プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは3部康成です。1部が「コラム」、2部が連載「難病との闘い」、そして3部が、速報、「昨日の雅子」です。

 

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357 死刑執行氏名公表

 昨日3人の死刑囚の死刑執行が行なわれたが、法務省は今回初めて、その名前を公表した。今までは遺族らに配慮して氏名を公表してこなかった。今回から、検討の結果その氏名公表に踏み切った。
 一般の国民としては、その名前を聞いても、事件からあまりにも時間が経過し過ぎているケースが殆どで、具体的な事件の内容を思い出すということは少ない。新聞やニュースでの説明があって、そんな事件があったなあと思う程度である。
 そういう意味では、被害者の立場を重んじての決断だろうが、現法務大臣の鳩山氏が、自らが決断したと力説していた。「友達の友達がアルカイダだ」という人だけに、発想もユニークといえそうだ。悪いことをすれば、こうなるという「見せしめ」的な意味で、犯罪の抑制効果があるかもしれない。 正直、複雑な心境だ。

連載(322) 難病との闘い
      第十一章 介護の実情2 平成19年夏から秋 (28)

(5)話題のDBS(脳深部治療)の可否(その5)
 「他に何か困っておられることはありませんか? 例えば、食事が喉を通り難いといったたようなことはありませんか?」津島先生は、副作用にもいろいろと気を配ってくれている。
 「ええ、お陰さまで、今のところは大丈夫です」一考は即座に返答した。以前からも心配してもらっていたが、幸いなことにその悪影響は出て来ていない。
 「それなら、結構です。次回は、予定通り、来年の1月に注射を打つことにしましょう」
 「分かりました。宜しくお願いします。ところで、一つお聞きしたいことがあるのですが?」優しい上に、お話し易い先生なので、一考も何でも相談してみたくなるのだ。
 「何でしょう。ご遠慮なく」津島先生は大いに歓迎といったような口ぶりで、一考の顔を見た。
 「実は、近々、雅子を介護付きの有料老人ホームに入れようかと考えているのですが、このことで躊躇していることがあるのです。そのことで、教えて頂きたいのですが?」以降は、そう言って一息ついた。
「何でしょう。ご遠慮なく」
 「大分前ですが、テレビの特集番組で、DBS手術の事例を見ました。頭に穴を開けての手術ということで、びっくりするような内容でしたが、その大変な回復力に驚きました。それまで歩けなかった人が歩けるようにもなった事例でした。そこで、雅子の場合も、可能ならその治療法を受けてみるのはどうなのか、と云うことなんです。溺れる者は、藁をも掴むということで、そのことを急に思い出したのです。何しろ、この老人ホームの話は、大変な投資を必要としていますので、同じ投資をするなら、治る可能性のある方に賭けてみたくなったのです。如何でしょうか、先生のご見解を伺いたいのです」一考は、前にテレビでと特集された手術による治療のことが気になっていたのである。この手術は「深部脳刺激治療(Deep Brain Stimulation)」と呼ばれるもので、そのドギュメントではその患者は画期的な回復を示し、ほぼ普通の状態に戻り、止めていた勤めにも戻ったということだった。最近になって、有料老人ホームへの入居のことを決断しなければならない段階で、一考の記憶の中で、その手術のことが急に思い出されていたのである。同じ費用を掛けるなら、今一度、その検討をしてみる価値があるのではと思い始めていた
 それというのも、有料老人ホームは、契約したからと言って、その部屋が自分達の財産になるものではなく、また、解約しても、償却期間の5年が過ぎると、契約金は一銭も戻って来ない、単なる権利確保に過ぎないからである。
 じっと一考の話に耳を傾けていた津島先生は、徐に口を開いた。
 「DBSですか? よくご存知ですね。そのドギュメントは、何時頃、ご覧になりました?」先生の表情はいつものように穏やかなままである。
 「もう一年ほど、前だったと思います。一応、録画してあります」
 一考は記憶を辿りながらそう答えて、先生の反応に注目していた。(以下、明日に続く)

タグ : 鳩山法務大臣 DBS 深部脳刺激治療

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