プロフィール

相坂一考

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版
14年7月に、難病との戦いを扱った「月の砂漠」を文芸社から出版

このブログは3部構成です。
 1.タイトルへの一言。
 2.独り言コラムで、キーワードから世の動きを捉えようと試みる。
 3.プライベートコーナー
   (2015-06-03に修正) 

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1780 週末は楽しい戦いがいっぱい

 タイでは洪水、米国東海岸では10月では初めての雪で荒れた週末だったが、日本ではいろんなスポーツが満開の華やかな週末だった。

1.独り言コラム
 ニューヨークでは、都心で3センチの積雪があったという。これは、1869年の観測開始以来、10月では初めての雪だという。地球の気象にも何か変化が起きているのではなかろうか。そういえば、今年は春が短く、夏は、かんかん照りの暑い日が少なかったように思う。
 しかし、この週末もスポーツの世界は大いに燃えていて、話題は豊富だった。筆者が独断で、印象に残った戦いのベスト10を拾ってみた。
 1位は女子プロゴルフで有村智恵さんの優勝だ。森永製菓ウイダーレディースで、プレイオフの末、馬場ゆかりさんに勝って今期三度目の優勝を果たした。若さの美しさが映えていた。これで今期の賞金王争いで2位に上がったが、トップのアンソンジュさんに3千万の差があって、厳しいが、残りの4試合で2つ勝てば、…。
 2位はプロ野球のCSシリーズで西武が日本ハムに連勝、巨人、ヤクルトが今日の決戦に持ち込んだ戦いだ。いずれの戦いも、前半は接戦で、それなりに面白かった。
 しかし、短期決戦のCSシリーズに勝てばいいとなると、144試合のペナントレースって、何なの、ということになってしまいそう。これからの中日、ソフトバンクの戦いぶりが注目される。
 3位は高校野球の秋の近畿大会で、滋賀県代表近江高校が兵庫代表の育英を破ったことだ。これで、来年のセンパツへの出場の可能性が大きくなった。近江高校は、かつて、夏の大会で、滋賀県代表では初めて決勝戦に進み、2位になった実績を残している、なお、水口東高校は一回線で和歌山代表を破る銀星を挙げたが、準々決勝で大阪代表の履正社に6回コールドで大敗したことで、銀星は帳消しとなったのは残念だった。
 4位は 大阪マラソンで、朝のワイド番組「す・またん」のレギュラーの森たけしさん、斉藤雪乃さんたちが完走した。完走者は26175人だったようだ。森たけしさんの毎朝の番組を見ていて、サラリーマンもあそこまでとぼけた演技をしなければならない辛さを思うのだが、本人は結構楽しんでやっているようだ。人間の価値観も立場で違ってくるのは悪いことではない。
 5位は、男子ゴルフのマイナビABCチャンピオンシップで河野晃一郎選手が、プレイオフを制して初優勝を飾った。プレイオフは6ホールまで持ち込まれる大変な戦いだったが、よくぞ勝ちきったと思う、あの石川遼選手が、今や普通のプレイヤーになってしまっているだけに、ファンは、新しいヒーローの誕生を待っている。
 6位は、東京六大学リーグの早慶戦である。早稲田が5季ぶりに慶応から勝点を奪い、2位に滑り込んだ。負けた慶応は5位に甘んじたようだ。
 7位は、サッカーのナビスコ杯で鹿島アントラーズが延長で浦和レッズを破って四度目の優勝を飾った。5万人近い観衆が集まっての好ゲームだった。なお、この日、神宮球場では昼間に早慶戦が、夜にはプロ野球のCS戦があって、トータル12万人近い観客が、神宮界隈で賑わい、終日、活気に満ちていたようだ。
 8位は、女子サッカーのナビスコカップでの沢選手の活躍だ。試合は神戸と埼玉の戦いで、1-0で負けていた神戸が、終盤のぎりぎりで沢選手のヘッドで同点に持ち込んで引き分けたようだ。さすがに沢選手で、その爽やかさはお見事だった。
 9位は、フィギュアスケートのグランプリ大会での日本人選手の活躍である。今週はカナダ大会で、鈴木明子選手が2位、高橋大輔選手が3位だった。まずまずと云うべきか、今一つ実力が発揮されていない。来週はいよいよNHK杯で期待の浅田真央選手が出場する。真央ちゃんの今年の力を占う戦いになろう。
 10位は、将棋日本シリーズでの渡辺明2冠の勝利である。対局は郷田九段との準決勝で、名古屋での公開対局の形で行われたが、渡辺竜王が勝って決勝に駒を進めた。決勝は羽生善治と渡辺明の2冠同士の大一番の組み合わせとなった。筆者の贔屓の郷田九段は無念の敗退で、同氏は依然として無冠のままである。
 なお別格だが、野田佳彦総理のTPP参加への戦いでは、大変な苦戦が続いており、先行きが見えない。オバマさんにどんな顔で会うことになるのだろうか。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時10分起床。体重、61.5Kg。(10月度の平均体重も、61.5Kgで、前月よりも0.1Kg減った)今日のお天気は晴れのようだ。
 昨日の雅子だが、症状はまずまずだった。付き添いの筆者が疲れていたことで、午後の早い時間に引き上げた。雅子は、どうしていただろうか、少し心配だった。

3.連載小説、なんたるちあ(98)

 15 なんたるちあ (1)

 大和マルコポリマー株式会社の新役員人事は、その年の三月末の株主総会で選任された。そこには、相田の一年後輩で途中から親会社の大和化学から出向して来ていた平野氏が選ばれていた。確かに、相田よりは一年後輩という観点からは「若手」という範疇に入るのだが、実年齢は、同氏が浪人していたこともあり、「一年」年上だった。宮田副社長が説明した理由に、キレイダー社長が若返りを希望したと言っていたが「何が若返りなんだ」と相田は改めて思うのだった。平野は、自他共に認める宮田の秘蔵っ子で、大学も後輩という関係にあった。相田を押すのに「私も、随分頑張ったんだ」と副社長は繰り返し言っていたが、実態はどうであったか分った物でないと相田は思うのだった。
 「なんたるちや」相田が思わず呟くように発した言葉だった。「何ということだろう。信じられない。してやられた」といった相田の全ての思いが、その言葉に集約されていた。

 それから数ヵ月後、相田は、バー「蘭」のママから一枚の葉書を受け取った。それには、長い間御世話になったが、都合で店を閉めることになったとの挨拶状だった。その内容に若干の寂しさを覚えながら、自分が過ごした二十年近くに渡る単身赴任生活に思いを馳せるのだった。
 とにかく、いろんなことがあったが、辛いときの発散の場として「蘭」を使わせてもらったことに対する感謝の気持ちを伝えたかった。考えてみれば、敗北記念日と称して三回もママに慰めてもらった夜のことが脳裏に浮かぶのだった。公正取引委員会の手入れを受けて官権に敗北した時の最初の慰労、その後の役員人事で遅れを取った時の二回目の敗北での激励。更には、先輩達が築き上げて来たトメタイト社のマーケットに増資という政治的な力で競合他社にそのマーケットを侵蝕されてしまい、その責任から又しても役員人事から置いてきぼりを食った三回目の敗北、そして、神戸地震後での頑張りで一縷の望みを繋いでいた夢にも、あっさりと裏切られた四回目の敗北、さすがに、その時には立ち寄ることができなかったが、先の三回の敗北時には、ママからはそれなりに独特の言い回しで慰労を受け、激励してくれたことが、走馬灯のように思い浮かぶのだった。「蘭」への投資額も少なくはなかったが、それなりに心のケアになったことは間違いなく、そのことに不満はなかった。
 「随分、いろいろと御世話になったんだ」挨拶状を鞄に仕舞い込みながら、相田はぽつりと呟くのだった。真夏の暑さが厳しい午後のことだった。
 それから一年後、相田が定年を真近に控えていた夏のある日、「土屋真奈美」という差出人からの一通の書状を受け取った。(以下、明日に続く)
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1779 湯水の如くお金を使う

 洪水で悩まされている国もあれば、水不足で困っている地域もあって、この表現の使い方も今までよりは注意が必要なようで、ちょっと心配である。

1.独り言コラム
 特別調査委員会の報告では、大王製紙の井川意高前会長は、子会社からの借入額が106億8000万円に、未返済が59億3000万円に及んでいるという。そして、そのほとんどが最終的にはカジノ関連の口座に振り込まれたというのだ。想像を絶する多額なお金を湯水の如く使って、賭博に興じていたのだ。
 約70年の歴史を持つ東証一部の上場会社でありながら、今なお創業者一族に支配され、そのとんでもないお金の使い方を、誰も阻止できなかったというのだが、信じられない話である。誰もがわが身可愛しで、保身が先立っていたのであろう。不思議なのは、それでも企業はそれほどの痛手もなく存在していることだ。
 一方、オリンパスでは、菊川剛前会長が行った過去の企業の買収、合併の過程で、不透明な資金運営がされていたという。解任された元社長のマイケル・ウッドフォード氏がその経緯を明らかにしたのだが、ここでは、仲介業者に多額の資金が支払われており、大きな疑惑を生んでいる。やはり、多額のお金が湯水の如く使われたようだ。
 多額のお金の出所が不透明だといえば、目下裁判になっている小沢一郎氏の4億円問題を連想する。当時の秘書だった石川知裕被告は、数週間前のテレビ番組の「たかじんのそこまで言って委員会」に出演し、1億円ずつ入った4つの紙袋を自分で運んだと生々しい話しを披露していたが、そのお金はどこから出たものなのだろうか。是非解明して欲しいものだ。
 また、小沢氏に関しては、自分のお金でもない党の資金を前回の衆院選で立候補した自分のグループの人たちに500万円ずつ配ったという話しは有名で、まさしく、湯水のようにお金を使ったといったイメージがぴったりだ。受け取った方の中に、将来を期待されていた原口一博氏がいたと言うのは、びっくりで何とも情けない話しだ。
 政治の話では、民主党がマニフェストで打ち出した子供手当、高校授業料の無償化、高速道路の無料化、農家への保障など湯水の如くお金を使う政策は、絵に書いた餅であることが分かったのだが、まさに、だまし討ちにした民主党は、この点で先ずは詫びるべきだろう。大政党が、そんないい加減なことでいいのだろうか。
 さて、一昨日、今年のプロ野球のドラフト会議があった。巨人軍は原辰徳監督の甥である東海大の菅野智之投手が、日本ハムにさらわれるというドラマがあった。さあ、菅野選手はどんな結論を出すのだろうか。
かつては、お金に糸目を付けずにつぎ込んで、優秀な選手を集めていたのが読売巨人軍だ。他チームの4番バッターを集めた豪華な打線を組んだ一時期もあった。創業者一族ではないが、読売巨人軍の会長やオーナーは、見る人によっては、お金を湯水の如く使って選手を集めていたように見えた。お金持ちのぼんぼんが、欲しいと思ったおもちゃを全部買ってもらっていたという、そんなイメージが巨人軍にはこびり付いている。努力して選手を育てることの大切さが、今の原監督になって、漸く少しは芽生えて来て、坂本勇人、長野久義選手などが育って来ている。少し、時間をかけて見守るべきだろう。
 ところで、お隣の国の中国だが、今やGDPで日本を抜いて世界第2位という地位を占めるに至っているが、軍事費へのお金のつぎ込み方は、今や、湯水の如くお金を使っているといった表現が合いそうだ。その中身に透明性がないことが指摘されているが、このところ、ずっと二桁の伸びが続いているという。我が国など周辺国にとっては、戦々驚々で、不安が高まってきている事は確かだ。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時40分起床。体重、61.8Kg。お天気は雨が降る予報である。
 昨日の雅子だが、症状はまずまずだった。午後の車椅子での散歩後に、実兄ご夫婦のお見舞いを受けて、穏やかな顔をしていた。

3.連載小説、なんたるちあ(97)

  14 神戸地震 (8)

 震災が起きて一年数ヶ月が過ぎた。お陰で物流もほぼ従来並みの安定を取り戻していた。相田は、この間の貴重な経験を纏める作業に入った。二度とあってはいけないが、何が起きるか分からないのがこの世の中だ。それだけに、今回の神戸地震の経験で得た体験、知見は、後輩達のためにもきちんとした記録は必要だと考えたのである。
 とにかく、最初の頃は毎日2回の会合を、その後も半年間は毎日必要な対策の会議を持ったわけで、その中身は膨大だった。それでも、相田は、最後のご奉公という気持ちで総括作業を行なったのである。かなりの時間は掛かったが、それなりに中身の濃い内容に仕上げることが出来た。
 相田はそれを営業本部の会議で報告したのである。しかし、である。あの宮田副社長の反応は冷たかった。何故か理由は分からなかったが、「何故、そんな場でそのような報告をしたのか」といった苦情を受けたのである。正直言って失望した。理由がはっきりしなかったからである。
 それでも、相田は大事な報告であると考え、今度は書類にして社長以下に配布した。それがまた宮田副社長の逆鱗に触れたのである。何で、あんな書類を出すのか、といった不満のものだった。
大変面白くなかったが、相田は、それでもじっと堪えていた。そういえば、震災前だったと思うが、宮田副社長から、当社の最も大事な代理店の活用について纏めて提案して欲しいと言う要請があって、自分なりにきちんと纏めて報告したのだが、それについて何のコメントもなく握りつぶされたことがあった。中身が貧困だったのか、自分の考えに合わなかったのかさえ定かではなく、そのまま日の芽を見ることなく葬られてしまったのだった。相田は、宮田福社長にはそんな癖があるのだろうと思うのだった。
 しかし、それから間もなくだったと思う。親会社から、今回の震災で執った対策について報告せよとの依頼があって、結果的に、人事部が取り纏めたが、相田の作った報告はそのまま使われたようだった。何だか、馬鹿馬鹿しく思いながら、その話を耳にしたのだが、今にして思えば、どうやら、相田の名前で纏めたことに不満があったのではとの考えに至るのだった。対策の最高責任者の宮田副社長の名前で書くべき内容だったということだろう。しかし、そんなことは、そう言ってくれれば、直ぐにカバーレターをつけ変えていたのだが、…。(以下、明日に続く)

1778 見直し

 何事も、見直しの必要がなくて、最初からベストな選択が出来るに越したことはないが、先行きの不透明な今の世の中では、必要な見直しは躊躇なく断行されるべきであろう。

1.独り言コラム
 東日本大震災で、震災地にあったスーパーのエスカレーターが3台も落下していたことが明らかになった。今頃になって明らかにされたというのが、少し納得しかねるが、幸いにして犠牲者がいなかったからであろう。
 ここで改めて、エスカレーターの設置基準が見直されることになったのだが、これは建物の基準とは別で、エアコンなどのような設備として扱われている。規格としては、エスカレーターが乗っかっている「かかりしろ」について規制されていて、現在は「層間変形角の1/100プラズ2センチ」という基準がある。しかし、その1/100というまことしやかな設定基準の背景も曖昧で、言ってみれば、いい加減な基準で設置されていたことが露呈したのである。エスカレーターは全国におよそ6万台あるとされているが、その見直しは可及的速やかに行われなければならない。今回の地震で落下したスーパーのイオンでは、直ちに独自な対応を採ると言う。
 原発稼動再開を巡ってストレステストが話題になっているが、これも定期修理中の原発の稼動再開に際しての見直しが行われて新たなステップとして採用されたのだ。
 昨日、その第一号として、関西電力が大飯原発3号機で行っていたストレステストの評価結果を政府に提出した。政府の判断が注目される。とにかく、54基ある原発のほとんどが定期修理などで止まっており、このままでは電力の需給バランスが取れず、節電要請や停電が不可欠となってくる。ただ、政府がOKを出したとしても、地元のOKが必要で、再稼動までにはまだ紆余曲折が予想される。
 数日前の毎日新聞のトップに、「『自転車は車道』徹底、歩道通行許可、見直し」と報道されていた。自転車は道路交通法では「軽車両」と位置づけられ、車道を走るのが原則なのだが、便宜上、幾つかの条件を満たす場合は歩道もOKとされていた。
 しかし、ここに来て、歩行者への危険が増していることから、今回の見直しとなったものだが、最近はスマホなどの普及で、歩行者だけでなく自転車にのった人も、それを見ながらの「ながら族」となっており、ぶつかったりする事故が増えている。
 ところで、筆者も今は車のドライバーの立場となることもい多く、バイク、自転車への対応での配慮にかなりのエネルギーを使っている。今回の見直しで、そのことで更に大変になる訳で、混乱が起こりそうな地域では、自転車の走行ゾーンの設定が待たれることになる。
 話題のTPPへ対応、復興計画、日本の巨額な財政上の借金などへの対応も、これからも、必要な見直しが繰り返されていくことになろう。それらは躊躇する事無く、速やかに断行されるべきだと思う。日本の将来は見直し、見直しの延長上で力強く育って行くのではなかろうか。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時40分起床。体重、62.0Kg。お天気は今日も晴れのようだが、夕方には崩れる方向にあるという。
 昨日の雅子だが、痰は相変わらず多かったが、全体の症状はまずまずだった。午後には入浴。付き添いの筆者が疲れていて、入浴後2時間ぐらい、ベッドの傍で転寝していた。

3.連載小説、なんたるちあ(96)

  14 神戸地震 (7)

 宮田副社長は、相田の戸惑いにちょっと戸惑った様子で、言葉を選ぶように話を続けた。
 「いや、あの、例の人事のことだよ」さすがの副社長も言い難くかったのか、言葉を少し濁した。しかし、その意味するところを悟った相田には、何とも言えない強烈な衝撃が全身を貫いて走るのを覚えた。 
一瞬、頭を殴られたようで、立っているのが苦しいような気分に見舞われ、思わず入り口のドアのノブにつかまった。
 「どうしてなんですか?」相田は振り返って、必死になってそれだけを口走った。声がかすれていた。
 「キレイダーが反対するんだよ。君らの同期からは既に三人の取締役が出ているということで、若手を抜擢すべきとね」
 キレイダーは米国親会社のマルコポリマーの出身で、宮田が副社長に昇進した際に、大和マルコポリマー株式会社としては、米国親会社出身の初めての社長に就任していた。
 確かに、相田の同期からは既に三人が役員に選ばれていた。同期から四人は多過ぎるとのキレイダーの指摘は分らないでもなかったが、何も人数の多少の問題ではなく、ちゃんと仕事ができる能力の有無が決め手になるべきだと相田は思うのだった。同時に、対象が自分である以上、素直に納得することは出来なかった。「若手か」と相田は心の中で呟いた。
 「要するに、君が、同期の中で三番目までに入っていなかったことが全てだったんだよ。僕も、随分頑張ったんだよ」
 基準のない評価順位なんて意味がないと思いながらも、偽りない現実として、相田の頭の中では、期待していた夢が音を立てて壊れて行くシーンが映じられていた。今朝の出かけに、妻の雅子に図らずもこぼした夢への期待が裏切られた瞬間で、妻に対しての申し訳なさだけが頭の中を支配していた。
 「そうですか。失礼しました」相田には、それだけ言うのが精一杯だった。半ば意識を失った夢遊病者のように副社長室を出た。何処をどう歩いたかは定かではなかったが、気がつくと、オフィスビルを出て、近くの皇居の一角を一人、落ち込んだ気分で歩いていた。「これでゲームは全て終わったんだ」と改めて自分に言い聞かせていた。敗者のみが知る無念のやるせなさを人一倍味わっていた。正月休み明けの寒さも相田には気にならなかった。
 その夜、さすがに、相田は新橋の「蘭」には顔を出す気分にはならなかった。四回目の敗北を告白する勇気は残っていなかったのである。生え抜きだとの自負も消え、相田はサラリーマン生活での本当の最後の敗北記念日を一人静かに自分の部屋で送ったのだった。(以下、明日に続く)

1777 異色の存在

 自ら、どじょう総理と称した野田総理は、やはり異色の存在だ。総理ともあろう者が、自分を卑下した表現を好んで使うのは、見え見えの下手な人気取り策だと思ってしまう。

1.独り言コラム
 今年のドラフト会議が昨日行なわれた。相変わらず、悲喜こもごもの幾つかの話題があった。その一つが、最速157Kmを誇る東海大の菅野智之投手の交渉権を何処が獲得するかだった。事前の情報では、巨人軍の原監督のおいということから、巨人軍の単独指名で無難に決まると言う見方が強かった。しかし、おっとどっこい、である。日本ハムが割り込んで来て、同氏を指名したことから抽選となって、交渉権は日本ハムが獲得したのである。くじを引いたのは原監督でなくオーナーだったが、この場合は、原監督が低めべきではなかったか。果たして、菅野投手はどんな決断をするのだろうか、今後の交渉が注目される。
 昨日のドラフトでのもうひとつのトピックスは、早稲田のソフトボール部の大崎匠捕手を日本ハムが指名したことである。どこまでプロ野球の世界で通じるかが興味があるのだが、まさに、今回のドラフトの中では異色の存在だったといえよう。かつて、ロッテが陸上の短距離界の第一人者だった飯島秀雄選手を代走専門選手として、ドラフト9位で指名して入団させたことがあった(1968年)が、それよりは、野球に近いスポーツということで、活躍の可能性は高いだろう。いずれにしても注目の異色の存在だ。
 目下、竜王戦でタイトル防衛を目指して、挑戦者の丸山九段と戦っている渡辺明竜王は、将棋界では異色の競馬好きである。一流棋士だけに、好きなだけ、競馬にのめり込む訳にはいかないが、対局のない日には結構時間を割いているという。将棋も趣味も合理的に対応していると、昨日の日経新聞は紹介していた。
 京都大学を出て芸人になったロザン宇治原(史規)も極めて異色の存在である。よくぞ思い切ってそんな世界に飛び込んだものとびっくりである。しかし、本人は、大学受験の前から、芸人を目指していたというから驚きである。ちょうど、テレビ界でのクイズ番組のブームとうまく合致したことが幸いしたが、今や、クイズの寵児の座をしっかりと押さえている。こんな異色な人生を、自分の描いた筋書き通りエンジョイしながら歩んでいるのは、まさに奇跡的だと思う。
 大阪都を目指し、ダブル選挙に持ち込んで、大阪市長選に立候補する橋下徹知事も極めて異色な存在である。弁護士でテレビ出演して人気者になり、その勢いで政界に打って出た。特にその行動力、実行力の凄さは今までにいない政治家である。ところが、昨日発売の週刊文春と新潮が揃って、同氏の血脈について取り上げている。出る杭は打たれる訳だが、そこまで遡ってマイナスイメージを引き出す週刊誌も罪なものだと思う。
こうなると、意地でも橋下氏を応援したくなるのが筆者の気持ちである。果たして、今度のダブル選挙での勝利を得る事が出来るのであろうか。日本中が注目する選挙戦になりそうだ。
 その同じ週刊文春にも取り上げられているのだが、雅子さんの話題が尽きない。今回は美智子さんの誕生日のお祝いの場を中座したという。美智子さんの話では、東宮とは途絶状態だとおっしゃったというような内話も伝わっている。皇室の中では、今や、東宮は異色の存在だと言える。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時近くまで起きていた。体重、61.8Kg。お天気は今日も晴れのようだ。この配信を終えてから就寝します。
 昨日の雅子だが、症状は安定していた。午後には、車椅子で散歩。しかし、この日は、テレビ画面に視線を送ることはなかった。目を瞑っている時間がほとんどだった。その辺りは日替わりである。

