日経の私の履歴書は、今月は、FRB議長を歴任した「アラン・
グリーンスパン」氏で、読みごたえのある内容だった。現代史の隠されていた真実の披露、多くの共鳴を呼ぶ格調高い言葉がユーモアのに満ち満ちていて、大袈裟に言えば、毎日が感動だった。
今日の最終回でも「文明を前進させるイノイベーションを事前に予測することは誰にも出来ない。しかし、常に必ず起きてきた。それは、人間の本性に根ざしているものだと思う」と言い切り、それを促す土壌が資本主義だという。このコンピューター時代の次は何が来るのか、筆者はそんな期待に思いを馳せた。
同氏は「逆境に耐え、現実に適応して行く能力は人間に備わっている。だからこそ、人類は前に進んできた。この確信は揺らいでいない」と結んでいる。この言葉に、筆者も、大いに勇気付けられた思いだ。
そんな高邁な思いから現実に戻ると、政界では、前夜に
つなぎ法案を提出するという、思い切ったスクイズ作戦に出た与党だったが、突如振り出した雨のような両院議長の斡旋で、戦いはサスペンディッドになってしまった。その一方で、中国食品の恐怖が今朝の紙面を覆っている。筆者も、慌てて冷蔵庫の中を点検、残っていた中国製の冷凍食品を廃棄することにした。一方、ハンドボールはなかなかのいい試合で、前夜の女子の完敗を補った形で、ファンを取り戻したようだ。
相変わらず、何が起きるか分からない世の中である。
2.昨日の雅子(28)
前夜は、久し振りによく睡眠が取れたようで、この日は体調もよく、落ち着いた一日だった。長く、椅子にすわっていると、お尻が痛くなるようなので、時々座る位置を変えてやった。食欲も堅調である。
3.連載(376) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(2)
第一章 入居生活の始まり (その2)
(1)新たな門出 (その2)
自分の生活がどんな具合に取り扱ってもらえるのか、ドリームスペースとの契約が終わった直後には、雅子の頭の中では、漠然とした掴まえ所のない不安が広がっていた。今までは、住みなれた在宅での介護生活で、しかも、その介護者が気心の知れた夫であったことで、病気への不安はともかく、介護については、すっかり頼り切った形で、何とかこの二年間を過ごして来られた。
それが、第三者の方々のサポートを頂戴しての生活に換わるのだ。最近では、言葉にも障害が出て来ていて、言いたいことがスムーズに伝えられない状況にあるだけにとても心細く、まさに見知らぬ世界に飛び込んで行くようで、何とも言えない不安が募って来ていた。
しかし、そんな気持ちではいけないと、入居日が決まった頃から、それを断ち切るように、雅子は自ら決意し、意識改革を試みていた。介護に当たってくれる方々の暖かさを信じ、その方たちに身を委ねよう。そうすることで、皆さんからの貴重な愛情を頂戴することになり、新たな穏やかさを得られるのではないか。雅子は自分の心に、そう言い聞かせることで、それまで拡がっていた不安も心の隅に追いやっていたのである。そして、迎えたのが今日のスタートの日であった。
この日も夫は、いつもの朝の定番メニューである、着替え、朝食、トイレ、洗顔などを、いつもよりは手早いペースで終えてくれた。そして、出発準備の段取りに取り掛かってくれたのは、9時過ぎだった。前夜までに、新居となるドリームスペースに持ち込むべきものを纏め、大小二つの旅行鞄と幾つかの紙袋に入れて、差し当たっての準備は終えてあった。夫は、先ずは、それらを車に運び込んだ。車が小さいので、数度に分けて運ばねばならないかと心配していたが、幸い、すんなりと全部が収まったようで、夫もほっとしているようだった。
続いて、夫は、私の衣装変えに取り掛かってくれた。昨夜、希望を聞いてくれて準備しておいた衣装に着替えさせてくれるのである。何も、わざわざそんな別な衣装に着替えることをしなくてもという気持ちもあるが、自分の新しい旅立ちでもある。それなりに自分の気持ちを整えておきたいと思いでの着替えなのだ。この着替えも、身体が不自由だから結構手間が掛かる。夫は慣れた手つきでそれを終えると、今度は、外出前のいつもの手順で口紅を薄く塗ってくれた。これで、自分なりに気持ちの切り替えも出来て、旅立のセレモニーを終えた気分になっていた。(以下、明日に続く)
タグ : グリーンスパン つなぎ法案
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