プロフィール

Author:相坂一考
滋賀県大津市出身
07年1月に推理小説「執念」を文芸社から出版

このブログは4部構成です。
冒頭の枕に続いて、
1部が「独り言コラム」でキーワードから世の動きを捉えようと試みる。
2部が「今朝の一考と昨日の雅子」で妻、雅子の近況。
3部が連載「難病との闘い」です。
(09−02−16に修正。09−03−01に再修正、09−09−30に3度目の修正、09−11−09に4度目の修正)


 

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720 小学生の逸材

 このところ世の中、世界不況の煽りで暗くて、活気がない。何か明るい話題かないかと探してみると、スポーツや趣味の世界では、スケートの浅田真央、ゴルフの石川遼、野球の吉田えり、将棋の里見香奈などの高校生の活躍が明るさを提供してくれている。他にないかと探すと、もっと若い小学生で、将来が期待されている何人かの逸材の存在を見つけた。
 「栴檀は双葉より芳し」で あどけない明るさがほほえましくて何よりもの救いである。小学生の力も侮れない。大活躍して、世の中に明るさを付与して欲しい。

1.小学生作家、三船恭太郎君 
 今年の3月初め頃のテレビで紹介していた。12歳の文学賞で受賞した岩手県盛岡市の岩手大学附属小学校5年生だ。大人も顔負けする表現があるという。そのテレビでは紹介していた次の一節は圧巻だ。「明日に続かない今日もある」なるほど、なるほだ。ちょっと読んでみたくなる。
2.歌手、さくらまやさん。
 昨日のTBSテレビで紹介していたのを見た。まだまだあどけない10歳で小学4年生だが、なかなかの歌唱力だ。美空ひばりの再来ではとの期待がある。この12月に日本クラウンより「大魚まつり」でデビューしたばかりという。期待は大きい。
3.崖の上のポニョポニョの大橋のぞみさん
 もうテレビでお馴染みの顔だ。今年で9歳の女優で歌手。テレビをみている限り、普通の女の子だ。史上最年少の歌手として今年のNHKの紅白歌合戦にも出場する。


2.連載(685) 難病との闘い 第2部 小さな幸せを求めて(251)
  第六章 真夏の夜の夢(153)

(9)さよならを告げる旅(その21)
 睡眠薬の服用について、一考が雅子に事前の打診をしなかった背景には、若し、その種の話をすれば、間違いなく雅子は「その必要はない」と答えると思っていたからである。それは、雅子の物の考え方がピュアーであって、一旦、自分がそうと決めた以上、多少の苦しみは、それなりに自らがしっかりと受けるというのが自然で、当然だと考えるだろうと見ていた。
 しかし、今回の事に当たっては、あくまでも、一考から誘い込んだものであり、端的に言えば、自分の止むを得ない事情から無理やりに雅子の命を奪うに等しい行動に走る訳であって、それは、取りも直さず、雅子に着いて来ざるを得ない選択を押し付けたのである。従って、一考としては、可能な限り、余計な恐ろしさや苦しさからは解放してあげたいと強く考えていた。また、それが、一考にできる雅子への最後の愛だとも捉えていた。
 そんな一考の独断的な判断で、そのことについては、雅子には、全く触れずに計画を進めて来ていたし、この期に及んでも、何気ない様子を取り繕いながら、雅子に用意しておいたジュースを勧めたのである。この段階での雅子はとても従順だった。夫の勧めるままにそれを口にしたのである。一考は、本当のことを告げずに自分の判断でそうしていることが、雅子を騙しているようで、何か心に傷が付くような辛いものを覚えていた。
 果たして、そのジュースはどんな味がしたのだろうか、一考は、心の中で、何とも言えない不安を覚えていた。それというのも、今の雅子は、難病の影響で、多くの機能が正しく作動し難くなっているのだが、味覚、つまり舌の機能だけは正常に保たれていたからである。それだけに、舌に何か異常を感じるようなことがなかったのだろうかと心配していたのである。しかし、幸いなことに、そのことに関しては、雅子は、特に何の反応も示さなかった。
 ほんの数十秒だったと思う。一考はいつにない緊張で、そのポリ容器の瓶を支えて、雅子をサポートしていた。彼女は、いつものように、そのジュースを全部きれいに飲み干した。その作業が無事に終わったのを確認すると、一考はほっとしたように密かに一息つくのだった。躊躇していたその作業を無事終えたことへの安堵感からだった。これで、雅子が余計な苦しみを覚えることなく人生の最後の舞台を演じ終えることができるはずだと一考は自分に言い聞かせていた。
 そして「いよいよ、これからだ。今から最後の舞台の幕が上がるのだ」と一考は自らに言い聞かせ、改めて緊張した面持ちで、雅子を車椅子から車に移し変える作業に取り掛かった。この厄介な雅子の移動の大変な作業も、これが最後になると思うと何か切ないものを感じるのだった。(以下、明日に続く)

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