プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは4部構成です。
冒頭の枕に続いて、
1部が「独り言コラム」でキーワードから世の動きを捉えようと試みる。
2部が「今朝の一考と昨日の雅子」で妻、雅子の近況。
3部が連載「難病との闘い」です。
(09−02−16に修正。09−03−01に再修正、09−09−30に3度目の修正、09−11−09に4度目の修正)


 

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1049 練炭を多量に買う女

 松本清張の小説に「地方紙を買う女」、「鉢植えを買う女」という作品がある。しかし、現代において、「練炭を買う女」は珍し過ぎる。

1.独り言コラム
 大久保清事件があったのは、今から38年前のことだ。1971年に、16歳から21歳までの若い女性8人をドライブに誘い、ナンパして関係を迫り、抵抗されたりすると殺害し、土中に埋めた事件が群馬県前橋であった。犯人は大久保清で、1976年に死刑が執行されている。
 ベレー帽を被ってルパシカを着てスポーツカーに乗り、画家を自称し「絵のモデルになってくれませんか?」と片っ端から女性に声をかけていた。ロシアの血を引く甘いマスクと巧みな話術、物腰柔らかな態度、女性達は大久保の魅力に引き寄せられるように車に乗り込んだという。
 今、千葉と埼玉県内で明らかになりつつある男性の連続不審死事件で、その犠牲者の数が8人以上にも及ぶ可能性もあって、ふと、あの大久保清事件を思い出したのだ。目下、詐欺容疑ということで、東京の豊島区に住む女(34)が事情聴取を受けている。インターネットの出会系などで知り合った男達に、言葉巧みに結婚話を持ちかけて多額の金を振り込ませて奪っておいて、この後はタイミングを見て催眠導入剤、練炭などを使って殺害を行なったとの見方が強い。奪った金は数千万円に及んでいて、スケールが大きい。見た目では、そんなに美人ではないというが、巧みな話術で、男どもを騙し続けていたのだ。普段は高級車を乗り回し派手な生活をしていたという。最近の情報では、練炭を買い集めていたという。
 この事件を見る限り、男って簡単に手玉に取られてしまう弱い動物だ、まさに、くわばら、くわばらの恐ろしい話である。しかし、もう逮捕は間違いなく、この大胆な連続殺人事件も、いよいよ、ピリオドが打たれたと同然だ。後は、事件の詳細な解明が待たれる。
 ところで、ピリオドを打つというとことでの連想だが、五十路を迎えた美貌の女社長と若い二枚目の男との恋愛を描いた新聞小説、「甘苦上海」が、明日が最終回で、二人の関係にも、ピリオドが打たれそうだ。日経新聞朝刊に連載されて好評だった高樹のぶ子さんの作品だ。
 ドラマの設定は、51歳美貌の女社長の早見紅子が、心の奥底に傷を持つ年下の39歳のイケメンの石井京に恋する物語で、度々登場した大胆なセックス描写がなかなか見事だった。仕事が出来て、セックスに積極的な女性に惹かれる筆者には、好みがぴったしの小説だった。
 この一年余りに渡って、この小説を読むのが毎朝の楽しみで、たっぷりと楽しませていただいただけに、明後日からが物足りなくなり、ちょっぴり寂しくなるのが心配である。

2.プライベートコーナー
 4時起床。体重、60.6Kg。天気はよくなそう。
 筆者が最も恐れていたことが、今、雅子に起き始めている。今までにない衝撃である。それは、雅子への呼びかけに対する雅子の反応が極めて乏しくなって来ていることである。耳に機能障害が起きていて聞こえないのか、或いは、遂に、頭が正常に働かなくなって来ているのか、である。前日からそんな兆候があったので、この日はそれを確かめようと、懸命に名前を呼んだのだが、…。時々、目を開けてじっと見てはくれるのだが、…。
 その一方で、それまでの2日間治まっていた熱も、昨日は、また37.4度台に戻ってきていた。視界不良の航海が続く。

3.連載、難病との闘い(1014) 第三部 戦いはまだまだ続く(308)
  第七章 しつこい敵(24)

 2.再びアウエイでの闘い(8)
 (2)治療の始まり (その3)
 1週間後の次の土曜日の朝に、一考はK先生と再会した。恰も恋人同士が久し振りに会って愛を確かめるような感じで、先生の顔を見ると、その間の不安、不満が霧消し、一考は何かほっとしたものを覚えたのである。
 先生は、その間のデータによる雅子の症状を解析し、今後の対応について話して下さった。その内容は、おおよそ次のようなものだった。
 1.一旦、下がっていた炎症の度合いを表す数値が下がり切っていないこと。
 2.痰から厄介な菌(MRSA)が検出されたことで、これには、抗生剤を変えての対応を行なう。
 3.胃ろうについては、週明けの火曜日に、胃カメラを使って詳しい状況を確認し、その際に、ちょうどサイズが合うチューブがあれば、思い切って胃ろうの交換手術を行なう。
 再入院して3週間目を迎えるこの段階で、今まで中断されていた治療が再開されるということになり、新たな展開が期待できそうということで、一考の愁眉を開くのだった。
 そして、待望の3日後の翌週の火曜日を迎えた。胃カメラで胃ろうの状態を検診して、場合によっては胃ろうの交換手術をやっていただく日である。一考は、この停滞していた雅子の治療に大きな転機を与えてくれるのではとの期待があって、この朝は勇躍として、早めに病院に出向いていた。
 この日の一考は、夕方には、久し振りに大阪に出ることにしていた。役員に昇進した後輩が大阪に出張で出て来るということで一杯飲む約束をしていたのである。従って、この日の雅子の検査、手術の有無などの段取りがどんな具合になるのかが、朝から気になっていたのである。
 いずれにしても、この日の胃カメラ作業で、今まで掴みどころのなかった胃ろうからの漏れや下痢に、何らかの前向きの発見をあって、希望の持てる明るい決着が出るのではと、一考は大きな期待を持っていた。
 午前中はK先生は、いつもの通りの外来の診察を行っていて、雅子への対応は、午後になるだろうということは承知していたが、それが具体的に、何時から始まって、どのくらいの時間が掛かるのかについては、全く分かっていなかった。それでも、そんなに何時間も掛かるような手術とは思われず、遅くとも夕方の5時頃には病院を出られて、大阪には6時半頃には到着できると楽観的に考えていた。(以下、明日に続く)

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