえども何が起きるか分からない。早い段階での夢の達成を見守りたい。
 一方のアースマラソンに挑戦中の間寛平さんだが、フランスに上陸後に、脛を痛めて休日を取ったりして治療に務めていたが、何とか走り出していて、今朝現在(日本時間)でユーラシア大陸を既に213Kmを走っている。さし当たっての10月2日のコペンハーゲンには、脚の調子が今の状態を保てば、何とか、イケそうな感じである。頑張れ、寛平である。(文中敬称略)

2.プライベートコーナー
 5時半起床。体重、60.9Kg。(8月度の平均体重は60.5Kgで、7月度の60.4Kg並み、高目で安定してしまっている)お天気は良さそう。
 雅子の熱(Max。37.5度)痰、下痢が続いていて良くない。その上、ここに来て胃ろうの漏れが目立って来ていて、一昨日から一旦を使用を中断していて、先生の点検を待っている。従って、栄養剤の投与は止めて点滴で対応しているが、心配である。
 午後に長姉の霧子さんが見舞いに来てくれた。

3.連載、難病との闘い(955) 第三部 戦いはまだまだ続く(249)
  第六章 アウエーでの厳しい闘い(44)

 2.敵は本能寺(23)
  (3)関が原(その4)
 両病院間の引継ぎで、雅子の大よその情報、データなどは書類で引き継がれていても、受け入れた病院としては、改めて基礎的なデータを取り直すというのは当然なことだろう。一考はそう思いながら、受け取った面会カードを首に掛けて、雅子が宛がわれている大部屋に向かった。
 雅子はベッドに乗せられたまま検査に向かっているので、そのベッドのあった部分のスペースがぽっかりと空いており、昨日持ち込んだパジャマなどの着替えやおしめなどが雑然として、キャスターのついたボックス状の入れ物に投げ込まれていたし、それに入りきらない分が、そのまま床に雑然と床に置かれていて、手入れの行届いていない物置き場のような殺風景そのものだった。
 一考は、その辺りを整理しようと、さし当たっては、小型テレビの台になっている金庫のような箱の中に、パジャマやタオル、手ぬぐいといったものを押し込むように並べた。本来は貴重品を入れるような入れ物で、そんなに多くは入らない。入りきれないものは紙袋のまま、そのスペースの隅に置いた。その後、手持ち無沙汰だったので、文庫本を取り出して、廊下の壁にもたれてそれに目を通し始めた。
 間もなく、看護婦さんに導かれて、ベッドに乗せられた雅子が戻って来て、昨日と同じ三つ並びの真ん中のスペースにセットされた。痰は相変わらずのようだが、幸い熱はないという。
 この日は、入院前に予約しておいた雅子のパーキンソン症候群の定期診断日だった。そのため、早めに駅の地下街のレストランで昼食を済ませた一考は、予約時間の1時半に合わせて、1時過ぎには、診察の申し込みを済ませて、いつもの1階の診察室の前で待っていた。いつもなら、半時間ぐらい遅れるのが通例だが、この日は、むしろ予約時間の少し前に呼び出しを受けた。珍しいことである。診断を受ける本人が居ないのも初めてのことで、一考が患者が座る椅子に腰を掛けて、先生に向かいあった。ここ数回続いた転院のお願いの時と同じスタイルである。
 一考は、ともかくも、春日先生のご配慮でこの病院で引き受けて頂いたことに対してお礼を申し上げて、既に前日からお世話になっていることを報告した。それに対して春日先生は「良かったね。胃ろうも一緒にやってくれそうだよ」と優しい口調で話してくれた。その言葉に、一考は、春日先生が一考の度重なる執拗なお願いに、ご機嫌を損ねておられなかったことに安堵するのだった。(以下、明日に続く)

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