3.連載小説、なんたるちあ(95)

  14 神戸地震 (6)

 東京に着くと、その足で会社に向かった。何だか浮き浮きした気分だった。
 この日は、10時から社内での新年パーティがあり、それに続いて、直接の取引先である代理店さんをお招きしての賀詞交換会があった。会社側からは全役員に加えて、営業、購買の責任者や担当者が待機してお客様たちに挨拶をするのだが、中には、既にリタイヤーされた社友と称されている元役員の方が顔を出されることもあって、懐かしい話が甦る楽しい場となることもあった。
 相田は営業でも購買でもない立場にあったが、かつての営業の立場ということで、顔を出していた。その胸中には、あの副社長の推薦で、いずれは自分も役員になって社友の一員になれるという思いがあったからでもある。
その賀詞交換会で、忘れられない会話があった。それは、その時に出会ったある社友の方との会話で、何かの話しの弾みで社友の話題になった時、その方が「君には関係ないだろう」と軽くいなされた言葉を受けたことだった。しかし、相田は悪びれることなく、適当な言葉でその場を笑って誤魔化したが、その際にも、いずれ自分が役員になることで、この方にも分かっていただけるだろうという自負心があったからである。つまり、そんな落ち着いた対応が出来たのも、胸中に夢が生きていたからだった。
 しかし、である。その夢が儚く、虚しく壊れてしまったのである。思わぬ形で事態が暗転したのだった。その賀詞交換会が終って、間もなくのことだった。相田が、副社長室に伺って改めて新年の挨拶済まして失礼しようと歩み出した時だった。
 「あ、そうそう、相田君、例の件だがね。あれ、駄目だったよ。私なりに頑張ったんだけどね」
相田が、まさに副社長室を出ようとした間際である。急に思い出したように、特に口調を変える訳でもなく、普段の静かなトーンで相田の背後からの宮田副社長の話し掛けだった。
 「はあ?」相田はゆっくりと振り返りながら聞き返した。何のことか、直ぐにはピンと来ず、暫くほんやりと立ち尽くしていた。(以下、明日に続く)

1776 いよいよ佳境に

 大阪のダブル選挙、TPP論争がいよいよ佳境を迎える。国民の意思がどんな形で示されるか興味深い。他にも、気掛かりな戦いが並行的に展開されていて、喜怒哀楽に満ちた退屈しない毎日だ。


1.独り言コラム
 注目されていた大阪府池田市の倉田薫市長が大阪府知事選に立候補することを昨夜になって表明した。自民、民主の両党も同氏を押すことが決まっており、橋下徹氏が押す維新の会の幹事長の松井一郎氏との決戦が、いよいよ佳境に入る。
 倉田市長との関係では、橋下氏の涙の訴えが記憶に生々しい。橋本氏が知事になった直後のエピーソードだったが、それだけに、府民の関心も一際高くなることは必至である。
 とにかく、改革の最たる目標である大阪都を目指す維新の会だが、筆者の心配は、橋下氏の果敢な動きを、拙速すぎると受け取る府民が増えているのではという懸念である。
 今まで府民の絶対的な支持を得て来た橋本氏だが、掲げる大阪都構想の中身が今一つはっきりしていないことがあって、府民が戸惑っていることも確かだろう。昨日、病院内であるオバちゃんと話していたら、その方は橋本氏の今のやり方を批判していた。大阪のオバちゃんの力は大きいだけに、彼女らの支持を失うことになると大きな不安となる。
 とにかく、大きな改革には、大変なエネルギーが必要で、その点で、今の橋本氏の実行力は他に代え難い存在だ。これだけの凄い実行力を発揮する政治家は、今の日本にはいない。それだけに、筆者の懸念が杞憂であることを祈っている。
 TPPを巡る賛成派と反対派との議論も熱を帯びて来ており、いよいよ佳境に入って来ている。この展開を見ていて思い出すのは、かつて筆者が、会社の命を受けて、コンピューターの業務パッケージを導入することへの賛否議論があったことである。その際もテスト的にそのソフトを使ってみて、それが使用に堪えるものか否かを確認する必要があった。その時のジレンマは、テスト的に使ってみるということは、部分的に導入することを意味することで、後戻りの出来ない実質的な導入だっただけに苦労したことを思い出す。(拙著、執念をご参照)
今回のTPPの場合も、中身をよく知らないと賛否の判断が出来ない訳だが、その中身を知るには、その議論に参加しなければ分からない訳で、ともかくも、会議に参加して中身を確認してから賛否の結論を出す必要がある。そう言う意味で、前原誠司政調会長が言っている一旦参加後に撤退もあるという議論は正しいのである。さあ、どんな展開になるのであろうか。
 将棋の竜王戦七番勝負も佳境に入って来ている。昨日終った第二局では、後手の渡辺朗竜王が、2度の素晴らしい妙手を見せて2連勝を飾った。元名人でもある挑戦者の丸山忠久九段もたじたじの体であるが、このまま引き下がる訳にはいかない。どんな反撃を見せてくれるのであろうか。
 タイの首都、バンコクではチャオプラヤ川の増水で大変な事態になりつつある。28日には大潮に当たるということで、不適切で間違った表現だが、氾濫の危機もいよいよ佳境に入って来ている。災害も地震や津波のように突然に襲ってくるものもあれば、台風のように時間をかけて迫ってくるものもあるが、この増水による災害は台風タイプであり、危機の予測はつくのだが、それに打つ適切な手がなくて阻止できないのがなんとも困ったものである。
いよいよ佳境にと、一口に言っても、そこには悲喜こもごものタイプがある。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時起床。体重、61.6Kg。お天気は晴れだそうだ。しかし、朝は肌寒い。
 昨日の雅子だが、この日も症状は安定していた。午後には、車椅子で散歩。驚いたのは、夕方に、テレビの画面に暫く目を遣って見ていたことだ。久し振りのことで、体調がよかったのだろう。なんだか、とても嬉しかった。

3.連載小説、なんたるちあ(94)

  14 神戸地震 (5)

 企業の運営が最終的に通常の日常に回復したのは、その後、7~8ヶ月後のことである。対策本部も解散され、相田も通常の製品企画部長の業務に専念出来るようになった。そんな9月のある日、珍しく副社長と話す機会があった。
 「相田君、今度の神戸地震の対策ではいろいろとよくやってくれた。お礼を言っておきたい」副社長から今までになかったお褒めの言葉を頂戴したのだった。信じられない言葉でびっくりしたが、副社長からは、更なるびっくりの言葉が続いて出て来たのである。
 「来年の役員選任では、何とか君を推薦したい」と全く思っても見なかった言葉だった。一瞬、相田は自分の耳を疑った。もう、全く諦めていた役員への昇格の話である。まさに、天にも昇る気持ちだった。三度までも苦い敗北記念日を味わった「蘭」での夜のことが思い出されるのだった。
 しかも、である。実力者の宮田副社長の推薦である。それだけに、これはまさに「太鼓判」を押してもらったようなものだと相田も今までにない喜びと期待を感じていた。今までの苦労が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。自分が一歩遅れることになった際に「先に、二階に上がって待っているだけで、君も直ぐに来ることになるよ」と言ってくれた小山の言葉が思い出された。諦めていた洞窟に一本の綱が下ろされて来た様な嬉しさがこみ上げてくるのだった。
 そんな嬉しい展開を受けて、相田は、その後は何事をするにも粗相のないように注意し、それまでは時々発散のために顔を出していた新橋の「蘭」に顔を出すのも可能な限り控えるのだった。回りの者の間には、相田が少し変わったのではという噂が出始めていた。それほど、相田はその日に備えることに慎重を期して日常業務に努めるのだった。その頃の相田の毎日は体調もよく、精神的にも充実そのものだった。
 年が明けた96年のお正月を、相田は西大津の自宅で家族と共に久しぶりにくつろいで過ごした。内面が充実していれば、自ずから顔にもそれが映じる訳で、今までにない心が安らいだ楽しい正月だった。二人の息子達もそれまでは取っ付き難い親父だったが、いつもと違って明るい言動でご機嫌なのを見て、少し躊躇しているようだった。そうして、お正月の三ケ日はあっという間に過ぎ去った。
 お正月明けの四日の朝、東京に戻るとき、駅まで送ってくれた妻の雅子に思わず「年度末の株主総会で、若しかしたら役員になれるかも知れない」とまで漏らしてしまったのだった。妻も「そうなの」と軽く受けてはいたが、内心は喜んでいたに相違ない。それが二人にとって最後の幸せなひと時になるのだとは、不幸にして、二人は全く知る由もないことだった。(以下、明日に続く)

1775 熱血ニュース解説者

 誰しもニュースの裏について、もっと詳しいことを知りたいと思うことが多い。熱血解説者たちは、そんな要求にも答えてくれることが多く、今やニュースを伝える大事な人材だ。

1.独り言コラム
 毎朝、読売テレビの「す・またん」というワイド番組でニュース解説を担当している辛坊治郎氏の熱血ぶりはなかなかのものである。時々、少しおふざけ的で羽目を外すこともあるが、迫力あって、その裏話的な解説も面白い。アナウンサー上がりとは思えない博学の持ち主だ。最近では経済本を出版するなど売れっ子振りを発揮している。
 先月だったか、今月だったか定かではないが、その辛坊氏が休みをとった一週間を、代りに担当した高岡達之さんの解説ぶりも、辛坊さんに負けない迫力があって面白かった。調べてみると、この方は、東大大学院の出身のエリートで、読売テレビの報道局のデスクだと分かったが、同局夕方の「かんさい情報ネット・Ten」でも解説を担当している。恐らく、将来もっとブレークする人材だと思う。
 熱血解説者と言うことでは、これも関西ローカルではあるが、関西テレビの夕方の「ニュース・アンカー」の水曜日を担当している青山繁晴所長もその一人だ。ニュースの裏話に深く踏み込んで、その真意を伝えようとする迫力には凄いものがあって、その熱意には感動さえ覚えることもある。その内容は、関西ローカルではもったいないほどの深みがある。独立総合研究所を運営しているが、その奥様は、代替エネルギーで注目されているメタンハイドレートの研究者の青山千春さんだ。異色のご夫婦に乾杯だ。
 一方、NHKの週間子供ニュースの初代の解説者だった池上彰さんも、フリーになってから大きくブレークした人だが、その知識の広さもさることながら、その熱血ぶりはなかなかのもので、これまた視聴者には人気のある熱血ニュース解説者の一人だ。売れすぎて一旦はテレビにはもう出ないと言いながらも、特番で時々顔を出している。
 その他に、熱血解説者と言うよりは、熱血コメンテーターとして、宮崎哲弥さんや勝谷誠彦さんを上げることが出来る。この二人は、「たかじんのそこまで言って委員会」のレギュラーで、そこでの話しっぷりもなかなかの迫力があって、筆者の好きな解説者でもある。
 静かな落ち着いたおしゃべりもいいが、時には口角泡を飛ばしての熱血溢れる迫力に満ちた話しっぷりも大いに歓迎だ。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時30分起床。体重、61.6Kg。お天気は良さそう。
 昨日の雅子だが、この日も症状は安定していて、時々、目を開けて、こちらの話をしっかりと聞いてくれていた。こういう場合は、ほっとするものを感じる。

3.連載小説、なんたるちあ(93)

   14 神戸地震 (4)

 それは、親しくお付き合いしていた例の友人の石田さんの行方が掴めないという全く思いも寄らない内容だった。相田はその本人にはまだ出会ったこともなかったが、例の新幹線事例研究会に貴重な事例を多く提供してくれた功労者で、何となく親しみさえ感じていただけに、受けたショックは小さくはなかった。いつか、相田が「大切な人」と聞いた時、「秘密だよ」と言いながらも「想像に任せるわ」と答えた純のいじらしさが思い出された。また、いつだったか、土屋が「一度、その研究会に参加して貰ったら」と冗談を飛ばしたことがあったことを、相田はついこの間のように思い出すのだった。 
 それにしても、普段は京都の寮で生活していたのに、その前日に神戸の友人宅に招かれていたことで災難に巻き込まれたらしいという不幸な巡り合わせに「人生は分らないものだ」と相田は改めて思うのだった。「何とか無事にどこかで発見されることを願っているの」との純の嗚咽が、相田の耳に痛くこびりついて残っていた。相田も直ぐに「蘭」に駆けつけたいとの衝動に駆られたが、会社での多忙で重要な立場からその思いは叶わなかった。ともかく「頑張って」と伝えるのがやっとだった。
 しかし、それから数日後、その友人が帰らぬ姿で発見されたという無念な報告を受けたのである。相田は、込み上げて来る熱いもので胸が一杯になり、純を慰める適切な言葉を見つけることが出来なかった。「彼の分も一緒に生きてあげることだね」受話器に向けて相田が送った精一杯の言葉だった。
 ここで、この神戸地震の事態の深刻さを示すエピソードを一つ紹介して置こう。地震が起きて二週間ぐらい経過した二月の始め頃だった。宮田副社長は営業部門も担当していたこともあって、地震のため例年より少し遅れてはいたが、名古屋地区の顧客への新年の挨拶回りに出掛けて行った。対策本部が懸命の活動を継続中の最中で、その最高責任者が現場を離れることは如何なものかと相田は不安だったが、案の定、二日後には挨拶回りを中止して東京に戻って来たのである。話しを聞いて見ると、顧客もいろいろと対応におおわらわで、挨拶どころではないとのことだったらしい。あの卒のない副社長にしては、珍しくその見通しのお粗末さが浮き彫りになったのだが、それほどまで事態が深刻であったと見るのが妥当なのだろうと、相田は副社長の判断力の適否を迫るのは妥当ではないと思うのだった。真の被災者と遠隔地で第三者的に受け取る感覚とのずれが露呈した訳で、事態のとんでもない大きさを窺う一つのエピソードであることには間違いなかった。
 そのような多忙な毎日が一ヶ月続いた。毎日二回行った会議の結果は、その都度メモに纏めて社内の全関係者に配布し、情報の共有を図った。そんな努力の積み重ねで、二月の後半には、何とか最悪の事態を回避できる見通しを得たのだった。(以下、明日に続く)

1774 あの人は今? (4)

 脚光を浴びることは嬉しいことだが、中には、にわか雨にあったように、直ぐに消えてしまう人もいる。その後が気になっている有名人を話題にしてみた。

1.独り言コラム
 都市対抗野球で、54年振りの完全試合の大記録が生まれた。東北代表のJR東日本東北の森内寿春氏が横浜市の三菱重工を相手にしての大記録達成だった。サイバーテロを受けた重工だっただけに、チーム情報が筒抜けになっていたのではとの笑い話も出て来そうな森内投手の快投だったようだ。54年前には、福岡県二瀬町の日鉄二瀬の村上峻介投手が高砂市の鐘化カネカロンを相手に達成している。
 その森内投手は明後日のドラフトで注目を浴びるのではと思われるが、54年前に偉業を打ち立てた村上峻介さんのその後についての情報はない。どうしているのでしょうか。
 半世紀以上の昔の話しはさて置いても、ここ1年以内に話題になった方でも、その後、どうしているのだろうかと思う人たちがいる。
 昨年のドラフトで、早稲田大学からプロに入った三人の投手の中で、最も多くの球団から指名されて西武に入団した大石達也投手の晴れ舞台を目にすることはなかった。日本ハムの斉藤佑樹投手と広島に入団した福井優也投手はそれなりの活躍をしただけに気になるのだが、…。右肩を痛めたためという話しだが、来年のデビューはあるのだろうか。心配である。
 昨年、宮根誠司氏がキャスターを務めるミヤネヤで宮根氏との会話が面白く一躍脚光を浴びた丸岡いずみさんが(517参照)今年の4月から、夕方のニュースワイドの「News Every」に抜擢された。しかし、僅か半年で突然姿を消したのである。体調不良ということのようだが、どうしたのだろうか。地方からのフリーアナが抜擢されたことへの妬みで苛められたのでは、なんて思ってしまう。大人の世界にも虐めはあるからね。しかし、抜擢の背景が、あの宮根誠司という特異なタレントとの会話だったということで、彼女に汎用性がなかったのかもしれない。近い将来の復帰を期待したいが、…。
 お笑いの世界で同志社大学出身にも関わらず、半裸体で一時は脚光を浴びたレイザー・ラモン氏だったが、最近は姿を見ない。「フォー」と奇声を上げるだけでは長続きする訳がない。姿が消えてほっとしている人も多いのではなかろうか。今頃は、どうしているのだろうか。
 そういえば、同じお笑いの「レギュラー」の二人も姿を見ない。あの島田紳助氏のワンマン下で、宮古島に行かされて、「夢来人」なんて民宿の運営にこき使われた犠牲者だ。今は、どうしているのだろうか。
 その張本人の島田紳助氏は、未だに週刊誌の話題に登場し続けている。暴力団との関係の深さを示すものだが、それにしても、随分と汚れていたんだと今更思う。民放もそれを承知して使っていたのだろうか?

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時30分起床。体重、61.5Kg。お天気は良くなさそう。時々雨が降るようだ。
 昨日の雅子だが、この日も症状は安定はしていたが、呼び掛けへの反応は乏しかった。

3.連載小説、なんたるちあ(92)

  14 神戸地震 (3)

 直ちに具体的な必要なアクションが取られた。先ずは、米国親会社に対し、超法規的なバックアップを要請する一方で、日本国内においても、当該業界からの支援を受けるべく、最大手の新進化学ら同業二社に対し、トップを通じて援助のお願いを申し入れた。幸いにも、該二社からは「可能な限りの協力は惜しまない」との前向きの返答が得られたことは有難いことだった。該二社は、主要生産拠点を関東に置いていたことから、その影響は少なかったことが幸いしていた。
 上記のような全般的なアクションに加えて、相田が率いる対策本部では、あらゆる原材料について、全購入先の実情の確認を可及的速やかに開始、その供給状況についての把握に全力を上げた。また、自社内での可能な緊急生産による増産などの段取りについての確認も同時並行的に進めていた。対策本部内の連携の密を図るため、対策会議は毎日、朝夕の二回実施して、刻々変わる情報のより正確な把握に努めた。
 二日目からは、顧客からの問い合わせも殺到した。自分達が行っている購入先の供給状況をチェックする同様の作業が顧客においても進んでいることを示すもので、当然な成り行きだった。運送状況を別にすれば、今日、明日、当月といった短期レベルでの供給については、手持ちの製品在庫で対応できることから、直ぐにはパニック的なことにはならなかったが、課題は来月以降の中長期的な供給をどう凌いで行くかが勝負だった。朝夕に行った二回の会議では、その日に判明した新しい情報をもとに、問題点の整理、必要なアクションの調整、担当責任者などをアサインし、的確な対応を取ることに努めた。幸い、相田の発揮したリーダーシップは卒なく非凡なものがあった。
 特に注力されたのは、主原料であるモノマーの対応だった。神戸のターミナルで保管倉庫自体が、半年ぐらいは使用不可能であるとの調査報告が出たことから、米国親会社に要請した代替モノマー、あるいは業界からの支援で融通して頂く原料モノマーの保管場所を新たに探すことも必要となり、購買担当者は、まさに八面六臂の多忙さとなっていた。神戸ターミナルのタンクを現地に視察に行って帰って来た担当者の「タンクが傾き危険な状況にある」などの生々しい報告がもたらされ、対策本部のメンバーも報道されている以上の事態の深刻さを思うのだった。
 そんな最中に、新橋のバー「蘭」の純から、相田の心胆をえぐる様な心配な電話を受けた。(以下、明日に続く)

1773 涙

 眼球を保護するために常に少量ずつ分泌されているものだが、感情の起伏具合でその分泌量が増減する。嘘泣きは別として、純粋な心の動きを伝える反応であることは確かである。

1.独り言コラム
 昨日の女子ゴルフのマスターズGCゴルフは、最終ホールの土壇場で、プレイオフに持ち込んだ大山志保選手の見事な逆転勝利だった。インタビューで思わず流した涙が感動的だった。
 この試合を筆者は病院のテレビで見ていたのだが、最終ホールの18番で、大山選手が10数メートルあった難しいスライスラインのロングパットを沈めたシーンは圧巻で、当の本人の大山さんのガッツポーズでの喜びは察して余りあるものだった。
 その少し前に、先に最終ホールを1打差のトップで終えたポーラ・クリーマーさんが、最後の数メートルのパーパットを沈めた時、屈みこんだゼスチャーでその喜びを表していて、見ていても、今にも涙が出て来そうな喜び方だった。久し振りの日本での優勝を意識しての感動だったのだろうか。それだけに、土壇場での大山さんの奇跡的なバーディにはびっくりだったと思う。
 この二人によるプレイオフは3ホール目で勝負がついたのだが、ここでも大山さんには大きなミラクルなラッキーがあった。右に曲がったティーショットが観客に当たって跳ね返り、フェアウエイに出てきたのである。そのツキを大事にして打った2打目がピンに絡んだのに対し、クリーマーさんの打った2打目はグリーンを外してアプローチしたが入らず、少し残した。そこで、大山はお先にのバーディで3年ぶりの優勝を決めたのである。
 二人の女の戦いは、それぞれの思いに満ちた涙が印象的だったが、初日、二日目をトップで通過して、久し振りに優勝をと期待していた不動祐理選手は、今週も涙を飲んだ。中継は、相変わらず、不動選手を映さない非情な扱いだった。

