民主党の小沢代表が、麻生総理のことを「ちんぴら」と発言したことに、麻生総理は、その挑発に乗らずに、党首討論を呼びかている。そこで堂々と議論しようじゃないかというのだ。ここに来て、二人の全面対決の姿勢が鮮明になって来ているが、小沢代表にはその呼びかけを受ける気がないようだ。
このやり取りはの切っ掛けは、先日行なわれた初めての党首会談後に、首相が「小沢代表は信用できない」と発言。それに対して小沢代表が「ちんぴらの言いがかり」と反論したということだった。
広辞苑によれば、ちんぴらとは「小物のクセに大物らしく気取って振舞うものをあざけっていう語」とある。そう言えば、二人共にそんな雰囲気がないとは言えず、低レベルの言い合いだが、野次馬的には、結構、面白い蹴り合いで楽しませて(?)くれている。こんな二人に、日本を任せていて大丈夫なのだろうか。
ところで、党首討論は、もともと小沢代表が、英国議会の「クエスチョンタイム」をまねて、日本に導入した制度なのだが、その言い出しっぺの本人が、全く出ようとしないは如何なものか。多分、自分自身に直接対決の討論に自信がないからだろう。機転の利いた丁々発止のやり取りには、それなりの頭の回転が必要になる。多分、その点で小沢代表は今一つだとの自覚があるからだと思う。筆者もそういう能力に欠けていることから、その立場は充分に理解できるのだ。つまり、「ああ言えばよかった」とか「こういうように突っ込めば良かった」と終わった後で後悔して、切歯扼腕するのが嫌なのだ。
ところで、今、ちんぴらと言えば、今回の連続殺傷事件で出頭した小泉毅容疑者がぴったりのイメージだ。その後の自供で、10人ぐらいをリストアップしていたというから堪ったものではない。偶々、住まいが近かったといった程度の単純なことで、生死が決まって来るのだから、お門違いも甚だしく理不尽さも極まれりである。それにしても、緊急の捜査体制が、その後の犯行の抑止力に繋がったのは幸運だったお思う。
この事件で、今、筆者が最も気になっているのが小泉容疑者が父親に送った手紙の中身である。そこに真実の手掛かりがあるはずなのだが、強制捜査の対象にはならないのだろうか。
いずれにしても、まだ多くの謎が残されている。早期全面解決を期待している。
2.連載(675) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(292)
第六章 真夏の夜の夢(143)
(9)さよならを告げる旅(その11)
「雅子さんの具合はどうですか? お見舞いに行きたいんだけど、出来なくてね。申し訳ないわ」いつも母親が、一考の顔を見ると掛けてくれる同じ言葉である。
「相変わらずだよ。大変だけど、一生懸命に頑張って生きていますよ。今からドリームスペースへ行って、久し振りに琵琶湖周辺のドライブに連れてやることにしているの」一考は得たりや応とそう答えて、改めて母親の心配そうな顔を見た。ここでも、意識して、しっかり生きていこうとの自分達の意思を伝えた。これから起きる思わぬ事故が、心中なんて全く考えられないという印象を強くインプットしておきたかったからである。しかし、これが母親との最後の会話になると思うと少し胸が痛んだ。
「気をつけてね」母親が心配そうに言うのを「うん、うん、母さんも気をつけてね」と言いながら、部屋を出ようとしたが、急に、何かを思い出したように少し戻って来て「そう言えば、お母さん、来年は100歳になるんだよね。お目出度いことだし楽しみよね。しっかり頑張って生きてもらわなくっちゃね」といつもよりも優しい口調で付け加えた。いつももそうなのだが、母親の耳が遠いので、どうしても話しかける声が大きくなり、その分、優しさが消えてしまう傾向がある。
「そんなに長生きなんてしたくはないんだよ。皆に迷惑掛けるばかりなんだから、申し訳なくて仕方がないの。雅子さんにも、結局は、何もして上げられないのが、とても辛いのよ」母親はそう言って、辛そうに一考を見た。
「そうだね。長生きも大変なんだよね。しかし、そこを頑張るのが大事なんだよ。じゃ、元気でね」一考はそう言うと、込み上げて来る物を必死に抑え、思い切るように母親の部屋を出た。そして、隣の部屋のお仏壇に向かって一礼して出て行った。こうして、一考は自分なりに、気になっていた最後のセレモニーを終えたような気分になっていた。そして、「いよいよだ、しっかりやらなくちゃ」と呟きながら玄関を出た。
全くの偶然だったが、門を出たところでお隣の奥様に顔を合わせた。すらりとした美人の若奥さんで、一考も少なからず好感を抱いていた方だった。
「お出かけですか?」と優しく声を掛けてもらった。
「ええ。施設に参ります。今日は少しドライブにでも連れて行ってやろうと思っているのです」一考は、意識的にそう言って車の置いてあるところに向かった。その言葉もまた、いみじくも、これから起きる人生最後のドラマへの布石の挨拶でもあった。(以下、明日に続く)
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