プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは3部康成です。1部が「コラム」、2部が連載「難病との闘い」、そして3部が、速報、「昨日の雅子」です。

 

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581 大きな夢にじわじわと

 昨日行なわれた将棋の棋聖戦で、挑戦者の羽生が佐藤棋聖に勝って、棋聖位を奪取し、羽生は4冠に返り咲いた。出だし2連敗からの3連勝で逆転での見事な返り咲きだった。これで、今、併行して行われている王位戦で、昨年失冠した王位を奪回すると5冠に復帰する。更に、今年の10月後半から始まる竜王戦では、目下、最終予選を戦っていて、順調に勝ち抜けば、再び、羽生7冠の夢が現実味を帯びて来る。将棋ファン、羽生ファンには堪らない展開が続く。
 そうは言っても、7冠に至るにはまだまだ大変だ。先ずは、間もなく始まる王座戦、更には、来年1月からの王将戦でのタイトルの防衛が前提で、加えて、2月から始まる7冠目の棋王戦の挑戦者になって、棋王を奪う最後のステップが待っている。その棋王戦は、今、その予選が始まったばかりで、先行きは半端な道のりではない。棋王戦では、途中で敗者復活戦もあるが、基本的には、予選の段階で1敗でも喫すれば、そこで全てがパーになり、また一年先を待たねばならない。恰も、不安定な積み木を組み立てる作品作りに似ていて、大変な努力の積み重ねと妙手の発掘が欠かせない知的な作業の連続なのだ。
 大記録といえば、大リーグのイチロー選手の8年連続レギュラーシーズン200本安打や、阪神、金本選手の連続試合フルイニング出場というとてつもない記録が、毎日積み重ねられているが、これらの記録は、ここまで来れば、仮に、不幸にもストップすることになっても、そこまでの記録は厳然として光り輝くのだが、羽生名人が描いている七冠の夢は、どこかで一敗すれば、そこで一旦、全てが崩壊するという意味で、大変な難しさがあると思う。羽生ファンとしては、そのスリルを楽しみながら、再び7冠を獲得する道程を楽しみたい。
 
2.連載(546) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(174)
  第五章 施設生活半年を終えての総括(12)

(1) 生活リズムの変化(その12)
 人間、誰しも、気分転換の意味で、何かの楽しみを持つことは大事である。雅子が元気な頃は、友人との付き合いも多くあって、楽しみ方も多彩だった。それでもテレビは、そのウエイトが小さくない一つだったことは確かである。
 今、こうして、病気の症状が進み、自分での動きが取れなくなると、他に楽しみがなくなり、テレビは唯一の楽しみになっていると言える。姿勢が少し前傾になっているので、テレビを見るのも楽ではなさそうだが、今のところ、それ以外の楽しみを見つけるのは難しい。そういう意味では、施設でいろいろと企画してくれている気分転換への配慮は大変有難い。
 かつて、自宅で一考の在宅介護を受けていた頃は、右手の指も多少動いて、テレビのキーパッドのボタンを自分で押すことが出来たので、自分の好きな時に、好きな番組を見ることが可能だった。しかし、身体を自由に動かせなくなった上に、指の動きもままならなくなった今では、それも全くできない。必要な時に、その都度、誰かにチャネルを押してもらわねばならない。昼間、一考がいる場合を除くと、介護士さんが雅子の意向を慮っていろいろと気遣ってくれている。言葉がうまく通じないこともあって、希望するチャネルになっていないこともあるが、それは致し方がないとして、映っているものを見ることになる。
 雅子が施設に入って衝撃を受けたと思われるのは、就寝時間が午後9時で、いわゆる大人のゴールデンタイムの番組を見られなくなったことだったと思う。その時間帯は、いわゆるトレンディドラマやちょっとした内容のある大人の番組が目白押しで、それらを楽しんでいただけに、それからシャットアウトされたのだから、大いに戸惑いがあったはずだ。しかし、施設でのルールということであれば致し方がない。その点での雅子の対応は立派だった。そんな不満は微塵も口に出さずに、自分をしっかりと制御し、自らに言い聞かせたのだろう。
 従って、夕食後の雅子の楽しみは、7時から9時までのテレビ番組だけとなる。最初の頃は、一考が雅子の希望を聞いて、帰り際に介護士さんに「何チャンネル」にしてあげて欲しいと伝えて帰るようにしていた。
 最近では、テレビの前に、チャネル予定表を置いて、そこに雅子の希望する時間毎のチャネルを表示することにした。こうすることで、雅子の希望を忠実に反映できる仕組み(大袈裟)で対応してもらっている。(以下、明日に続く)

3.速報、昨日の雅子(192) 7月18日分
 9時半に入浴、その後、マッサージ。、この日も比較的穏やかな一日。雅子は、じっと堪えて頑張っている毎日だ。幸い、他の病気が併発することもないのは有難いことだ。「堪えて生きる」それが今の雅子の「小さな幸せ」である。

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