苦い涙を飲んだのは、他にもいた。J1リーグを降格になった福岡アジスバだ。1シーズンでの辛い降格は涙も出ないだろう。

 ところで、昨夜は、日テレ系の「行列の出来る…」で9月に行われた日本一苛酷な佐渡のトライアスロンで、番組から出場した4人の戦いぶりの総集編を放映していた。結果は、菊池幸夫弁護士だけが時間内に完走したという。
筆者は、番組を見ながら途中で寝てしまったが、東野幸治さん、ノッチさんはどうしたのだろうか。注目の安田美沙子さんは最後のマラソンの32Km辺りで時間切れだったようだ。いずれにしても、番組は、笑いの中に涙、涙のドラマに仕上がっていたのだろう。
 筆者も涙脆い一人で、最近では、一人でカラオケをやっていても、感動的な歌詩に出会うと涙ぐんでしまう。やはり嬉しい涙は歓迎だが、悲しい涙とか、悔しい涙は勘弁してもらいたいと言うのが、今の筆者の正直な気持ちである。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時20分起床。体重、61.7Kg。お天気は朝方は晴れるが、午後には崩れるという。
 昨日の雅子だが、症状はまずまずだったが、呼び掛けへの反応は乏しかった。

3.連載小説、なんたるちあ(91)

   14 神戸地震 (2)

 オフィスに着いたのはいつもの七時前で、その後の報道に接しなかったこともあって、まさか史上類を見ない大被害が起きているとは露知らず、いつもの通りの仕事を続けていた。相田が関西地区でとんでもない事態が起きていることに気づいたのは、順次出勤して来た仲間からのもたらされる断片的な情報で、その事態の異常を知ったのだった。
 その後時間の経過を追って、神戸を中心とする関西地区には、想像を絶する被害が出ていることが判明して来るのだったが、相田も驚きと戸惑いの中で予測もつかない事態の推移を見守っていた。そして、西大津の家族の状況を把握するため、何回も自宅に電話を入れたのだが回線が混乱していて通じず、言語に表せない不安が募って来るのだった。それでも、相田は、その時点では、自分達の仕事に直結するような事態になるとは受け取ってはいなかった。差し当たっては、人事担当の人達が、関西在住の仲間の安否を確認する作業の進展をフォローしていた。相田の電話が漸く自宅に電話が通じて、家族に実質的な被害がないと確認できたのは午後の遅くになってからだった。
 会社の生産活動、延いては販売活動に重要な影響を与えることになるということが分り始めたのは、その日の夕方になってからで、翌日の18日の早朝には、副社長に昇格していた宮田を本部長とする緊急対策本部が設置された。その対策本部では、全製品に関わるあらゆる課題を扱うということから、製品企画部員を軸に、生産、物流、購買それに営業の各部門のキーマンが主要メンバーとして参画することになった。従って、その実質的なリーダーとしては、その主旨を踏まえて、製品企画部長であった相田が必然的にその指揮を取ることになった。
 直ちに開いた第一回の会議で、事態が容易ならざる状況にあることが明らかになった。それと云うのも、会社が取り扱っている全製品の主原料である特殊モノマーは、半分以上米国親会社からの輸入でまかなっているのだが、その保管が神戸の六甲アイランドのタンクを使用していたため、それが全面的に使用出来ないことが判明したからある。更に、調査が進むにつれ、何も原料モノマーだけではなく、他の副原料や触媒、添加剤といったものの多くのものも、この地震で影響を受けた地区のメーカーに依存していることも明らかになって来た。加えて、それらの運搬を司る運送活動にも大変な混乱が起きていることも報じられ、今後に受けるであろう影響の大きさは思考の域を遥かに超えるものとなった。顧客への影響は必至であり、それを最小限に食い止めるためのあらゆる対策についての検討を開始したのである。(以下、明日に続く)

1772 何時までかかるのだろうか?

 何事も即断即決は気分が良い。しかし、世の中は、そうは行かずに、いつまでかかっているのか、といった怒りにちかいものから、いつになったら実現するかに関心と期待が高まるといったものもある。

1.独り言コラム
 阪神の新監督に和田豊氏が決まったようだ。話題になった梨田氏の話は「なしだ」だった。就任のタイミングなどを見た上で、無難な生え抜きの和田氏を選んだのだろう。もちろん、そこには契約金から見の経済的な視点がなかったとは言えない。いずれにしても余計な時間をかけずに即決されたのは、すっきりして爽やかでよかったと思う。
 生え抜きと云う点では、更迭された真弓明信監督もそうであったが、それ以外にも、ソフトバンクの秋山幸二、西武の渡辺久信、巨人の原辰徳、広島の野村謙二郎、それに中日の新監督の高木守道氏らもそうであって、最近はその傾向が強いようだ。和田監督の活躍を期待したい。
 そんな即決の話し対し、消費税を上げる議論は、このところの各総理に駅伝の襷のように延々と引き継がれている。確か、小泉純一郎総理の頃にも話題になったが、同氏は在任中には上げないという考え方を貫いた。まだそんな状況、環境になく、その前に無駄を削るといったことが先決だというのだった。
それから、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、そして今の野田内閣になっても、消費税アップの話はでるが、その度に、無駄をなくするのが先決だと喚いている議員達が多い。一体、何時まで無駄を削るという議論を持ち出してくるのか。
 民主党政権に代って、行政刷新相を設けて、あの蓮舫氏らのやらせ的な舞台で、無駄を削る作業が行なわれて一時は人気を博して話題になった。しかし、そこで決められた事柄が、気がついたら復活していたり、或いは形を変えて生きていたりするケースが目立っている。
一体、無駄をなくすと言う議論は何時までやったら気が済むのか。消費税を上げるということへの単なる反対の理由として利用しているに過ぎないのではないか。こうなったら、消費税アップと無駄の削減を同時並行的に実行に結びつける対応が、即必要だと見ているが、どうだろうか。
 話題は大きく変わるが、日経新聞社主催の将棋女流王座戦は、今年から新しく始まった女流棋戦である。その最初の女流王座を決める戦いが始まった。決勝まで勝ち進んだのが、長く女流のトップの地位を保持し続けている清水市代さん、もう一方が、女性では数少ない男子のプロ養成機関である奨励会の1級に属している棋士の加藤桃子さんである。今までの女流の育成機関には属さずに、男子プロと同じ真の棋士を目指しているのだ。
 その第1局が昨日行なわれ、接戦の末、加藤桃子奨励会1級が逆転勝ちで先勝した。新しい女流棋士の誕生の気配である。現在、この奨励会に属している女性棋士では、今の女流棋界のトップの地位にある里美香奈3冠が、関西奨励会の1級で頑張っているが、なかなか大変で、初段への昇格にはまだ時間がかかりそうだ。そう言う面では加藤さんとどちらが先に初段、そして3段リーグに入り、そこを勝ち抜いて真のプロ棋士に辿りつくだろうか。このお二人のご活躍を、興味を持って温かく見守りたい。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 5時10分起床。体重、61.3Kg。お天気は回復するもよう。
 昨日の雅子だが、症状はまずまずだった。午後には2時間ほど車椅子で散歩。病院の屋上はちょうど散歩には良い具合の気温、風だった。問い掛けには、時々目を開けて反応してくれた。

3.連載小説、なんたるちあ(90)

  14 神戸地震 (1)

 製品企画部長を拝命して数年が過ぎた。毎年度の製品計画に加えて、両親会社に提出する3~5ヶ年の中期経営計画の作成などで、結構多忙な毎日を送っていた。営業時代に比べて外で飲む機会も少なくなったことで、生活のパターンも夜型から朝早く六時頃には家を出て、七時頃には会社に出勤する朝型に変わっていた。早起きは三文の得と言われるが、誰も来ていないオフィスでの業務は極めて効率的であり、通常の始業開始の九時ごろには、その日の主な仕事を一段落させるパターンになっていた。このことで、規律のある生活を確保出来たことで健康面でも優れていた。
 そんな中でも、時には新橋の「蘭」に顔を出し、ママや純と話をすることで発散を試みることもあったが、そこでも取り立てて変わったこともなかった。強いて云えば、ママと純の二人に、今までよりも大人の色気が少し加わったように感じられたことが変化と云えば変化だった。例の「新幹線事例研究会」も、土屋が戻って来ていないことや、新しいネタも出て来なかったことから低調で、時たま、純が、今までの手段を活用してささやかな成果を得たといった話題で多少は会話が弾むことはあったが、全体としては一段落した形になっていた。
 一方、土屋が闘志を燃やしていたJRの改革提案は、まだ提出されていないようだった。それらの事例で指摘できた課題について、JRも対応策を取っている気配はなかったからである。一方、会社生活での夢をすっかり断たれた感のあった相田ではあったが、それにもめげず、サラリーマン最後のステージを淡々と歩んでいた。そんな時にあの歴史的な神戸地震が起きたのだった。
 運命のその時は1995年1月17日火曜日、午前5時46分だった。その日も、相田はいつも通り朝早く6時少し前に横浜のマンションを出ていた。出かける直前に、時計代わりに点けていたテレビが、淡路島から神戸にかけた地区を中心とした関西地区で大きな地震があった模様と報じていたが、特に気にすることもなくそのまま会社に向ったのだった。(以下、明日に続く)

1771 三つの「~ing」

 住所、氏名、年齢ではないが、何事でも「三つのチョメチョメ」と言うと語呂がよく、覚え易く、インパクトもあって、しばしば出て来る取り上げ方である。

1.独り言コラム
 昨日の朝のテレビ番組で、たまたま小耳に挟んだのだが、恋愛には三つの「~ing」が大事だと言っていた。それは、Feeling、Timing、 Happeningの三つだというのだ。なるほどと思ったのだが、たまたまTimingが悪くて直ぐにテレビの傍を離れてしまったので、詳しい中身は聞きそびれた。
 しかし、単純に考えてみても、恋愛には先ずはFeelingがマッチすることが大事であるし、二人の出会いから始まって結婚に至るまでの過程でのTimingに齟齬がないことも大事なポイントだろう。そして、その恋愛を成功に導くもう一つのポイントは、単調で無難な進行よりも、ちょっとした思わぬ山あり、谷ありのHappeningがあった方が、二人をより強く結びつけるに貢献することになる場合が多いようだ。
 少しこじつけになるかもしれないが、この三つの「~ing」は政治にも大事なポイントではなかろうかと思うのである。例えば、小泉純一郎総理の場合を考えると、抵抗勢力を敵に仕立てた対応ぶりは、そのFeelingにおいて国民の絶大な喝采、サポートを得ることに成功していた。田中真紀子外務大臣を切ったタイミングで北朝鮮の訪問を敢行して拉致被害者を連れ帰ったという実績、更には郵政解散に踏み切って大勝利を得た、あのHappeningとTimingの良さなど、その三つの「~ing」を見事に捉えていた政治だったと言えよう。
 それに対して、今の野田内閣を見てみると、どじょうと自ら名乗っている通り、Feelingは今一つであり、震災復興や大事な外交への対応も、そのTimingにおいて、やはり今一つである。加えて、安全運転に徹していることから、Happeningにおいてもこれといった魅力が出ておらず、このままでは国民との関係において、恋愛や恋といった、燃えるような関係には程遠いといえる。
 その点で昨夜、大阪府知事の辞職願を提出して、ダブル選挙に持ち込んだ橋下徹氏の手法は、小泉総理に似たところがあって、府民や市民に大きな関心を与えることになっている。大阪都を目指すといった普通の政治家がなかなか言い出さない目標を掲げての戦いと云うのは大したものだ。なかなかの大型政治家と言える。果たして、府民や市民が着いていけるかどうかが注目される。
 要するに、政治は国民の願いを叶えるものであるべきで、それにはFeelingとTimingがマッチする事が肝要であることは申すまでもないが、それを実行するために必要なHappening的な行動力も大事なポイントなのだ。橋下徹氏の政治家としての手腕、実行力に期待している。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時45分起床。体重、61.6Kg。お天気は一日うっとしい雨もよう。
 昨日の雅子だが、症状はまずまずで、時々目を開けて反応してくれた。入浴日で顔色もよかった。

3.連載小説、なんたるちあ(89)

  13 離婚 (4)

 皆の不思議そうな顔を満足そうに眺めながら話を続けた。
 「そうなんです。その切符は、前回一度使ったもので、第2.第3ステップの新幹線構内入場時および車内検札で駅員の押印を受けており、検印が二つしっかりと押してあったのですが、たまたま新幹線構内への入出場時には、駅員のいる改札を通ったため、一度も自動改札は通っていなかったのです。この経験で気がついたことは、自動改札を通っていない切符なら、検印があっても、まだ切符は生きていて、自動改札を利用出来るということを発見したのです。検印があっても、磁気的には無傷だから、理屈的には当然なことなのですが、それまでは全く気づいていないことでした」相田も最近の自らの体験で得た新たな事例を披露した。
 「なるほど、『どっこい、検印あっても切符は生きている』ということですか.私の改革提案の軸になりそうな課題の一つになりますね。JRもその対策には相当な工夫が必要となります」土屋も雰囲気に乗った形で面白おかしくコメントした。多彩な発見に皆も今までにない活気を楽しんでいるようだった。
 「でも、相ちゃん、何故、そのような古い切符を保管していたの。JRを出る改札口では渡さなかったの?」と純が確認した。回を重ねる毎に純は興味を深めていることが窺えた。今夜の純は特に真剣だった。
「多分、その時には定期券で出たのでしょう。ずっと保管していたのは自分の癖なんですよ。結構、こういうものを残しておく性質なんですね。理屈はありません。敢えて言えば。このような研究会をやっていたことが遠因かも知れないですね」
 「歴史をひも解けば、大きな発見、発明は失敗や誤りがきっかけになっていることは多いんだなあ。ついうっかり誤って使用済みの切符を使ったのも一例ですね」土屋がフォローして話に重みをつけた。実際にうっかりしていたことだったと相田は発見のきっかけを振り返えりながら、この日の研究会の総括に入った。
 「今夜も収穫の多い研究会だったと思います。久しぶりに土屋さんが参加してくれてムードを高めてくれたからではと思います。今夜の成果を纏めると、一つは、事例8の応用展開に関するアイディア、二つは、新幹線の車内検札の傾向と対策、そして三つ目は、検印を受けた切符もどっこい生きているということになります。後で、それぞれを事例9、事例10として、総括表に書き加えて皆さんにお送りするようにしましょう」
かくして、久しぶりの研究会も活気に満ちた内容でお開きとなった。メンバー全員も楽しそうで、お酒の量も結構進んだようだった。土屋は、改革提言の纏めに燃え始めていたことはよかったが、相田には、土屋の突然の離婚話が気掛かりだった。
 それから数日後に、相田がそれまでの研究会の内容を総括し二つの資料として纏め、メンバー全員に送付した。(以下、明日に続く)

1770 さあ、新たな戦いが始まる!

 この世は全て戦いの連続の中で進んでいる。そういう意味では、今日から、新たな戦いのステージを迎えるアイテムが目白押しだ。

1.独り言コラム
 リビアのカダフィー大佐が遂に死亡したと報じられている。反カダフィー派を束ねる国民評議会が20日にその死亡を発表した。42年間に渡って最高指揮官として君臨し、その座を終われてからも徹底抗戦を叫んで逃げ回っていたが、どうやら、最期は民衆によって捕まり殺害されたようだ。独裁者が民衆に捕まって殺害されたということでは、1989年のルーマニアのチャウシェスク大統領を思い出す。いずれにしても、リビアは、この時点から新たな戦いの場を迎える。どんな国家を目指すのだろうか。
 一方、ギリシャでは官民二大の労働組合が大規模なストを続ける中で、緊縮策法案を巡っての議会のゆくえが注目されていた。この法案が成立しないと欧州連合からの資金援助が受けられず、欧州は収拾がつかなくなる混乱の心配があったが、どうやら、法案は賛成多数で可決されたようだ。
 それにしても、自分達の失政で世界を混乱に巻き込んでいるのに、その原因となっている、放漫経営、働かず、豊か過ぎる生活を改めようとしないギリシャ国民は、その責任をどう考えているのだろうか、怒り心頭の筆者である。なお、この法案の成立は、あくまでもその改善のワンステップの一時凌ぎに過ぎず、抜本的な対策を執ってもらわねばならないことを、彼らはしっかりと理解すべきである。
 日本でも今日から第179臨時国会が始まる。安全運転に終始する野田内閣の手腕が試されることになるが、本当に難問山積の国会を乗り切れるのだろうか。昨日もNHKのニュースウオッチ9に野田総理が出演していたが、何とも迫力のなさに苛立ちを覚えた筆者だった。やはり、ドジョウは金魚にはなれない。総理の器はドジョウでは無理だと思う。だからと言ってその代わりがいるという訳でないのが辛い。
 将棋界も竜王戦が佳境に入りつつある。渡辺竜王が先勝し勢いを見せているが、挑戦者の丸山忠久九段が今一つ冴えていないようで、渡辺竜王が一気に防衛を果たしそうだ。
 その丸山九段は、昨夜も来期の名人戦挑戦者の予選であるA級リーグ戦でも、屋敷伸之九段に土壇場で逆転負けを喫して、今期4連敗と絶不調だ。そのAリーグ戦は、全員が9局中の4局を終えて、羽生2冠、谷川九段が4連勝とトップを走っており、渡辺竜王が3勝1敗で追っている。続いて、郷田、三浦、佐藤、屋敷各九段が2勝2敗、高橋九段が1勝3敗、そして久保2冠とその丸山九段が4連敗となっている。いよいよ、来月から後半戦に入るが、羽生二冠が逃げ切るのだろうか。筆者の見方は、渡辺竜王が追い上げると見ているが、果たしてどうだろうか。
 スポーツでは、ゴルフも男女とも終盤戦に入っているし、プロ野球も来週末からクライマックスシリーズが始まる。また、明日からば、82回目を迎える都市対抗野球が始まる。更に、来月早々には、全日本大学駅伝が行われる。初出場の上武大学に注目したい。
 ここ暫くは、心配と楽しみが混在する舞台で、いろんな出し物が上演されることになっている。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時10分起床。体重、61.8Kg。お天気は、曇り空で週末は崩れる方向だと言う。
 昨日の雅子だが、痰は相変わらず多いが、まずまずの症状で、時々目を開けて反応してくれる。声を出してくれれば、と願ってはいるが、なかなかそうは問屋が下ろさないようだ。

3.連載小説、なんたるちあ(88)

  13 離婚 (3)

 一息ついて、ビールを少し口にした純は、更に話を続けた。
 「その検札のタイミングですが、同じ大阪―東京間でも、その列車が何処の始発かでも違っていて、例えば、福岡や広島発の東京行きの場合は、ほとんどの場合、大阪までに既に検札は一度実施済みで、場合によっては、その後は実施されないことが多いようです。そして、週末や連休などの前日で列車が満員の場合は、自由席については実施できないことが多かったようです。従って、自らがそのような知見を持って列車を選択することで、車内検札を受けずに済むことも可能だとのことでした。安サラリーマンだった彼は、そういうことで経費節減をエンジョイしたようでした。これらについては、親父からの何らかの神がかりの示唆があったのだと感謝していました」
純のアイディアの提供は予想を上回るもので、その存在と貢献はもはやこの研究会には不可欠のものとなっていた。
 「凄く面白い。その石田さんとやらに、是非、この研究会のメンバーになって欲しいくらいですね。やはり、具体的なニーズに直面していただけに、積極的な研究心をもってぶっつかった成果だと大いに評価できますね。純ちゃん、一度、ここへ連れて来て下さいよ。是非、お会いしたいものです」次々紹介される純の話に土屋は興奮気味で、思わず、その石田なる人物への面会を要求するのだった。
 「それは困るわ。この話は、彼には内緒なのよ。私が彼から聞いた話を、べらべら話していると分ったら、叱られるし、信頼を失うことになりかねないわ。お願いしますよ。相ちゃんが、この事例研究会はあくまでも、この四人のささやかな楽しみの世界の話であって、外部には丸秘扱いとおっしゃるので、お話しているのですから。皆さん、お願いしますよ」純は真顔で真剣に頼み込んだ。
 「大丈夫、大丈夫。その点は、皆な弁えているから。私が、一度お会いしたいと言ったのは、素晴らしい体験を誉め称えたい気持ちをストレートに表したかったからです。ご安心あれ」純の真剣な申し入れに、土屋も真面目になって、あくまでもこの仲間の内輪の話であることを強調した。
 「いずれにしても、その気になれば、道はいろいろありそうですね。実は、私も先日実家へ帰る時に面白い経験をしました。西大津からの帰りだったんですが、新横浜で新幹線構内を出る際、つまり、第4ステップで、うっかり間違って既に使用済みのエコノミー切符を間違って自動改札に入れたのですが、問題なく通過してしまっていることを後で気づいたのです」相田はそう言って、愉快そうに皆の反応を窺った。(以下、明日に続く)





