今朝のニューヨークのダウ平均はおよそ174ドル上げた。昨日に続いての大幅上げである。米政府が、
サブプライム問題対策で打ち出した借り手を救済する金利凍結策の効果が出ていると思われる。果たして、これで、どの程度の効果が維持できるかは、はっきりしないが、とりあえず、一息つくことになろう。今日の東証の上げ幅に期待が掛かる。
はっきりしないと言えば、
福田総理の顔もはっきりと見えてこない。給油新法案は、衆議院での再可決に意欲を示しているが、独立行政法人、官僚の天下り、規制見直しといった改革案は、全て、各省庁の大臣の強い反対を受けて、担当大臣である
渡辺善美行革相は、孤立無援で立ち往生している。
政府にやる気があるならば、この辺りで
福田総理や
町村官房長官の出番だと思うが、しっかり様子見を決め込んでいる。これでは、行革も掛け声だけに終わるのが目に見えている。情けない。
連載(321) 難病との闘い
第十一章 介護の実情2 平成19年夏から秋 (27)
(5)話題のDBS(脳深部治療)の可否(その4)
予定の11時45分頃になると、いよいよ出掛ける作業に入るが、その前に、雅子が口紅をつけて欲しいとせがむ。女のいじらしさが感じられて心が和む。
幸い、天気が良いので、車椅子から車への移動もスムーズに運ぶので助かる。手順はほぼそれまでと同じだ。室内車椅子で玄関口まで運び、靴をはかせてから戸外用の車椅子に移す。この仕事も力仕事だ。とにかく、車に乗せると一段落で、二人が、ほっと一息つくのだ。
出掛ける準備が出来たところで、母親に病院に出掛ける旨を告げて、いよいよ醍醐へ向かう。いつもの通りの道順で、西大津バイパスに入る。
車が込み出したのは、バイパスから五条通りに出るかなり手前からだった。いつもは、スムーズに走るのだが、どうしたのだろう。いわゆる渋滞である。この辺りでは珍しいことだ。事故でもあったのかも知れないと思いながら、山科駅までをのろのろ運転で進む。時計を見ると、12時40分近くになっている。若しかしたら遅刻するのではと心中で少しあせりを覚えた。しかし、一考は思い直す。「遅れたっていいじゃない。順番をずらせてもらったらいいだけだ」と自分に言い聞かせて、落ち着きを取り戻す。
幸い、山科駅前の交差点を外環状線に入ると、嘘のように渋滞は解消した。病院に着いたのは1時前で、急いで、雅子を車椅子に移して診察室まで運び、必要な所定の手続きを済ませた。何とか、時間に間に合ってほっとして、いつものように文庫本を取り出したところで、診察室からの呼び出しを受けた。幸か不幸か、楽しみにしていた読書時間が削られたが、待ち時間は今までにない短さだった。一考は、急いで立ち上がり、雅子の車椅子を押して診察室に入った。
「良かったね。お薬が効いていますよ。手首がこんなにやわらかくなってますね」津島先生は、雅子の左手首の具合を確認しながら、いつものソフトな口調でコメントした。いわゆる、イケ面タイプのほっそりとした顔つきに加えて、そのソフトさと優しさが、雅子の強い関心につながっているようだ。
同氏の優しさは、随所に現れる。例えば、3ヶ月に一度打たれる注射は、見るからに痛そうなのだが、いつも「少し、ちくっとしますよ」といった丁寧な言い方で、優しく声を掛けながら処置される。その辺りの配慮がよく行き届いているのだ。特に、首筋に注射が打たれる場合は、見ているだけでも痛そうで、一考自身が、自分が打たれているように錯覚するほどの痛みが感じられるのだが、雅子はじっと我慢している。好みのイケ面タイプの先生だから、頑張り甲斐があるのだろう。出掛ける前の口紅も、そんな彼女のいじらしい表れかもしれない。
「お陰様で。もし効果がなければ、多分、かちかちに固まっているのでしょうね」一考はそう応えて雅子の反応を窺った。
この注射は、その効果が3ヶ月ぐらい持続するということで、そのタイミングで打ってもらっている。前月打ってもらっているので、今日は前回の検診だけである。
「そうですね。良かったですよ。人によっては効き目がない人もあるんですよ」津島先生の対応は常に上品で丁重だ。(以下、明日に続く)
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