1769 監督の器の番付

 勝てば官軍だ。今年のプロ野球12球団の監督の番付を、独断と偏見で行ってみた。


1.独り言コラム
 今年の成績から見れば、中日の落合博満監督とソフトバンクの秋山幸二監督が堂々の横綱格だったことには異論はなかろう。続いて、日本ハムの梨田昌孝監督、巨人軍の原辰徳監督を大関格、ヤクルトの小川淳司監督と西武の渡辺久信監督が関脇格とした。その理由は、最後の山場で、ヤクルトが中日に4連敗したのに対し、巨人は逆にその中日に3連勝して目の前での胴上げを阻止したことを重視してのランクである。また、阪神の真弓明信監督とオリックスの岡田彰布監督は、大事なところで勝てなかったということから、平幕に近い小結格とした。従って、それ以外の監督は、残念ながら平幕に甘んじる格付けとした。
 今年の結果に捉われず、それまでの彼らの過去の実績を総合すると、落合、原、梨田の三人は既に監督の実績としてもしかるべき成果を残しており、大監督の器としての力量も十分に備えた人材である。特に、落合監督は8年間の実績でリーグ優勝が4回、2位が3回、その内一度は、日本一を奪っていて、最悪の成績が3位が一度と云うのは何とも素晴らしい実績である。
 8年前に初めて監督に就任する際に、あの奥さんから、一度やってみたらというサポートがあって就任したのだが、その時から、いわゆる「オレ流」を宣言し、それを貫いて凄い結果を出したのは見上げたものである。
 一方、ソフトバンクの秋山監督、それに最終戦でCS入りを逆転で決めた渡辺監督は、まだ40台の若さであり、将来の大物監督への期待が大きい。その逆に、オリックスの岡田監督と阪神の真弓監督は、まだまだこれからの監督だといいながらも、ここ一番の大事な戦いに勝てないことが多く、今年もCSシリーズに出場出来なかったことを勘案すると、監督としての資質に不安を覚える。
 それ以外の監督では、星野仙一監督は、かつての大監督だが、今では売り物の神通力も失せたようで、今後も大きな期待は出来ないのではなかろうか。なお、今年も成績は振るわなかった広島の野村謙二郎監督だが、まだ44歳という若さで、これからの方であり、来年以降に期待したい。
 野球の話しはともかく、この日本国の監督とも言うべき野田佳彦総理だが、今のところ、まだ小結か関脇程度のレベルに映っている。早く堂々とした横綱となって日本を引っ張ってもらいたい。
 ところで、監督の話題ではないが、今年のNHK紅白歌合戦の司会者が昨日発表された。白組は、筆者が好きでない「嵐」の連投だが、紅組には若手の綺麗な井上真央さんが選ばれた。名前の真央さんという響きから、浅田真央さんや大地真央さんを連想してしまう筆者である。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時40分起床。体重、61.4Kg。お天気は、今日も良さそう。
 昨日の雅子は、目を開けてくれることが多くなって来ている。また、今にも話し出しそうな感じの表情が幾度も増えて来ている。もう少しで声ならぬ音声を出す手前まで来ているように思う。少し、贔屓目での見方なのかもしれないが、…。

3.連載小説、なんたるちあ(87)

   13 離婚 (2)

 土屋の改善提案を纏めるという話しに、相田はそれに呼応するように話し始めた。
 「それはいいことですね。面白い事例も結構集まっていますから、纏められるタイミングだと思っていたのです。そういう意味では、純は大変な功労者ですよ。じゃあ、皆な集まって!」
 土屋が話題を変えたのを幸いと、相田はカウンターの中にいる二人に声を掛けた。あの土屋抜きの研究会からほぼ一年三ヶ月ぶりの研究会だった。新しい議論に先立って、相田が今までの総括ということで、純の提案をも含めて簡単にレビューした。それを受けて土屋が自分の考えを披露した。
 「確かに、乗車区間を三つに分けた切符を用意するというのは斬新だ。真中の切符を生かすという考え方は面白いですね。しかも、その石田さんのいうように、両端の切符を短区間にしておけば、検札がなければ真中の切符のウエイトが高くなって、JRに与えるダメージも大きくなるという訳なんですね。加えて、適当なタイミングでキャンセルすることで、切符の有効期限を実質的に延長する。これらを活用すれば、相当な格安で乗車可能になりますね。この対策をどうするか、私も真剣に考えて見たいと思います」土屋が改めてその面白さに感心しながら、自分が提案する改革案に思いを馳せていた。
 「有難う御座います。沢山のお褒めの言葉を頂いたので、そのお礼じゃないですけど、その後に、石田さんから新たに教えてもらった新しい幾つかの事例をご紹介しましょう」純は今夜もやる気旺盛だった。今や、純はこの研究会のメンバーの核になっていた。そんな純が楽しそうな表情で話を続けた。
 「いずれも、石田さんの体験からの事例です。それは、お父さんのご病気が長引いたことから、東京-大阪を何回も往復することを体験して、新幹線での車内検札に関し面白い傾向があることを掴んだ様です。それは『車内検札には一定のパターンがある』との発見です。例えば、大阪―東京間では、京都―名古屋間で実施されることが多いとか、東京発大阪行きの場合は、多くの場合、新横浜と静岡までに行われること多かったようです」純は立て板に水の如く新しい情報の提供を続けるのだった。(以下、明日に続く)

1768 しっかり射止めた

 誰かが、獲物をしっかりと射止めて感激に浸れば、誰かが、その反動で悔しい思いをするのが世の常だ。勝負の世界ではWin-Winの形にはならないことが殆どだ。

1.独り言コラム
 昨夜、落合博満監督が横浜の空に舞った。中日がチーム結成75年目で9度目の優勝を成し遂げた。球団史上初めてのリーグ2連覇というおまけつきだった。
 驚異的だったのは、落合監督が今季限りで退団を言い渡された直後からの快進撃だった。トップを驀進していたヤクルトを一気に捉えたのである。優勝へのマジックを1としてから、巨人に3連敗を喫してファンを少し焦らせたが、余裕をもっての戦いで、危なげなくしっかりと首位の座を射止めたのである。
勝因は、落合采配に尽きるが、全体として、投手陣がしっかりしていたことが大きな要因だ。中でも抑えのエースに、今までの岩瀬仁紀投手に加えて、浅尾拓也投手の台頭が著しく、その安定感が新しい決め手となって大貢献していたのが目立っていた。
 一方、パリーグでは、ソフトバンク、日本ハムの1位、2位は一足先に決まっていたが、CSシリーズ進出を決める最後の戦いが面白かった。昨日の最終試合で、しっかりと3位の座を射止めたのは西武だった。土壇場での逆転劇でその座を逃したオリックスは悔やんでも余りある敗戦だった。筆者の感じでは、昨日の戦いでは、オリックスの岡田彰布監督が、エースの金子千尋投手に拘わり過ぎたったことだと思う。昨夜の金子投手は調子が今一つだったようで、もう一歩早い継投が必要だったと思う。
 さて、テニスの錦織圭選手が、17日に発表された世界ランクで30位という日本人での最高位をしっかりと射止めた。今までの松岡修造選手が記録した46位を一気にランクアップさせたのである。追い抜かれた松岡選手は、彼の実力なら、もっと早く追い抜いてしかるべきだったが、ちょっと遅すぎたと辛口の喜びの言葉を送っていた。確かに、ここ数年の錦織選手は、怪我などで少し回り道をしていたことは確かである。今後の更なるランクアップを期待している。
 女子アナとプロ野球選手との結婚の事例は枚挙に暇がない。昨日、新たに、日本テレビの森麻季アナウンサーと巨人軍の新しいエース候補の澤村拓一投手との婚約が発表された。二人の出会いは、澤村選手がまだ中央大学の学生だった頃に、森アナのインタビューを受けたのが切っ掛けで、その後、二人で素晴らしい愛が育まれたようだが、結果的には、年上の森アナがしっかりと若き大物投手である澤村投手を射止めたということになる。
 またしても、年上の女子アナと若手のプロ野球選手との結婚である。七年前に、同じ日テレの柴田倫世アナが当時の若手のエースだった松坂大輔選手を射止めた事例が思い出されるが、この他にも、昨日のスポーツ紙には、イチロー、古田選手など14名のリストが掲載されていた。どうやら、女子アナの就職先の大口は、プロ野球選手の妻の座のようだ。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時40分起床。体重、61.5Kg。お天気は、今日も良さそう。
 昨日の雅子は、痰は相変わらず多いが、目を開けてくれることが多かった。特に、数日前から見られるのだが、今にも話せそうな感じの表情が幾度もあって、時々、声にはならないが、ちょっとした音を出すところまで出来るようになった。もう一息だという思いでの期待が膨らんでいる

3.連載小説、なんたるちあ(86)

13 離婚 (1)

 久しぶりに土屋がまた帰国しているので飲まないかと誘われたのは93年夏だった。夏休をとっての一時帰国という。土屋は今まで以上に健康そうで、肌には今までにない艶があり、とても逞しく見えた。
 「ロンドンに移ってはや五年目です。あっというまでした。最初は二年ということだったのですが、あちらの方が性に合うもので当方から希望して長期になってしまいました」土屋の言葉を聞きながら、相田は月日の経つ早さを改めて思うのだった。
 「でも、楽しく仕事が出来ることが一番ですよ。その意味では土屋さんは幸せな人だと言えますね。それに比べて私なんか毎日が苦痛でしてね。面白くないですよ。同期の友人の下で働いているのですから。」最近の相田は愚痴ることが多い。
 「相ちゃん、それは、偏屈な友人を使う上司の方も大変じゃないの?」黙って聞いていた純が口を挟んだ。
 「それは、そうでしょう。そう思うよ」相田も、これには大人しく同意した。
 「いやいや、こちらの方も、いい事ばかりじゃないんです。ここで初めて告白しますが、実は妻に逃げられてしまいましてね。日本に帰って来ない人と一緒にいても仕方ないと離婚させられたのです。とても、幸せなんて言えません」土屋の思わぬ突然の告白に相田はびっくりしてカウンターの中にいるママと純に視線を移した。純は一瞬驚いたような顔を見せたが、ママは聞こえなかったのか表情を変えずに開店の準備に努めていた。
 「離婚をされたんですか」土屋の唐突な告白に相田は驚いて確認した。
 「自分からも、ロンドンに来るように何回も誘ったのですがね。嫌だというんですよ。価値観の違いですかね」土屋は離婚を告白した後でも淡々として冷静である。
 「立ち入って申し訳ありませんが、お子様は?」
 「それが、幸か不幸かいないんです。それも離婚を決意させた一つの理由でしょう」
 「そうですか。それで、まだ暫くはロンドンですか?」
 「そのつもりです。傷ついた気持ちを癒すのにいいのではと思っています」
 「そうですか。いろいろあるんですね。人生には」そう言いながら、自分の妻の雅子は大丈夫かなと思いを馳せるのだった。
 「さあ、相田さん。そんな私的な話はそこまでにして、そろそろ、例の研究会を始めましょうや。純ちゃんが凄く面白い事例を紹介してくれたようですね。ユニークな『手段』も大分貯まってる様だし、そろそろ仕上げの段階かも知れませんね。勝手なことを申し上げるようですが、いよいよ私も改善提案を纏めたいと思い始めましてね」土屋はそんな離婚話はもう結構と言わんばかりに話題を研究会に移した。(以下、明日に続く)

1767 先送り

 広辞苑には、判断や処理をその時点ではせずに、先に延ばすこと、とある。そのことでプラスになることもあるが、大抵はマイナスの方が多いのではと思う。

1.独り言コラム
 菅総理もそうだったが、野田総理もやはり「先送り」は得意技のようだ。
 東北大震災が起きたことで先送りされた一つがTPPへの意思決定だった。当初、菅総理は6月末までには結論を出したいとしていたが、未だに決まっておらず、来月のAPEC開催時にオバマ大統領に返事をしなくてはならないということから、追い詰められた状況の中で議論が始まった。宿題に追われる子供のようで、情けない気持ちになってしまう。
 相変わらず、賛否両サイドから互いの主張が繰り返されているばかりで、進展が覚束ない。この種の意見が分かれる問題は、総理が決断する以外に道がないと思う。多少は強引であっても止むを得ないだろう。要は、マイナスを受けるサイドに、どんな救済策を用意するかであろう。
 先送りの最大の課題は、沖縄の米軍基地の問題である。昨日になって、一川防衛大臣が初めて沖縄入りするなど慌しさを増して来ている。今では、日米合意に基づいての辺野古沖を埋め立てる方針に沿った動きで進められつつあるが、仲井真沖縄県知事の了解が得られる見通しは全く立っていない。それにしてもお粗末だったのは鳩山由紀夫総理のKYな言動だったと改めて思う。
 昨日の報道(日経新聞)によれば、民主党の輿石幹事長が会見し、衆院比例定数80削減の公約も民主党は先送りすることを示唆したと報じている。それにしても、改めて思うのは、民主党のマニフェストは何だったのかと言いたい。掲げられたほとんどの事が実施できない絵に描いた餅だったのだ。そのいい加減さに怒りも失せてしまいそうだ。
 一方、海外では、欧州危機は、先送りができない大きな問題である。ユーローが導入されたのが1999年だったが、12年後にして、大きなピンチを迎えている。この種の歴史はやはり10年単位で捉えることが必要なのだろう。目下、ドイツを中心に懸命の対応策が打ち出されているが、その場しのぎの一喜一憂の対応策が繰り返されていて、恒久策は見当たらない状況だ。そのため株価はシーソー状態の繰り返しで、今朝の米国ダウは250ドル近い大幅な下げである。
 この問題は、どうやら、ギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)を覚悟した軟着陸が検討されているようだ。日本への影響も大きいことが予測され、心配は絶えない。こうして見ていると、英国がユーローに参加しなかったのは、文字通り、「英断」だったということになる。
 さて、最終戦まで持ち込まれたプロ野球パリーグの3位争いは、今日には決着が着く。決して先延ばしされたわけではないが、西武の驚異的な追い上げが、土壇場まで決着ん持ち越したことになったのである。今日はオリックスがソフトバンクと西武が日本ハムとそれぞれドーム球場行なわれるので、天候に関係なく試合があることから、今日中に決まる。今のところ、オリックスは勝つか引き分けで3位が決まる訳で、一見、有利に見えるのだが、西武が勝って、オリックスが敗れる可能性も充分に考えられることから、まだ軽々な予測は禁物である。しかし、もう先延ばしはない。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時50分起床。体重、61.6Kg。お天気は、今日も良さそう。
 昨日の雅子は、まずまずの様子だった。午後の散歩中に、実姉の霧子さんの久し振りのお見舞いを受けてほっとしているようだった。筆者と義姉の二人の会話を聞いていてくれているような雅子の顔つきを見て、こちらの方もほっとしていた。

3.連載小説、なんたるちあ(85)

   12 神の示唆 (5)

 この夜の純はなかなかのご機嫌だった。自分の報告した内容が予期以上に相田から評価を受けたからだった。気分を良くしている純は、楽しそうに話を続けた。
 「石田の話では、無傷の切符をその有効期限内で何回も使用することも一つだが、適当なタイミングでその有効期限内で、その切符を金券屋で一旦払い戻して現金に戻すことも一案だと言ってたよ」純は、メインストーリーを話し終わった後に、石田が言ったという追加のアイディアを披露した。途端に相田が鋭敏に反応した。
 「何々。金券屋で適当なタイミングで一旦払い戻す。純、それもとんでも面白い手段だよ」相田が興奮気味に唸るように純に向かって叫んだ。
 「そうなの?」純はその意味が分らないようできょとんとした顔で相田の顔を見返した。
 「そうだよ。これは、とんでもない手段だ。具体的に説明してあげよう。これはね、エコノミー切符の有効期限が一ヶ月を切る前に一旦キャッシュに換えるんだ。一ヶ月有効期限が残っていると、払い戻し手数料は10~20パーセント程度の比較的有利な率でキャッシュ化ができる。そして改めて新しいチケットを買い直せば、実質的に、エコノミー切符の有効期間を更新出来たことになる。この作業を繰り返せば、僅かの手数料を支払うだけで、無傷が続けられれば、半永久的にその切符が使用できることになる訳なんだ。凄い手段だよ。まさに石田様々だけど、JRはどう対応することになるのか心配になって来たよ」相田も説明しながら、真剣に心配そうになっていた。
 「だけど、純、こんな話をしてくれる友人って、並みの友人じゃないよね。それなりのお付き合いをしている人なんでしょう?」さすがにママもこの辺りの感度はなかなかで、鋭い切り込みを見せた。
 「あら、嫌なママ。普通の友達よ。変な勘ぐりはよして頂戴」少々慌て気味に取り繕いながら純は真面目な顔で抗弁した。相田はにやりとしてこの会話を聞いていたが、助け舟を出すべく話題を転換した。
 「さて、塵も積もればで、面白い事例も結構集まって来た。一度、この辺りで纏めて、土屋さんが、会社に提言できる資料を用意して上げるのもいいかも知れないね。改めて、ご注意を申し上げて置きますが、自己責任でエンジョイされることは勝手ですが、仲間以外の方には、絶対に丸秘扱いだからね。分った?」相田は真顔で二人に言い聞かせた。
 「勿論、分ってるわ」純が即座に同意の意向を示したが、ママは急に話題の変わったことに不満だったのか、ただ黙って頷いただけだった。(以下、明日に続く)

1766 平和梨

 「梨」の種類ではありません。3人の名字から一文字ずつをとって並べたに過ぎません。今朝は、似た名前の方々をピックアップして、遊びで楽しんでみたいと思います。

1.独り言コラム
 遂に、阪神の真弓明信監督の解任が発表された。昨日の阪神の試合が始まる前の事である。デーゲームで巨人軍が中日に勝ったことで、阪神のCSシリーズ出場の可能性がなくなったためである。
同氏の在任の三年間で、同氏が果した最大の成果は、能見投手をエースに育てて上げたことだと思う。就任した最初の年に、かなり打たれて、もういい加減に交替させたらと思って見ていたのだが、それでも続投させた我慢が同氏の成長に繋がったと思う。
 とりあえずは、ご苦労さんでしたと申し上げておこう。同氏のお陰で、筆者はアンチ阪神ファンになれたのも大きな成果だったといえるかもしれない。
 さて、今朝のスポーツ新聞では、後任監督の話題で喧しい。中には、梨田監督の名前を大きく書いているのが目につくが、他にも、内部昇格候補として、和田コーチ、平田コーチの名前も取り沙汰されている。前日もこの蘭に書いたが、たまたま三人とも「田」が付くことから、「梨」か「和」か「平」かということから、並び替えて今朝の表題の「平和梨」と書いてみた。
 そんな具合に、最近話題になった人の名前に関連した筆者の関心のある方々の名前を拾ってみた。
 箱根駅伝の予選で勝った上武大学の監督の花田勝彦さんに因んで、誠彦、佳彦の二人を上げてみた。誠彦とは勝谷誠彦氏のことで辛口のコラムニストとして活躍している。筆者は同氏のブログの愛読者でもある。佳彦さんとは、野田佳彦総理のことで、好きではないが日本の総理であるだけに頑張ってもらいたい。先ずはTPPをどうするのか、検討してくれなんて単にボールを投げるだけでなく、総理としての自分の意見をはっきりさせるのが大事ではなかろうか。
 10月1日付けで新棋士になった藤森哲也さんに因んで、哲弥、哲哉さんをピックアップしてみた。哲弥さんは宮崎哲弥さんのことで「たかじんのそこまで言って委員会」や「テレビタックル」などの数多くの番組での活躍が目立つ。哲哉さんは、小室哲哉さんのことで、一旦、事業の失敗で挫折したが、同氏の才能を信じて今後の活躍に期待している。
 世界体操選手権で大活躍の内村航平さんに因んで、近平さんを連想した。内村航平さんは個人戦で史上初の3連覇の他、種目別でも床で金、鉄棒で銅を奪う強さを見せてくれた。ところで、連想した近平さんとは、中国の胡錦濤主席の後継者に予定されている人物で、日本にとっては要注意の中国の要人だ。もう一人の「平」さんを探したが、二代目の三平さんや楽天イーグルスの鉄平さんが浮んだが、今一つで適当でなく、加藤芳郎さんではないが、「真っ平」ごめんということで、今朝は失礼させて頂きたいと思います。
 
2.今朝の一考、昨日の雅子
 5時5分起床。体重、61.5Kg。お天気は、今日も良さそう。
 昨日の雅子は、朝方は少し熱があった様でクーリングをしてもらっていたが、昼前には平熱に戻っていた。いつもよりは多く時々目を開けてはくれていた。また、寝顔も賢そうで、いい顔を見せてくれていた。

3.連載小説、なんたるちあ(84)

  12 神の示唆 (4)

 相田が、純を褒めたことに、ママが少し妬き餅を焼いたのではないかという、ちょっとした対抗心が見え隠れしていた。女の競争心は年齢とは関係ないようだ。
 「キセルとは違うよ。全く違うんだよ。キセルというのは明らかに不正乗車で、途中の切符を買わずに乗車するのだが、今の石田氏の事例は、先ほど純が言ったように、その全区間の切符をきちんと買って乗車していたからルールに則った合法的な乗車で、キセルには該当しない。全く違うん手段なんだよ」この発見にぞっこん参った感じの相田が力んでその違いを説明した。
 「なるほどね」ママも、その意味が分かったようで、ここでは大人しく頷いていた。
 「何だか、いろいろとバライティが考えられるユニークな手段のようね」純も自分が報告した事例が相田に高く評価されたことで気分をよくしていた。
 「その通りで、乗車区間を三つに分割した切符を用意する場合にも、分割の方法を最適に選ぶことで、無傷の区間を長くすることが可能となる。また、切符はエコノミー切符や通常切符、或いは回数券の組み合わせであっていい。ポイントは、車内検札のタイミングが鍵を握るね。いずれにしても、純ちゃん、これは、まさに、JRにとっても大変な盲点だと思うし、この手段を阻止するにはJRも相当に困るんではなかろうか?」相田がそう補足した。
 「そうなの? お話を聞いたとき、自分でも、これは面白い手段だと思ったの。だから、この間相ちゃんが来られたときに、早く研究会をやってと言ったのよ。私も捨てたものじゃないでしょう。それに、石田さんはこんなことも言っていたわ。」純は、そこで一旦言葉を切って間を取りながら、皆の反応を窺うのだった。(以下、明日に続く)

1765 予選突破

 人が社会人として生きるには、幾たびかの厳しい予選を勝ち抜くことが必要である。高がサラリーマンだとしても、先ずは、その入社試験を突破しなければならない。

1.独り言コラム
 筆者期待の上武大学が、昨日行なわれた箱根駅伝の予選会をトップで通過し、お正月の箱根駅伝に4年連続での出場を決めた。今年の上武大学は、来月の11月に行われる全日本駅伝にも初出場が決まっており、漸く、同大学の名前が全国区に浸透しつつある。花田監督体制が9年目にして実を結びつつあるのだ。
 上武大学が早大出身(彦根東高)の花田勝彦氏を監督に迎えて駅伝部を創設したのが2004年、5年後の第85回箱根駅伝の予選会で3位に入り念願のお正月の本番に初出場、それ以降、徐々に力を着けてきている。メンバーを見ていて感じたのだが、さすがに、このところ駅伝の有名高校からの選手が集まって来ているようで、この辺りが花田監督の知名度が貢献しているといえる。
 しかし、前3回の箱根の本番での戦いは、期待は大きかったが実力発揮に至たっておらず、いずれも最下位争いに参加していただけに、今回こそは、是非とも、シード権突破を果たしてもらいたい。
 なお、今回は久し振りに名門の順天堂大学が復帰するが、その一方で、82回の出場を誇っていた名門の日大、過去3回の優勝の実績のある大東大、それに、法政、専修などの名門校が予選落ちし不出場となった。歴史がある名門と言えども、予選を通らねば本戦には出場できない。
 プロ野球でもペナントレースで3位に入らねばCS(クライマックスシリーズ)には出場できない。最終盤に入って厳しい戦いが続いて、セリーグでは阪神が首の皮一枚で繋がってはいるが、昨日敗れたことでほぼ絶望となった。一方のパリーグでは、オリックス、西武が土壇場まで分からない混戦状態が続いている。どちらが予選会(?)を勝ち抜くか、面白い戦いだ。
 CS出場が絶望となった阪神では真弓明信監督が更迭されることになり、後任監督の話題が活発だ。梨田昌孝、和田豊、平田勝男の三人の「田」のついた方々の名前が取り沙汰されている。ここでは予選といった類のものはないが、それまでの実績、指導力、人間性などが総合された形での人選となる。つまり、名前が上がること自体が、予選突破ということに相当する訳で、それまでには、やはり厳しい選考が水面下で行われているといえよう。
 ところで、筆者が最も厳しい予選会と思うのは、将棋界での3段リーグでの戦いだと思う。とにかく40人近くいる天才が集まっている3段の棋士の卵たちから、年に4人しか4段になれない仕組みである。棋士と云うのは4段になって初めて与えられる称号で、今までにも、年齢制限もあって、多くの天才がそこを抜け切れずに去っていった。そこには多くの悲しい、気の毒なドラマがあった。
 そんな中で、前回の3段リーグで、奇跡的に逆転でその難関のリーグ突破を果した藤森哲也さんは、お母さんがプロ棋士の藤森奈津子さんだったことから、筆者がずっと注目して来た棋士である。今後もファンとしてしっかりと応援してゆく。プロの第一局はまだ決まっていない。
 言ってみれば、「人生とは、次々と行く手に立ちはだかる予選と云うハードルを、一つずつ越えて行こうとする戦いだ」ということが出来るのではなかろうか。
 
2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時30分起床。体重、61.5Kg。お天気は、回復に向かいそうだ。もう雨は上がっている。
 昨日の雅子は、痰は多かったがまずまずの一日だった。時々目を開けてはくれるが、いわば、寝たきりの状態の時間が多い。

3.連載小説、なんたるちあ(83)

   12 神の示唆 (3)

 ボールを投げて来てくれたのは金券屋の方だった。安くサービスするから、東京に行くのに「京都-静岡、静岡―東京」の二枚の切符を組み合わせて使ってくれないか、というのであった。安くしてくれるなら結構ですよ、ということで、往復用にそれぞれ二枚ずつを購入したのだった。そして、いざ帰宅しようとしたのだが、父親の症状次第では、若しかしたら、週明けの月曜日も休みを取ることになるかも知れないと思い、一旦大阪のオフィスに出て、メールなどの急ぎの業務を処理してから、大阪から乗ることにしたのである。そのため、大阪―京都間の切符を買い足して、大阪から新幹線に乗車した。この段階で、石田さんは、大阪―京都の実切符、それに京都―静岡、静岡―東京のエコノミー切符の三枚の切符を持っていた珍しいケースとなった。
 その列車は静岡停車のひかりだった。そのためか、車内検札は静岡を過ぎた頃に回って来たので、静岡―東京間の切符を見せたことが結果的には幸いしたのである。東京に戻って来たときには、何と「京都―静岡」のエコノミー切符が無傷で手元に残ったという。当然なことであるが、この無傷の切符は有効期限内ならいつでも使用可能である。石田氏のお父さんは、その後も病状がよくならず、同氏は数ヶ月に渡って毎週、東京―大阪間を往復することになったが、この際に、無傷を確保できたエコノミー切符を活用することで、何回かその恩恵に浴すことが出来て、トータルで結構な費用節減が出来たという。乗車毎にきちんとした切符を所有して乗車しているのだから、法的には問題ないはずだが、内心では『こんなに恩恵に浴していいものか』と若干引っかかるものがあったという。しかし、このアイディアは金券屋が、偶発的に誘導してくれたラッキーな結果を活用したもので、父親の息子への思いが通じた神の示唆があったのだ理解して、何回かその恩恵に与ったと純には告白したらしい。
 「なかなか面白い。これは事例8として登録しよう。ちょっと見では、事例6に似ているが、本質的に全く異なるパターンだ。つまり、目的の使用区間を三枚の切符に分割して乗車することで、うまく行けば真中の切符を無傷で確保できるという手段だよね。事例6においても、入場券を一枚の切符と見れば、同じく三枚の切符の範疇になるが、入場券には自ずから制約があって、その場合は、ステップ1と2のみに有効であるのに対し、本事例の場合には、その一枚が、ステップ3にも有効ということにもなる点で大きな違いがある。実に面白い事例の発見だよ。純もなかなかやるじゃない!」純の話を聞き終わると、相田はそのポイントを解説し、そのユニークな発想に上機嫌であった。
 「相ちゃん。これはいわゆるキセルの概念に似ているように思うけど、そうじゃないの」珍しくママがこの事例の基本的な概念について確認して来た。(以下、明日に続く)

1764 踏んだり蹴ったりとスッキリ

 一つの出来事が、一方には踏んだり蹴ったりであっても、別の人たちにはスッキリの気分を与えることもある訳で、二つは背中合わせの関係にあることが多いと言えよう。

1.独り言コラム
 洒落ではなく、タイ洪水が起きている。タイで起きている大洪水で、今までの事例とはスケールが違うようだ。この3ヶ月間に降った雨によるものだという。中でも、アユタヤ県にある工場団地で水没が起きていて、トヨタ、ホンダ、キャノンといった大手の日本企業が大被害を受けている。彼らは円高苦などから海外に逃れたはずだったのに、逃れた先でも大きな痛手を受けている。まさに、踏んだり蹴ったりである。
 このところの株価は、ギリシャの債務対策に絡み、スロバキア、イタリア、スペインなどのちょっとした動きに連動して、株価が上がったり、下がったりを繰り返している。今朝のニューヨークの株価は、また160ドル以上の上げで、ダウ平均も11644ドルレベルに戻って来ているのだが、東証は、その戻りが捗捗しくなく、昨日の大引けでも8700円台と低迷しているのが面白くない。
 何しろ、昨年の7月初めの頃までは、米国株が10000ドルだとすれば、東証もほぼ10000円と相拮抗していたのだが、それ以降、大きく解離して来てしまっている。つまり、上がったり下がったりしながら、日本株は全体として下降傾向が続いているのだ。早く、米国と同じ数字レベルに戻って欲しい。
 鳩山グループが、昨日福島県郡山市内のホテルで研修会を開いたが、参加したのが10人程度だったという。昨年には120人以上の多くが集まっていたのと比べると、まさに閑古鳥が鳴いていた訳で、如何にも寂しい限りである。鳩山お坊ちゃんの心境もさぞかし踏んだり蹴ったりの心境だったと思われる。
 さて、将棋竜王戦の第一局は渡辺明竜王の圧勝で、二日目の昼過ぎに挑戦者の丸山忠久九段が投了すると言う異例の早い時間での終局だった。丸山九段の構想に誤算があったのだろう。こんなあっさりした負け方は、踏んだり蹴ったりの心境ではなく、案外、スッキリしているのかも知れない。一方、同じ昨日行なわれたA級順位戦の第4局で筆者の贔屓の郷田九段が佐藤康光九段と対戦したが、いい処なく敗れて2勝2敗になった。不利とされている戦いに挑んだ郷田九段に誤算があったと思われる。これで、期待していた名人挑戦権は、遠のいてしまった。遅くまでインターネットで棋譜をフォローしていた筆者の心境は踏んだり蹴ったりだった。
 そんな中で、世界体操選手権の個人戦で、日本の内村航平選手が3連覇を果した。これは史上初の快挙で、久し振りの爽快なスッキリである。スポーツでのスッキリでは、巨人ファンはこのところ3連勝と快進撃が続いているし、監督更迭が話題になっている阪神も前日に続いての大勝で、ファンは快哉を叫んでいる事だろう。その反対に、踏んだり蹴ったりの気分で落ち込んでいるのは、ずっと首位を走って来ていたヤクルト関係者、及びそのファンだろう。中日に4連敗以降のヤクルトは死んでしまったような絶不調である。
 安全運転に終始している野田内閣だが、昨日、武器三原則の見直しに言及したという。先に前原政調会長が米国でその主旨の講演を行ったことが勇み足だと批判されていたが、どうやら、野田総理はその方向に舵を切るのだろうか。この辺りで、スッキリした野田総理の姿勢を見せて欲しいものだ。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時50分起床。体重、61.5Kg。お天気は、雨模様でぐずついた一日のようだ。
 昨日の雅子は、安定していたようだ。午後には入浴。この日の昼間前から4時半まで小学校時代の仲間とのクラス会に出ていたので、その間は、雅子は一人で頑張っていた。幸い、トラブルはなかったようだ。

3.連載小説、なんたるちあ(82)

   12 神の示唆 (2)

 ママの登場に、二人は弾んでいた会話を止めて、笑顔でママを迎え入れた。ママも何故かご機嫌の様子でにこやかに挨拶した。この夜のママはいつもの地味な衣装ではなく、オレンジ系統の明るいスーツで、実年齢よりかなり若目に映っていた。
 「ママ、とても素敵じゃない。よく似合ってるよ」純がストレートに声を掛けた。
 「何かいいことでもあったの?」女性は衣装で随分違って見えるんだなあと実感しながら、相田も軽くボールを投げた。
 「いいことっていうことじゃないけど。うちのちびがね、急にコンピューターを習うと言い出してね。今まで、何もせずぶらぶらしていて困っていたの。とにかく何か役に立つことをマスターしてくれればと思っていたものだから、ほっとしているの」ママと言えども母親には変わりない。珍しく心底嬉しそうに家庭の事情に触れた。
 「ちびって、息子さんでしょう。それはよかったじゃない。お幾つだったけ?」と純。
 「もう、二十七よ。少し甘やかせてしまったと反省しているの。コンピューターでもマスターしてくれれば、就職にも役立つんじゃないかと思ってるの」
 今まで店では滅多に見せなかった母親の一面を、この夜のママは珍しくストレートに表現していた。三人だけの場ということでママも気を許していたのだろう。大分以前に、相田は、ママが若くして結婚し一人の子供をもうけたが、その後離婚という苦しい選択を余儀なくされ、引き取った息子を女手一つで育てて来た苦労話を聞いたことがあった。苦労して育てて来ただけに、息子のちょっとした成長にも心底喜んでいるママの気持ちは充分に理解できた。
 そんな思いも寄らないハプニングがあって、臨時研究会は和気藹々の中で始まった。中身は純の予告していた面白い「手段」の紹介が主役となった。それは、純が友人から聞いた話として紹介されたが、その手段もさることながら、全体のストーリーも大変興味深いもので、今までの事例に比べてもユニークで面白いものだった。 
話の概要は次のようなものである。
 実家が市川で東京勤務だった知り合いが付き合い始めて間もなく大阪転勤になった。まだ独身であったことから、そのまま京都にある会社の独身寮から大阪のオフィスに通勤している。ここで、便宜上その友人の名前を仮に石田としておこう。
 つい数ヶ月前の土曜日、高齢で体調を崩していた石田のお父さんが重体となり、家族から至急帰って来て欲しいとの連絡を受け、急遽、実家に帰るべくエコノミー切符を買おうと近くの金券屋に行ったのが、この話しの切っ掛けである。(以下、明日に続く)

1763 想と創

 一つの漢字の意味するところを自分なりに解釈するのは楽しい事である。かつて、筆者は「創」という文字が好きだった。「人生は自分の歴史を創ること」であると考えていた頃の話で、今から半世紀も昔のことである。

1.独り言コラム
 昨日から第24期将棋竜王戦が始まった。渡辺明竜王(王座との2冠)に丸山忠久九段が初挑戦するシリーズである。渡辺竜王は、このタイトル戦では、目下7連覇中である。また、前月に行われた王座戦では、2度目の挑戦者となって登場し、羽生王座の20連覇を阻止し、初めて王座をも奪取して2冠となったばかりで、絶好調のようである。一方の挑戦者となった丸山九段は、名人を2期務めた実力者で、挑戦者を決める決勝戦では久保2冠(王将・棋王)に競り勝っての登場である。楽しみな7番勝負の始まりである。
 戦いを前にして二人が記念の扇子に揮毫した文字は、渡辺竜王が「想」で丸山挑戦者が「創」である。筆者の解釈は、渡辺竜王が「想を練って戦いに挑む」といった気合を示したのに対し、丸山挑戦者は「歴史に残るような名局を創るぞ」といった気持ちを表したのではと読んでみたが、如何であろうか? 筆者は、4勝1敗で渡辺竜王の防衛と見ているのだが…。
 筆者は竜王戦には縁があって過去に2回も観戦ツアーに参加しているが、その2回目が2004年に韓国のソウルで行われた第17期竜王戦で、その時の森内俊之竜王に渡辺五段(当時)が初めて挑戦した時だった。因みに、この時の二人は、記念の扇子には、森内竜王が、「深」で、渡辺挑戦者が「活」と揮毫している。当時、渡辺挑戦者は20歳になったばかりの若さで、久し振りの大型棋士の登場で注目を浴びていた。その時点で、同氏は既に結婚していたが、まだ子供のようなあどけなさが残っていたのが印象深かった。筆者の話し掛けにも取り繕うこともなく、はきはきと答えてくれていたのが気に入って、その時以来のファンでもある。
 結果的に言えば、渡辺挑戦者が、そのシリーズを4勝2敗で勝って竜王位に着き、その後ずっと竜王位を保持し続けている。その間には、羽生名人の挑戦を受けた3年前のシリーズでは、将棋界初めての3連敗4連勝と言う離れ業をやってのけて奇跡的な防衛を果したことは記憶に鮮明に残っている。
 なお、私的なことだが、このツアーに、難病の悪化が目立ち始めた妻を伴って参加したのだが、それが、二人が行った最後の海外旅行となっただけに、筆者には特に忘れられないシリーズだった。
 ところで、今回二人が揮毫した「想と創」だが、この漢字をそのまま今の野田内閣に送りたい気持ちである。
災害対策、特に原発問題、円高株安に絡む経済問題、年金問題、選挙制度改革問題などの他、外交の沖縄基地問題、TPP参加問題などなど難問山積である。関係閣僚を軸として、きちんとした「想」を練り、それを実行することで、新しい日本の歴史を「創」って欲しいと思う。野田佳彦総理の指導力が問われているのである。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時40分起床。体重、61.7Kg。お天気は、雨の予報。
 昨日の雅子は、まずまずの様子だったが、目もほとんど開いてくれず、いわば、寝たきりの状態なのが気掛かりだった。

3.連載小説、なんたるちあ(81)

  12 神の示唆 (1)

 新しい仕事に移った相田は、気分爽快とは行かなかったが、それでも与えられた仕事に精を出していた。蘭のママから逆説的に「諦めたら」と言われたことが気分を楽にさせていた。元来、根が真面目な相田だっただけに、心中穏やかならざるものを抱いてはいたが、従来と変わらない真面目さで、新しい仕事に取り組みを続けていた。新しい仕事は、今までの顧客を相手にする仕事と違って製品戦略を取り仕切るのが役割だった。従って、今までのように社外に出て顧客を相手にするのではなく、社内でのデスクワークに終始することが殆どだった。そういうことから勤務パターンも今までの外勤型から内勤型に変化していた。また、上司が同期の仲間になったことで、気安い気持ちでの付き合いが出来る一方で、忸怩たるものを自覚することもあり、名状し難い複雑な心境であった。幸い、新しい業務そのものは次第に相田の味を出しながら順調に推移し始めていた。
 三回目の敗北記念日の夜、帰り掛けに純から「面白い手段」が見つかったとのことで臨時研究会の開催の要求を受けていたこともあり、仕事が落ち着いて来た頃合いを見計らって、その開催をすることにした。集まったのは、ゴールデンウイーク明けの金曜日だった。連休からずっと晴天が続いており、この日も爽やかで快適な夕べだった。相田が顔を出した時、純が一人で店の掃除や準備をしており、ママの真奈美はまだ来ていなかった。
 「大阪の友達の所へ行って来たの」相田から連休の過ごし方を聞かれた純が、けれん味なくそう答えた。
 「大阪によく行くけど、その人は大切な人なの?」相田が少しからかうように聞いてみた。
 「それは内緒、秘密なの」純は真面目な顔つきで返答を拒否した。
 「何も隠すことないじゃない。僕達の仲じゃない」
 「何よ。僕達の仲って? 特別に何かあるって訳でもないよ」少し興奮すると純の日本語が可愛く変化する。
 「よく言うよ。ちゃんとした研究会の仲間じゃないの。僕達の仲間では秘密は無しだよ」
 「ああ、そうなんだ。研究会の仲間ね。仕方ない。ご想像に任せるわ」
 「なるほど。なかなかやるじゃない。でも、どうして大阪の人なの。あなたは中国から来てずっと東京じゃない」
 「そうじゃないの。付き合って直ぐに大阪に転勤してしまったの。だから、私も時々大阪に行くの。お金掛かって大変なのよ。だから、研究会のメンバーにして頂いたのよ。でも、ママには内緒よ」少し照れるような表情で純は告白した。
 「了解、了解。約束はしっかり守るよ。しかし、今の、『だから研究会のメンバーにしてもらった』はまずいよ」相田が笑顔でそう言った時、静かにドアが開いて、待ち人のママが顔を出した。(以下、明日に続く)

1762 問われる指導力

 戦いには、それを率いる監督などの指導者の指導力が影響するところが大きい。そういう意味で、野田船長率いる日本丸は大丈夫なのだろうか。

1.独り言コラム
 欧州の基金拡充策に一旦は否決したスロバキアだったが、EU連合ファンロンバイ大統領らからの強い要請、指導があって、一転して可決される見通しだという。連立与党内での反対派と賛成派との激しい駆け引き、闘いの結果だそうだ。
 この動きを受けて株価の動きも鋭敏に反応し、昨日一旦低迷したダウ平均も、今朝は100ドルを超す上げを見せていて、この3日間で400ドル以上の大きな上げとなっている。しかし、ギリシャの財政問題はこれで解決する訳でもなさそうで、先行きの不安は絶えない。
 一方、国内では、震災対策が懸命に進められる一方で、野田総理の要請で、自由貿易を目指すTPPへの参加を巡って、関係閣僚を軸とする議論が開始された。ここでは、野田総理の強い指導力が試されることになる。
 プロ野球では、中日の落合監督の強い指導力が目立った一週間だった。昨日もヤクルトに勝って3タテとし、優勝へのマジックが4と出た。巨人軍では、鬼より怖い渡辺恒雄球団会長から「Bクラスなら大粛清をおこなう」との雷があって、その効果(?)があったのか、阪神に二日連続でさよなら勝ちをし、CSシリーズ出場権を大きく引き寄せた。鮮やかだったのは、一昨日の藤村大介選手の「さよならヒット」、昨夜の代打の高橋由伸選手の「さよならホームラン」だった。一方、一昨日はエースの藤川球児投手で、昨夜は、頼みの榎田投手が打たれての痛過ぎる敗戦を喫した阪神には、「まだ諦めてはいないという」真弓監督の悲壮な言葉が虚ろに響いていた。ここで、改めて「真弓明信監督の指導力が問われることになるだろう」と思っていたら、今朝のスポーツ紙には解任の大きな文字が躍っている。怖い世界だ。
 33年ぶりの優勝を狙った男子体操の世界選手権は、逆転を賭けた最後の鉄棒で、田中佑典選手とエースの内村航平選手の二人の落下があって、期待の金メダルを逃し、宿敵の中国に5連覇を許した。ここでは監督の指導力というようなものではなく、純粋な技術の落し穴に引っかかったもので、文字どおり痛い落下だった。
 さて、11月27日に行なわれる大阪の知事と市長のダブル選挙が注目されているが、昨日になって突如、丸山和也参議院議員が、自民党から出馬の要請を受けたことが判明し大きく取り上げられた。本人は想定外ということで出馬を否定した。どうやら、自民党の大阪府蓮の指導力不足で、勇み足があったようだ。
 今日からはゴルフの男子の日本オープンが始まる。今年はまだ優勝がない石川遼選手の戦いが注目されている。また週末には箱根駅伝の予選会が行われる。筆者は花田勝彦監督が率いる上武大学の4年連続の予選会突破を期待している。ここでは、監督の指導力は大きな鍵を握っている。
 指導力というものは、その指導者の持っている哲学から滲み出てくるものだと思うのだが、…。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時起床。体重、61.3Kg。お天気は、崩れる方向にあって、夕方には雨の可能性もあるという。
 昨日の雅子は、熱もなく、痰も少なくまずまずの一日だった。午後には、前日に続いて車椅子での散歩を行なった。どうやら、寝ている時間が増えているようだ。

3.連載小説、なんたるちあ(80)

   11.致命傷(10)

 ママもグラスに少し口を付けたが、直ぐにいつものような淡々とした口調で話し始めた。
 「相ちゃんが、ここに顔を出す度に敗北記念の乾杯をしているみたいね。どうなってるの? お気の毒だけど、もう敗北には慣れ過ぎているんじゃない。この際、思い切って出世なんて諦めたら? すっきりするかもね」予想外の冷たい返答がママから返って来た。優しい励ましの言葉を期待していた相田は、それがあっさりと裏切られたことに、返って、何か吹っ切れたものを感じていた。
 「そうするよ。その方が楽だからね。あの新幹線の研究にでも集中することにしよう。他にやることもないし」ママの反応に合わせて、相田も冗談っぽくそう言って笑った。歪んだ笑い顔だった。
 「そう言えば、土屋さんね。まだ暫くは帰って来られないようだよ。一度、私達だけで研究会やってみない?」想い出したようにママが土屋の話を出しながら、研究会の開催を提案した。そう言えば土屋とはあれ以来会っていない。
 「そうね。一度やってみようか。何か面白い『手段』でも出て来たの?」
 「純が面白い話があるって言ってたよ。考えて置いてちょうだい。私、ちょっと失礼しますよ。今夜は珍しく忙しいの」ママはそう言うとカウンター内から外に出てボックス席の方に向った。カウンターにも数人が残っていたが、みんな仲間同士のようで、相田一人が隅の席に取り残された形になった。相田は暫く物思いに耽りながら一人ぽつねんとグラスを口に運んでいた。時々、ママが戻って来てグラスを新しい液体で満たしてくれたが、相田の寂しさは満たされることはなかった。頃合を見計らって相田は席を立った。店を出ようとすると、その夜は一度も相田のところに顔を出さなかった純が目敏く見つけ、勢いよく追って来て相田に囁いた。
 「とても面白い手段を見つけたわ。出来たら近々研究会をやらない。土屋さんなしでいいじゃない」純のイエローのスーツが何故か色っぽく映えていた。
 「面白い手段か。よし、分った。早急に臨時研究会をやろう。日程は後で連絡するよ」純の研究会開催の申し出に、相田は何か爽やかなものを感じながら店を出た。冷たい外気が気持ちよかった。(以下、明日に続く)

1761 ファンも苦労しているのだ

 ファンって不思議な存在で、自分に直接何の利害関係もないのに、その対象の勝ち負けなどに一喜一憂する。精神的な支えになっているからなのだろうか。今朝はファンの心理に迫ってみた。

1.独り言コラム
 今の歌謡界では、水森かおりさんのファンと自称している筆者だが、今までは、単にテレビで見て楽しんでいるだけで、彼女の歌を一曲も自分で歌うことは出来なかった。しかし、最近、カラオケを楽しむようになって、彼女のファンとして、彼女の歌の一曲ぐらいはマスターしようということで取り組み始めたのは二ヵ月ぐらい前の事である。取り上げた曲が、彼女を歌手として、スターダムに押し上げる切っ掛けをつくったヒット曲「五能線」(作曲は弦哲也)である。なお、彼女のファンになったのは、その容姿と歌のうまさで、特に、その高音部の綺麗な声が素晴らしく、癒し系の対象として気に入ったからである。
 さて、練習を始めて気がついたのだが、この歌は、出だしが八代亜妃の「雨の慕情」(作曲は浜圭介)に、サビの部分が都はるみの「北の宿から」(作曲は小林亜星)、そして他にも、耳に残っている他の曲が沢山あるようで、一時はトラウマに捉われたように、なかなか覚えられずに四苦八苦していたのだったが、繰り返し練習を重ねた結果、最近になって、漸く、何とか全国平均点(84点)を突破するまでにマスターできるに至った。二ヵ月かけての頑張りの結果である。ファンもここまで頑張らねばならないかと自問自答する一方で、これでやっと本当のファンになれたのではとちょっとした満足感に浸っている。
 将棋の棋士、郷田真隆九段(才能、人柄に惹かれて)の大のファンでもある。同氏の対局日には、棋譜中継がある場合には、対局の始まる朝から、終局の深夜に至るまで、はらはらしながらその進行を深夜までフォローする。途中では自分が郷田棋士になったつもりで応手を考えたりし、当たっていた場合は「やった!」といった感じで喜んだりする。そして、とにかく勝ってくれればほっとするのだが、負けた場合には身体から力が抜けたようにがっくりとなる。高がファンだが、されどファンなのである。また中継がなかった場合は、翌朝にその結果をインターネットで確認するのだが、その部分の画面を見る際には胸がドキドキする。恰も、何かの合格発表などを見るときのような感覚だ。何も、そこまで執着することもないだろう、と思うのだが、ファンっていうのは、そこが不思議なのだ。
 ゴルフの不動祐理さん(高度な技術)や宮里美香さん(彼女の生き方に共鳴)の場合も同様で、インターネットでホールバイホールをフォローしながら、苛立ったり、喜んだり興奮していることが多い。また、強いアンチ宮里藍でもある筆者は、その藍さんのスコアーにも同様に一喜一憂しているのだ。
自分の実生活になんの関係もないのに、どうして、そんなに気を使い、やきもきし、一喜一憂するか、ファンという存在が不思議で仕方がない。そんなにエネルギーを使うなら、ファンなんて止めてしまえば良いだが、それが、なかなか止められないのだ。
 そう言う意味では、阪神ファンやヤクルトファンは、今朝はすっかり落ち込んでいることだろう。昨日の痛い敗戦で、どうやら阪神はクライマックスシリーズへの出場は極めて難しくなったと思う。果たして、最後の巻き返しはあるのだろうか。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時10分起床。体重、61.5Kg。お天気は、晴れ時々曇りだという。
 昨日の雅子は、前日の熱も下がってまずまずの一日だった。午後には、前日しなかった車椅子での散歩を行なった。夕方には、神経内科の先生の回診を受けた。

3.連載小説、なんたるちあ(79)

   11.致命傷(9)

 その日、そのお祝いの会が終ってから、相田は無念の気持ちを発散するため、バー「蘭」に顔を出した。久し振りのことだった。それと言うのも、このところ、トメタイト社とのゴタゴタが続いたことや、土屋がロンドンから帰って来ないこともあって、相田の「蘭」への顔出しもめっきりと減っていたのである。
 その夜の「蘭」は、珍しく大勢の客で込んでおり、店内全体がエキサイトした状態にあった。暫く来ない間に店の雰囲気も変わってしまったのかも知れないと相田は思うのだった。どうやら、どこかの団体が送別会の流れで大挙して来ているようだった。そう言えば、この三月から四月にかけては、送別会と歓迎会の季節だなあと相田はしみじみ思うのだった。とりあえず、空いていたカウンターの隅に腰を下ろした。
 「大盛況で何よりですね」相田はカウターの中にいたママにそう言って挨拶した。
 「あら、相ちゃん、お久しぶり。このところすっかりお見限りなんだから」やっと気づいたママが嬉しそうにそう言ってお絞りを出してくれた。
 「いつものホットでいい?」
 「任せるよ」相田はそう言いながら、盛り上がっているボックスの方に目を遣った。純が懸命にサービスに努めている姿が目に入ったし、暫く見なかった由夏ちゃんや綾ちゃんも出て来ていて、甲斐甲斐しくサービスに努めていた。彼女達は相変わらずキュートであり、楽しそうに、エネルギシュに働いていた。純は今夜もイエローのスーツを着こなし一段と大人になっているように思えた。そんな喧騒の中で、相田は、ここ数日のドラマを思い出し、自分が演じた悲劇の主人公の辛さを改めて噛み締めていた。
 「お待ちどうさま。久しぶりね。取りあえず乾杯でもします?」ママがビール瓶と二つのグラスを持ってカウンターの中から挨拶した。
 「そうね。久しぶりです。今夜もまた敗北記念日の乾杯と参りましょう」空元気を装いながら、相田は明るい表情を繕いながらそう言って、ママのグラスにビールを注いだ。
 「あら、あら、また敗北なの?」
 「そういうこと。俺って駄目なんだなあ。また置いてきぼりを食ったよ。これでサラリーマンの戦いも終わりだよ」寂しそうにそう言って、自分は、お湯割のグラスを少し持ち上げて乾杯の仕草をして、グラスを口に運んだ。熱い液体が喉に刺激を与えながら流れ込んだ。相田は悔しい思いを一気に飲み込んだように思った。(以下、明日に続く)

1760 ぎりぎりの戦い

 土壇場、土俵際などに追い込まれた窮地でのぎりぎりの戦いには迫力があって面白い。しかし、それが、世界規模での政治や経済の話題では、そんな余裕はなく、先行きへの心配、懸念が先行して不安が募ることになる。

1.独り言コラム
 ギリシャ、イタリアの経済問題が注目されている中で、ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が軸となって金融安定化基金の拡充で意見が一致、債務危機の包括策を進めるようだ。このことを好感して、今朝の米国ダウは何と、330ドルの超大幅な上げとなっている。ぎりぎりの戦いを評価したわけだが、スロバにアでは反対の動きもあって、ことの成り行き次第では、その反動も懸念される。暫くは、ぎりぎりの闘いが続くだろう。
 一方の日本でも、安全運転の野田総理も、ここに来て漸く動き始めた。来月に行われるAPECで、オバマ大統領との会談が予定されていて、それに間に合わそうと、TPPへ参加への結論を出すために関係閣僚に対し検討を指示した。一夜付けの宿題を片付けようとするもので、農業対策が大きな鍵を握るが、ここでもぎりぎりの論戦(戦い)になりそうだ。
 文字通りぎりぎりの戦いを演じているのが、プロ野球の終盤戦で、セ・リーグの中日とヤクルトとの首位争い、阪神、巨人の3位争い、それに、パ・リーグのオリックスと西武の3位争いが熾烈だ。どうやら、セ・リーグの優勝は中日が一歩抜け出したようで、このまま逃げ切る可能性が大きい。一方の3位争いは、ここに来てオリックスが不振に陥っていること、巨人に本当の強さが見られないことから、追い上げている西武、阪神の勢いが勝るように思われる。果たして、逆転3位はなるのだろうか。
 注目を集めたノーベル賞週間が終った。受賞が期待された医学・生理学賞の候補だったiPS細胞の生みの親である京大の山中伸弥教授、それに「ノルウエイの森」や「海辺のカフカ」などの著者の村上春樹さんらは、ぎりぎりの戦いの結果、今年も選考からは漏れてしまった。日本にとっては、空回りに終ったちょっぴり寂しい一週間だった。
 テレビのクイズ番組でも面白いぎりぎりの戦いが放映された。昨日のテレ朝の「Qさま」では漢字日本一が争われ、本命のロザン宇治原(史規)がベスト4に入れず敗退し、また筆者の気に入っている、かわいい若手の美女の村井美樹も準決勝でやくみつるに惜敗、そのやくみつるさんが、伊集院光に逆転勝ちして2度目の優勝を果たした。いずれもぎりぎりの戦いだった。なお、伊集院さんは高校中退というハンディにも関わらず大健闘で、随分と勉強しているのだろうと思う。
 また、10日ほど前に行なわれた同じテレ朝系列の雑学王決定戦でもぎりぎりの戦いの結果、意外にも元フジテレビのアナウンサーだった山中秀樹さんが優勝、2位に元NHKアナウンサーの吉田たかよし(東大)、3位にロザン宇治原と宮崎美子さんだった。有名人の知恵比べはなかなか面白い。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時起床。体重、61.5Kg。お天気は、洗濯日和だそうだ。
 昨日の雅子は、終日に渡って熱があったので、午後に予定していた車椅子での散歩も取り止めた。見た目ではそれほど苦しそうではなかったのが救いであった。

3.連載、なんたるちあ(78)

   11.致命傷(8)

 翌朝、相田は、役員会が始まったタイミングを見計らって会社に顔を出した。それから、やおら、資料を持って小山の部屋を訪ねるべく自分のオフィスを出た。小山の部屋は株主総会が行われている会議室と同じ一つ上の階にある。相田はゆっくりと階段を登って行ったのだが、上り切って、小山の部屋に行こうとしたところで、ちょうど取締役会が終ったようで、役員達が談笑しながらその部屋から出て来るところに出くわしたのである。そして、皮肉なことに、その人たちの中に、パリッとした背広に身を包んでにこやかに笑っている小山の姿を見つけたのである。なんという、神様の思し召しなのか、相田は立ちすくんだまま彼らが通り過ぎるのを、俯いた姿勢で見送ったのである。悔しさを越えた衝撃があり、改めて自分が取り残されたのを知ったのである。
 結局、その日は相田にとって、それまでのサラリーマン人生の中で最も辛い一日となった。その関連人事で、相田は、建設事業部長からスタッフ部門である製品企画部長への移動が発令され、選任されたばかりの小山新役員の配下に置かれることになったのである。同期の友人であると同時に今までの良きライバルであった小山を上司に持つということは、相田にとってはまさに青天の霹靂であった。その一方で、あの宮田は常務から副社長に昇格していた。相田にとっては、全てにおいて、何とも面白くない人事であった。もはや取締役への可能性は極めて乏しくなったと相田自身も考えるようになっていた。トメタイトでの汚点があったことから、相田はある程度の辛さは自覚していたが、実際の発令を受け取ってみて、その覚悟を遥かに超える厳しさを味わっていた。相田は、自分の頭の中で、失望が諦めを誘導して行くのを自覚していた。
 数日後、小山取締役就任のお祝いの会が催された。部下となった以上顔を出さない訳には行かなかった。関係者二十数人が集まっての温かい祝賀会での相田の心境は複雑だった。勝者がいれば敗者が生ずるのは当然の成り行きなのだが、いざ、自分がその好まざる立場に立たされた場合の辛さは言葉では表現し難いものがある。当然なことだが、盛り上がっているお祝いムードに水を注してはいけないとの配慮も必要で、努めて明るく振舞っていたが、そのための精神的な苦痛は並大抵ではなかった。小山もそんな相田に配慮して「少し先に二階に上がって待っているようなものだよ。君も直ぐに上がって来ると思うよ。待っているからね」と言って慰めてくれた。それが、単なるリップサービスと分っていながらも、相田は、ほっとさせるものを感じるのだった。そんな他愛無い心の動きを味わいながら、相田は改めて人間って極めて単純な生き物だとも思うのだった。(以下、明日に続く)

1759 綱引き

 初期のオリンピック(第二回から第六回)には「綱引き」が行なわれていた。物は考え方だが、世の中では、常にいろんな形の綱引きが行われている。世界的に影響を与える綱引きもあれば、近所との間でのちょっとした綱引きといった類のものまで多士済々である。

1.独り言コラム
 裁判も検察官と弁護士の綱引きだと見る事ができるが、その渦中の被告である石川知裕氏が、昨日放映された「たかじんのそこまで言って委員会」に出演していた。
 筆者が驚いたのは「1億円ずつ入っている紙袋、4つを個人事務所から陸山会の事務所に自分が運んだ」という生々しい証言で、リアリティがあって衝撃的だった。また、同氏は、最近は小沢一郎氏とはほとんど話す機会がない。最近出版した「悪党、小沢一郎」についても、そのタイトルは、自分で勝手に決めたという。相談すれば、許可されないことが分かっていたからだと説明していた。
 同氏がこの番組に出演したことでの一般的な印象としては、なかなか正直そうな男だということで、好感度が上がったのではないかと思われる。
 しかし、筆者の印象は、淡々とした喋り方の中に、細かく計算された思惑をきちんと植え付けながら、始まったばかりの小沢氏の裁判に、無罪の道を切り開く貴重な布石を打っており、なかなか大した男だと感じた。要するに、「何でも一々親父さんには相談せず、自分で勝手にやっていた事が多いんだよ」という雰囲気を醸すことには成功していたと思う。これは、4億円と云う大金の扱いに、小沢氏が報告を受けていないはずがないと言う見方に一石を投じていたことは確かである。
 ところで、事情聴取の段階で、親父に報告したと供述した調書に何故サインしたかと辛坊氏からの確認に対し、その答えが曖昧だったのが気掛かりである。要するに、今度の裁判で、この調書の採用の有無が結論を分けることになりそうだけに、注目される重要なポイントだからである。
 どちらにしても、小沢氏の強制起訴での公判と石川氏らの二審の裁判の行方は、この調書を巡る検察側と弁護士側との綱引きが展開されることになろう。
 その小沢一郎氏の証人喚問に関しても民主党と各党間で綱引きが行われているが、野田総理が決断しない以上埒が開かない実情にある。安全運転の野田総理は、結局は何も出来ないのではなかろうか。
 ところで、昨日、東京の昭島市で行われた運動会での綱引きで綱が切れて16人が怪我をし、8人が病院に運ばれたという。そういえば、妻の雅子が元気だった頃、町内の運動会でたまたま筆者が見ている時だったが、綱引きで綱が切れて、妻を含めた多くの方が強くしりもちをついた事故があったのを思い出した。幸い、病院に搬送されるような負傷者は出なかったが、あの時に受けた衝撃が後の難病の原因に繋がったのでは、なんて考えてしまう筆者である。
 とにかく、綱引きで綱が切れるようでは話しにならない。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時20分起床。体重、61.4Kg。お天気は、今日は晴れたり曇ったりの一日という。
 昨日の雅子は、相変わらず、ほとんど寝たきりの一日だった。ところで、ここ半年間での体重が少しずつ減少していることに関して、K先生から栄養状態には全く問題ないとの返事を頂戴した。このままの栄養剤の投与を継続するということだった。

3.連載、なんたるちあ(77)

   11.致命傷(7)

 そして、だんだんとその日が近づいて来ると相田の不安はどんどんとエスカレートして行くのだった。その数日前になって、相田はその不安を解消したいがために、前にも試みた事がある、その日の同氏の予定を確認することにした。幸いにも、ちょうど仕事の関係で、同氏からある資料の提供依頼を受けていたので、その手渡すタイミングについて確認することを口実に電話を入れて、その日の同氏の段取りを聞いてみたのである。
 「ああ、その日なら大丈夫だよ。ずっと社内にいるから」小山は、相田の意図を知る由もなく、何らこだわりなく答えた。
 「そう、よかった。じゃ、資料を出すのはその日の午前中でいいかい? ちょっと補足説明をしたいので、自分で持ってゆくわ」相田は、取締役会が午前中に行われることを知っていたので、わざとその時間をぶっつけてみた。
 「OK,短い時間なら、多分大丈夫だと思うよ」小山の返事は淡々としていて、取締役会に出ると言った雰囲気は感じられない。
 そんなことだったので、相田は、ひとまずは、小山ではなさそうだとほっとするのだった。
 それでも、周りの雰囲気からは何となく自分が疎外されているように感じられ、小山に光が当てられているように思われて仕方なかった。明日が、その日だというその日、家に帰っても落ち着かなかった。そこで、時間を見計らって相田は小山の自宅に電話を入れたのである。今一度、小山の昇格の可能性について確認しておきたかった。
 「すまん、家にまで電話して。実は、明日は、急に用事が出来てお客さんに直行することになった。11時頃までには戻るので、あの資料は、戻り次第直ぐに届けるよ。それでいいかい?」
 「それでいいよ。一刻を争うようなことはないから大丈夫。午前中は多分席にいると思う。若し、席を外していたら、そのまま置いてくれていいよ」
 小山のその返事は、前回とは少しニュアンスが違っていた。相田は、その変化に複雑な気持ちを味わうのだった。多分席にいると言うことは、小山じゃないと言うことになるし、席を外しているかもしれない、ということは、若しかしたら…。相田の不安は大きく拡がってゆくのだった(以下、明日に続く)

1758 サワコの朝

 阿川佐和子さんを起用した対談番組「サワコの朝」が面白い。

1.独り言コラム
 この10月から始まったTBS系列の新番組、「サワコの朝」が面白い。土曜日の朝の7時半からの放映で、2回目の昨日は、楽天の名誉監督の野村克也さんが出演していた。阿川佐和子さんは、あの「テレビタックル」の司会で、論客の猛者連中を相手に、その存在感を実証しているが、なかなかの場を作るのがお上手で、また話術にも独特の味があり、加えて妙なお色気もあって、非凡な人材だけに、なかなか面白い番組になりそうだ。
 対談では、父親が戦死し、母親一人での貧乏だった幼い頃から、お金儲けが出来る仕事と言うことで、当時のスターだった美空ひばりに触発されて歌手に、続いて俳優の佐田啓二に憧れて俳優に関心を持ったが、いずれも素質なしということで、プロ野球の選手を目指すことになったという。一時は母親から高校進学を諦めて欲しいと言われたが、お兄さんが母親を説得して峰山高校に進んで、その道の切っ掛けをつくった。高校時代では、京都の西京極球場での予選でホームランを打ったが、スカウトは誰も自分に注目しなかった。結局、南海ホークスが募集したテスト生に応募し合格して入団したという。この時、テストを受けに大阪に行くのにお金がなく、当時の学校の監督が出世払ということでは支払ってくれたという辺りは泣かせる話だった。そして、数百人が応募して、最終的に6~7人が合格したというのだが、よくぞ、その中に入ったと語っていた。まさに、人に歴史ありで、大成した人の話には感動がある。
 マー君、こと田中将大とハンカチ王子の斉藤佑樹について聞かれて、四年間プロで鍛えたマー君が一歩先んじている結果が出ていることを捉え、同氏は投手と捕手については、プロでやるつもりなら、高校から直接プロに入いることを強調していた。驚いたのは、本人は、今も闘志は健在であるので、監督の要請があれば、何処のチームだってOKだと就職活動をしていた辺り、努力の達人の凄さだろう。
 ところで、「サワコの朝」も面白いが、今年のプロ野球の行方もなかなか面白い。いよいよ最終盤に入って来ているが、ソフトバンクが優勝を決めた以外は、セ・パ共に未だに混沌としていて、何処が勝ち残るか全く掴めない状況だ。
 それに、ここに来て目立つのが、エースが打たれて勝ちきれないケースが幾つかあって、面白さを更に大きくしてくれている。例えば、一昨日の中日の浅尾拓也投手は巨人軍の反撃にあって、最終回に同点に持ち込まれたし、その前日のオリックスは、金子千尋投手が9回の裏に、当面の敵のライオンズに同点に追いつかれて、チームは結局さよなら負け、また昨日の阪神の藤川球児投手も、横浜にさよなら負けを喫している。
 エースたちも人間であって絶対ではない。だからこそ、面白いのである。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時起床。体重、61.1Kg。お天気は、今日も秋晴れの一日という。
 昨日の雅子は、この日も痰が多くて苦しんだ。時々目を開けてみてくれるのだが、焦点が定まらない時もあって心配。その一方で、朝には、テレビ画面に目を遣っていることもあった。一つ、一つの動きが気掛かりである。

3.連載、なんたるちあ(76)

    11.致命傷(6)

 幸いだったのは、社内手続き、両親会社への了承の取り付けに関しては、上司の宮田常務が持ち回り投資委員会などを行って、率先して頑張ってもらったことで、今までに無いスピーディな結論を出すことが出来たことだった。宮田常務も自らがトメタイト社にそういったお願いをしていたことから、自分の力が試されているという見方もあって、積極的に動いてくれたのである。
 両親会社から承認を得るに際しては、いずれからも投資効果について厳しく確認して来たのだが、そうしなければ現行のビジネスを守ることが出来ないと開き直って了解を取り付ける一幕もあった。かくして、投資額およそ四億、50万株強のトメタイト社株式取得作業は、スピーディに年末ぎりぎりに全ての必要な手続きを無事完了することが出来た。前回のトメタイト社の増資時に、当社に声が掛からなかった理由が当社のデシジョンにスピーディ性が欠けるとの指摘に対し、勢いで、当社も対応可能と言い切っていただけに、何とかその面目を保つことは出来たのは幸いだった。
 これで、当面のビジネスの安定は確保されたのだが、両親会社やトップが期待するシェアーの奪回には繋がるものではなかった。いずれにしても、相田にとっては波乱万丈の91年だった。
 翌92年の年明けは、相田にとっては、久方ぶりに穏やかなスタートとなった。トメタイト社との大きな課題である株の引き受けも、年末には一段落していたし、ビジネス全体も大きな落ち込みもなく比較的堅調であった。しかし、三月末の定期株主総会で二年毎に行われる役員改選が迫って来ていた。相田の頭の中では、前年度のトメタイト社でのシェアーを失うという大きな失点もあって難しいと覚悟をしている一方で、そのトメタイト社でのシェアーのロスを最小限に食い止め、株式を取得することで競合相手の新進化学に対し主導権を奪回出来た点で評価を得られるのではとの淡い期待もなくはなかった。
 いずれにしても、その株主総会が行われる直前までは必死になって業務に集中し、それ以上の失点を作らないように努めていた。
 そんな中で、相田はライバルであり友人である事業企画部長の小山の動きに注目していた。酒場などでの話題でも、同氏の下馬評は安定しており、相田もやはり同氏を有力な候補とマークしていた。それだけに、株主総会の期日が段々と迫って来るにつれて、事あるごとに、小山がもう内示をもらっているのではといった不安が相田を苛むのだった。時々社内で顔を合わせると、それなりの探りの会話を投げかけるのだが、小山は淡々として「ある訳ないだろう」と軽く笑って答えるだけだったが、相田はその返答の響きや言い回しなどを捉え、その真偽のほどをあれやこれやと忖度しながら、いろいろと一人で悩むのだった。(以下、明日に続く)

1757 ペケポン川柳

 最近はテレビを見る機会が極めて少なくなった。それでも、ちょっと頭を使うクイズ番組は好きである。テレビ朝日の「Qさま」や「雑学クイズ」などは好んで見ている。

1.独り言コラム
 フジテレビ系列が放映しているクイズ・バラエティ「ペケポン」の中での川柳コーナーはなかなか面白い。クリームシチューの上田晋也が司会を担当し、お笑い四天王と称されるクリームシチューの有田哲平、タカアンドトシ、柳原可奈子が川柳の「最後の5文字」を当てるクイズだが、それが二重の掛け言葉になっていて、結構難しい。なかなか当たらないが、筆者の好きなコーナーだ。
 昨日は、片平なぎささん、神田正輝さん、やくみつるさんらをゲストに迎えての番組だったが、ゲストは全く駄目で、四天王の完勝だった。それにしても、片平さんの若々しい魅力が姿を消していたのが寂しい気がした。美人も賞味期限には勝てないようだ。紹介された川柳は次の5つである。因みに、筆者は一つも出来なかった。
   1.相談で もめるストレス いさんでる。(遺産、胃酸)
   2.目指せ五輪 次に備えて よねんなし (余念、四年)
   3.正捕手に 選ばれ正直 にがおもい (2が、荷が)
   4.酔っ払い おばをけなして おいだされ (追い、甥)
   5.タダ食いで 大食いの私 もうけもの (儲け、獣)
 この中で、最後の問題で、やくみつるさんが「はらみたす(腹満たす、はらみ、たす」と解答したが、これも正解として差し支えないだろう。
 これ本当に、やらせなしでの番組なのだろうか。そうだとしたら、この四人はなかなかの頭の持ち主だと思う。因みに、あのお笑いの長寿番組「笑点」は充分に事前に練って準備しているという。

 そこで、今朝は筆者もその種の川柳に挑戦してみた。時間が来るまで幾つ出来るか、頑張ってみた。
   1.公判の 開始直後の けっせきか (欠席、結石)
   2.総理の座 決め手になった どじょうかな (泥鰌、同情)
   3.野田内閣 たった一ヶ月で あきがきた(秋。飽き)
   4.四連勝 逆転でCS とらえるか (虎得る、捉える)
   5.国民は プーチンの野望 こうていか (肯定 皇帝)
 ここで時間切れとなりました。これ川柳と言えるのかしら。一流に程遠く千流とでも申し上げておきましょう。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時起床。体重、61.3Kg。お天気は、秋晴れの一日という。
 昨日の雅子は、特に痰が多くて苦しんだ一日だった。この日の午後の入浴後は、幸い落ち着きが戻ったようだった。

3.連載、なんたるちあ(75)

   11.致命傷(5)

 それから半年に渡って、トメタイト社、新進化学、そして大和マルコポリマーの三社の間で、トメタイト社が二社から購入するために必要な準備が進められた。そして、翌91年4月から、遂に競合相手の新進化学の製品のトメタイト社への納入が始まった。これにより、開発当初からの大和マルコポリマーの独占時代に終止符が打たれたのだった。担当部長であった相田の受けたダメージは少なくなかった。それでも、相田らは頑張って、新進化学の侵入をブラック色のみの最小限に押さえることに成功はしたが、そういった努力は百パーセントであったシェアーへ侵入を許したという大きな事実の前には、ほとんどプラス評価の対象にはならなかった。
 その年も十二月に入った師走の慌しさが感じられるようになったある日、突如、トメタイト社の外山取締役から思いがけない申し出があった。ある株主が保有しているトメタイト社の株を売却したいとの話があるが、お宅で引き受けないかというものである。株数も端数ではなく、五十万株を超える大きな株数だった。
 「前回の増資の際は、当方の思い込みでお声をお掛けせず申し訳ないことをしたとの反省もあり、今回は他にお話をする前に御社にお話させて頂くことにしました。お宅の常務さんや相田さんから、次回は是非とのお話も頂いておりましたので」
 外山取締役の今回の申し出は、以前の相田らの申し出に沿ってくれたものであったことから、相田らにとっては選択の余地のないものだった。しかし、相田らにとっては、こんなに早いタイミングで、申し出が出て来るとは想定外だった。トメタイト社は、逆に相田らの先の申し出をうまく活用した急所をついた申し出だった。しかも、その内容は、あの第三者割り当て増資での丸菱商事の引き受け株数が三十万株であったのに対し、今度は50万株強と倍近く多い。その後に市価が値下がりしていることを勘案しても、投資額は四億強の投資となり、これには、両親会社の了承を取るという大きな厚い壁があって難航が懸念された。
 これによって、丸菱商事から主導権を奪い返すいいチャンスとなることは確かだが、失ったシェアーを奪回することが保証されるということではなかった。もともと、相田自身は、あの日以来、機会があれば、トメタイト社の株を買い増して両者間の土台の強化を図らなければならないと考えていたことからも、何としても、この申し出を受けることが最善の選択であるとトップに進言した。若し、これを断ることになれば、展開によっては今の新進化学のシェアーのウエイトを更に増加させる口実を与えることになりかねないとの懸念から、トップも了承をしてくれたものの、そのための両親会社への承認手続きが大変だった。(以下、明日に続く)

1756 迫力

 強さを感じさせる大事な要素の一つで、言葉、態度、行動に、勢い、凄さ、怖さを付与、演出することから生まれるもので、それが、感動を呼ぶことも少なくない。

1.独り言コラム
 陸山会事件の初公判が始まった。小沢一郎被告は「虚偽記入の事実はないし、罪に問われる事実はない」と、終始検察批判を怒気を含めて行い、全面無罪を主張した。そして、公判直後の夕方には記者会見を行って、今一度その主張を繰り返した。
 久し振りに、あのこわもての顔をじっくりとみる機会を作ってくれたのだが、やはりその存在感は大きかった。記者会見では、同被告の迫力に圧倒されて、質問する記者たちの方がびびってしまうとい情けないシーンが続いた。やはり、一味違う政治家であることは確かである。
 この裁判の先行きの展開が面白そうだと思っていたら、昨日の深夜になって、同被告が救急車で病院に搬送されたという。何が起きるか分からない。
 さて、プロ野球も終盤に入っているが、セリーグでの上位争いが面白い。昨日は、遂に中日が5連勝で129日ぶりに首位に立った。なかなか迫力あるチームの勢いで、このまま首位を走ってしまう可能性が高い。解任を通告された落合監督の意地が花咲きそうだ。
 一方、オーナーの前で「いつまで真弓にやらせとくんだ」とのファンの怒声が飛んだ翌日から、阪神は首位だったヤクルトに3連勝して気を吐いている。打線に迫力が出て来ているのが目立っている。目下、3位の巨人軍が、今一つ迫力に乏しくもたもたしているが、それでも、阪神が逆転してCS出場権を獲得するのは難しそうだ。どうやら、阪神は最後のあがきというところで終わりそうである。
 迫力と云う点では、野田内閣は縁遠いような存在だ。今の政治家で迫力ある方が見当たらないのが寂しい。昨日も書いたが石原慎太郎都知事や橋下徹大阪府知事が、この範疇に入る数少ない政治家だ。人材不足ということになるが、これで、この難局を切り開いていけるのか、心もとない。
 迫力いっぱいのカリスマ経営者だったアップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が56歳と言う若さでなくなった。今の高機能のスマートフォンの生みの親だ。世界を動かし、新しい時代を創った凄い経営者だった。それにしても、56歳は若すぎる。ともかくも、文字通り「アップル(あっぱれ)!」と申し上げておこう。ご冥福をお祈りします。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時半起床。体重、61.5Kg。お天気は、秋晴れの一日という。
 昨日の雅子は、目は時々開けてくれるが、痰が多くて苦しんだ一日だった。この日も午後に2時間の車椅子での散歩を行なった。途中で月一度の体重測定を受けた。結果は、ここ数か月、少しずつ減少が続いている。ちょっと気になる。

3.連載、なんたるちあ(74)

   11.致命傷(4)

 しかし、それでも、最後までベストを尽くすことが相田の信条でもあった。その翌日、藁をも掴む気持ちで、トメタイトの販売部長の市村取締役に面談を求めた。シェアーの喪失を最小限にするためのアドバイスをもらうのが狙いだった。相田が電話でアポイントをお願いすると、市村は、夕方なら結構だよとの返答を貰った。
 その日は朝から快晴だった。約束の時間である夕方の五時前に相田はトメタイト社を訪ねた。市村取締役と差しで話したいとの思いもあり、いつも同行させる見山課長を連れず、相田一人での訪問だった。目的が目的だけに、気分的にも、肉体的にも重い足取りだった。
 「相ちゃんね。いろいろと思ったより厳しいよ。やはり、それなりの投資をした企業の顔を立てない訳には行かないからね。取り敢えず、少しだけシェアーを譲ってあげてよ。とにかく、顔を立てておけばそれでいいんだから」応接室で顔を合わせるなり、市村は単刀直入にそう切り出した。
 「ここまで来れば、最小限のシェアー移動で済めば、それは誠に有難いご配慮と感謝しなければなりません。でも、心配なのは、それを足場にして、丸菱がじりじりとシェアーを拡大して来ることになるのが怖いんですよ」売り手の立場を忘れて、相田はあたかも親しい友人にでも相談するかの感覚で、市村取締役に自分の不安をストレートに打ち明けるのだった。
 「先のことは分らないよ。でも、当面はそれで大丈夫だよ。その間にお宅も、うちとの関係でしっかりと土台を固められたらいいのでは。とにかく時間を稼ぐことも大事だと思うよ」
 二人の売り手と買い手の立場をさて置いて、市村取締役が心から相田の立場を理解しサポートしてくれることに、相田はこみ上げて来る熱いものを感じていた。そして、全く予期しなかったことだったが、同氏が気分直しということで、相田を近くの店に食事に誘ってくれたのである。
 買って頂いている相田が、お客様にご馳走することは、今までにも幾度かあったが、逆にご馳走になるのは、当然ながら初めてのことだった。多分、市村は同じサラリーマンとして、今の相田の社内での立場を理解していただけに、その一番重要なタイミングで、それが相田の足を引っ張ることになる自分達の止むを得ざる対応に、気の毒さを思い、友人として何らかの配慮の気持ちを伝えたかったのだろうと相田は解釈していた。この日、相田の面会の要求に、市村が夕方の時間を指定したのも、相田を食事に誘うことが市村の頭の中にあったのだろうと相田は改めて思うのだった。ご馳走になったしゃぶしゃぶがちょっぴりしょっぱくてほろ苦い味がしたが、それは市村の友情に感動して染み出した熱いものが入り混じっていたのかも知れないと相田は思うのだった。(以下、明日に続く)

1755 強いリーダーシップ

 今までのやり方を変えようとするには、その執拗な抵抗を抑える強いリーダーシップと実行力が必要である。

1.独り言コラム
 6年前、政治生命を賭けた郵政改革法案が参議院で否決された時、時の総理の小泉純一郎氏は思い切った衆議院解散に打って出て、大勝を果たし、念願の郵政改革法案を成立させた。迫力あった小泉総理のリーダーシップは、今では懐かしい話である。
 政治、経済、社会の全てで、難解な課題を抱えている今こそ、そんな強いパワーを持った政治家が必要なのだが、野田佳彦総理は、そんな力を持っているのだろうか。ともかく、安全運転でスタートしたが、果たして、期待に応えてくれるのだろうか?
 そう言う意味では、「大阪都」を掲げて改革に取り組む現大阪府知事の橋下徹氏の実行力、行動力には凄いものがある。今度の大阪市長選に知事を辞職してまで立候補するという。最大の狙いは二重行政の無駄の撤廃にあると言うのだろうが、さあ、大阪市民はどんな反応を示すのだろうか。興味津々である。とにかく、タレントから政治家に転身した素人政治家だったが、今では期待の新しい政治家として、府民の期待を集めている。お見事な転身、活躍と言う他はない
 東京都が、東日本大災害で放射線に汚染された土壌などの処理について、他の道府県に先駆けて、それらを引き受けて埋め立てに使うと言う。勇気ある決断である。もちろん、放射線量の測定をしっかり行って、それが低位であることを確認しての対応で、自らが率先しての立派な決断だと思う。
こうして見ると、石原都知事や橋下大阪府知事は、改めて大した政治家だということが出来る。国会議員にもそんな政治家が出て来て欲しい。
 ところで、東大大学院は、秋入学を実施している。海外からの優秀な学生を集めると言うのがその目的だそうで、今年も一昨日の4日入学式がに行われ、式典は全て英語で行われたという。5年後には、東大も秋入学に変えたいということで検討されているようだ。日本の教育制度の基盤の一つを変えようと言うわけだから、いろいろと話題を呼ぶことは必至である。とにかく、何事も先陣を切って事を行うには、それだけのパワーと実行力がなければ出来ない。
 
2.今朝の一考、昨日の雅子
 3時半起床。体重、61.3Kg。お天気は、雨は未明に上がり日中は回復するという。
 昨日の雅子は、目は時々開けているのだが、あらぬ方向を見ている事が多いのが気掛かりだ。午後には、車椅子での散歩をほぼ2時間行なった。

3.連載、なんたるちあ(73)

  11.致命傷(3)

 相田はここで分かったという訳には行かず、藁にも縋る思いで話を繋いだ。
 「なるほど、カラー別ですか。この考え方には、販売部門もご了解はしておられるのでしょうね」市村取締役から密かに頂いたメモのことが頭に浮かんでいた。そのメモは外山取締役に自分達の了解なしに製品のメーカー変更はしないように申し入れていた。
 「勿論です。ついこの間、販売部門からも了解を取りました」当たり前のことだと言わんばかりの顔つきで、外山は明解に突き放すように答えた。
 「立ち入ったことを伺いますが、他社からというのは、やはり、新進化学さんのことなのでしょうか?」
 「そのことについては、お答えする必要はないと思いますが、相田さんですので、敢えて申し上げますが、お察しの通りです」
 「ご無理なことを伺って誠に恐縮です。お言葉に甘えてもう一つ、やはり、この間の増資を引き受けた丸菱さんの強い要請があったということでしょうか」
 「関係ないとは申し上げません。何と言っても、何億というお金を出された訳ですから。企業である以上、意味のないお金を何億も出すということはあり得ないでしょう。はっきり言えば、当社も、あの増資をしたことで生まれ変わったと言えるのかも知れません。あの日から、ある意味で丸菱さんは当社の親戚になられたと言える訳で、親戚をほって置いて他人とだけ付き合っているという訳には行きません。とにかく、決算内容が良くないので苦しいのです。売上の三分の一を占める購入製品の中ではシーラントは主力ですから、その収益性を上げることは至上命令です。賢明な相田さんなら良くお分り頂けると思いますが」
 この日の外山取締役の説明は今までにない迫力が感じられた。相田はそれ以上の食い下がりは意味がないと判断し、悄然と静かな退散をするのだった。
 会社に戻ってからが大変だった。相田の報告を聞いた上司の宮田常務は、厳しい不満の言葉を相田にぶっつけるのだった。
 「それ見ろ、自分が指摘していた通りになったじゃないか。いくら販売部長が大丈夫と言っていたと言っても、そんなのは政治的なパワーの前には何の役にも立たないことが分っただろう。君の考え方は甘いんだよ。こうなった以上は、持って行かれる度合いを何としても最小限に食い止めることだな」
 宮田の不満の言葉を聞きながら、相田は、この失態で、又しても仲間との昇進争いから取り残されて行く自分の姿を思い浮かべるのだった。(以下、明日に続く)

1754 盛り上がっている(?)滋賀県

 久し振りに滋賀県の特集である。世界的な話題からローカルな話題まで、幅広い話題が楽しませてくれている。

1.独り言コラム
 ノーベル賞ウイークである。一昨日の医学・生理学賞では期待の山中伸弥教授が、また来年以降に先送りされたが、この後にも期待は残っている。
 その一方で、そのパロディであるイグ・ノーベル賞の化学賞に今年は滋賀医大の今井真講師ら6人が受賞した。わさびの刺激臭を発する気体を噴射し、聴覚障害者に火災の発生を知らせる警報装置を開発したことが評価されたのである。
 今井真講師は精神科医で睡眠分野が専門家なのだが、受賞時には「一体、何が起きたのだろうという気持ち、英語で言うと、I wonder what happenedといった具合だったが、だんだんと嬉しい気持ちが湧いてきた」と受賞会見で、振り返っていた。大津市の方で、滋賀県民としても誇りである。
 日経新聞が毎週掲載している何でもランキングで、滋賀県は結構多く登場している。最新号から遡ってリストアップしてみた。
 1.泊りがけで楽しむゴルフ場:西日本で3位に「瀬田ゴルフ場」(大津市)
 2.紅葉名所、ここへ行きたい:近畿2位に「湖東三山」琵琶湖東岸の西明寺、金剛輪寺、百済寺など 
 3.家族で一日楽しめる道の駅:西日本で2位に「しんあさひの風車村(高島市)
 4.訪ねてみたい戦国武将ゆかりの地:全国1位:安土城址(近江八幡市)
 5.春を満喫できる水辺の名所:全国10位:琵琶湖、近江八幡の水郷(近江八幡市)

 それ以外の最近の話題では、NTV系列の第31回全国高校クイズ選手権では、滋賀県からは膳所高校が出場していたが、何と、佐賀県と並んで最下位と惨めな結果だったが、今年の八月に行われた全国中学、高校ディベート選手権では、同じ膳所高校が全国3位タイと頑張った。優勝は北海道の北嶺高等学校、2位は東海高等学校で、3位のもう一校は、東京の創価高校だった。
 また将棋界では、今年6月に行われた全国アマ竜王戦で大津市の佐伯紘一さんが、トーナメント戦をすいすいと勝ち進み、決勝戦では惜しくも惜敗したものの、全国2位となったのは嬉しい結果だった。今まで、滋賀県は将棋には縁が薄かっただけに、佐伯さんを先陣として、今後の強い棋士の登場を期待している。
 スポーツでは、夏の高校野球に八幡商業高校が出場し、1、2回戦を突破して気を吐いた。3回戦で惜しくも作新学院に敗れたが、大活躍だった。
 来年の春のセンパツへの県内予選は終ったが、優勝は近江高校で準優勝が水口高校、3位が石山高校だった、この3校が近畿大会に出場する。この近畿大会で1勝を挙げれば、夢の甲子園への出場の可能性が高くなる。
 さて、政治面では、全国に3人いる女性知事の一人の嘉田由紀子知事は頑張っている。筆者はなかなか素晴らしい知事だと評価している。上品な中に強い芯があって主張すべきは主張している。今までの実績の中では、あの新幹線の新駅を取り止めた英断は光っているし、今取り組んでいる原発対策もなかなかポイントを得た対応だ。
 最後に、今年は、大河ドラマ、「江~姫たりの戦国」のヒットで、小谷城址など長浜市や彦根市、近江八幡市などでは観光客も増えているという。やはり、滋賀県が話題になると、筆者も嬉しい。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時20分起床。体重、60.9Kg。お天気は、お昼前から雨のようだ。
 昨日の雅子は、気分は悪くなかったようで、いい顔をしていた。気になったのは、体温は平熱だったが、おでこが冷たいという症状だったことである、しかし、夕食後(注入)は戻っていた。前日に見せてくれた様子から、期待して、発声の練習を行ったが、今一つだった。

3.連載、なんたるちあ(72)

  11.致命傷(2)

 相田は、ある程度の覚悟があったとは言え、現実に厳しい一発をかまされて混乱している頭の中から、適切な言葉を探しながら、この苦境での応戦に努めた。
 「思ってもいなかった厳しいお話で、今、適切な言葉が見つかりません。この商売に関する限り、先輩達が開発の当初から御社の研究の方々と共同でやらせて頂いて開発した商品で、何としてもそのマーケットだけは守って行きたいと愛着と熱意を持って頑張って来ました。それだけに今のお話は極めて残念であり、我々には大きな衝撃です。私どもに何か落ち度があったのでしょうか。私どもだけからの調達では、何かまずいものがあるのでしょうか」鈍器で殴られたような衝撃を感じながら、相田は緊張した顔をこわばらせながら、過去の経緯を前面に出して懸命に食いついた。
 「誤解頂くとまずいのですが、お宅様に何か落ち度があったとか、不満があるといった類のことではありません。当社も生き残りに必死でいろんな角度から見直しをしていると申し上げましたが、調達についても二社調達の原理を取り入れることが決まったのです。やはり、納入業者様にも、君子の競いをして頂くことで、少しでもそのメリットを還元して頂こうとのことです。勿論、過去の経緯を反古にしようというのではなく、今の調達量の一部を譲って頂こうということです。宜しく、ご理解のほどをお願いしたい」
 外山取締役の説明は、丁重な言葉遣いとは裏腹に有無を言わせない迫力があった。
 「今のビジネスの一部とおっしゃいましたが、具体的にはどの程度のことをお考えでしょうか。当然、お分かりのことと思いますが、プライベートブランド製品に二社以上の製品を同時に扱うのは、品質管理などの面から見て、大変難しい課題があるように思いますが?」現行ビジネスをスムーズに推進して行くとの現実論に立てば、相田の指摘したポイントは運営上容易ならざる重要な課題である。相田も必死だった。
 「その辺りのことは関係部署とも充分に検討し、例えば、カラー単位で扱うことは可能だと結論を出しています」現行のシーラント製品群は特別なカラー製品を加えると十種以上のカラー製品からなっている。外山はその幾つかのカラー製品を別のメーカーから調達しようと言うのである。カラー別に考えると一つのカラーが一つの製品という考え方ができる。実は、そのような考え方が出て来るのを懸念していたが、案の定だった。誰しも考えること同じなのだ。(以下、明日に続く)

1753 実験

 歴史は実験できないと言われる。確かに時間を遡っての実験は出来ないが、未来のことに対しての実験は可能だ。智恵を出し合って難問に対処すること自体が実験なのだ。

1.独り言コラム
 またまた肩透かしだった。夕方の6時半前のニュースで、6時半頃に発表される今年のノーベル賞の医学・生理学部門で、京都大学の山中伸弥教授の受賞が濃厚だということで、学内の一角に記者会見場が設定されていて、多くのテレビカメラが待機している様子が放映された。
 そこで、暫くはニュース速報が入るのを、今か今かと待っていたのだが、結局、NHKの7時のニュースの後半で、アメリカの3人の学者が受賞したとのことが伝えられ、昨年に続いて山中教授は肩透かしを食らった。来年があると言いながらも、がっかりである。何かどっきりの実験を食らっているようで、いい加減にしてもらいたいといった気分である。
 なお、3人の中で一人は数日前にお亡くなりになっていたと言う。もう少し頑張っておられたら、歓喜の報に延命も出来ていたのではとも思うのだが、ここでも歴史は実験できないのだ。
 実験と言えば、京都駅前で、社会実験が行われている。タクシーが多すぎて駅前で渋滞を起こすと言うことで、駅構内に入れるタクシーの数を制限しているのだ。そのため、客待ちの列が出来たりし、別の混乱が起きていると言う。専門家の見方では、タクシーの数が1000台くらい多いからだという。京都市内のタクシーの数は7000台から8000台あるという。いずれにしてもお客に迷惑を掛けるのは避けなければならない。
 社会実験と言えば、政権交代後に、高速道路の無料化での社会実験が行なわれた。ローカルな地域で行われたものだが、結局は、その実験結果がどうなったのか報告がない。マニフェストで謳っていた中身が如何にいんちきだったかの一例だ。
 原発事故以後、除染が話題になっている。ここに来て、被災地に対し、1~5ミリまでは土壌が、除染の対象となったが、そこで剥ぎ取った土壌の一時保管場所が問題で、差し当たってはそれぞれの県内に保管ということになりそうだが、これも広い意味では社会実験だ。この土壌問題も単純ではなく厄介な問題でドジョウ総理がどう対処するかは腕の見せ所であろう。
 その野田内閣の売り物の安全運転も一つの社会実験かもしれない。しかし、政治、経済、社会のいずれもで、難問山積の状況で、安全運転だけでは乗り切れないだろう。ドジョウ総理の腕の見せ所は、これからである。
 何事も考え方次第だが、新しいことをやること自体が、全て実験だという考え方もある。歴史は、実験の積み重ねの連続で創られている、と言えるのではなかろうか。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時20分起床。体重、60.7Kg。お天気は、日中は晴れ模様のようだ。
 昨日の雅子は、半年ぶりの胃ろうの交換が行なわれた。実質交換に要した時間は5分少々の短時間で終了した。特に問題はなく、順調のようである。
 それとは、別の話だが、少し異変が見られた。目を開けて声を発するような様子が幾度か見られたのである。もちろん、声にはならなかったが、ある種の発声があって、これを訓練すれば声になるのではとの期待を抱かせてくれた。これから、繰り返し訓練を続けるようにしてみたい。

3.連載、なんたるちあ(71)

   11.致命傷(1)

 丸菱商事が増資割り当て株を引き受けて以来、相田らはビジネスの防衛に懸命の活動を続けていた。その甲斐もあってか、幸いにも表面上は特に心配するような変化は見られなかった。しかし、夏が過ぎて九月に入って間もなくのことだった。購買担当の外山取締役から呼び出しを受けたのである。つい一週間前にも定期的な訪問をしていたが、その時には特に何も話がなかったのだが、今度は先方からの呼び出しだった。相田は不安な気持ちを抱きながら、いつものように見山課長を伴って出向いて行った。行く前に、事前に販売担当の市村取締役に連絡を取って様子を窺って見ようかとも考えたが、市村に負担を掛けてもよくない思い、ぶっつけの訪問だった。いつにない緊張を覚えながらリザーブされていた応接室に通された。間もなく、外山取締役と亀井課長が徐に入室して来た。相田と見山は座っていたソファーから立ち上がって挨拶した。
 「どうも。どうぞ、お座り下さい。本日は急なお呼び立てをしまして申し訳ありません。どうしても、ご理解頂きたいことが出て来ましたので、お時間を頂くことになりました」外山取締役は、いつものリラックスした応接態度とは違って、極めて丁重な口調で話を始めた。いつもだと、時候の挨拶や最近の話題などの一般的な会話から入るのだが、この日は違っていた。
 「少々申し上げ難いことなんですが」外山はそう前置きして直ちに本論に入った。
 「ご承知の通り、このところ企業環境は急激な悪化を示しております。当社も、企業運営の安定化を図る意味で、今年度初めに第三者割り当ての増資を行うなど、積極的な対応を取って来ております。トップからは日常の業務活動についても全面的な見直しを行うよう強い指示もあり、それに取り組んでいるところなんです。その一環として、買い付け製品の見直しに入っている訳ですが、現在お宅様から全量を調達させて頂いているシーラントについて見直しを行い、その一部に他社のものを導入し、二社購入の体制に改めることに致しました。この変更についてのご理解、ご了承をお願いしたく、お時間を頂いた次第です。弊社の苦しい実情をご拝察頂き、宜しくご協力をお願いしたいと思います」
 呼び出しをもらった時から「いよいよ来たな!」との嫌な予感はあったものの、いざ具体的な申し入れを受けてみると、営業担当責任者としては、言うに言えない敗北感を覚えるのだった。先輩達が築いて来たビジネスに傷をつけることになると思うと尚更胸が傷つけられるようで辛い瞬間だった。(以下、明日に続く)

1752 難しいパーセーブ

 パー(Par)には「同価、同等」という意味がある。まあまあ平均並みといった評価である。さしあたっは、パーセーブが出来ればいいのだが、…。

1、独り言コラム
 今年の日本女子オープンは、馬場ゆかり選手(28歳)が激戦を勝ち切ってメジャー初、ツアー3度目の優勝を果たした。身長149センチの小さな身体での大健闘だった。
 ツアーが行われた名古屋ゴルフクラブ和合コースは、大変難しいコース設定で、今までになかった10オーバーを越えるロースコアでの優勝争いで、とにかく、パーをセーブすること自体が大変難しいコースだった。言ってみれば、パーがバーディ並みの価値がある難コースだった。それだけに、プレイしている選手たちは、今までにないボギーやダボの数が多く、気合の点で諦めてしまうといった錯覚しかねないスコアの中での戦いとなっていたのではなかろうか。
 我がファンである宮里美香選手も惨憺たるスコアで、最終日はNHKの中継からは漏れてしまい顔を見せてもらえることもなく終ったのは残念である。三日目と四日目で20もスコアを落とした訳で、本人も、さぞかしがっかりしていたことだろう。
 筆者も気落ちして中継を見ていたが、アンチファンの宮里藍選手も、前半は頑張っていたが、終盤で優勝戦線から離脱してくれたことで、少しは気分を持ち直すことが出来たのは救いだった。
 さて、プロ野球では、3位争いが大変だが、セ・リーグでは阪神がどうやら離脱したようだ。先週のヤクルト、中日の六連戦を総括すると、2勝4敗で、言ってみれば、パーを取るのに四苦八苦していた。これではクライマックス戦への進出も難しくなるのも止むを得ない。
 野田内閣の二度目の世論調査が今朝の新聞(毎日新聞)に出ているが、内閣支持率は初回の56%から少し下がって50%となっている。今のところは安全運転に徹していて、パーセーブに懸命だが、これからの難問対応で、きちんとパーセーブが出来るかどうかは心もとない気もする。
 小沢一郎氏は、先の自分の秘書たちが有罪判決を受けた裁判に対し、例のインターネット放送に出演し、裁判官の独断だと喚いていたという。これも、ゴルフに喩えれば、出だしのホールでダボスタートと言った戦いで、次のホールでパー、若しくはバーディが取れるかどうかが注目である。
 ところで、その有罪判決を受けた石川知裕氏が、判決が出た翌日に婚約を発表したという。お相手は日本BS放送の阪中香織さんだと言うが、勇気ある娘さんだ。大変難しい局面だが、うまくリカバーできて、パーセーブが可能と読んだのだろうか。ちょっと気になるお二人の人生だ。
 我が人生もパーセーブが出来ればいいのだが、最終ホールで想定外の難しいバンカーに打ち込んでしまっている。頑張って、切り抜けるしかない。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時50分起床。体重、61.1Kg。お天気は、晴れたり曇ったりのようだ。
 昨日の雅子は、相変わらずの寝たっきりの状態だったが、お昼過ぎに、急に目を開けて、しきりに何か言いたげに口を動かしていた。今にも喋り出すような様子に見えたが、若しかしたら、苦しんでいたのだろうか、よく分からないまま、また、寝たきりの状態に戻った。何かと闘っていたのかも知れない。

3.連載、なんたるちあ(70)

  10.臨時研究会(5)

 純の声は弾んでいた。嬉しそうな顔でその中身を披露した。その内容は次のようなものだった。
 「私も、この一年半で、実際に幾つかの体験というか、検証をする機会があったの。例えば、途中下車ですが、大阪の友人に会いに行くとき、用事があったので京都で途中下車したんだけど、下車するときに乗車券を差し出し、途中下車と言ったところ、切符をちらっと見ただけで『どうぞ』と言って出してくれたよ。検印しなかったわ。途中下車という手段は、JRの盲点かも知れないわ。それに、これはローカル線での体験だけど、車内検札のとき、これも全く偶然だけど、隣にいた高校生が期限切れの定期を使っていたことが発見され、急遽車掌が違反の手続きなどでばたばたし、検札はそこで中止されたの。つまり、隣で何かゴタゴタすると相ちゃんが前に紹介した事例5のように、うっかりしてパスということもあり得ることも体験したわ」
 「なかなか頑張ってくれているじゃありませんか。メンバーになってもらった甲斐がありましたよ。ねえ、相ちゃん」土屋が嬉しそうに純の貢献について相田の同意を求めた、
 「その通り。これからも期待しているよ」と相田もご機嫌だった。
「いま、お褒め頂いたついでにもう一つ、新しい手段をご紹介しましょう。いいですか?」久しぶりの研究会ということもあって、今夜の純はなかなか積極的である。
 「勿論、大歓迎」土屋と相田の二人が同時に純の発言を促した。
 「では、ご紹介します。これは、大阪で友達と一緒に行動したときの経験です。ある駅で列車に乗るために切符を買おうとしたところ、友達が『いいよ、回数券があるので、これを使って』と言って回数券をくれたの。私、そんなのあること知らなかったけど、その時、これは便利だなあと思ったわ。これなら、私達の研究で云うステップ1と5で使えるのじゃないかと考えたの」純は少し興奮気味での報告だった。自らの体験に基づくもので、その研究熱心さを充分に反映した内容だった。
 「いやいや。なかなか大したものだ。つまり、これは1と5のステップに、有効でしょう。立派な一つの手段だよ。そうですね。相ちゃん」と土屋。
 「野球で言えば、クリーンヒットだよ。今までに気が付かなかった新しい手段の発見だ。しかも、この種の回数券の有効期限は確か三ヶ月だったと思うので、JRもこの対策には苦慮しそうだね」相田も手放しで褒め称えながら、この手段の特長を解説した。
 「じゃあ、この回数券の活用を事例7として登録して置きましょう。おっしゃるようにステップ1と5で有効ですね」土屋は上機嫌である。
 「新幹線の回数券もありますよ。これなら、全ステップに有効です」相田も純の提案に付け加えた。純からの新しい手段の紹介が切っ掛けで研究会は今夜も盛り上がったものになった。
 「ママ、ビール頂戴。今夜は久しぶりの研究会だったので、夢中になってしまい、飲むのを忘れていたよ」土屋の明るい声が室内に心地よく響き渡っていた。(以下、明日に続く)

1751 大荒れ

 先日の台風で奈良、和歌山は大荒れの被害を受けて、その回復には相当な時間が掛かりそうで大変である。今朝は、そんな大荒れではなく、政治、経済、社会、スポーツでの「荒れ」について取り上げてみた。

1.独り言コラム
 昨日は、久し振りにゴルフ生中継を楽しんだ。妻を車椅子に乗せて病院内を散歩中のことで、結果的には2時間あまり、車椅子を留め置いたままだった。
 日本女子オープンの三日目だったが、バーディ合戦ではなく、如何にパーセーブするかの戦いだった。ラフが大変深く、一旦そこに打ち込むとボギー覚悟の戦いとなる厳しいコース設定で、それに風も強く、プレイヤーを悩ましていた。
 筆者は、アンチ宮里藍ファンで、その反動で宮里美香さんのファンとなったことから、二人の宮里さんのプレイを注視していた。この日の美香さんは、9打も落す大荒れで、1オーバーの首位から、10オーバーの5位タイまで大きく後退した。ドライバーのフェアウエイキープが出来なかったことが大きかったようだ。
 一方の藍さんは、5オーバーのスタートだったが、スタートホールで長いパットを決めてバーディと幸先良いスタートを切り、中盤は堅実なゴルフをキープ、このまま首位に躍り出るのではと心配(?)だったが、終盤の17番のショートホールで池ポチャをやって下さってダボを、その後遺症もあって最終ホールでもボギーとなり、結局9オーバーの4位でホールアウトだった。藍ちゃんファンからは、大クレームを受けるだろうが、池ポチャの際は、筆者の思わず発した「やった!」という嬉しそうな声が病院内のロビーで鋭く響いていた。はしたないことだと直ぐに反省し、笑いを堪えたのだった。
 なお、戦い終わって改めて結果を眺めてみると、筆写のもう一人のファンである不動祐理さんも12オーパーで9位タイに頑張って残っているのだ。
 さあ、今日が最終日、首位は6オーバーの馬場ゆかりさんで、藍さんも、美香さんも十分にチャンスはあると思う。筆者は、宮里美香さんの逆転優勝を期待している。
 さて、プロ野球、パ・リーグではソフトバンクが優勝を決めた。大荒れとは無縁で、終始安定した戦いを続けての連覇だった。秋山孝二監督の采配に改めて注目したい。
 世界の主要株価が大荒れだ。7~9月の3ヶ月での下落率では、ドイツ、フランスが25%以上で、日本も11.4%の下落である。これは9年ぶりのことで、先行きが見えず、この荒れがまだまだ続きそうで心配だ。
 そんな大荒れの中で、野田内閣は誕生後1ヶ月を迎えた。この間は、意識して安全運転に終始しているように見える。何しろ、自らをドジョウ総理と称したわけで、慎重な様子見のスタートと云うことなのだろう。周囲からは、そろそろ野田総理の「地」を出す段階になったという人が増えているが、どんな「地」を出してくれるのだろうか。この難局を突破するには、思い切った決断が欠かせないはずだ。ともかく、ドジョウの「地」の政治に注目しよう。
 今朝のニュースで、宇都宮大学の学生が8歳の女の子のお尻を触ったということで、母親に強制わいせつで現行犯逮捕されたということがが伝えられている。筆者も一人の男性として、なんともコメントし難い事件だ。相手が8歳の子供と言う点で、素直に理解がついて行けないのだ。心の中のちょっとした荒れが、思わず行動に結びついてしまったのだろうか。大学では、大荒れの騒ぎになっているかもしれない。変な形で宇都宮大学の名前がPRされてしまったようだ。

2.今朝の一考、昨日の雅子
 4時20分起床。体重、61.7Kg。お天気は、晴れたり曇ったりのようだ。
 昨日の雅子は、薄目を少し開けてくれるシーンが何回か見られたが、それでも、寝たきり状態が多かった。車椅子での散歩は、付き添いがロビーにあるテレビで2時間あまりもゴルフ中継に見入っていたので、そのままの状態で放って置かれたままだった。それでも、寝ている姿勢から解放されるので、それなりの意味があるとの付添いの解釈なのだが、…。

3.連載、なんたるちあ(69)

10.臨時研究会(4)
 相田の説明に、尤もだと頷いていた土屋が口を開いた。
 「なるほど。さすがに相田さんですね。凄い発想ですよ。つまり、その考え方の応用で、これらの六つの事例から、それらの手段の組み合わせを考えることで、まだ報告されていない新しい事例も机上では考えることができることになりますね」相田の「手段」論を持ち上げながら、土屋が順列組み合わせ論を匂わせて補足した。
 若干高度な話しの展開に、二人の女性は少し戸惑った様子だったが、土屋の話を受け継いで、相田はそのまま説明を続けた。
 「そういうことです。ですから、この研究会で紹介された事例の数はまだ六つですが、それらの情報から考えられる事例は、既に100ぐらいにはなっているでしょう。 そのことは後で確かめて見るとして、話を進めたいのですが、そうは言っても、改革提言をして行く上では、その事例全体の背景、きっかけ、経緯などについても、全体のストーリーの紹介も必要ですので、事例紹介は、今まで通りのパターンで進めて行くことしましょう」相田は、新しい視点に立って分り易く説明した。それがなかなか面白い提案だったこともあって、一時はちょうと戸惑いを見せた女性軍だったが、どうやら、その要点は飲み込んだようだった。
 「おっしゃる通りですね。相ちゃんには、いろいろとお考え頂いていたのですね。随分助かります。改めて感謝したいと思います。まあ、ロンドンにおりますと、気にはなっておりましたが、具体的には何も出来ず。申し訳なく思っています」土屋は几帳面に相田に礼を言った。このような半分遊びとして楽しんでいるものにも、真面目で丁重な処が、同氏の偉いところである。
 「それでは、総括の意味で、今までの事例で紹介された各ステップでの手段を分り易いように表に表してみしょう」相田はそう言いながら、先ほど配布された資料の裏を利用して、さらさらと流れるように書き始め、瞬く間に、「手段」の観点から見易い表を完成させた。そこには、1~5までのステップで、それぞれ、4.3.5、1、3の手段が存在することが明らかになった。
 「なるほど、そういうことになりますね。こうして全体を見ることで、新しい手段を発掘するという考え方が一目瞭然になっていますね」
 土屋は嬉しそうにそう言って、二人の女性陣に視線を送りその表情を窺った。二人もなるほどといった顔つきで頷いた。一年半振りの研究会だったが、こうして新たな形でレビューが出来たことで、その長い空白の存在が嘘のように、全員が揃ってその理解を深めることが出来た。
 「このように考えますと、先ほど土屋さんがおっしゃった順列組み合わせの考え方を使いますと、今まで分かった理論上の事例の数は、各ステップの「手段数」を掛け合わせ、2で割った90ということになりますね」相田が少し嬉しそうな顔つきで解説した。
 「90も。そんなに多くなりますか。びっくりしますね。それにしても、相ちゃんって纏め方がお上手ね。私の理解レベルに合わせて頂いているようで有難いわ」そう言いながら、純はその数の多さにびっくりしたようだった。そして引き続き自分が経験した新しい事例について話し始めたのである。(以下、明日に続く)

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